採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行費用は経費でどう処理するか
採用代行を初めて使うとき、経理から「これは何費ですか」と聞かれることがあります。税務や会計上の取り扱いは、契約の内容や自社の会計方針によって変わります。具体的な処理は顧問税理士や会計事務所にご確認ください。そのうえで、実務として押さえておくとよい考え方を整理します。科目の名前より、どの予算で管理するかのほうが後々効いてきます。
一般的にはどう扱われるか
採用代行への支払いは、外部への業務委託に対する対価です。一般には、業務委託費・外注費・採用費(募集費)といった科目で費用として処理されることが多い形です。科目の名称は会社ごとの勘定科目体系によって決まるため、どれが正しいという話ではありません。
実務で決めるのは次の二点です。
一.採用に関する費用をまとめる科目があるか。媒体掲載費や紹介手数料と同じ科目に入れると、採用にかかった総額が一つの科目で見えます。別の科目に分けると、外注費全体の中に埋もれます。
二.部門への配賦をどうするか。人事部門の費用として持つのか、採用した人が配属される部門に配賦するのか。配賦する場合、月額型は職種ごとに按分する作業が発生します。
採用の意思決定に数字を使いたいなら、採用関連の費用が一つにまとまって見える形にしておくほうが実務的です。科目を分けるなら、管理会計の側で集計できるようにします。
実費との区分
採用代行の請求には、委託費のほかに実費が含まれることがあります。媒体の掲載費、スカウトの従量課金、採用管理システムの利用料。これらを代行会社が立て替えている場合、請求書上で区分されているかを確認します。
区分されていないと、費用の内訳が見えなくなります。翌年の予算を組むとき、媒体にいくら使い、運用にいくら使ったかが分からないと、配分の判断ができません。
対処は二つあります。請求書で内訳を分けてもらうか、媒体を自社契約にして支払いを分けるか。継続的に採用するなら、後者のほうが管理は単純になります。費用の三つの層については採用代行の費用の内訳にまとめています。
エラベルの見解
経理上の科目を決めることと、採用の判断に使える数字を持つことは別です。ここが分かれていない会社が多くあります。
科目は仕訳のためのもので、月ごとの支出は追えます。しかし「一名採用するのにいくらかかったか」は、科目の集計からは出てきません。委託費、媒体費、紹介手数料が別の科目に入っていて、採用人数はまた別の場所にあるからです。
やっておくとよいのは、経路別に一名あたりの費用を出す表を、会計とは別に持つことです。媒体経由、スカウト経由、紹介経由、自社サイト経由。それぞれについて、その経路にかかった費用と、そこから採用に至った人数を並べます。代行費用は運用した経路に按分するか、共通費として別に置きます。
この表が半期分たまると、どの経路に費用を寄せるべきかが実績で見えます。会計の締めを待たずに、月次で更新できる粒度で構いません。判断に使う数字は、正確さより更新の速さのほうが価値があるという場面です。
予算の建て方
採用代行の費用は、料金体系によって予算への乗り方が変わります。
月額型は固定費として積めます。契約期間と月額が決まっているので、期初に読める。予実の管理もしやすい形です。
時間単価型は変動します。上限時間を決めておかないと予算が読めません。契約に月あたりの上限を置き、その上限で予算を積むのが安全です。
成果報酬型は発生時期が読みにくい。採用が決まった月に費用が出るため、月ごとの支出は上下します。年間の採用予定人数から総額を置き、月次では変動する前提で管理します。
期をまたぐ場合の扱いは、契約の内容によって変わります。年度末に契約して立ち上げが翌期になる、初期費用を一括で払うが役務の提供が複数月にわたる、といった場面です。このあたりの計上時期の判断は、契約の中身と会計方針によって変わるため、経理部門や税理士にご確認ください。
確認しておく論点
処理を決めるときに、経理から質問が出やすい点を挙げます。いずれも判断が要る領域なので、社内の経理部門と専門家に確認する前提です。
