現場が面談に出てくれない|「協力してほしい」をやめて、負担を減らして頼む
担当者が候補者を面談まで進めた。ところが、一緒に働く側の責任者が「今週は無理」「来週も埋まっている」。日程が二週間先になり、その間に候補者は他社に決まる。採用担当は現場に頭を下げ、現場は本業で手一杯。この構図は、スカウト代行を使う会社で最も多い詰まりの一つです。結論を先に書くと、現場が面談に出ないのは、「協力してほしい」という頼み方と、面談の負担の設計に原因があります。負担を減らし、面談を予定に固定し、採用の優先順位を経営で確認してください。社内の関与全般は社内の関与が薄れるに、日程の押さえ方は日程が押さえられないにまとめています。
出てくれない理由を切り分ける
「忙しいから」で片付けると、直りません。理由は、たいてい次のどれかです。
面談の負担が重い。 一回一時間、経歴を読んで、質問を考えて、面談後に評価を書く。それが週に何回もあれば、本業が止まります。負担が重いから、避けられます。
面談の意味が見えない。 現場から見て、「自分が面談に出ても、採用が決まるわけではない」「人事が決めるのだから、自分は形式的に出るだけ」と感じていれば、優先順位は下がります。
採用の優先順位が現場に共有されていない。 経営は「この職種を急いで採る」と考えていても、現場には「人が足りないから、いつか採る」程度にしか伝わっていない。優先順位が低ければ、面談は後回しになります。
頼み方が「お願い」になっている。 採用担当が現場に「お願いします」と頼む形では、現場の善意に依存します。善意は、忙しくなると尽きます。
過去の面談が無駄に終わった経験がある。 面談したが合わなかった、面談したが候補者が辞退した。それが続けば、「また無駄になる」と感じ、出なくなります。
どれに当たるかで、対処が変わります。現場の責任者に、率直に聞いてください。「面談に出にくい理由は、時間か、意味が見えないか、優先順位か」。責めずに聞けば、答えは返ってきます。
負担を減らす四つの工夫
理由が「負担」なら、負担を減らします。減らし方は四つあります。
一.面談の時間を短くする。 一時間を三十分にします。担当者が事前に確認できること(経歴の深さ、役割の認識、条件)は返信のやり取りで済ませ、面談では現場でしか確かめられないこと(判断の場面、一緒に働けるか)だけに絞ります。三十分なら、予定に入りやすくなります。
二.準備を担当者が代わりにする。 経歴の要点、候補者の志向と懸念、確認してほしい点、よくある質問と答え。これを一枚にして、面談の前日に渡します。現場は、その一枚を読むだけで面談に入れます。経歴を一から読む負担が無くなります。
三.面談後の評価を一行にする。 長い評価シートをやめ、「合う・合わない・理由を一行」だけにします。面談後の負担が、一分で済みます。詳しい評価が要る場面は、通す判断が迫ったときだけに限定します。
四.面談の枠を先に押さえる。 都度、予定を探すのではなく、週の決まった時間を面談用に空けておきます。候補者が進んだら、その枠から日程を出します。枠が使われない週があっても構いません。「空けておいた時間が使われなかった」損失より、「日程が取れずに候補者を失った」損失のほうが大きいです。
四つを全部やると、面談一回あたりの負担は、三十分の面談と一分の評価だけになります。ここまで減らして、それでも出ないなら、理由は負担ではありません。
面談の意味を見せる
理由が「意味が見えない」なら、面談が採用にどうつながるかを見せます。
現場が面談に出る意味は、二つあります。一つは、一緒に働く人を自分で見極めること。人事が決めた人が配属されるより、自分が見て「合う」と思った人が来るほうが、入社後がうまくいきます。もう一つは、候補者が現場の人と話すことで、入社を決めやすくなること。候補者は、人事より、一緒に働く人の話で会社を判断します。
この二つを、現場に伝えます。「あなたが面談に出ることで、合う人が来る確率と、候補者が承諾する確率の両方が上がる」。抽象的な「協力」ではなく、現場にとっての利益として伝えます。
加えて、面談の結果を現場に戻します。面談した候補者が進んだか、辞退したか、辞退の理由は何か。結果が戻らないと、面談は「出て終わり」になり、意味が見えなくなります。担当者のレポートから、面談した候補者のその後を現場に共有します。
採用の優先順位を経営で確認する
理由が「優先順位」なら、採用担当と現場の間では解決できません。経営の判断です。
「この職種を、この時期までに、何名採る」が、経営から現場に伝わっているかを確認します。伝わっていなければ、経営から伝えてもらいます。「面談に出てほしい」を採用担当が頼むのではなく、「採用は優先事項で、面談は業務の一部」と経営が示す形にします。
経営が採用を優先事項と考えていないなら、現場が面談に出ないのは当然です。その場合、代行を続けても面談から先が動かず、費用だけがかかります。運用を縮めるか、優先順位が上がるまで止めるか、の判断になります。
