採用代行 / 比較・選び方
ATSの選び方
採用管理システムをどう選ぶか。採用の情報が集まる場所なので、他のツールより慎重に選ぶ価値があります。一度導入すると、移行には手間がかかる。そして、代行を使う場合は権限の設計にも関わります。この記事では、見るべき機能と、導入の判断基準を整理します。代行側の対応可否の確認は自社ATSに対応できるかの確認にまとめています。
そもそも必要か
導入が向く状態
- 応募者の情報が複数の場所に散らばっている(媒体、メール、表計算)
- 選考の状況が把握できない
- 集計に時間がかかる
- 複数の職種、複数の媒体を使っている
- 代行や外部の担当者にアクセス権を渡したい
急がなくてよい状態
- 応募が少なく、表計算で管理できている
- 職種が一つで、媒体も一つ
- 選考に関わる人が少ない
五番目が、代行を使う場合の理由になります。情報を自社に集約し、権限で渡す形にすると、契約終了時の負担が下がります。
見るべき機能
応募者の管理。情報の登録、検索、重複の判定。重複の判定は、複数の媒体を使う場合に効きます。
選考フローの設定。自社の段階数と合うか。ツールの既定のフローに合わせると、実態とずれることがあります。
権限の設定。閲覧のみ、一部の編集、管理者。段階が選べるか。
媒体との連携。応募情報の自動取り込み。対応している媒体を確認します。
候補者への連絡。メールの送信、テンプレート、履歴の記録。
レポート。工程ごとの数字、経路別の実績、所要日数。
データの書き出し。形式と範囲。選考の履歴や評価まで持ち出せるか。
この七つのうち、二番目と三番目と七番目を優先して確認してください。
選考フローの確認
自社のフローが再現できるかを確認します。
- 段階の数(書類、一次、二次、最終、内定)
- 職種ごとに違うフローを設定できるか
- 段階の追加や変更ができるか
- 保留や再開の扱い
- 辞退や不採用の記録の仕方
三番目が重要です。運用を始めてからフローを変えたくなることがあります。変更できないと、実態とずれたまま使うことになります。
そして、既定のフローをそのまま使わないでください。自社の運用に合わせて設定します。運用が決まっていないなら、先に決めてからツールを選びます。
エラベルの見解
採用管理システムを選ぶときに、「代行や外部の人に渡す前提」で権限を見てください。ここが後で効きます。
いま代行を使っていなくても、将来使う可能性はあります。あるいは、副業人材やスポットの依頼。外部の人に情報を渡す場面は、採用では起こり得ます。
そのときに、権限が細かく設定できないと困ります。全部見えるか、何も見えないかの二択だと、渡す判断がしにくい。
確認するのは三つです。
一つめ、閲覧と編集を分けられるか。見るだけの権限を渡せるか。
二つめ、項目ごとに制限できるか。評価のコメントは見せない、といった設定ができるか。
三つめ、個別のアカウントを発行できるか。共有のIDだと、誰が操作したかが追えません。
この三つができると、外部に渡す設計が作れます。できないと、渡すかどうかの二択になります。
そして、この確認は導入の前でないとできません。使い始めてから権限が足りないと分かっても、移行は大変です。
将来の使い方まで含めて選ぶ。ツールの選定では、この視点が効きます。
費用の見方
費用の体系を確認する。利用者数、応募数、機能の範囲。どの要素で変わるか。
規模が変わったときを試算する。応募が増えたとき、職種が増えたとき、代行のアカウントを追加したとき。
代行のアカウント分の費用。利用者数で費用が決まる形だと、外部の担当者を追加するたびに増えます。
導入の費用。初期設定、既存データの移行。
この四つのうち、三番目を確認しておいてください。代行が複数人体制の場合、その分のアカウントが要ります。
移行の注意点
既存のデータを移せるか。応募者の情報、選考の履歴。形式と、移せる範囲を確認します。
移行の作業を誰がやるか。自社か、ツールの提供元か、代行か。
