採用代行 / 保育士
保育士の母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
保育士の募集で起きる母集団の問題は、自園の求人に応募がまったく来ない場合、応募は紹介会社経由でしか来ず成功報酬が重い場合、面接まで進んで「保育の方針が合わない」「持ち帰り仕事と書類の量」「一人担任」「園長の人柄」「離職が続いていること」が分かって辞退される場合に分かれます。保育士の採用に特有なのは、国家資格で母数が限られ、資格を持ちながら働いていない潜在保育士が多く、候補者が「保育の方針への共感」と「持ち帰り仕事と書類の実態」で「この園で働き続けられるか」を判断し、その情報を紹介会社と保育士同士のつながりから得ることに慣れていることです。結論を先に書くと、保育士の母集団形成は、「求人票で保育の方針を園長の言葉で示し、園の実態と離職の状況を隠さない」「出し先を保育士向けの経路と潜在保育士や子育て中の層に合わせる」「スカウトを園の種類と年齢と勤務地で分け、担当してきた園に触れる」「面接で園長が園を見せ、方針と実態を話し、一次対応を当日にする」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。代行に出す工程の線は保育士採用を代行に出す判断基準に、同じ資格職の看護師の母集団形成は看護師の母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
自園の求人に応募が来ない場合は、求人票が「保育業務全般」で方針と実態が分からず、候補者が紹介会社に聞きに行っているか、保育士向けの経路と潜在保育士に届く経路に出ていないか、地域での評判(離職が続いている、持ち帰りが多い)が求人票で触れられておらず、候補者が「隠している」と読んでいるかです。
紹介会社経由でしか来ない場合は、自園の求人票が紹介会社の持つ情報(保育の方針、行事の多さ、担任の形、持ち帰り仕事と書類の量、休み、園長の人柄、離職の状況)より少ないことが原因です。候補者は、情報の多いほうから動きます。
面接まで進んで辞退される場合は、保育の方針が求人票の印象と違う(自主性を重んじると書いてあるが一斉活動が中心)、持ち帰り仕事と書類の実態、担任の形(一人担任)、園長の人柄、離職の状況、園長と保育の話ができなかった、のどれかです。
どの症状かは、応募者を園の種類と年齢と経路(認可、小規模、企業主導型、こども園、潜在保育士の復職、子育て中でパート希望、新卒、紹介会社経由か直接か)で分類し、応募から一次返信までの日数を見て、面接での候補者の質問(「行事はどのくらいありますか」「持ち帰りはありますか」「担任は複数ですか」「園長はどういう方ですか」「最近辞めた方はいますか」が出るか)と辞退の理由を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「保育の方針と園の実態と園長と離職の状況」が紹介会社と同じ具体さであるか
求人票を開いて、次の八つが読み取れるかを確認します。
- 園の種類と保育の方針。 認可か小規模か企業主導型かこども園か。定員と年齢の構成。保育の方針を園長の言葉で(子どもの自主性を重んじる、外遊びを多く、行事は少なく、など)。一行目で分かる形に。「保育業務全般」は書かない
- 行事と担任の形。 行事の回数と準備の形、複数担任か一人担任か、フリーの保育士の有無、採る人に任せるクラスの年齢
- 持ち帰り仕事と書類の実態と減らす取り組み。 持ち帰りの実態、書類(指導計画、連絡帳、日誌)にかかる時間と簡素化や電子化の取り組み、残業の実態。「による」で済まさない
- 休みと有給。 休みの日数、希望が通る率、有給の取り方、土曜の勤務の形
- 園長・主任がどういう人か。 経歴、保育の考え方、相談の形。本人の言葉で。候補者が最も気にする項目
- 子育てとの両立。 職員の子どもを園で預かれるか、時短、土曜の免除、急な休みへの対応
- 離職の状況と対策。 最近の離職の状況を隠さず、原因と、それに対して何をしているか。地域の評判は候補者に伝わっている
- 園の工夫。 実態が厳しい項目に対して、園が何をしているか。書類の電子化、行事の見直し、フリーの保育士の配置、など
八つのうち、一つ目の「保育の方針を園長の言葉で」と三つ目の「持ち帰り仕事と書類の実態」が最も抜けます。方針の無い求人票は「どんな保育をする園か分からない」で閉じられ、持ち帰り仕事と書類の実態が無い求人票は「同じことが起きる園」と潜在保育士に読まれます。