- 消費税の取り扱い。国内の事業者への業務委託がどう扱われるか
- 源泉徴収の要否。法人への委託と、個人への直接の委託では論点が違います。個人に直接依頼する場合は確認が要ります
- 契約書の印紙。契約の種類によって扱いが変わります
- 初期費用の計上時期。一括で払った費用を、どの期間に対応させるか
- 未払計上。月末締めで翌月払いの場合の期末処理
- 部門配賦の方法。職種ごとの按分の基準をどう置くか
このうち、個人への直接委託は見落とされやすい論点です。採用代行を法人と契約する場合と、人事経験のある個人に業務委託で依頼する場合では、確認する事項が変わります。
経費として管理するときの実務
日々の運用で決めておくと、期末に慌てずに済む項目です。
請求書の受け取りと確認の流れ。稼働報告と請求書の内容が一致しているかを、誰が確認するか。時間単価型では、稼働時間の確認が請求の根拠になります。
実費の立て替えがある場合の証憑。代行会社が立て替えた媒体費について、元の請求書や明細を受け取れるか。
月次の締めのタイミング。代行会社の締め日と自社の締め日がずれていると、月をまたぐ稼働の扱いが問題になります。契約時に確認する項目です。
予実の差の記録。予算と実績がずれた月に、何があったかを書き残します。職種が増えた、稼働を止めた、追加費用が発生した。記録があると、翌年の予算精度が上がります。
エラベルの見解
採用の費用を「経費」として扱うか「投資」として扱うかで、社内の議論の質が変わります。会計上はどちらも費用ですが、社内の説明の仕方としては違います。
経費として扱うと、削減の対象になります。採用が止まった期に真っ先に切られ、再開時にまた立ち上げからやり直す。この繰り返しは、実は総額を押し上げます。立ち上げ工数が毎回発生するためです。
投資として扱うなら、何が積み上がっているかを示す必要があります。求人原稿、スカウト文面、検索条件、候補者データ、選考の判断基準。これらが自社に残っていれば、次の採用は途中から始められます。残っていることを説明できる状態にしておくと、費用の議論の位置づけが変わります。
そのためには、契約時に成果物の帰属と引き渡しを決めておくことが前提になります。決めていなければ、代行を使っても社内には何も残らず、経費としてしか説明できません。予算の議論に強くなりたいなら、契約の一項目から手を入れることになります。
まとめ
- 会計上の取り扱いは契約と自社の会計方針で変わる。具体的な処理は税理士にご確認ください
- 一般には業務委託費・外注費・採用費といった科目で費用処理されることが多い
- 科目名より、採用関連の費用が一つで見える形にしておくほうが実務的
- 委託費と実費を区分する。区分されないと翌年の予算配分が判断できない
- 予算は料金体系で乗り方が違う。時間単価型は上限時間を置かないと読めない
- 消費税、源泉徴収、初期費用の計上時期、部門配賦は確認が要る論点
- 経費として扱うか投資として扱うかで議論が変わる。残るものを説明できる契約にしておく
よくある質問
採用代行の費用はどの勘定科目に入れるべきですか
会社ごとの勘定科目体系によって変わるため、一律の正解はありません。採用に関する費用をまとめる科目があるならそこに、なければ業務委託費や外注費に入れる形が一般的です。判断は経理部門と税理士にご確認ください。あわせて、管理会計の側で採用関連の費用を集計できるようにしておくと、判断に使えます。
個人に直接業務委託する場合、処理は変わりますか
確認する論点が増えます。源泉徴収の要否や、契約の性質の整理といった点です。あわせて、直接指示を出す形にならないよう運用の整理も要ります。金額の多寡にかかわらず、開始前に経理部門と専門家に確認しておくことをおすすめします。
期をまたぐ契約はどう扱いますか
契約の内容と会計方針によって扱いが変わります。初期費用を一括で払う場合、役務の提供期間との対応をどう考えるかという論点があります。年度末に契約する予定があるなら、締結前に経理部門へ相談しておくと、後の処理が単純になります。