並行期間をどうするか。旧環境と新環境が同時に動く期間。混乱しやすい時期です。
進行中の候補者の扱い。選考の途中の人を、どちらで管理するか。
そして、移行は採用が落ち着いている時期に行ってください。選考が集中している時期に移行すると、対応が滞ります。
導入後の運用
入力のルールを決める。誰が、いつ、何を記録するか。決めないと、記録の粒度がばらつきます。
ステータスの定義を文書にする。どのタイミングで動かすか。同じシステムでも、会社によって使い方は違います。
権限の一覧を管理する。誰に、どの権限を、いつ渡したか。四半期に一度、棚卸しします。
記録の粒度を保つ。不採用の理由、辞退の理由。記録がないと、後から分析できません。
四番目が最も抜けやすい。忙しいと、ステータスだけを動かして理由を書かなくなります。理由の記録が、要件の見直しの材料になります。
代行を使う場合
代行がそのシステムを使えるか。導入の前に確認します。
権限の設計を先に決める。任せる業務から逆算して、必要な権限を割り当てます。
自社の運用ルールを渡す。ステータスの定義、入力の項目。システムの経験より、自社のルールが伝わっているかのほうが影響します。
アカウントの発行手順を決める。代行側でメンバーが増えるときの手続き。自社が発行する形にすると、把握できます。
そして、ユーザーの追加と削除の権限は自社が持ってください。渡すと、誰がアクセスできる状態にあるかを把握できなくなります。
エラベルの見解
採用管理システムを導入すると、「記録が残る」ことの価値が後から効いてきます。
導入の目的は、たいてい業務の効率化です。情報を集約し、状況を把握し、集計を楽にする。ここまでは導入直後から効果が出ます。
ところが、数年使うと別の価値が出てきます。過去の判断の記録が資産になる。
どういう候補者を通し、どういう候補者を落としたか。どの経路から入社した人が定着しているか。要件をどう変えてきたか。これらが記録されていると、要件の見直しにも、新しい担当者の育成にも使えます。
そして、代行会社を替えるときにも効きます。新しい依頼先に、過去の実績を具体的に渡せる。
だから、記録の粒度を保つ運用を作ってください。ステータスを動かすだけでなく、理由を書く。不採用の理由、辞退の理由、判断が分かれた点。
一件あたりは数行で足ります。それが数年たまると、他では得られない材料になります。
システムの価値は、効率化だけではありません。記録が残ることそのものが価値です。
まとめ
- 導入が向くのは、情報が散らばっている・状況が見えない・集計に時間がかかる・外部に権限を渡したい
- 見るのは、応募者管理・選考フロー・権限・媒体連携・連絡・レポート・書き出し
- 選考フローは、変更できるかを確認する。既定のまま使わない
- 権限は、閲覧と編集を分けられるか・項目ごとの制限・個別アカウント
- 「代行や外部に渡す前提」で権限を見る。将来の使い方まで含めて選ぶ
- 移行は、データ・作業の担当・並行期間・進行中の候補者。落ち着いた時期に行う
- 導入後は、入力のルールとステータスの定義を文書にする
- 記録の粒度を保つ。数年たまると資産になる
よくある質問
表計算での管理では足りませんか
応募が少なく、関わる人も少ないなら足ります。ただし、複数の媒体を使う、代行に権限を渡す、選考の履歴を残す。こうした場面では限界が出ます。困っていることが具体的にあるなら、導入を検討してください。
導入にどのくらいかかりますか
設定と運用ルールの作成、既存データの移行、担当者の習熟。この三つの合計です。運用ルールが決まっていれば短く、これから決めるなら時間がかかります。導入の前に運用を決めておくと、設定も速く済みます。
代行会社のシステムを使うのではだめですか
立ち上げは速くなりますが、契約が終わったときにデータの返還と削除の作業が発生します。継続的に採用するなら、自社で持つほうが後が楽です。単発の依頼なら、借りる形で足ります。判断は、採用の継続性で決めてください。