採用代行 / データサイエンティスト
データサイエンティスト向けスカウト文面の型|刺さる訴求と外す訴求
データサイエンティストにスカウトを送っても返信が来ない会社の文面には、共通点があります。「データ活用を推進する仲間を募集」「データドリブンな組織へ」といった言葉が並び、どんなデータがあり、何を分析してほしいのか、結果を誰が使うのかが書かれていない。データ職の候補者はこれを読んで、「データも問いも無い会社」と判断し、閉じます。結論を先に書くと、データサイエンティストへのスカウトは、役割(分析・モデル・基盤)で対象を分け、一行目で候補者の扱ったデータや解いた問いの一点に触れ、自社の役割・データの状態・最初の問い・結果を使う体制を先に書き、会社の紹介は後ろに回す型にすると、返信が変わります。母集団形成の全体はデータサイエンティストの母集団形成に、開発エンジニア向けの文面はエンジニア向けスカウト文面の型にまとめています。
データサイエンティストがスカウトを読まない理由
開発職と共通する理由(定型文は読まれない)に加えて、データ職に特有の理由があります。
一つ目は、「データ活用」という言葉が信用されていないことです。データ活用を掲げる会社は多く、実際にデータと問いがある会社は少ない。データ職の候補者は、「データ活用」の文字を見ても、実態を疑います。どんなデータが、どこに、どんな形であるかが書かれていないと、読まれません。
二つ目は、問いの有無を最初に確かめることです。データ職の候補者は、「何を分析するのか」が決まっていない会社を避けます。問いが無い会社では、本人が問いを探すところから始まり、成果が出ず、評価もされません。文面に最初の問いが無いと、「問いが無い会社」と読まれます。
三つ目は、結果が使われるかを見ることです。分析の結果を見て判断を変える人がいない会社では、分析は使われず、本人の仕事が意味を持ちません。結果を使う体制が書かれていないと、「分析が使われない会社」と読まれます。
四つ目は、役割の違いです。分析寄り、モデル寄り、基盤寄りで、求めるものが違います。同じ文面で三つに送ると、どれにも刺さりません。
この四つから、文面の型が決まります。データの状態、問い、結果を使う体制、役割。
先に決めるのは対象:役割で分ける
文面の前に、誰に送るかを決めます。データ職では、「分析・モデル・基盤のどれか」の決定が対象の絞り込みの中心です。
分析寄りなら、「事業の課題から問いを立てた経験」「経営や現場と協働して分析を意思決定に使った経験」で絞ります。モデル寄りなら、「モデルを構築して実運用に組み込んだ経験」「精度を改善した経験」で絞ります。基盤寄りなら、「データパイプラインの構築」「データの整備」の経験で絞ります。「データサイエンティスト」の肩書だけで検索すると、三つが混ざり、一行目で触れる一点が選べません。
対象の中で、さらに「扱ったデータの種類」で絞ります。自社のデータ(顧客の行動、購買、センサー、テキストなど)と近い種類のデータを扱った人。データの種類が近いと、一行目で「同じ種類のデータで」と触れられ、候補者は自分の経験が活きると分かります。
対象を決めると送信数は減りますが、減った分は返信が来ない人です。スカウトの対象の絞り方も参考になります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「データサイエンティストに月に数十通送っているが、返信がゼロに近い」というご相談です。文面を見ると、一行目が「データドリブンな組織を目指しています」で、業務内容が「データ分析・機械学習による事業成長」、データの種類も問いも無い。データ職の候補者から見ると、疑う材料しかありません。言葉は立派で、中身が無い。
見ていて差がつくのは、「一行目で候補者のデータと問いに触れ、二行目で自社の問いを言えるか」です。「〇〇のデータで〇〇の予兆を見つけられたご経歴を拝見しました。当社では、いま〇〇のデータを使って、〇〇の解約の予兆を見つける問いに取り組み始めています」。この二行で、候補者は「データと問いがある会社」と判断します。エラベルでは、データ職の担当者に、文面の中心を「自社の最初の問い」にするよう最初にお願いしています。問いが書けない会社は、スカウトの前に問いを作ります。
