採用代行 / 調理師
調理師の母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
調理師の募集で起きる母集団の問題は、応募がまったく来ない場合、応募は来るがジャンルやポジションが合わない(フレンチの二番手の募集に和食の仕込みの人)場合、面接や試作の後に「料理長と合わない」「仕込みから閉店までの実態」「任される範囲が狭い」で辞退される場合に分かれます。調理師の採用に特有なのは、腕のある経験者が周辺の店で取り合いになる市場で、候補者が「料理長の考え方と料理のスタイル」と「任される範囲」で「この厨房で腕を振るいたいか」を判断し、労働時間の実態を隠した求人を信じないことです。結論を先に書くと、調理師の母集団形成は、「求人票で料理長の考え方を料理長の言葉で示し、任せる範囲と労働時間の実態を隠さない」「出し先を料理長のつながりと同門と専門学校と独立志向の人に届く経路にする」「スカウトをジャンルとポジションと勤務地で分け、修業してきた店や料理に触れる」「面接で料理長が厨房を見せ、試作をし、自分の考え方を話し、一次対応を当日にする」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。代行に出す工程の線は調理師採用を代行に出す判断基準に、同じ飲食のホールとキッチンのスタッフの母集団形成は飲食店スタッフの母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
応募がまったく来ない場合は、求人票が「調理師募集。経験者優遇」で料理長の考え方と任せる範囲が分からず、候補者が「どういう厨房か分からない」で閉じているか、労働時間の実態が無く「隠している」と読まれているか、調理師が動く経路(料理長のつながり、同門、専門学校)に出ていないかです。
応募はあるがジャンルやポジションが合わない場合は、求人票が業態とジャンルとポジションを示していないことが原因です。「調理師募集」だけだと、和食も洋食も、料理長の候補も仕込みの人も、全員応募します。
面接や試作の後に辞退される場合は、料理長の考え方と料理のスタイルが候補者と合わない(求人票に無かったので面接で初めて分かる)、労働時間の実態が求人票の印象と違う、任される範囲が思ったより狭い、独立の支援が無い、厨房の設備と食材が期待と違う、のどれかです。
どの症状かは、応募者をジャンルとポジションと経路(同じジャンルの二番手、別のジャンル、ホテルや給食から、専門学校の卒業者、独立志向の人)で分類し、応募から一次返信までの日数を見て、面接での候補者の質問(「料理長はどういう料理を作りますか」「何を任せてもらえますか」「仕込みは何時からですか」「独立の支援はありますか」が出るか)と辞退の理由を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「料理長の考え方と任せる範囲と労働時間の実態」があるか
求人票を開いて、次の八つが読み取れるかを確認します。
- 業態とジャンルとポジション。 どの店で、和食か洋食か中華か製菓か、料理長か二番手か部門か仕込みか。厨房の人数と構成。一行目で分かる形に。「調理師募集」だけにしない
- 料理長の考え方と料理のスタイル。 料理長が何を大事にしているか、どこで修業したか、どういう料理を作るか。料理長本人の言葉で。オーナーが書いた「こだわりの料理」にしない
- 任せる範囲。 メニューの開発、仕入れ、原価の管理、部門の責任をどこまで任せるか。将来どこまで広げるか。「調理業務全般」にしない
- 仕込みから閉店までの労働時間と休み。 仕込みの開始と閉店の時間、中休みの有無と実態、週の休みの日数、連休の取り方、繁忙期。「による」で済まさない
- 料理長への道筋と独立の支援。 二番手から料理長への道筋と時期、独立の支援の有無と形(のれん分け、修業の期間)、複数店舗なら料理長のポストの数。「独立させない」方針ならそれも正直に
- 厨房の設備と食材。 厨房の広さと設備、食材の仕入れ先と質、試作や研究の自由度
- 給与の内訳と昇給。 基本と手当の内訳、ポジションが上がったときの給与、賄いの扱い
- 料理長がどういう人かと、厨房の雰囲気。 料理長の教え方、厨房での声のかけ方、離職の状況と原因
八つのうち、二つ目の「料理長の考え方を料理長の言葉で」と四つ目の「労働時間の実態」が最も抜けます。料理長の言葉が無い求人票は「どういう厨房か分からない」で閉じられ、労働時間の実態が無い求人票は「隠している」と読まれます。