方針を園長の言葉で書くことが要点です。法人が書いた「子ども一人ひとりを大切に」は、どの園も書いていて信じられません。園長本人の「子どもと一緒に遊ぶ時間を一番大事にしたい。行事は減らした」は、方針として伝わります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「自園の求人には応募が来ず、紹介会社経由でしか採れない」というご相談です。求人票を見ると、「保育士募集。クラス担任。経験者優遇。アットホームな園で、子ども一人ひとりを大切にした保育をしています」で、園の種類も、方針の具体も、行事も、担任の形も、持ち帰り仕事と書類も、園長のことも、離職の状況も無い。紹介会社は、これを全部候補者に伝えていて、地域の保育士は離職が続いていることを知っていました。候補者は、情報の多い紹介会社から動き、自園の求人票は「どこも同じことを書いている」と読まれていました。
見ていて差がつくのは、「保育の方針を園長の言葉で書き、持ち帰り仕事と書類の実態と離職の状況を隠さず、紹介会社と同じ具体さで書いているか」です。「〇〇駅近くの認可保育園、定員〇〇人。園長は『子どもと一緒に遊ぶ時間を一番大事にしたい。行事は年に〇回に減らし、準備は勤務時間内に』と言っています。担任は複数担任で、〇歳児クラスを主任と一緒に。書類は簡素化して連絡帳は電子化、持ち帰りはほぼ無く、残業は月に〇時間程度。休みの希望はほぼ通ります。職員の子どもを園で預かれます。去年は離職が続きましたが、原因は書類の負担で、電子化しました」。ここまで書けば、候補者は紹介会社に聞かなくても判断でき、「方針が明確で隠さない園」として直接の応募が来ます。エラベルでは、保育士の担当者に、園長から方針を本人の言葉でもらい、紹介会社が候補者に伝える項目と保育士同士で伝わっている評判を一覧にして、求人票にすべて入れるところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が保育士向けの経路と潜在保育士や子育て中の層に合っているか
求人票が整ったら、出し先を見ます。保育士は、資格を持つ人の母数が限られる分、資格を持って働いていない潜在保育士と、子育て中で短時間を希望する人が、母集団の大きな部分になります。
| 出し先 | 向く場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体(地域の求人) | 待つ経路として、最低限 | 方針と実態を書いた上で、地域の求人として出す。潜在保育士は地域の求人を見ている |
| 保育士向けの媒体 | 経験者に絞って届けたい | 媒体によって集まる層(園の種類、常勤かパートか)が違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | こちらから届ける経路の中心 | 園の種類と年齢と勤務地で検索を分ける。担当してきた園に触れた文面に |
| 園長・職員の知人経由の紹介 | 保育士同士のつながりが厚い | 求人票の八つを園長と職員に渡す。紹介した人の負担と見返りを設計する。評判が悪い時期は紹介が出にくいので、対策を先に。リファラルが進まない理由 |
| 潜在保育士(資格を持ちながら働いていない人) | 園の近くに住む有資格者に届けたい | 離れた理由(持ち帰り、書類、人間関係、給与、両立)に答える形で。短時間から、フリーの保育士から、ブランクへの研修、自分の子を預けられること。地域の求人として出す |
| 子育て中でパートや短時間を希望する人 | 朝夕の延長や日中の補助の穴を埋めたい | 時間帯と曜日の相談、土曜の免除、急な休みへの対応、常勤への道筋 |
| 養成校とのつながり | 新卒を採って育てる場合 | 実習の受け入れ、学校との関係。新卒は経験者と別枠で |
| 保護者の中の有資格者 | 園に子どもを預けている保護者に資格を持つ人がいる | 園の方針を知っていて、自分の子を預けながら働ける。園長から声をかける |
| 紹介会社との併用 | 年度途中の急ぐ配置 | 急ぐ配置は紹介会社、年度に向けた計画的な採用は自園で、と分ける。費用と離職の見え方を整理 |
| 出戻り | 過去に辞めた保育士 | 辞めた理由が持ち帰りや園長や人間関係なら、変わったことを伝える。園長から声をかける |
