採用代行 / 比較・選び方

稟議を通すための資料の作り方

公開 2026-09-07

採用代行の導入を稟議にかけるとき、費用の金額だけを出すと「高いか安いか」の議論になります。判断に必要なのは、何にいくら払い、何が空き、何が早くなるかです。この記事では、資料に書く項目と、数字の作り方を整理します。社内の調整全体は社内の合意形成の進め方にまとめています。

資料に書く六つ

一.現状と課題。採用の状況、どこで詰まっているか、社内で使っている時間。

二.外注する範囲。工程で分解し、社内に残す業務も明記します。

三.費用。月額、初期費用、実費。契約期間の総額まで。

四.効果。空く社内の時間、短縮される期間、質の変化。

五.比較。内製した場合、人材紹介を使った場合、現状のまま続けた場合。

六.リスクと対策。うまくいかなかった場合の判断時期、契約の解約条件。

この六つで、判断の材料は揃います。細かい工程の説明は要りません。

社内の時間を金額にする

効果を示す数字として、最も分かりやすいのがこれです

計算の手順です。

  1. 採用に関わる人を挙げる(採用担当、面接官、意思決定者)
  2. 工程ごとに、週あたりの時間を出す(日程調整、応募対応、書類確認、面接、定例)
  3. 時間あたりの人件費を掛ける
  4. 外注する工程の分を合計する

粗い粒度で構いません。桁が分かれば判断には足ります。

そして、増える時間も引いてください。定例会と、確認事項への回答。代行を入れると、この時間は増えます

差し引きで残った金額が、代行費用と比べる対象になります。

比較の見せ方

三つを並べます。

現状のまま内製(採用担当を雇う)代行
費用社内の時間のみ給与+社会保険料+採用費用+教育委託費+実費
立ち上がり募集から戦力化まで時間がかかる比較的短い
柔軟性業務量が減っても人は残る範囲と稼働を調整できる
蓄積社内に残る社内に残る契約次第
リスク採用が進まない退職すると止まる担当交代、契約終了

この形にすると、費用だけの比較になりません

内製との比較では、採用担当を採ること自体の時間と費用も入れてください。手順は採用担当を雇うのと採用代行はどちらが安いかにまとめています。

そして、「現状のまま」の列を必ず入れてください。何もしない場合に何が起きるかが、判断の起点になります。

エラベルの見解

稟議資料で、「採用が遅れることの損失」を一行入れてみてください。判断が変わることがあります。

その職種の人が一人いないことで、事業がどれだけ遅れるか。売上に直結する職種なら、機会損失として計算できます。直結しない職種でも、業務が回らないことによる影響はあります。

粗い見積もりで構いません。「この職種の採用が三か月遅れると、この事業の立ち上がりが同じだけ遅れる」。この程度で足ります。

そして、この数字を置くと、費用の議論が変わります。代行費用が高いかどうかではなく、遅れを短くする価値があるかどうかの議論になります。

多くの場合、採用が遅れる損失のほうが、代行費用より大きい。それでも代行を入れない判断になるのは、遅れの損失が数字になっていないからです。

さらに、この数字は自社側の判断を速くする動機にもなります。書類の合否を二日早く返すことで、全体が一週間縮まる。その一週間の価値が見えれば、社内の優先順位も変わります

費用対効果の議論では、費用の側だけでなく、効果の側を数字にするほうが説得力があります。

想定される質問への備え

「本当に社内の時間は減りますか」
工程ごとに、いま誰が何時間使っているかを示します。外注する工程を明示すれば、減る部分は具体的になります

「効果が出なかったらどうしますか」
判断の時期と基準を先に示します。一巡が終わった時点で評価し、範囲の見直しか停止を判断する。契約の解約条件も添えます。

「候補者の質は落ちませんか」
合否の判断は自社が持つこと、一次の仕分けは自社が決めた基準に沿うことを示します。

「情報管理は大丈夫ですか」
権限の設計、情報の置き場所、契約の条項。情報システムと法務の確認を経ていることを示します

「他社と比べましたか」
比較の表を添えます。金額だけでなく、範囲と体制もそろえた形で。

「来年も続けますか」
契約期間と更新の判断時期を示します。続ける前提ではなく、判断する前提で書くほうが通りやすいことがあります。

数字の作り方

推測でよい部分と、実績が要る部分を分けます

実績で書くもの

見積もりで書くもの

推測で書くもの

推測の部分は、前提を書いてください。「この前提で計算しています」と明示すれば、数字の妥当性を議論できます。前提を書かないと、数字だけが独り歩きします

分量と構成

一枚か二枚に収める。判断する人は、細かい説明を読みません。

結論を先に書く。何を、いくらで、いつから、どのくらいの期間。

数字は表にする。文章で書くと読まれません。

詳細は別紙にする。契約の条項、見積もりの内訳、比較の詳細。聞かれたときに出せる形にしておきます

判断してほしいことを明記する。承認を求めるのか、方向性の確認なのか。

エラベルの見解

稟議資料に、「やめるときの条件」を書いておくことをおすすめします。通りやすくなります。

続ける前提だけで書かれた資料は、判断する側から見ると引き返せない提案に見えます。一度承認したら、ずっと費用が出続けるように感じられる

一方、判断の時期と基準が書かれていれば、区切りのある提案になります。「一巡が終わった時点で評価し、効果が出ていなければ範囲を絞るか停止します」。この一文があるだけで、承認のハードルは下がります。

そして、この一文は自社にとっても効きます。判断の時期を最初に決めておくと、更新の時期に迷いません

さらに、契約の条件も確認する動機になります。中途解約の扱い、最低契約期間、予告期限。やめるときの条件を書くには、契約を読む必要があります

引き返せる提案のほうが、通りやすく、運用も健全になります。判断の材料は継続・停止をどう判断するかにまとめています。

まとめ

よくある質問

社内の時間を正確に測れません

粗い粒度で構いません。工程ごとに週あたりの時間を関係者に聞き、時間あたり人件費を掛けるだけで足ります。桁が分かれば判断には使えます。正確さを求めて時間をかけるより、大まかな数字を早く出すほうが実務的です。

効果を数字で示せません

社内の時間の削減が最も示しやすい効果です。あわせて、選考の期間が短くなること、辞退が減ることも挙げられます。数字にしにくい効果(対応の標準化、属人化の解消)は、定性的に書いて構いません。数字と定性の両方を並べてください。

稟議が通らない場合はどうしますか

範囲を絞って、金額を下げた案を出す方法があります。効果の見えやすい工程(日程調整、応募者対応)に絞れば、費用も抑えられ、効果も測りやすくなります。小さく始めて実績を作ってから、範囲を広げる稟議を出す形も現実的です。