採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行と人材紹介の違い|費用構造で比べる
採用代行と人材紹介を費用で比べようとすると、月額と成功報酬を並べることになります。ただ、この二つは発生の仕方がまったく違うため、そのままでは比較になりません。片方は成果に対して一度に出て、もう片方は期間に沿って積み上がる。比べられる形にするには、同じ単位に直す作業が要ります。この記事では、その手順と、判断が変わる分かれ目を整理します。
発生の仕方が違う
人材紹介の費用は、採用が決まったときに発生します。金額は理論年収に一定の割合を掛けて算出される形が一般的で、採用しなければ費用は出ません。費用が成果と一対一で対応しているのが特徴です。
採用代行の費用は、期間に沿って積み上がります。月額型なら毎月、時間単価型なら稼働した分。採用が決まらない月にも発生します。そのかわり、決まった月に大きな額が出ることはありません。
この違いから、次のことが言えます。
- 採用人数が少ないほど紹介が有利になりやすい。一名だけなら、代行の月額を積み上げるより手数料一件のほうが収まることがある
- 採用人数が多いほど代行が有利になりやすい。同じ月額の中で複数名を扱えるため、一名あたりが下がる
- 採用が長引くほど代行の総額は増える。期間に比例するため、決まらない状態が続くと積み上がる
- 年収が高い職種ほど紹介の一件が重くなる。手数料が年収に連動するため
役割そのものの違いは採用代行と有料職業紹介の違いにまとめています。ここでは費用の計算に絞ります。
一名あたりの総額に直す
比較するときは、次の順で計算します。
- 採用予定人数と期間を置く。半年で二名なのか、通年で複数名なのか。ここが決まらないと計算できません
- 紹介の総額を出す。想定年収に手数料率を掛け、採用予定人数分を積みます。複数の紹介会社を使うなら、それぞれの料率で計算します
- 代行の総額を出す。月額に契約月数を掛けます。初期費用があれば足し、媒体費やスカウトの従量課金といった実費も足します
- 社内の稼働を足す。どちらの手段でも、面接と合否判断の時間は残ります。経路によって社内の負荷が違うなら、その差を金額にします
- 採用予定人数で割る
この計算で出るのは概算ですが、桁が違うのか、近いのかは分かります。近い場合は費用以外の観点で決めることになり、桁が違うなら費用が判断材料になります。
計算のときにぶれやすいのが三番の実費です。代行の月額だけを見て安いと判断し、媒体費を足したら紹介と変わらなかった、という順番はよく起きます。費用の内訳の考え方は採用代行の費用の内訳で扱っています。
エラベルの見解
一名あたりに直す計算で、多くの会社が入れ忘れるのは「決まらなかった場合」の費用です。
紹介で計算するとき、想定人数が採れる前提で総額を出します。しかし紹介で採れなかった場合、費用はゼロで済むかわりに、採用も進んでいません。代行で計算するとき、採れなかった場合も月額は出ます。この非対称を計算に入れないと、比較が片側に寄ります。
実務的な方法は、採れた場合と採れなかった場合の二通りで計算することです。紹介で採れなかったときは費用ゼロですが、採用が遅れることによる事業側の損失があります。代行で採れなかったときは費用が出ていますが、運用と成果物は残っています。この二つを並べると、どちらのリスクを取るかという話になります。
金額だけを比べると紹介が有利に見えることが多い。しかし採用が遅れる損失を置くと、判断は変わることがあります。採用が遅れて困る度合いが大きいほど、期間に払う形のほうが噛み合うというのが、計算の後に見えてくるところです。
支払いの時期が違う
総額が同じでも、支払いの時期が違うと資金繰りへの影響が変わります。
紹介は、採用が決まったタイミングでまとまった額が出ます。入社日の前後で請求されることが多く、複数名が同時期に決まると支出が重なります。読みにくさはありますが、決まるまでは出ません。
代行は、毎月一定額が出ます。予算化しやすく、月次の予実管理に乗せられます。そのかわり、採用が止まっている期間も出続けます。
年度の予算をどう組むかによって、どちらが扱いやすいかは変わります。採用の予算を固定費として持ちたいなら代行、変動費として持ちたいなら紹介という整理になります。
