採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行の費用の内訳|何にいくら払っているのか
採用代行の請求書に載っているのは、たいてい一行の月額です。ただ、その一行の裏側には性質の違う費用が混ざっています。採用にかかる費用は、代行会社に払う委託費だけではありません。媒体の実費と、社内で使っている時間を足して初めて、採用一名にいくらかかっているかが出ます。この記事では、その三つの層をどう分けて、どう金額に直すかを整理します。
支払いは三つの層に分かれる
| 層 | 中身 | どこに現れるか |
|---|---|---|
| 委託費 | 代行会社への支払い。月額・時間単価・成果報酬 | 請求書に出る |
| 実費 | 媒体の掲載費、スカウトの従量課金、採用管理システムの利用料 | 別の請求書に出るか、委託費に含まれる |
| 社内コスト | 面接、合否判断、日程の確保、定例会への参加、意思決定の待ち時間 | どこにも出ない |
議論になりやすいのは委託費ですが、総額を動かしているのは実費と社内コストであることが少なくありません。委託費を下げても実費が増えれば意味がなく、社内の時間が増えれば実質の支出は変わりません。
順番としては、まず三つの層を分けて把握し、そのうえでどこを削るかを決めます。委託費だけを見て交渉するのは、最後にやることです。
委託費の中身を分解する
月額の見積もりを受け取ったら、次の要素に分けて考えます。代行会社が内訳を出してくれるとは限らないので、こちらで置いてみる形になります。
- 担当者の稼働。実際に手を動かす人の時間。ここが最も大きい
- 管理・進行の費用。進捗を管理する人、品質を確認する人の時間
- 環境の費用。媒体の管理画面、採用管理システム、分析ツールなど
- 立ち上げの費用。要件のヒアリング、初期設定、文面の初稿。初期費用として別建てのこともある
- 会社の利益
このうち、金額の差として現れやすいのは担当者の稼働です。月額を想定稼働時間で割ると、時間あたりの実質単価が出ます。この数字にすると、体系の違う見積もりも同じ土俵に乗ります。時間単価の見方は時間単価はいくらが妥当かで扱っています。
エラベルの見解
月額を稼働時間で割ったとき、その数字を高いと感じるか安いと感じるかは、比べる相手で変わります。比べる相手を外部の相場に置くと判断できませんが、自社の人件費に置くと判断できます。
やり方は単純です。採用担当の年収を年間の労働時間で割り、そこに社会保険料と間接費を上乗せして、自社の時間あたりの人件費を出します。この数字と、代行の実質時間単価を並べる。代行のほうが高いのは自然です。専門性と、採用しなくてよいという柔軟性の分が乗っているからです。問題は、どれだけ高いかを説明できるかどうかです。
倍以上の開きがあるなら、その業務は社内でやったほうが安いかもしれません。近い水準なら、外に出す判断はしやすくなります。この比較を一度やっておくと、以後の見積もりを見る目が変わります。外部の平均値を探すより、自社の一時間の値段を持っているほうが早く決まります。
実費として別に出るもの
委託費とは別に、実費が発生します。ここを誰が契約するかで、見え方も総額も変わります。
- 求人媒体の掲載費・掲載枠の費用
- スカウト送信の従量課金、スカウト枠の追加購入
- 採用管理システムの利用料
- 人材紹介会社への成功報酬(併用している場合)
- 求人票用の撮影や制作の費用
- 会場費、オンライン会議ツールの費用
自社で契約するか、代行会社に立て替えてもらうかは選べることが多い項目です。自社契約にすると、支出の内訳がそのまま見えて、契約を切り替えるときも自社の判断で動けます。代行会社の契約を使うと、事務は楽になりますが、明細が見えにくくなることがあります。
判断の目安は、契約を終えたときに何が残るかです。媒体のアカウントと候補者データが自社に残る形なら、自社契約のほうが後が楽です。逆に短期のスポット依頼なら、立て替えてもらうほうが手間が少なく済みます。
見えていない社内コスト
採用代行を入れても、社内の時間はゼロになりません。残るのは次のあたりです。
