採用代行 / インフラエンジニア
インフラエンジニアの母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
インフラエンジニアの募集で起きる母集団の問題は、二つに分かれます。応募がまったく来ない場合と、応募は来るが運用しかできない人ばかりで、構築ができる人が来ない場合です。後者のほうが多く、会社は「応募は来ているのに決まらない」と感じます。結論を先に書くと、インフラエンジニアの母集団形成は、「求人票で採る層と働き方の条件を示す」「出し先をインフラ職のいる場所にする」「スカウトを運用と構築で分ける」「現場の面接の枠を確保する」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。層と条件が求人票に無いまま母集団を広げると、合わない層が増えるだけです。代行に出す工程の線はインフラエンジニア採用を代行に出す判断基準に、開発エンジニアの母集団形成はエンジニアの母集団形成にまとめています。
応募が来ないのか、合わない層が来ているのか
最初に、症状を分けます。
応募がほとんど無い場合は、求人が届いていないか、届いても条件(夜間対応、勤務地、年収の幅)で見送られているかのどちらかです。出し先と条件を見ます。
応募はあるが、運用の経歴の人ばかりで、構築の経験のある人が来ない場合は、求人票が層を示していないことが原因です。市場には運用の人のほうが多いので、層を示さない求人には運用の人が多く応募します。この場合、媒体を増やしても、運用の人の応募が増えるだけです。
どちらの症状かは、応募者の経歴を運用と構築で分類すれば分かります。応募の数ではなく、構築の経験がある応募の数を見てください。
見直す順番の一番目:求人票に「層」と「条件」があるか
求人票を開いて、次の六つが読み取れるかを確認します。
- 運用か構築か、どちらの人を採るか。 一行目で分かる形に。「クラウド移行を設計から担う方」「既存環境の運用を安定させる方」
- 自社のインフラの構成。 オンプレかクラウドか、規模(台数、拠点、利用者数の目安)、使っている技術の名前
- これから何をするか。 新規構築、移行、自動化、運用の改善。候補者は「入って何をするか」で判断する
- 働き方の条件。 夜間対応の有無と頻度、オンコールの体制、休日メンテナンスの頻度、リモートの可否
- チームの体制。 何人で、どう分担しているか。一人目のインフラ担当なのか、チームに加わるのか
- 委託先との関係。 インフラの一部を外部に委託しているなら、その分担
六つのうち、一つ目と四つ目が最も抜けます。層が無い求人票には合わない層が来て、条件が無い求人票は面接まで進んでから辞退されます。
四つ目の条件は、社内では当たり前すぎて書き忘れます。ただ、インフラ職の候補者は、夜間対応の有無を最初に確認します。書かれていなければ「ある」と想定して見送る人と、「無い」と想定して面接後に辞退する人に分かれ、どちらも損です。
エラベルの見解
相談で多いのは、「応募は月に十数件あるのに、構築ができる人が一人もいない」というご相談です。求人票を見ると、「インフラエンジニア募集。サーバ・ネットワークの運用保守、構築」と、運用と構築が並んでいて、優先が分かりません。市場に多い運用の人が「運用保守」の文字を見て応募し、構築の人は「運用が中心の会社」と読んで見送っています。求人票の一行が、来てほしい層を遠ざけています。
見ていて差がつくのは、「一行目で層を宣言しているか」です。「クラウド移行を設計から担うインフラエンジニア」と一行目に書けば、運用だけの人は自分向けでないと分かり、構築の人は自分向けだと分かります。応募の総数は減りますが、構築の人の応募は増えます。エラベルでは、インフラ職の担当者に、求人票の一行目を依頼側と一緒に決めるところから始めてもらっています。一行目が決まらない会社は、採る層が決まっていない会社です。
見直す順番の二番目:出し先がインフラ職のいる場所か
求人票が整ったら、出し先を見ます。インフラ職は、開発職と重なる媒体もあれば、インフラ職に特有の経路もあります。
| 出し先 | 向く状況 | 注意 |
|---|---|---|
| エンジニア向けの求人媒体 | 開発職と同じ媒体でインフラ職も探す | 媒体によってインフラ職の登録者の多さが違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | 構築の経験がある層に、こちらから届けたい | 検索の条件を「構築」「設計」「移行」などの経験で絞る |
| SIerや運用会社からの転職層 | 事業会社の一人目や少人数のインフラ担当を探す | 「自社のサービスのインフラを持ちたい」という動機の人が多い。訴求を合わせる |
| クラウド関連の資格やコミュニティ | 特定のクラウドの経験者と接点を作る | 採用の場ではない。関係を作ってから |
| 社員の紹介 | 社内に技術者がいる | 求人票の六つを社員に渡す。リファラルが進まない理由 |
| 紹介会社 | 急ぎ | インフラ職に強い紹介会社か。運用の人ばかり紹介されないか |
| 委託先からの紹介 | インフラを委託している会社がある | 委託先の元社員や取引先。利害の整理が要る |
出し先の要点は、「SIerや運用会社からの転職層」を意識することです。インフラ職の多くは、SIerやデータセンターの運用部門にいて、「自社のサービスのインフラを設計から持ちたい」という動機で事業会社に移ります。この動機に合う訴求(設計から任せる、自社のサービス、技術選定に関われる)が、求人票とスカウトにあるかを見ます。