文面の型:一行目は候補者のデータと問い、二行目は自社の問い
| 順 | 中身 | 書き方 |
|---|---|---|
| 一 候補者の経歴の一点 | 扱ったデータの種類、解いた問い、作ったモデルの用途のどれか一つ | 「〇〇のデータで〇〇を予測されたご経歴を拝見しました」 |
| 二 自社の最初の問い | 入社後に最初に取り組んでほしい問い。具体的に | 「当社では、〇〇のデータで〇〇の予兆を見つける問いに取り組み始めています」 |
| 三 役割 | 分析・モデル・基盤のどれか。一文で | 「事業の課題から問いを立て、経営と現場に結果を届ける役割」 |
| 四 データの状態 | どんなデータが、どこに、どんな形で。整っていないなら正直に | 「〇〇のデータが〇〇に蓄積されています。整備はこれからの部分もあります」 |
| 五 結果を使う体制 | 誰が結果を見て、どう判断に使うか | 「結果は月に一度の経営会議と、顧客対応の現場で使います」 |
| 六 環境 | 分析の環境、言語、ツール、基盤 | 具体的に |
| 七 チームの体制 | 一人目か、チームに加わるか。分析の分かる上司がいるか | 一人目なら、一人目ならではの範囲 |
| 八 会社の紹介 | 事業と規模を短く | 三行以内 |
| 九 次の一歩 | 分析の分かる人と結果を使う人が出る短い面談 | 「事業責任者と一緒に、問いの話をさせてください」 |
型の要点は、「二で自社の問いを、会社の紹介より前に書く」ことです。データ職の候補者は、会社の事業より、問いとデータで判断します。
刺さる訴求と、外す訴求
| 刺さる訴求 | 外す訴求 |
|---|---|
| 最初の問いの具体的な中身 | 「データ活用を推進」「データドリブン」。中身が無い |
| データの種類、量、蓄積の状態(正直に) | 「豊富なデータ」。種類も状態も無い |
| 結果を使う人と場(経営会議、現場) | 「経営に近いポジション」。使われるかが無い |
| 一人目なら、問いとデータの活用の仕組みを設計する裁量 | 「裁量があります」だけ |
| 分析の環境と、基盤の状態(整っていないなら整えるところから) | 「最新の分析環境」。具体が無い |
| 事業の課題と、データで変えたい判断 | 「事業成長に貢献」。何をかが無い |
| 分析の分かる上司や同僚がいる(いるなら)、いないなら外部の相談相手がいる | 「優秀なメンバー」 |
| モデル寄りなら、実運用に組み込む先と、精度が事業に与える影響 | 「AIで革新」 |
| 研究の経験を活かせる具体的な領域(モデル寄り) | 「研究者歓迎」だけ |
訴求の要点は、「データ職の候補者は、言葉の立派さと中身の無さの落差に敏感」だという点です。「データドリブン」「AIで革新」といった言葉は、中身が無いことの合図として読まれます。問いとデータの状態を具体的に、正直に書くほうが、信用されます。
送った後の運用
返信が来たあとの運用で、データ職に特有の注意を整理します。
一つ目は、面談に分析の分かる人と結果を使う人が出ることです。データ職の候補者は、面談で「話が通じるか」「結果が使われるか」を確かめます。人事だけの面談では、どちらも確かめられず、見送ります。
二つ目は、面談で最初の問いを一緒に考えることです。「この問いに、どう取り組みますか」と候補者に聞き、候補者の考え方を見る。候補者は、問いの具体さで会社の本気度を測り、会社は候補者の取り組み方で分析力を見る。互いに確かめられる面談になります。
三つ目は、データの状態を隠さないことです。整っていない部分を面談で正直に話し、「だから、整えるところから」と伝える。隠して入社してもらっても、すぐに分かります。
四つ目は、返信の速さと記録です。他の職種と同じく、返信にはその日か翌日、送った記録は依頼側の環境に。スカウトの重複防止も参考になります。
代行に出せる範囲
| 工程 | 代行に出せる | 社内で持つ |
|---|---|---|
| 対象の決定 | 役割とデータの種類で絞る検索の条件の提案 | 役割の確定 |
