採用代行 / 費用・契約・法務

契約終了時に返してもらうデータ

公開 2026-09-07

採用代行との契約が終わるとき、どのデータを受け取り、どのデータを消してもらうか。この二つは別の話です。自社に残したいものは返してもらい、代行会社側に残ってはいけないものは削除してもらう。混ぜて依頼すると、どちらも中途半端になります。この記事では、データの一覧と形式、返還と削除の考え方を整理します。なお、個人データの取り扱いは自社の管理体制によって判断が変わるため、専門家にご確認ください

受け取るデータの一覧

候補者に関するもの

運用に関するもの

記録に関するもの

このうち、三番目のまとまりは依頼しないと出てきません。成果物やデータは引き渡しの対象になりますが、記録は「引き渡すもの」として認識されていないことがあります。

形式を指定する

データは、受け取っても使えなければ意味がありません。形式を指定します。

種類望ましい形式
候補者の一覧、履歴表計算またはCSV(取り込めること)
求人原稿、文面文書ファイル(編集できること)
検索条件条件の内容が読み取れる形(画面の写しだけでは足りない)
稼働報告表計算(月ごとに並べられること)
議事、記録文書ファイル

画面の写しだけで渡されると、再入力の作業が発生します。特に候補者の一覧は、次の環境に取り込める形式でないと使えません。

検索条件は、条件の中身が分かる形で受け取ります。媒体の画面の写しだと、条件の組み合わせは分かっても設計の意図までは残りません。なぜその条件にしたかは、文章で書いてもらいます。

返還と削除を分ける

返還してもらうものは、自社に残したいデータです。上に挙げた一覧が該当します。

削除してもらうものは、代行会社の環境に残っている個人データです。返還を受けたうえで、相手の手元から消してもらいます。

この二つは順番があります。先に削除してもらうと、必要なデータが取り出せなくなります。受け取る → 内容を確認する → 削除を依頼するの順です。

削除については、次を決めておきます。

個人データの返還や削除の扱いは、契約の定めに沿って処理します。定めがない場合は、この機会に取り決めます。監督の考え方は個人情報保護法と委託先の監督にまとめています。

エラベルの見解

データの返還で、そもそも返還が必要ない設計にしておくのが最も確実です。

自社の採用管理システムに情報を集約し、代行にはアクセス権を渡す形。この設計なら、契約が終わるときにやることは権限の削除だけです。データは最初から自社にあるので、返還も削除も発生しません。

逆に、代行会社の環境に情報が溜まる形だと、終了時に返還と削除の作業が発生します。しかも、本当に消えたかを技術的に検証するのは難しい。報告を受け取ることはできますが、それ以上の確認は現実には困難です

だから、契約の段階で置き場所を決めておいてください。「候補者の情報は自社の採用管理システムに記録する」という一文です。運用が始まってからでは、移行の作業が要ります。

そして、この設計は情報管理としても、引き継ぎの速さとしても効きます。返還の条項を厚く書くより、返還が不要な設計のほうが実効性がある。契約書の議論をする前に、置き場所の議論をしてください。設計は情報漏えいを防ぐ設計にまとめています。

環境ごとに確認する

データがどこにあるかを、環境ごとに洗い出します。

自社の採用管理システム。ここにあるものは、権限を削除すれば済みます。書き出しは不要です。

媒体の管理画面。応募者情報、スカウトの送信履歴、やりとりの記録。媒体の契約が代行会社の名義だと、終了とともにアクセスできなくなることがあります。名義を確認し、必要なら書き出します。

代行会社の独自ツール。進捗管理や報告のために独自のツールを使っている場合、そこにデータが溜まっています。書き出せる形式を確認します。

メール。候補者とのやりとり。自社ドメインの共有アドレスを使っていれば自社に残ります。代行会社のアドレスを使っていた場合は、記録の引き渡しが要ります。

チャット・共有ドライブ。ファイルのやりとりに使っていた場所。必要なものを回収し、その後に権限を削除します。

この五つを順に確認すると、抜けが減ります。切り替え全体の手順は切り替えるときの引き継ぎ項目にまとめています。

期限を逆算する

データの受け取りには時間がかかります。契約終了日から逆算して依頼します。

  1. 契約終了日を確認する
  2. その手前に削除の完了を置く
  3. その手前に内容の確認の期間を置く
  4. その手前に受け取りの期日を置く
  5. その手前に依頼を出す

三番目の確認の期間を飛ばさないでください。受け取ったデータが開けない、形式が違う、項目が足りない。こうしたことは実際に起きます。確認して差し戻す余地を持たせておきます。

そして、依頼は書面で出します。何を、どの形式で、いつまでに。口頭だと、認識のずれが起きます。

契約に定めがない場合

すでに契約が終わりに近く、引き渡しの定めがない場合の対処です。

関係が続いているうちに依頼する。契約が終わってからでは、相手の協力を得にくくなります。終了が決まった時点で依頼します。

口頭で先に伝える。書面より先に会話の場を持つと、引き継ぎに手が入ります。

自社の環境にあるものを先に確保する。相手の協力に関わらず回収できるものから確認します。

次の契約で入れる。今回困った点を記録し、次の契約書に引き渡しの条項を入れます。

エラベルの見解

受け取ったデータを、次の依頼先にそのまま渡さないでください。整理してから渡すと、立ち上げが速くなります。

そのまま渡すと、次の担当者は大量のファイルを前に、どれが現行でどれが古いのかを判断することから始めます。文面が何通りもあり、条件も複数あり、どれが最後に使われていたかが分からない。この判断に時間がかかります

整理は難しくありません。現行のものと過去のものを分ける。職種ごとにまとめる。使っていないものは別のフォルダに移す。そして、現状を一枚にまとめる。募集中の職種、これまでの実績、進行中の候補者、うまくいっている部分といない部分。

この一枚があると、次の依頼先の提案の精度が変わります。何を直したいかが伝わるからです。

そして、この整理の作業自体が、自社の採用を振り返る機会になります。何が溜まっていて、何が足りないのか。切り替えのときにしかやらない作業なので、そのときに丁寧にやる価値があります

まとめ

よくある質問

データが本当に削除されたか確認できますか

完了の報告を受け取る定めを置けば、報告は受け取れます。ただし、技術的な検証まで行うのは現実には難しいところがあります。だからこそ、代行会社の環境に情報を溜めない設計にしておくほうが確実性が高くなります。運用の設計と契約条項は、セットで考える項目です。

契約終了後に追加でデータが必要になった場合はどうしますか

削除が完了していれば、相手の手元にも残っていません。だから、終了前の確認が重要になります。受け取ったデータを開いて、項目が揃っているか、次の環境に取り込めるかを確認してから削除を依頼してください。確認の期間を工程に入れておきます。

媒体に残っている候補者データはどうなりますか

媒体の契約が自社名義なら、アカウントを維持する限り残ります。代行会社の名義だと、契約終了とともにアクセスできなくなることがあります。終了の前に書き出し、自社の採用管理システムに移しておくのが確実です。名義の考え方は媒体費と代行費を分けて見るべき理由にまとめています。