採用代行 / 費用・契約・法務
採用予算の立て方|採用代行にいくら割くか
採用予算を組むとき、前年の実績に少し足す形で決めている会社は少なくありません。それでも回りますが、採用代行を入れるかどうかを判断するには足りない。代行費用は運用の費用なので、媒体費や紹介手数料とは性質が違い、前年比では置けないからです。この記事では、採用計画から積み上げる手順と、代行費用をどこに置くかを整理します。
採用計画から積み上げる
予算は、採る人数から逆算します。順番は次のとおりです。
- 職種ごとの採用人数と時期を置く。事業計画から落とします。時期は「上期・下期」程度の粒度で構いません
- 職種ごとに主な経路を決める。媒体、スカウト、紹介、リファラル、自社サイト。職種によって効く経路は違います
- 経路ごとに必要な費用を置く。媒体なら掲載費、紹介なら想定年収に料率を掛けた額、スカウトなら媒体の利用料
- 運用にかかる費用を置く。社内で回すなら人件費、外に出すなら代行費用
- 実費以外の付随費用を足す。採用管理システム、面接の会場、採用広報の制作物
- 予備費を置く。計画外の職種追加や、採用が長引いた場合に備えます
四番が、代行費用の置き場所です。ここを独立させておくと、内製と外注の比較ができます。運用の費用を媒体費と混ぜてしまうと、どちらが妥当かの判断ができません。
トップダウンと突き合わせる
積み上げた額を、上から置いた枠と突き合わせます。上からの枠は、たとえば売上や人件費に対する割合、あるいは前年からの増減で置かれます。
両者がずれたときにやることは、削ることではなく、前提を確認することです。
- 採用人数の想定が事業計画と合っているか
- 経路の想定が現実的か(紹介に寄せすぎていないか)
- 想定年収が市場の実態から離れていないか
- 運用を社内で回す前提が、実際の人員で成り立つか
四つめの確認が抜けやすい。運用の費用をゼロで置いた予算は、社内の誰かが時間を使う前提です。その人がすでに手一杯なら、その前提は成り立ちません。予算上はゼロでも、実際には採用が進まないという形で表面化します。
突き合わせの結果、枠に収まらないなら、採用人数を減らすか、時期をずらすか、経路の配分を変えるかの判断になります。予算を削るのではなく、計画のどれかを動かすという整理にすると、議論が具体的になります。
エラベルの見解
予算を組むとき、社内の時間を金額に換算して予算表に載せてみてください。載せるだけで、議論の中身が変わります。
やり方は単純です。採用に関わる人(採用担当、面接官、意思決定者)の時間あたり人件費を出し、採用に使っている時間を掛ける。日程調整に週何時間、書類の確認に週何時間、面接に月何件。粒度は粗くて構いません。
この数字を予算表の一行に置くと、運用の費用は「増える支出」ではなく「置き換える支出」として見えるようになります。代行に月いくら払うかという議論が、社内の時間をいくら分だけ空けるかという議論になる。同じ判断でも、後者のほうが決めやすい。
そして、この行を毎期更新すると、採用体制の変化が数字で追えます。人が増えた期、外注を増やした期、内製に戻した期。総額がどう動いたかが分かると、翌期の判断が速くなります。会計の科目には出てこない数字ですが、予算の議論ではこの一行がいちばん効きます。
代行費用をどう置くか
代行費用の置き方は、料金体系によって変わります。
| 体系 | 予算への置き方 |
|---|---|
| 月額固定型 | 月額×契約月数。期初に読める |
| 時間単価型 | 上限時間×単価。上限を契約で決めておく |
| 成果報酬型 | 想定件数×単価。月次では変動する前提 |
| 併用型 | 固定部分と変動部分を分けて置く |
時間単価型で上限を決めていないと、予算が置けません。契約時に月あたりの上限を設定しておくと、そのまま予算の数字になります。料金体系の整理は採用代行の費用相場にまとめています。
初期費用がある場合は、開始月に別立てで置きます。月額に均すと、期の途中で始めたときに読みが狂います。初期費用の考え方は初期費用・オンボーディング費用は必要かで扱っています。