見直す順番の三番目:スカウトが運用と構築で分けられているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、採る層に合わせます。構築の人を探すなら、「構築」「設計」「移行」「自動化」の経験で絞り、「運用」「監視」「保守」だけの経歴は外します。運用の人を探すなら逆です。層を分けずに「インフラエンジニア」で検索して全員に送ると、合わない層に定型文を送ることになります。
文面は、開発職と同じく、一行目で候補者の経歴の一点に触れます。インフラ職の場合、触れる一点は「担当した環境の規模」「移行や構築の経験」「使った技術」のどれかです。「〇〇規模の環境をクラウドに移行されたご経歴を拝見しました。当社でも、いま〇〇の移行を設計から進めています」。その後に、自社の構成、これから何をするか、働き方の条件、チームの体制を書きます。
働き方の条件は、スカウトにも書きます。夜間対応の有無を書かずに返信をもらっても、面談で分かって止まります。先に書いて、それでも返信する人に会うほうが、互いの時間を使いません。
見直す順番の四番目:現場の面接の枠が取れているか
応募も返信もあるのに面接に進まない、面接に進んでも辞退される場合、選考の速さを見ます。インフラ職の現場は、運用で手が離せず、面接の日程が出ないことが多い。
見るのは、応募から一次返信までの日数、書類の確認の日数、面接の日程が決まるまでの日数です。インフラの現場が忙しいと、書類の確認と面接の日程で日数が消えます。直し方は、現場の面接の枠を先に固定することです。夜間対応の翌日や、メンテナンスの週を避けて、毎週どこかの枠を面接に空けておく。書類の一次絞りは、運用と構築の分類までを人事か代行が担い、現場は規模と実態の確認だけを見る形にすると、確認の日数が縮みます。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 採る層、構成、これからやること、働き方の条件、体制、委託先との関係を現場が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。一行目の案を出す |
| 出し先 | 予算と契約の判断 | 媒体の選定の提案、運用、数の整理 |
| スカウト | 採る層の確定 | 層に合わせた検索、一行目の個別化、送信、一次対応 |
| 選考の速さ | 現場の面接の枠の確保、技術評価 | 一次返信、日程調整、運用と構築の分類、進捗の管理 |
分け方の要点は、「求人票の六つの中身は現場から出る」ことです。自社のインフラの構成、これからやること、働き方の条件は、外部が知りようがありません。現場が一時間で話し、外部が書く形にします。
エラベルの見解
担当する側から見ると、インフラ職の母集団形成で最も効くのは、求人票の一行目で層を宣言することと、働き方の条件を正直に書くことです。この二つで、応募の総数は減り、合う層の応募は増えます。依頼側から「応募が減った」と言われることがあるので、報告では応募の総数ではなく、構築の経験がある応募の数と、面接に進んだ数を並べて示しています。
エラベルでは、インフラ職の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は求人票の六つの項目を現場と一緒に埋め、一行目で層を決めることに使うようお伝えしています。媒体やスカウトの送信数は、その後です。順番を守ることが、構築の人に届く最短の道です。
まとめ
- インフラ職の母集団の問題は応募が来ないか運用の人ばかり来るか。後者が多く、媒体を増やしても直らない
- 見直す順番は求人票の層と条件→出し先→スカウトの層分け→現場の面接の枠。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には採る層(一行目)・インフラの構成・これからやること・働き方の条件・チームの体制・委託先との関係の六つ
- 働き方の条件(夜間、オンコール、休日)は正直に、具体的に。隠すと面接後に辞退される
- 出し先はSIerや運用会社からの転職層の動機(自社のサービスを設計から持ちたい)に訴求を合わせる
- スカウトは採る層で検索を絞り、一行目で規模・移行・技術の一点に触れ、条件も書く
- 選考は現場の面接の枠を先に固定。運用と構築の分類は外に出せる
よくある質問
応募の総数が減るのが怖いです。層を絞らずに広く募集してはいけませんか
広く募集すると、市場に多い運用の人の応募が増え、構築の人は「運用の会社」と読んで見送ります。応募の総数は増えますが、構築の人の応募は減ります。見るべきは総数ではなく、来てほしい層の応募の数です。層を絞って総数が減っても、来てほしい層の数が増えれば、母集団形成としては成功です。総数が減ることで不安なら、応募者を運用と構築で分類して、構築の数だけを追ってください。
夜間対応が多い会社です。書くと誰も来ない気がします
書かなければ、面接や内定の段階で分かり、そこで辞退されます。書いたうえで、体制(当番制で月に何回か、手当、翌日の勤務の扱い、将来の改善の方針)を具体的に示すと、その条件で働ける人が応募します。夜間対応が多いこと自体は、運用の改善や自動化の余地があるということで、「いまは多いが、自動化で減らしていく。その設計を担ってほしい」と書けば、構築の人には課題として響きます。隠すより、課題として示すほうが、合う人が来ます。
一人目のインフラ担当を採ります。チームが無いことは不利ですか
不利にも有利にもなります。チームが無いことで、相談相手がいない、全部を一人で持つ、という不安を持つ人は見送ります。一方で、「自社のインフラを設計から一人で持てる」「技術選定から任される」ことに魅力を感じる人は応募します。求人票では、一人目であることを隠さず、「一人目として、設計から任せる。委託先との分担はこう。経営との距離はこう」と、一人目ならではの範囲と体制を書きます。一人目の採用は、チームに加わる採用とは訴求が違うので、その違いを求人票の一行目から出します。