採用代行 / データサイエンティスト

データサイエンティストの採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準

公開 2026-09-16

データサイエンティストの求人票の必須要件には、「統計の知識」「機械学習の実務経験」「データ基盤の構築経験」「修士以上」「特定の言語と可視化ツール」「事業への貢献の実績」「経験三年以上」が並びがちです。全部を満たす人は市場にほとんどおらず、いても複数の会社から声がかかっています。結論を先に書くと、データサイエンティストの採用要件は、先に分析・モデル・基盤のどの役割を採るかを決め、必須を「入社初日に自社の問いとデータで業務が成り立つか」で三つ以内に絞り、学位と経験年数は必須にせず、経験の中身(扱ったデータの種類、解いた問い、実運用に乗ったか)で書くと、母集団が生まれ、面接で見る点も定まります。役割を決めずに要件を積むと、三つの役割の要件が混ざり、誰にも当てはまらなくなります。開発エンジニアの要件はエンジニアの採用要件の作り方に、代行に出す工程の線はデータサイエンティスト採用を代行に出す判断基準にまとめています。

データ職で要件が膨らむ理由

他の職種と共通する理由(現場の希望を全部書く、前任者を基準にする、失敗を避けたい)に加えて、データ職に特有の理由があります。

一つ目は、三つの役割を一人で求めることです。分析で意思決定を支え、モデルを作ってプロダクトに組み込み、データ基盤も整える。三つは別の職種に近く、全部を深く経験した人は少ない。一人目の採用で三つを求めると、誰もいません。

二つ目は、学位を必須にすることです。修士以上、博士。研究の経験は、モデル寄りの役割では活きますが、分析寄りや基盤寄りでは、学位より事業の課題を扱った経験のほうが効きます。学位を必須にすると、事業会社で分析をしてきた人を弾きます。

三つ目は、手法とツールを並べることです。統計の手法、機械学習の手法、言語、可視化ツール、基盤の技術。並べるほど、全部を使った人を探すことになります。手法とツールは、自社の問いとデータに必要なものだけが要り、他は入社後に覚えられます。

四つ目は、「事業への貢献の実績」を求めることです。分析の結果が事業の数字にどう結びついたかは、本人の力量だけでなく、前職の会社が結果を使う体制を持っていたかで決まります。実績を必須にすると、体制の無い会社にいた優秀な人を弾きます。

五つ目は、年数です。データ職は比較的新しく、年数で測ると母数が減り、年数と分析力は一致しません。

必須と歓迎を分ける基準

基準は「入社初日に、自社の問いとデータで業務が成り立つか」です。データ職では「自社の問いとデータで」を添えます。自社の問いが分析寄りなら、モデルの実運用の経験は初日には要りません。自社のデータが整っていないなら、整える経験が要ります。

項目の例必須になる場合歓迎になる場合
役割(分析・モデル・基盤)採る役割の経験は必須他の二つは歓迎
扱ったデータの種類自社のデータと近い種類(顧客の行動、購買、テキスト、画像など)を扱った経験が、初日から効く種類が違っても、手法が共通なら移行できる
事業の課題から問いを立てた経験分析寄りで、本人が問いを作る役割問いが用意されている役割なら歓迎
モデルを実運用に組み込んだ経験モデル寄りで、プロダクトに組み込む役割分析寄りなら歓迎
データ基盤の構築基盤寄り、または基盤が無く整えるところから基盤が整っている、または別の担当が持つ
経営や現場と協働した経験分析寄りで、結果を経営や現場に届ける役割モデル寄りや基盤寄りなら歓迎
統計の知識分析寄りで、統計的な判断を初日から求める基盤寄りなら歓迎
特定の言語・ツール必須にしない。同種のものの経験を歓迎に
学位必須にしない。研究の経験はモデル寄りで歓迎に
事業への貢献の実績必須にしない。「結果が使われた経験」として歓迎に
経験年数必須にしない

基準の要点は、「学位・ツール・実績・年数を必須にしない」ことです。この四つは書きやすいので必須に入りがちですが、どれも「初日に自社の問いとデータで業務が成り立つか」とは直接関係しません。

エラベルの見解

相談で多いのは、「修士以上で、機械学習の実務があって、基盤も分かって、事業に貢献した実績がある人」というご要望です。この要件で市場を見ると、数える程度で、その人たちは既に条件の良い会社にいます。要件を一つずつ「初日に自社の問いとデータで成り立つか」で問うと、学位は要らず、基盤は別に持て、実績は前職の体制の問題で、残るのは「自社のデータと近い種類を扱った経験」と「自社の問いに近い問いを解いた経験」の二つくらいです。

