採用代行 / 費用・契約・法務

媒体費と代行費を分けて見るべき理由

公開 2026-09-07

採用代行を使うとき、求人媒体の掲載費やスカウトの従量課金を代行会社が立て替える形にすることがあります。事務は楽になりますが、この形にすると、費用の内訳と効果の切り分けが見えにくくなります。運用が悪いのか媒体が合っていないのかを判断できなくなるのが、いちばん大きな損失です。この記事では、分けて持つ理由と、分けるときの実務を整理します。

一緒にすると見えなくなるもの

代行費用と媒体費が一本の請求にまとまると、次の三つが見えなくなります。

一.どちらにいくら使ったか。運用に払っているのか、掲載枠に払っているのかが分かりません。翌年の予算を組むとき、配分を決められなくなります。

二.どちらが効いているか。応募が集まらないとき、媒体の候補者層が合っていないのか、原稿と運用が弱いのかを切り分けられません。原因が特定できないので、次の打ち手も決まりません。

三.単価がどう構成されているか。媒体の従量課金の単価は、契約プランや購入量で変わります。立て替えの中に含まれていると、単価そのものが見えなくなります。

このうち二番が実務では効きます。媒体を替えるべきか、運用を替えるべきかは、採用の打ち手として全く違います。切り分けられない状態が続くと、どちらも替えないまま時間が過ぎるか、両方を同時に替えて原因が分からなくなるかのどちらかになります。

名義を自社にする意味

媒体を自社契約にしておくと、次のことが変わります。

自社契約代行会社の名義
支出の内訳そのまま見える立て替えの明細次第
管理画面へのアクセス自社が権限を持つ代行側が持つ
候補者データ自社に残る移行の作業が要る
代行会社を替えるとき権限の付け替えだけ契約とデータの移行
媒体との交渉自社が直接できる代行会社を通す
事務の手間自社で発生代行会社が担う

継続的に採用するなら、自社契約のほうが後が楽になります。特に、代行会社を替える可能性を考えると差が大きい。名義が代行側だと、解約と同時にデータへのアクセスが止まることがあります。

短期のスポット依頼や、初めて使う媒体を試す場合は、立て替えてもらうほうが手続きが少なく済みます。期間と、データを自社に残したいかどうかで決まるという整理です。

エラベルの見解

媒体費を代行会社に立て替えてもらう形で、もう一つ確認しておきたいことがあります。その媒体費に、代行会社の手数料が乗っているかどうかです。

乗っていること自体は珍しくありません。立て替えには資金の負担と事務の手間があるので、その分を上乗せする設計は合理的です。問題は、乗っているかどうかが見えない状態で契約していることです。

聞き方は単純で、「媒体費は実費のご請求ですか、それとも手数料が含まれますか」と確認するだけです。実費だと答えるなら、媒体からの請求書の写しを受け取れるかも聞いてみてください。含まれると答えるなら、その割合を聞きます。どちらの答えでも構いませんが、知っているかどうかで予算の精度が変わります

そして、この質問への反応は相手の姿勢も映します。すぐ答える会社は費用の建て付けを整理できていますし、答えが曖昧なら、他の項目も曖昧である可能性があります。契約前の確認としては、手間の少ない部類の質問です。

効果を切り分ける

分けて持つと、次のような切り分けができるようになります。

媒体の問題か、運用の問題か。同じ媒体で、担当者が替わった前後の数字を比べる。あるいは、同じ運用で媒体を替えた前後を比べる。片方を固定すれば、もう片方の効果が見えます。

掲載枠の使い方が適切か。掲載費に対して、どれだけの応募が来たか。枠を増やすべきか、原稿を直すべきかの判断になります。

従量課金の使い方が適切か。スカウトの送信数に対して、返信率がどう動いたか。送信量を増やす判断と、文面を直す判断は別です。

代行費用が範囲に見合っているか。媒体費を除いた運用の費用が、任せている工程の量と釣り合っているか。実質の時間単価を出す方法は時間単価はいくらが妥当かにまとめています。

これらの判断は、経路ごとの一名あたり費用を出す作業とも噛み合います。媒体費と代行費が分かれていれば、経路ごとの単価に代行費用を按分する作業もできます。単価の出し方は採用単価の計算方法と目標値の置き方で扱っています。

分けるときの実務

自社契約に切り替えるとき、決めておく項目です。

このうち従量課金の上限は、決めておかないと予算が振れます。スカウトの送信は増やせば増やすほど費用が出るので、月あたりの上限を置いて運用します。

切り替えのタイミングは、代行の契約更新に合わせると手続きが一度で済みます。期の途中で切り替えると、媒体の契約期間との整合を取る作業が発生します。

エラベルの見解

媒体を自社契約にすると、代行会社との関係が変わります。ここは意外と語られません。

立て替えてもらう形だと、媒体の運用は代行会社の中で完結します。管理画面を見るのも、枠を買うのも、設定を変えるのも向こう側です。発注側は結果の報告を受け取るだけになり、何が起きているかは報告の粒度に依存します。

自社契約にして権限を持つと、こちらでも画面が見られます。応募の状況も、スカウトの返信も、設定の中身も見える。すると定例会の会話が変わります。報告を聞く場から、同じ画面を見て次を決める場になる。

これは監視のためではありません。採用の運用を自社が理解している状態を保つためです。代行を長く使うほど、社内の理解は薄くなりがちです。画面が見えていれば、担当者が替わっても、代行を止めても、何をやっていたかが分かります。

権限を持つのは手間ですが、その手間は運用の理解と引き換えです。継続的に採用するなら、払う価値のある手間だと考えています。

まとめ

よくある質問

代行会社に立て替えてもらうと安くなることはありますか

代行会社が媒体と法人契約を結んでいて、その条件が適用される場合はあり得ます。ただし、立て替えに手数料が乗っている場合もあるため、実際に安いかは確認しないと分かりません。媒体からの請求の写しを受け取れるかを聞いてみると、建て付けが見えます。

途中から自社契約に切り替えられますか

媒体の契約内容によりますが、更新のタイミングで切り替えられることが多いところです。掲載中のデータや候補者のやりとりを引き継げるかは媒体ごとに違うため、切り替え前に媒体側にも確認します。代行の契約更新と時期を合わせると、手続きが一度で済みます。

権限を渡すと情報管理が心配です

権限の範囲を決め、一覧を管理していれば把握できる状態を保てます。むしろ、代行会社の名義で契約されている状態のほうが、誰がアクセスしているかは見えにくくなります。権限を持つ人の一覧を四半期に一度見直す運用にしておくと、担当交代にも気づけます。情報の扱いについては候補者情報とNDAの範囲にまとめています。