返金と保証の扱い
早期に退職した場合の扱いは、両者で建て付けが違います。
人材紹介では、入社後の一定期間内に退職した場合に手数料の一部が返金される、という定めが置かれていることがあります。返金の割合や期間は契約によって異なるため、契約前に確認する項目です。
採用代行では、業務の遂行に対して払う形なので、採用した人が退職しても費用は戻りません。代行に求めているのは業務であって、定着ではないという建て付けです。
この違いは、リスクの持ち方の違いでもあります。ただし、定着の責任を外部に持たせられる範囲は限られています。入社後の配属、育成、評価は自社が持つ領域です。返金規定を判断材料にするのは構いませんが、そこに頼りすぎない設計が現実的です。
経路別の採用単価を管理する
紹介と代行を併用している会社では、経路ごとの一名あたり費用を並べて管理すると、次の判断がしやすくなります。
- 紹介会社経由(会社ごとに分ける)
- 求人媒体経由(媒体ごと)
- スカウト経由
- 自社サイト・リファラル経由
それぞれについて、発生した費用と、そこから採用に至った人数を記録します。代行費用は運用した経路に按分するか、全体の共通費として別に置きます。どちらでも構いませんが、方法を決めて続けることが大事です。
この表が半期分たまると、どの経路に費用を寄せるべきかが見えてきます。感覚ではなく実績で判断できるようになると、翌年の予算の組み方が変わります。
エラベルの見解
費用の比較をしていると見落とされますが、紹介と代行では、うまくいかなかったときに手元に残るものが違います。
紹介で採れなかった場合、残るのは「その紹介会社では採れなかった」という事実だけです。どの候補者に断られたか、なぜ辞退されたかは部分的にしか見えません。次の一手を考える材料が薄い。
代行で採れなかった場合、稼働報告が残ります。どの条件で何件送り、返信率がどうで、どこで落ちたのか。工程ごとの数字が手元にあるので、要件の問題なのか、母集団の問題なのか、訴求の問題なのかを切り分けられます。次の判断の材料が残るという意味では、代行に払った費用は完全には消えていません。
ただしこれは、稼働報告が工程ごとの内訳と成果物の量を含んでいる場合に限ります。月額の請求書と「今月も継続して対応しました」という報告だけなら、何も残りません。契約時に報告の粒度を決めておくかどうかで、同じ費用の価値が変わります。
まとめ
- 紹介は成果に一度に、代行は期間に沿って積み上がる。そのままでは比較できない
- 比べるときは採用予定人数と期間を置いて、一名あたりの総額に直す
- 代行の総額には初期費用と実費を足す。月額だけを見ると判断を誤る
- 採れなかった場合も二通りで計算する。採用の遅れによる損失も置く
- 支払いの時期が違う。予算を固定費で持つなら代行、変動費なら紹介
- 返金規定は紹介側にあることがあるが、定着の責任を外部に寄せすぎない
- 経路別の一名あたり費用を記録すると、翌年の予算の組み方が変わる
- 代行は稼働報告が残る。ただし報告の粒度を契約時に決めた場合に限る
よくある質問
紹介と代行のどちらから始めるべきですか
採用したい人数と時期で決まります。直近で一名だけ採りたいなら紹介が早く、複数名を継続して採る予定があるなら代行を入れて運用を作るほうが後が楽になります。判断がつかないときは、まず紹介で一名を採りながら、その過程で自社の採用の詰まりどころを記録しておくと、次の判断材料になります。
代行を入れると紹介会社の費用は減りますか
自動的には減りません。代行が担うのは運用であって、候補者を連れてくる手段そのものではないためです。ただし、媒体やスカウトの運用が回り出せば、紹介以外の経路からの採用が増え、結果として紹介の比率が下がることはあります。経路別の単価を記録しておくと、その変化が見えます。
手数料率は交渉できますか
紹介会社によっては応じることがあります。ただ、料率だけを見るのではなく、推薦の質と量、対応の速さもあわせて判断するところです。複数社を使っている場合、料率の低い会社に寄せた結果、推薦が減って採用が遅れることもあります。経路別の実績を残しておくと、料率と成果を並べて判断できます。