見ていて差がつくのは、「自社の最初の問いから、必須を逆算しているか」です。「解約の予兆を見つけたい」なら、顧客の行動データを扱った経験と、予兆や予測の問いを解いた経験が必須で、それ以外は歓迎。問いから逆算すると、必須は自然に二〜三つになります。問いが無い状態で要件を議論すると、データ職の概念に含まれる全部が並びます。エラベルでは、データ職の要件を整理するとき、依頼側に最初の問いを先に決めていただき、そこから必須を逆算しています。

必須を三つに絞る手順

データ職向けに、絞る手順を番号付きで整理します。

  1. 役割を決める。 分析・モデル・基盤のどれか。一人目なら、最も困っていることに近い役割。
  2. 最初の問いを決める。 「何を知りたいか」を一つ。データサイエンティスト採用を代行に出す判断基準で扱った問い。
  3. 問いに使うデータの種類と状態を書き出す。 顧客の行動か、購買か、テキストか。整っているか、整えるところからか。
  4. 現場(結果を使う事業責任者、分析の分かる人がいればその人)の希望を全部書き出す。 ここでは絞らない。
  5. 一つずつ、「初日に自社の問いとデータで業務が成り立つか」を問う。 成り立たないものだけ残す。
  6. 残ったものが三つを超えたら、「入社後に自社で覚えられるか」「別の担当や外部が持てるか」を問う。 ツール、言語、基盤の一部、他の役割は歓迎へ。
  7. 学位・ツール・実績・年数を、経験の中身に書き換える。 「修士以上」ではなく「〇〇の種類のデータで〇〇の問いを解いた経験」。「実績」ではなく「分析の結果が判断に使われた経験」。
  8. 歓迎に回したものを、優先順位を付けて三〜五つ書く。 面接で見る点になる。
  9. 事業責任者・分析の分かる人(外部でも)・人事・経営で確認する。 「この三つがあれば、他は入社後に補える」と言えるか。

手順の要点は、「二と三を先にやる」ことです。問いとデータが決まれば、必須はそこから逆算でき、役割も自然に定まります。

経歴で確かめられる要件と、面接でしか分からない要件

データ職では、経歴の手法の名前が実態を表さないことが多く、確かめ方の区別がとくに重要です。

確かめる方法要件の例見方
経歴で確かめられる扱ったデータの種類、解いた問いの種類、モデルが実運用に乗ったか、基盤の構築の有無、結果が判断に使われたか書類の一次絞りで。手法の名前ではなく、「何のデータで、何の問いで、結果はどうなったか」の記述があるかを見る
経歴では分からない問いの立て方、データの限界への向き合い方、結果を非専門家に伝える力、分からないときにどうするか面接で、分析の分かる人と結果を使う人が聞く。自社の最初の問いを題材にする
経歴でも面接でも分かりにくい実際の分析の質、コードの質過去の成果物(公開されているもの)や、自社の問いを題材にした短い課題で見る

分け方の要点は、「面接で、自社の最初の問いを題材に、候補者の取り組み方を見る」ことです。問いへの取り組み方(何を確かめるか、どんなデータが要るか、どう伝えるか)は、分析の分かる人がいなくても、結果を使う人が判断できる部分があります。構造化面接も参考になります。

転向層を母集団に入れる要件の書き方

データ職の経験者は少なく、転向層を母集団に入れる要件の書き方が、採用の現実性を決めます。

転向元持っているもの要件の書き方
事業側の分析担当(経営企画、マーケティングなど)事業の課題から問いを立てる力、結果を経営や現場に伝える力「事業の課題をデータで分析し、結果が判断に使われた経験」。高度な手法は歓迎に。分析寄りに向く
研究者(大学院、研究機関)手法の深さ、モデルの構築力「〇〇の種類のデータで〇〇の手法を使った研究・実務の経験」。事業の経験は歓迎に。モデル寄りに向く
ソフトウェアエンジニアコードの力、基盤の構築力、実運用への組み込みの理解「データパイプラインや分析基盤の構築の経験」。分析の手法は歓迎に。基盤寄り、またはモデルの組み込みに向く
データサイエンティストの経験者役割によって上のどれか上の三つの書き方で、経験者も当然に入る

書き方の要点は、「役割ごとに、合う転向元が違う」ことです。分析寄りなら事業側からの転向、モデル寄りなら研究者、基盤寄りならエンジニア。役割を決めれば、どの転向元を母集団に入れるかが決まり、要件の書き方も定まります。