出し先の要点は、「潜在保育士」への届け方です。資格を持ちながら働いていない人は、離れた理由(持ち帰り仕事と書類、人間関係、給与、子育てとの両立)を持っていて、「その理由が解消された園」を探しています。求人票で離れた理由に答え、地域の求人として出し、園の近くに住むこの層に届けます。保護者の中の有資格者は、園の方針を知っている貴重な経路です。
見直す順番の三番目:スカウトが園の種類と年齢と勤務地で分けられ、担当してきた園に触れているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、園の種類と年齢と勤務地で分けます。認可か小規模か企業主導型かこども園か、乳児か幼児か、担任の経験か、主任の経験か。勤務地は、住んでいる場所か出身地で絞ります。「保育士」の資格だけで検索すると、園の種類と勤務地が混ざります。潜在保育士は、資格と「離れている期間」で探します。
文面は、一行目で候補者が担当してきた園に触れます。保育士の場合、触れる一点は「担当した園の種類と年齢のクラス」「担当した業務(乳児、幼児、障害のある子への対応、主任)」「保育の中で工夫したこと」のどれかです。「小規模保育で乳児クラスを担当されたご経歴を拝見しました。当園も乳児の担任を探していて、複数担任です」。その後に、保育の方針を園長の言葉で、園の実態(行事、担任の形、持ち帰り仕事と書類、休み)、園長がどういう人か、両立の支援、離職の状況と対策を書きます。潜在保育士には、一行目で以前の園に触れ、離れた理由に答える形で書きます。担当してきた園に触れず、園の紹介から始まる文面は、「経歴を読んでいない」と読まれます。文面の型はスカウト文面の構造を参照してください。
見直す順番の四番目:面接で園長が園を見せ、方針と実態を話し、一次対応が当日か
保育士の採用に特有なのが、この段階です。候補者は、複数の園を同時に見ていて、紹介会社経由なら紹介会社が日程を速く組みます。自園の求人で一次対応が遅れると、紹介会社経由の他園に先に決まります。
一次対応は当日です。応募や返信があったその日に連絡し、面接と園見学の日程を提案します。潜在保育士には、連絡の中で「ブランクのある方が多く、最初はフリーの保育士から」と不安に一言答えます。園長の予定を午睡の時間などに先に押さえておき、候補者と合わせます。
面接は園長が出て、園を見せます。候補者は、園を見れば、子どもの様子、保育士の関わり方、保育の方針が実態と合っているか、職員の雰囲気、掲示物や製作の量(持ち帰りの多さの目安)を読み取ります。見せない園は「見せられない園」と読まれます。見学の途中で、他の保育士と一言でも話せる場を作ると、「園長がどういう人か」「離職の状況」が候補者に伝わります。
園長が方針と実態を自分の言葉で話します。「子どもと一緒に遊ぶ時間を一番大事にしたい。行事は減らした。書類は電子化して持ち帰りは無い。去年は離職が続いたが、原因は書類の負担で、電子化した」。園長が方針と実態を話すと、候補者は「方針が明確で、正直な園長」と判断します。求人票に書いたことと、ここで言うことを合わせておきます。
面接から次の段階までの日程を、その場で決めます。内定後は、年度の区切りと、現職の引き継ぎがあるので、入職日まで連絡を続けます。配置基準に関わる調整は、専門家に確認します。面接の設計は面接の構造に書いています。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 園の種類と方針(園長の言葉)、行事と担任の形、持ち帰り仕事と書類の実態と減らす取り組み、休み、園長の紹介、両立の支援、離職の状況と対策、工夫を園長と法人が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。「保育業務全般」「アットホーム」を消す。紹介会社が伝える項目と評判の一覧と照合 |
| 出し先 | 予算と契約の判断。紹介会社との併用の設計。保護者の有資格者に声をかける判断。紹介の見返りの設計 | 園の種類と勤務地に合わせた経路の提案、運用、数の整理。潜在保育士と子育て中の層への届け方。紹介の仕組みの運用 |
| スカウト | 園の種類と年齢と勤務地の確定 | 園の種類と勤務地で分けた検索、担当してきた園に触れた一行目の個別化、潜在保育士向けの文面、送信、当日の一次対応 |
| 面接 | 園長が園を見せ、方針と実態と離職の状況を話し、保育の姿勢を見る。合否 | 園長の予定と園見学の確保、当日の一次対応、園の種類と経路の分類、他の保育士と話す場の段取り、内定後の連絡 |