- 面接の実施(一次から最終まで)
- 書類と面接の合否判断
- 面接官の予定確保
- 代行会社との定例会と、そこで出た確認事項への回答
- 要件の見直しと、その社内合意
- 内定後の条件決定と社内調整
このうち、代行を入れることで増える時間もあります。定例会と、確認事項への回答です。増える分を差し引いても社内の時間が減るかどうかが、外注の効果になります。
社内コストを金額にするときは、関わる人の時間あたり人件費に時間を掛けるだけで十分です。精緻な原価計算は要りません。桁が分かればよいという粒度で出します。この数字を出すと、日程調整のような定型業務を外に出す効果が具体的に見えます。
内訳を自社で作る手順
代行会社の内訳を待つより、自社で作るほうが早く進みます。
- 採用の工程を並べる。要件定義・母集団形成・応募対応・日程調整・選考・内定対応・振り返り
- 工程ごとに、誰がやっているかを書く。自社なのか代行なのか、両方なのか
- 代行が持つ工程に、委託費を割り付ける。稼働報告の内訳が出ていればそれを使い、無ければ想定で置きます
- 自社が持つ工程に、社内コストを割り付ける
- 実費を、発生している工程に割り付ける
- 採用人数で割る
この表ができると、費用の議論が「月額が高い・安い」から「この工程にこれだけ払う価値があるか」に変わります。割に合っていない工程が見つかることのほうが多いというのが、実際にやってみたときの感触です。
エラベルの見解
内訳を作ると、外に出してよい工程と、出すと高くつく工程の線がはっきりします。外に出してよいのは、判断の幅が小さく作業量が多い工程までです。日程調整、事務連絡、データ入力、集計。ここは時間あたりの処理量で価値が測れるので、委託費と効果を並べられます。
線を越えるのは、判断が要る工程です。合否の決定、要件の最終決定、候補者への条件提示。ここを渡すと、費用の問題ではなく、後から動かせない結果が生まれます。落ちた候補者は戻ってきませんし、提示した条件は取り下げられません。
その中間にあるのが、母集団形成と返信対応です。作業でもあり判断でもある。ここは外に出すかどうかではなく、誰が担当するかで結果が変わる領域です。内訳表を作ったとき、この中間の工程にどれだけ払っているかを見てください。金額が大きいなら、その担当者の経歴を確認しておく価値があります。工程ごとの切り分けは採用代行とはにまとめています。
まとめ
- 採用にかかる費用は委託費・実費・社内コストの三層。請求書に出るのは一層目だけ
- 委託費は担当者の稼働・管理・環境・立ち上げ・利益に分けて考える
- 月額を稼働時間で割った実質時間単価を、自社の時間あたり人件費と並べる
- 実費は自社契約か立て替えかを選ぶ。判断は契約終了時に何が残るか
- 社内コストはゼロにならない。定例会と確認対応は増える分として見る
- 工程ごとに費用を割り付けると、議論が「高い・安い」から「この工程に払う価値があるか」に変わる
- 判断の幅が小さい工程は外へ、判断そのものは社内へ。中間の工程は誰が担当するかで結果が変わる
よくある質問
代行会社に費用の内訳を出してもらえますか
出せる会社と出せない会社があります。月額固定型では内訳を持たない設計になっていることもあり、その場合は内訳そのものより想定稼働時間と担当体制を聞くほうが実務的です。この二つが分かれば、実質の時間単価は自社で計算できます。
社内コストまで計算する必要はありますか
採用代行を入れるかどうかを判断する段階では、計算しておく価値があります。委託費だけを見ると外注は支出の増加にしか見えませんが、社内の時間を金額に直すと差し引きが見えるためです。運用が始まった後は、毎月計算する必要はありません。半期に一度、工程の担当が変わったタイミングで見直せば足ります。
実費は自社契約と立て替えのどちらがよいですか
継続的に採用するなら自社契約が向きます。媒体のアカウントと候補者データが自社に残り、代行会社を替えるときにも引き継げるためです。短期のスポット依頼や、初めて使う媒体を試す場合は、立て替えてもらうほうが手続きが少なく済みます。判断は期間と、データを自社に残したいかどうかで決まります。