採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行が高いときに何に払っているのか
採用代行の見積もりが他より高いとき、その金額は何に対応しているのか。高い理由が説明できるなら、それは価格ではなく内容の違いです。専任に近い稼働、設計の工程、品質を確認する層、リスクの引き受け。どれも原価としては筋が通ります。問題は、その内容が自社に必要かどうかです。この記事では、高さの中身を分解し、判断する手順を整理します。
高さの中身は五つに分かれる
一.実務に入る時間が長い。専任、あるいは専任に近い体制で週の稼働時間が長い。最も分かりやすい理由です。実質の時間単価に直すと、むしろ安いことがあります。
二.設計の工程が含まれている。要件の整理、チャネルの設計、選考フローの組み立て。運用だけを買う契約には含まれない工程です。
三.品質を確認する層がある。担当者の作業を別の人が確認する体制。原価は上がりますが、担当者が替わったときの安定性が増します。
四.担当者の経験が長い。実績のある担当者は人件費が高い。その分、立ち上げが速く、判断の手戻りが少なくなります。
五.リスクを引き受けている。成果報酬の比重が高い、再募集の稼働を無償で行う、といった設計。代行側が損をする可能性を負っているぶん、価格に乗ります。
このうち一番と二番は、聞けばすぐ分かります。三番から五番は、質問しないと出てきません。
分解して確認する
高い見積もりを受け取ったら、次を聞きます。
- 週あたり何時間、自社に入る想定か
- 同時に何社を担当するか
- 設計の工程が含まれるか(要件の整理、選考フローの組み立て)
- 品質を確認する人が別にいるか
- 担当者の経歴
- 初期費用や実費が含まれているか
- 成果に関するリスクを引き受ける設計があるか
この七つで、高さの理由はほぼ説明できます。説明できない部分が残るなら、そこは利益率か営業コストです。
そして、月額を想定稼働時間で割って実質の時間単価を出します。ここで安い提案より下回ることは珍しくありません。差の分解の手順は同じ条件で見積もりに差が出る理由にまとめています。
エラベルの見解
高い見積もりを見たときに問うべきは「高いかどうか」ではなく、「その内容が自社に要るか」です。
たとえば、設計の工程が含まれている提案。要件がすでに固まっていて、文面も自社で書ける会社にとっては過剰です。既に持っているものを買うことになります。
品質を確認する層も同じです。社内に成果物を判断できる人がいるなら、二重の確認になります。いないなら、その層は価値になります。
つまり、高い提案の価値は自社の状態で決まります。同じ提案が、ある会社には妥当で、別の会社には過剰になる。
だから、見積もりを受け取る前に自社が持っているものと持っていないものを整理しておいてください。要件は固まっているか、文面は書けるか、成果物を判断できる人がいるか、判断は速く返せるか。
この整理があると、高い提案の中で「要る部分」と「要らない部分」が分けられます。そして、要らない部分を外して見積もりを作り直してもらう交渉ができます。金額を下げる交渉より、範囲を調整する交渉のほうが噛み合います。
高さが割に合う場面
次の状況では、高い体制のほうが総額で下がることがあります。
要件が固まっていない。設計から入ってもらう必要があるなら、その工程を持つ提案のほうが立ち上がりが速い。安い体制で始めて、要件が定まらないまま数か月が過ぎるより、結果的に安くなります。
社内に判断できる人がいない。成果物の質を確認できないなら、品質を管理する層がある体制のほうが安心です。
採用を急いでいる。稼働時間が長い体制のほうが、単位期間あたりに進む量が多い。採用が遅れることによる事業側の損失を置くと、判断が変わります。
難易度の高い職種を採る。経験のある担当者でないと、母集団が作れないことがあります。
逆に、これらに当てはまらないなら、高い体制は過剰になりやすい。要件が固まっていて、判断できる人がいて、急いでもいない。この状態なら、軽い体制で足ります。