要件が決まらないときの原因

原因起きていること直し方
役割が決まっていない「データを活用できる人」分析・モデル・基盤のどれかを決める
最初の問いが無い「売上を伸ばしたい」で止まっている問いを一つ作る。経営と事業責任者で
データの状態を把握していないどこに何があるか分からない社内で棚卸し。整っていないなら基盤寄りを先に
三つの役割を一人で求めている「分析もモデルも基盤も」一人目は一つの役割。他は次の採用か外部
学位や実績を基準にしている「修士以上」「貢献の実績」経験の中身に書き換える
手法とツールを並べている「統計、機械学習、〇〇言語、〇〇ツール」問いとデータに必要なものだけ。他は歓迎
分析の分かる人が要件の議論にいない人事と経営だけで決めている外部の分析の分かる人を要件の整理に入れる

原因の要点は、「最初の問いが無い」ことが最も多い点です。問いがあれば、役割もデータも必須も決まります。問いが無い状態で要件を議論すると、概念の全部が並びます。

代行に出せる工程

工程社内で持つ代行に出せる
役割の決定判断「三つのどれか」を問う進行
最初の問いの決定経営と事業責任者が決める問いを作る打ち合わせの進行
データの状態の棚卸し社内が出す一覧にする
必須と歓迎の分離「初日に成り立つか」の判断は社内問いを立て、一つずつ確認する進行
学位・ツール・実績・年数の書き換え中身は社内が出す経験の中身の言葉に直す
転向層を入れる要件の設計判断役割に合う転向元からの書き方の提案
市場の実態の確認判断その要件での人数を示す
求人票への反映確認書く
書類の一次絞り分析力の妥当性役割の分類。「何のデータで、何の問いで、結果はどうなったか」の記述の有無
面接で見る点の整理面接官が使う歓迎の要件と、最初の問いを題材にした質問の案

分け方の要点は、「最初の問いは、経営と事業責任者が決める」ことです。代行は問いを作る打ち合わせを進行できますが、問いそのものは社内の課題からしか出ません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、データ職の要件で最も時間がかかるのは、依頼側の最初の問いを引き出すことです。「データを活用したい」から「解約の予兆を見つけたい」まで具体化するには、経営と事業責任者が「いま勘で決めていること」を書き出す時間が要ります。この時間を取らずに要件を議論すると、「修士以上で機械学習も基盤も」という要件になり、誰もいません。

エラベルでは、データ職の案件で要件が整理されていない場合、担当者の最初の仕事を「問いを作る打ち合わせの進行」にすることをお勧めしています。募集が始まるのは数週間遅れますが、問いから逆算した要件で募集を始めると、母集団が生まれ、面接で問いを題材にした評価ができます。飛ばして「データを活用できる人」を待つと、数か月が過ぎます。

まとめ

よくある質問

修士や博士を必須にしないと、手法の深さが担保されませんか

学位は、研究の経験の目安にはなりますが、自社の問いとデータで業務が成り立つかとは直接関係しません。モデル寄りで、新しい手法の研究が必要な役割なら、研究の経験を歓迎に置き、「〇〇の手法を使った研究・実務の経験」と経験の中身で書きます。分析寄りや基盤寄りなら、学位より、事業の課題を扱った経験や基盤の構築の経験のほうが効きます。学位を必須にすると、事業会社で分析をしてきた人や、エンジニアから転向した人を弾き、母集団が狭まります。手法の深さは、面接で自社の問いを題材に、分析の分かる人が確かめます。

「事業への貢献の実績」を必須にしないと、分析だけで終わる人を採ってしまいませんか

実績は、本人の力量だけでなく、前職の会社が結果を使う体制を持っていたかで決まります。体制の無い会社にいた優秀な人は、実績が無く、体制のある会社にいた人は、周りのおかげで実績があることもあります。実績を必須にすると、前者を弾きます。「分析の結果が判断に使われた経験」を歓迎に置き、面接で「結果をどう伝え、どう使われたか」を聞けば、事業に結びつける姿勢は分かります。分析だけで終わるかどうかは、本人の姿勢と、自社が結果を使う体制を持っているかの両方で決まり、後者は自社の側の問題です。

自社の分析環境と言語を必須にしてよいですか

歓迎にとどめます。言語も環境も、同種のものを使った経験があれば、数か月で移行できます。必須にすると、別の言語や環境で同じ分析をしてきた人を弾きます。「同種の分析環境での経験」「いずれかの分析用の言語での経験」のように、種類で書き、自社の環境は「使用しているのは〇〇」と情報として求人票に書きます。候補者は、自分の経験で移行できるかを判断できます。データ職の市場は狭く、言語や環境で絞ると、さらに狭くなります。