採用代行 / 比較・選び方
使用ツールを指定できるか
採用代行に依頼するとき、使うツールを自社が指定できるか。多くの場合は指定できますが、習熟の時間と費用の扱いを決めておく必要があります。そして、代行会社のツールを使う形にすると、情報がそちらに溜まります。この記事では、指定の可否と、それぞれの場合に決めておくことを整理します。
ツールは四種類に分かれる
一.採用管理システム。候補者の情報、選考の履歴、評価。最も重要な置き場所です。
二.媒体の管理画面。応募者の情報、スカウトの送信履歴。
三.連絡の手段。チャット、メール、日程調整のツール。
四.作業の共有。ドライブ、表計算、文書の共有。
このうち、一番目と二番目は自社のものを使う形が基本になります。情報が自社に残り、契約終了時も権限の削除で済みます。設計は情報漏えいを防ぐ設計にまとめています。
三番目と四番目は、どちらのものを使うかで運用が変わります。自社のチャットに入ってもらうか、代行会社のツールでやりとりするか。
自社のツールを使ってもらう場合
確認すること
- そのツールの使用経験があるか
- 経験がない場合、習熟にどのくらいかかるか
- 習熟の時間をどちらが負担するか
- 権限の設計(どの機能まで渡すか)
- 代行側のメンバーが増えたときのアカウントの追加手順
- 自社のツールに代行会社の環境から接続することに制約はないか
三番目が実務では論点になります。経験のないツールだと、慣れるまでの時間が発生します。この時間を稼働として計上するかどうかを決めておきます。
一般的には、汎用的なツールの習熟は受託者側が担う整理になりやすい。ただし、自社独自の運用ルールや、特殊な設定の理解は別です。この線を締結時に決めておきます。
代行会社のツールを使う場合
代行会社が独自の管理ツールを持っていることがあります。
利点
- 立ち上げが速い(既に運用されている)
- 代行側の作業効率が高い
- 追加の費用がかからないことがある
論点
- 情報が代行会社の環境に溜まる
- 契約終了時に返還と削除の作業が発生する
- 書き出せる形式が限られることがある
- 自社が状況を見られないことがある
四番目が実務では効きます。代行のツールで運用が完結すると、自社は報告を通してしか状況を知れません。同じ画面を見られる状態のほうが、判断は速くなります。
だから、代行会社のツールを使う場合でも、自社がアクセスできるかを確認してください。閲覧だけでも、見えるかどうかで運用が変わります。
エラベルの見解
ツールの選択で判断の基準を一つ挙げるなら、「契約が終わったときに何が残るか」です。
自社のツールを使う形なら、契約終了時にやることは権限の削除だけです。候補者の情報も、選考の履歴も、最初から自社にあります。返還も削除も発生しません。
代行会社のツールを使う形だと、終了時に書き出しと削除の作業が発生します。しかも、本当に消えたかを技術的に検証するのは難しい。報告を受け取ることはできますが、それ以上は現実には困難です。
だから、候補者の情報だけは自社の環境に置くという線を引いてください。他のツールは代行側のものでも構いませんが、ここだけは動かさない。
そして、この設計をしておくと、代行会社を替えるときも内製に戻すときも軽くなります。一つの設計が、複数の場面で効きます。
もし自社に採用管理システムがない場合は、この機会に導入を検討する価値があります。継続的に採用するなら、情報が自社に残る形のほうが後が楽になります。
連絡の手段をどうするか
自社のチャットに入ってもらう場合
- 参加するチャンネルの範囲を決める
- 作業の手順を直接指示する形にならないよう保つ
- 退任時のアカウント削除の手順を決める
- 社内の会話が見える範囲を意識する
代行会社の環境でやりとりする場合
- 記録が自社に残らない
- 急ぎの連絡が届きにくいことがある
- 自社のメンバーが参加しにくい
メールで完結させる場合
- 記録は残るが、やりとりは遅くなる
- 検索性は高い
どれを選ぶかは、即時性の要求と管理のしやすさで決まります。設計は採用代行とのコミュニケーション設計にまとめています。
日程調整のツール
日程調整は量のある業務なので、ツールの選択が効率に影響します。
自社のツールを使う。候補者から見た体験が統一されます。
代行会社のツールを使う。代行側の効率は上がりますが、候補者に届く画面が自社のものと違います。
候補者から見た体裁を優先するなら、自社のツールか、少なくとも自社の名前で表示される形にします。
そして、調整の記録がどこに残るかを確認してください。代行のツールにしか残らないと、契約終了時に経緯が追えなくなります。
費用の扱い
自社のツールの利用料。代行のメンバー分のアカウントが必要な場合、その費用は自社負担になることが一般的です。
代行会社のツールの費用。月額に含まれるか、別途か。確認しておきます。
習熟の時間。経験のないツールの場合、慣れるまでの時間を稼働として計上するか。
移行の作業。既存のデータを新しいツールに移す場合、その作業を誰が担うか。
四番目は、ツールを変えるタイミングで発生します。契約と同時にツールも変える場合、移行の工数を見込んでおいてください。
エラベルの見解
ツールを指定するときに、「使えます」という答えの粒度を確認してください。
汎用的なツールなら、多くの会社が「使えます」と答えます。ただ、使ったことがあるのと、そのツールで採用の運用を回したことがあるのは違います。
基本的な操作はできても、効率的な使い方や、細かい設定の勘所は経験がないと分かりません。結果として、同じ業務でも時間がかかります。
だから、聞き方を変えてみてください。「そのツールで、採用の運用を担当された経験はありますか」「どんな使い方をされていましたか」。具体的な話が出るなら、実際に使っています。
そして、経験がない場合でも問題にはなりません。習熟の時間を織り込んで、その分をどちらが持つかを決めればよいだけです。
問題になるのは、経験がないことが分からないまま契約することです。立ち上げが遅れ、その理由も見えない。この状態を避けるために、聞いておく価値があります。
まとめ
- ツールは採用管理システム・媒体・連絡手段・作業の共有の四種類
- 候補者の情報が入る一番目と二番目は、自社のものを使う形が基本
- 自社のツールを使うなら、使用経験・習熟の時間と負担・権限の設計を確認する
- 代行会社のツールを使う場合、情報が溜まる・終了時の作業・自社が見られるかが論点
- 判断の基準は「契約が終わったときに何が残るか」
- 候補者の情報だけは自社の環境に置く、という線を引く
- 費用は、アカウント・ツールの利用料・習熟の時間・移行の作業を確認する
- 「使えます」の粒度を確認する。そのツールで運用した経験があるか
よくある質問
自社にATSがない場合はどうしますか
代行会社の環境を借りる形、共有の表計算で管理する形、この機会に導入する形があります。継続的に採用するなら導入が向きますが、単発なら借りる形で足ります。判断の材料は渡すATSの権限範囲にまとめています。
代行会社が特定のツールしか使えないと言われました
そのツールに情報が溜まる前提になるため、書き出せる形式と手順を契約時に確認してください。あわせて、自社もアクセスできるかを聞いておきます。閲覧だけでも、状況が見える状態は保てます。
ツールの習熟に費用がかかると言われました
汎用的なツールなら、受託者側が担う整理になることが多い形です。ただし、自社独自の設定や運用ルールの理解は別です。どこまでを自社が持つかを締結時に決めておいてください。決めていないと、立ち上げ期の請求で認識がずれます。