高さの理由が説明できない場合
七項目を聞いても説明できない差が残ることがあります。
ブランドや実績に対する価格。知名度のある会社は、その分の価格が乗ることがあります。実務の内容が同じなら、それは選択の問題です。
営業コストが乗っている。提案に来る人と実務を担う人が別で、営業の体制が厚い会社では、その分が価格に含まれます。
過去の実績に対する価格。同業種の採用実績が豊富であることを理由に高い場合、その知見が自社の採用に活きるかを確認します。実績があることと、自社の案件に効くことは別です。
確認の質問は「この金額のうち、実務に入る時間はどれくらいですか」。実務の割合が低いなら、残りは何に対応しているかを聞きます。
交渉するなら範囲で
高い提案を選びたいが予算が合わない場合、金額ではなく範囲で交渉します。
- 設計の工程を外す(自社で要件を整理して渡す)
- 稼働時間を下げる(週の想定時間を減らす)
- 範囲を絞る(一部の工程を社内に残す)
- 開始時期をずらす(立ち上げを分割する)
- 期間を長くする(月あたりの稼働を薄く、期間を長く)
金額だけを下げると、範囲や体制で調整されます。範囲で交渉すれば、何が減るかが見えます。
そして、外した工程を自社が持てるかを確認してから交渉してください。持てないまま外すと、その工程が誰も担当しない状態になります。
エラベルの見解
高い提案を評価するときに、実務に入る人の情報がどれだけ出てくるかを見てください。ここに、高さの根拠が集約されていることが多いためです。
金額が高い理由として、経験のある担当者が入ることを挙げる会社は多くあります。であれば、その経歴は出せるはずです。どんな職種を、どのくらいの期間、どういう規模の会社で担当してきたか。出せるなら、高さの根拠は具体的になります。
出せない場合、高さの理由は別のところにあります。管理の層、営業のコスト、会社の規模。それ自体が悪いわけではありませんが、担当者の経験に対して払っているのではないということは分かります。
そして、経歴が出てきたら、その人と一度話す場を作ってもらってください。自社の採用でつまずきそうなところを聞いてみる。具体的な答えが返るなら、高さには根拠があります。
高い提案ほど、この確認をする価値があります。金額が大きいぶん、判断の材料も多く必要です。担当者の確認については担当者を指名できるかにまとめています。
まとめ
- 高さの中身は、稼働時間・設計の工程・品質確認の層・担当者の経験・リスクの引き受け
- 七項目を聞いて分解し、実質の時間単価を出す。安い提案より下回ることもある
- 問うべきは「高いかどうか」ではなく「その内容が自社に要るか」
- 割に合うのは、要件が固まっていない・判断できる人がいない・急いでいる・難易度が高いとき
- 説明できない差は、ブランド・営業コスト・過去の実績に対する価格
- 交渉は金額ではなく範囲で。外した工程を自社が持てるか確認してから
- 高い理由が担当者の経験なら、経歴は出せるはず。出してもらって話す
よくある質問
高い見積もりのほうが安心ですか
金額と品質は必ずしも比例しません。高さの理由が説明でき、その内容が自社に必要なら妥当です。説明できない高さは、単に価格が高いだけの可能性があります。分解して、実務に入る時間と担当者の経験を確認してください。
予算を伝えてから見積もりをもらうべきですか
伝えると、その予算に合わせた提案が来ます。範囲を調整して収める形になるので、何が外れたかを確認してください。伝えない場合は各社が想定する標準的な体制で出てくるため、比較はしやすくなります。どちらでも構いませんが、伝えるなら「この予算で何ができるか」という聞き方にすると、範囲が見えます。
高い会社に頼めば採用は決まりますか
決まるとは限りません。採用は、面接の内容や条件提示、社内の判断速度にも左右されます。代行が担うのはその一部です。高い体制を選ぶなら、自社側の判断を速く返す体制も一緒に整えてください。片方だけを強くしても、全体の速度は変わりません。