予備費の持ち方
採用の予算は、計画どおりに使われないことのほうが多い。予備費の持ち方を決めておきます。
職種追加への備え。期中に新しい職種の募集が立つのはよくあることです。想定される追加職種の数と、その経路の費用を概算で持っておきます。
採用が長引いた場合への備え。想定した期間で決まらないと、媒体の掲載期間が延び、代行の契約も延びます。難易度の高い職種ほど、この余地を持たせます。
逆に、採用が止まった場合。予備費とは逆向きですが、契約を止められるかどうかで振れ幅が変わります。最低契約期間があると、止めても費用は残ります。期間の考え方は最低契約期間はなぜ設定されるのかにまとめています。
予備費を職種ごとに散らすより、全体で一つ持つほうが運用しやすいところです。どの職種で必要になるかは事前には読めません。
期中の見直し
予算は期初に決めて終わりではありません。見直す時点と、見る項目を決めておきます。
見直しの時点。四半期ごと、あるいは採用計画が変わったとき。契約の更新時期と重ねておくと、判断が一度で済みます。
見る項目
- 採用人数の進捗(計画に対してどこまで)
- 経路ごとの支出と、そこからの採用人数
- 代行の稼働の中身(工程ごとの内訳)
- 社内の時間の変化
- 残りの期間に必要な額
このうち、経路ごとの支出と採用人数の対応が、次の配分を決める材料になります。効いている経路に寄せ、効いていない経路を止める。この判断を期中にできるかどうかで、通期の効率が変わります。
エラベルの見解
代行にいくら割くかという問いには、外部の目安がありません。会社の規模も、採用人数も、社内の体制も違うからです。そのかわり、自社で答えを出す方法はあります。
順番はこうです。まず、採用の工程を並べて、いま誰がどれだけの時間を使っているかを書き出す。次に、そのうち外に出せる工程を選ぶ。判断の幅が小さく、量のある工程です。そして、その工程に使っている社内の時間を金額にする。この金額が、代行に払ってよい額の上限の目安になります。
上限を超える見積もりが出てきたら、範囲が広すぎるか、稼働が過大か、単価が高いかのどれかです。下回るなら、外に出す判断はしやすい。
この方法の良いところは、予算が決まると同時に依頼範囲も決まることです。金額から入ると範囲が曖昧になりますが、工程から入れば範囲は自然に定まります。見積もりを取るときの依頼文もそのまま書けます。予算策定と発注準備が一続きの作業になります。
まとめ
- 予算は採用人数から逆算して積み上げる。運用の費用は独立させて置く
- トップダウンの枠とずれたら、削るのではなく前提を確認する
- 運用の費用をゼロで置いた予算は、社内の誰かが時間を使う前提になっている
- 代行費用は料金体系で置き方が違う。時間単価型は上限時間を決めておく
- 予備費は職種ごとに散らさず、全体で一つ持つ
- 期中の見直しでは、経路ごとの支出と採用人数の対応を見る
- 割く額の目安は、外に出す工程に使っている社内の時間を金額にしたもの
よくある質問
採用予算の適正な割合はありますか
会社の規模、採用人数、職種、社内の体制で大きく変わるため、割合を目安にすると実態から離れます。採る人数と経路から積み上げ、上からの枠と突き合わせる順番のほうが、判断に使える数字が出ます。割合を使うのは、積み上げた額が妥当かを大まかに確認するときにとどめるのが実務的です。
期の途中から採用代行を入れる場合、予算はどう組みますか
残りの月数分の月額と、初期費用を別立てで置きます。あわせて、立ち上げに時間がかかることを見込み、成果が出るのが翌期になる可能性も織り込みます。期をまたぐ契約の会計処理については、経理部門や税理士にご確認ください。
予算が足りなくなったらどうしますか
まず、経路ごとの支出と採用人数を並べて、効いていない経路を止められないかを見ます。次に、代行の稼働量を下げられないかを相談します。月額型でも、稼働量の調整に応じる会社はあります。採用人数の計画そのものを見直す判断も、選択肢として持っておきます。