| 検索と一覧化 | 出せる。役割とデータの種類で | — |
| 文面の型作り | 出せる | 最初の問い・データの状態・結果を使う体制の中身を社内が出す |
| 一行目の個別化 | 出せる。経歴のデータと問いを読んで書く | — |
| 送信 | 出せる | 名義と時間帯 |
| 返信の一次対応 | 出せる | — |
| 面談の設定 | 出せる | 分析の分かる人と結果を使う人の面談の枠の確保 |
| 面談 | — | 分析の分かる人と結果を使う人が出る |
| 記録と数の整理 | 出せる | — |
分け方の要点は、「最初の問いとデータの状態は、社内でしか出せない」ことです。代行に「データ職向けの文面を書いてください」と頼んでも、この二つが社内から出ていなければ、代行は「データ活用」という言葉で埋めるしかなく、外す訴求になります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、データ職のスカウトで最も時間がかかるのは、依頼側から最初の問いを引き出すことです。依頼側は「データを活用したい」と言いますが、何を知りたいかは「売上を伸ばしたい」で止まっていることが多い。ここを「どの顧客層が解約しやすいかを知りたい」まで具体化しないと、文面の中心が書けません。
エラベルでは、データ職の案件で担当者を紹介するとき、依頼側に最初の問いを一つ決めていただき、それが担当者に渡ってから文面に入るようお伝えしています。決まっていない場合、担当者の最初の仕事は、問いを作る打ち合わせの進行です。問いが一つあれば、文面の中心があり、候補者が判断できます。
まとめ
- データ職がスカウトを読まない理由は「データ活用」の言葉が信用されていない・問いの有無を最初に確かめる・結果が使われるかを見る・役割の違い
- 先に決めるのは対象。役割(分析・モデル・基盤)とデータの種類で絞る
- 文面の型は一行目に候補者のデータと問いの一点→自社の最初の問い→役割→データの状態(正直に)→結果を使う体制→環境→体制→会社の紹介(短く)→分析の分かる人と結果を使う人が出る面談
- 刺さる訴求は問いとデータの状態を具体的に、正直に。外す訴求は立派な言葉で中身が無い
- 面談では最初の問いを一緒に考え、データの状態を隠さない
- 代行に出せるのは役割で絞った検索・個別化・送信・一次対応・面談の設定・記録。問いとデータの状態は社内から
よくある質問
最初の問いが一つに決まりません。複数の問いを書いてはいけませんか
複数書くと、候補者は「何をするか分からない」と読みます。「最初に取り組む問い」を一つに絞り、「その後は事業の課題に応じて」と添えれば、幅も伝わります。問いが決まらないのは、経営や事業側で「データがあれば判断が変わりそうなこと」が整理されていないからで、採用の前に、その整理を経営と事業責任者で行います。問いを作る打ち合わせを、代行や外部の分析の分かる人に進行してもらうこともできます。一つ決まれば、文面の中心になります。
データの種類や量を文面に書くと、競合に知られませんか
書くのは、候補者が判断に使う粒度(顧客の行動データ、購買データ、蓄積の期間の目安、整備の状態)で、データの中身や件数の詳細ではありません。この粒度は、採用サイトや会社の説明で書かれている範囲と同じで、通常は懸念ありません。詳細は、面談で、必要な範囲で、必要なら秘密保持の合意のもとで示します。データの種類をまったく書かないスカウトは、候補者が自分の経験が活きるかを判断できず、返信が来ません。書く粒度を社内で決めて、その範囲で書きます。
「データドリブン」「データ活用推進」は、会社の方針として本当のことなのですが、書いてはいけませんか
書いても構いませんが、それだけでは中身が無いと読まれます。方針の言葉は、問いとデータの状態と結果を使う体制の具体を書いたあとに、「この方針のもとで」と添える形にします。具体が先、方針は後。方針だけの文面は、データ職の候補者にとって、「データ活用を掲げているが実態が無い会社」の典型に見えます。方針が本当なら、具体があるはずなので、具体を書けば方針も伝わります。