分け方の要点は、「保育の方針と園の実態と園長の言葉と離職の状況は園長と法人が出し、届ける工程と当日の対応と見学の段取りは外に出せる」ことです。保育の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「採用の工程を回す人」の役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、保育士の母集団形成で最も効くのは、求人票に「保育の方針を園長の言葉で書く」ことと、潜在保育士に「離れた理由に答える形で届ける」ことです。前者で「どこも同じことを書いている」と読まれていた求人が「方針が明確な園」として読まれ、後者で資格を持ちながら働いていない人に届きます。
エラベルでは、保育士の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は園長から方針を本人の言葉でもらい、紹介会社が候補者に伝える項目と保育士同士で伝わっている評判を一覧にして求人票に入れ、潜在保育士と子育て中の層への届け方を整え、面接に園見学を組み込むことに使うようお伝えしています。保育士の候補者は、方針への共感と園の実態で「この園で働き続けられるか」を判断し、園を見て園長と話して決めます。その二つを整えるのが、母集団形成の最初の仕事です。配置基準と資格の扱いは、専門家にご確認ください。
まとめ
- 保育士の母集団の問題は自園の求人に応募が来ない・紹介会社経由でしか来ない・面接で方針と持ち帰り仕事と担任の形と園長と離職の実態で辞退されるの三つ。候補者は方針への共感と園の実態で判断し、その情報を紹介会社と保育士同士のつながりから得ることに慣れている
- 見直す順番は求人票に方針を園長の言葉で書き実態と離職の状況を隠さず→出し先を保育士向けの経路と潜在保育士や子育て中の層に→スカウトの園の種類と勤務地分けと担当してきた園への言及→面接で園長が園を見せ方針と実態を話し一次対応を当日に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には園の種類と保育の方針(園長の言葉で、一行目)・行事と担任の形・持ち帰り仕事と書類の実態と減らす取り組み・休みと有給・園長がどういう人か・子育てとの両立・離職の状況と対策・園の工夫の八つ
- 出し先は保育士向けの経路と、潜在保育士(離れた理由に答える形で)と子育て中の層(短時間・土曜の免除・自分の子を預けられる)・保護者の中の有資格者。紹介会社は急ぐ配置に絞って併用
- スカウトは園の種類と年齢と勤務地で検索を分け、一行目で担当してきた園に触れる。潜在保育士には離れた理由に答える形で
- 面接は一次対応を当日に・園長が出て園を見せ、方針と実態と離職の状況を自分の言葉で話す・内定後は入職日まで連絡を続ける
よくある質問
保育の方針を園長の言葉で書くと、法人の方針と違って見えませんか
法人の方針(理念)と、園長の言葉(日々の保育で何を大事にしているか)は、違うものではなく、後者が前者の具体です。「子ども一人ひとりを大切に」という理念を、園長が「子どもと一緒に遊ぶ時間を一番大事にしたい。行事は減らした」と具体にする。候補者が知りたいのは、理念ではなく、この園で日々どういう保育をするかで、それは園長の言葉でしか伝わりません。法人の理念だけの求人票は、どの園も同じに見えます。
潜在保育士に届けるには、何を書けばよいですか
離れた理由に答える形で書きます。持ち帰り仕事と書類で離れた人には「書類は電子化して持ち帰りは無い」、人間関係で離れた人には「園長の言葉」と「職員と話せる見学」、給与で離れた人には「給与の内訳」、子育てで離れた人には「自分の子を園で預かれる」「短時間から」「土曜の免除」。そして、「最初はフリーの保育士から」「ブランクへの研修(最近の保育の考え方、書類の書き方、電子化した連絡帳の操作)」を書き、地域の求人として出します。資格を持ちながら働いていない人は、園の近くに住んでいて、「戻ってもよいと思える園」を探しています。
園長が面接に出る時間がありません
園長の時間を最小にする形にします。面接の枠は代行が午睡の時間や延長保育の前に押さえ、経歴は整理して渡し、実態の説明の要点は用意し、園長がやるのは「園を見せて方針と実態を話す」「保育の姿勢を見る」の二つだけ、三十分で。それでも出られないなら、主任が園で出て、園長は短時間だけ顔を出します。園長が出ない面接は、候補者に「園長がどういう人か分からない」と読まれ、辞退の原因になります。関与の取り付け方は現場が採用に協力してくれないに書いています。