この判断を、採用担当が一人で抱えないでください。「現場が出てくれない」を採用担当の力不足と扱う会社がありますが、優先順位は経営の問題です。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「現場が面談に出ないのは、採用担当の頼み方が悪いから」というものです。話を聞くと、採用担当は何度も頼んでいて、現場も悪気は無く、単に面談の負担が本業に対して重すぎる、というのが実態です。頼み方を変えても、負担が同じなら出られません。
見ていて差がつくのは、担当者が「面談の負担を減らす提案」をしてくるかどうかです。「面談は三十分にして、事前確認は私が返信でやります」「面談者向けの一枚を前日に渡します」「評価は一行で構いません」。こう言える担当者は、現場が出ない理由を分かっています。言わない担当者は、「日程をお願いします」を繰り返し、現場の善意を消費します。
発注側にできるのは、担当者の提案を現場に持ち込むことです。「担当者がここまで準備するので、三十分だけ」と伝えれば、現場は出やすくなります。負担を減らす仕組みを、担当者と一緒に作ってください。
面談者を増やすか、絞るか
現場の責任者一人に面談が集中していれば、その人の予定が全部を止めます。分散するか、絞るかを考えます。
分散する。 一次面談を、責任者ではなく、一緒に働くメンバーが担う。責任者は最終の面談だけに出る。一次の負担が分散し、責任者の予定に依存しなくなります。ただし、面談者が増えると判定が割れやすくなるので、確認する観点と質問を揃えます。
絞る。 面談の段階を減らし、責任者が一回だけ出る形にする。一次を担当者の返信のやり取りで代替し、面談は責任者との一回に集約する。責任者の負担は「一回だけ」になります。
どちらが合うかは、責任者の予定の状況と、面談で確かめたいことの重さで決めます。責任者が本当に時間を取れないなら、絞る。責任者以外にも見極められる人がいるなら、分散する。
それでも出ないとき
負担を減らし、意味を伝え、優先順位を経営で確認し、それでも現場が出ないなら、その職種の採用は、いまは進められない状態です。
無理に送り続けると、候補者を面談まで進めて待たせ、辞退され、会社の印象を落とします。候補者にとっては「返事が遅い会社」「連絡が途絶える会社」です。同じ職種の候補者は横でつながっていることが多く、印象は広がります。
送信を絞るか、いったん止めます。担当者に「現場の面談体制が整うまで、送信を絞ってほしい」と伝えます。担当者は、送信を止めても、対象の整理や文面のルールの整備など、再開に向けた準備はできます。
現場が出られる状態になったら、再開します。止めることは、失敗ではありません。動けない状態で送り続けることのほうが、損失は大きいです。
エラベルの見解
担当する側から見ると、現場が面談に出ない案件で最も困るのは「候補者を面談まで進めたのに、日程が組めず、担当者が候補者に謝り続ける」ことです。候補者から見れば、担当者の連絡が遅い。担当者から見れば、社内の日程が取れない。どちらにも言えず、候補者との関係だけが削れていきます。
もう一つは、「面談の負担を減らす提案」が、採用担当で止まって現場に届かないことです。担当者は「三十分でよい、準備はする」と言っているのに、採用担当が「現場には言いにくい」と持ち帰り、そのまま消える。
発注側にできるのは、担当者と現場を一度直接つなぐことです。担当者が現場に「三十分で、準備は私がします」と直接伝えれば、現場は「それなら」と出ることが多くあります。採用担当を介した伝言では、負担の軽さが伝わりません。担当者と現場が一度話す場を、作ってください。
まとめ
- 出ない理由を負担・意味・優先順位・頼み方・過去の無駄で切り分ける。責めずに聞く
- 負担は面談を三十分・準備を担当者が・評価を一行・枠を先に押さえるの四つで減らす
- 意味は自分で見極められる・候補者が承諾しやすくなるの二つを利益として伝え、結果を戻す
- 優先順位は経営で確認する。採用担当が一人で抱えない
- 面談者を分散するか絞るか。責任者の予定に全部を依存させない
- それでも出ないなら送信を絞るか止める。動けない状態で送り続けない
- 担当者と現場を一度直接つなぐ
よくある質問
現場に「面談は人事の仕事」と言われます
一緒に働く人を自分で見極めること、候補者が現場の話で承諾を決めることの二つを、現場の利益として伝えてください。それでも変わらないなら、採用の優先順位が現場に共有されていない可能性が高く、経営から示してもらう必要があります。採用担当だけで説得しようとしないでください。
面談を三十分にすると、見極めが甘くなりませんか
事前に確認できること(経歴の深さ、役割の認識、条件)を担当者が返信のやり取りで済ませれば、面談では現場でしか確かめられないことに集中できます。一時間の面談で経歴の確認に三十分使うより、三十分で判断の場面を聞くほうが、見極めの質は上がります。
現場の責任者が一人しかいません。分散できません
面談の段階を減らし、責任者が一回だけ出る形に絞ってください。一次を担当者の返信のやり取りで代替し、面談は責任者との一回に集約します。そのうえで、責任者の面談枠を週に一つ、予定表に固定します。一回だけで一枠あれば、日程は組めます。
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