料理長の言葉で書くことが要点です。「素材を触りすぎない」「火入れがすべて」「伝統を守りながら少しずつ変える」のような、料理長本人の言葉が、相性の合う人を呼び、合わない人を見送らせます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「調理師の求人を出しても経験者が来ず、来ても料理長と合わずに辞める」というご相談です。求人票を見ると、「調理師募集。フレンチ。経験者優遇。こだわりの料理を一緒に作りませんか。月給〇〇以上」で、ポジションも、料理長の考え方も、任せる範囲も、労働時間の実態も、道筋も無い。調理師は「どういう料理長の下で何を任されるか分からない」で閉じ、応募した人は面接で初めて料理長の考え方を聞いて合わずに辞退するか、労働時間の実態を知らずに入って辞めていました。
見ていて差がつくのは、「料理長の考え方を料理長の言葉で書き、任せる範囲と労働時間の実態を隠さず、求人票の前半に書いているか」です。「〇〇のフランス料理店で、二番手を探しています。料理長は〇〇で修業し、『素材を触りすぎない。火入れがすべて』を大事にしています。二番手には魚の部門と、週替わりの一品の考案を任せ、仕入れは料理長と一緒に市場へ。仕込みは〇時から、閉店は〇時、中休みあり、休みは週に二日で月に一度は連休。二番手から料理長への道筋があり、〇年の修業の後に独立の支援もしています。厨房の設備は〇〇、食材は〇〇から」。ここまで書けば、料理長の考え方に共感する二番手の経験者が応募し、合わない人は最初から見送れます。エラベルでは、調理師の担当者に、料理長から考え方を本人の言葉でもらい、求人票の前半に置くところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が料理長のつながりと同門と専門学校と独立志向の人に届く経路か
求人票が整ったら、出し先を見ます。調理師は、料理長のつながりと同門の中で動くことが多く、求人媒体だけでは届きにくい職種です。
| 出し先 | 向く場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体 | 待つ経路として、最低限 | 料理長の言葉と実態を書いた上で、他の経路と併用 |
| 調理師・飲食に強い媒体 | 経験者に絞って届けたい | 媒体によって集まるジャンルとポジションが違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | こちらから届ける経路の一つ | ジャンルとポジションと勤務地で検索を分ける。修業してきた店や料理に触れた文面に |
| 料理長のつながり(修業先、同門、先輩後輩) | 料理長が修業先や同門とつながっている | 求人票の八つを料理長に渡し、「うちの厨房でこういう人を探している」と伝えてもらう。調理師の世界で最も動く経路。リファラルが進まない理由 |
| 他店の調理師の紹介 | 厨房のスタッフの知人 | スタッフの修業先の後輩、専門学校の同期。紹介した人の負担と見返りを設計する |
| 調理の専門学校 | 若手を採って育てる場合 | 学校とのつながり、実習の受け入れ、卒業生の紹介。若手は経験者と別枠で |
| 独立志向の人 | 独立の支援がある場合 | 「〇年の修業の後、独立の支援」を訴求に。独立を考えている腕のある調理師に届く。独立後も関係を続ける形を示す |
| ホテル・給食からの転向 | 専門店で腕を磨きたい人 | 労働時間が変わることを正直に。任せる範囲と料理長の考え方を訴求に |
| 専門店からホテル・給食への転向 | 労働時間の安定を求める人(給食やホテルの募集の場合) | 休みの安定と労働時間を訴求に。ジャンルの専門性は問わない |
| 食材の仕入れ先・取引先との関係 | 市場や生産者とのつながりがある | 仕入れ先の知る「動きたい調理師」の話。引き抜きにならないよう、経営者同士で先に話す |
| 出戻り | 過去に辞めた調理師 | 辞めた理由が労働時間や範囲や料理長との相性なら、変わったことを伝える。料理長から声をかける |
出し先の要点は、「料理長のつながりを経路にする」ことです。調理師は、修業先と同門と先輩後輩の中で「あの料理長の厨房でこういう人を探している」という話が伝わり、それで動きます。料理長が「うちでこういう人を探している」と、修業先や同門に伝えるだけで、求人媒体より届くことが多い。代行は、料理長が伝えやすいように求人票の八つを整え、声をかけた後の対応を担います。
見直す順番の三番目:スカウトがジャンルとポジションと勤務地で分けられ、修業してきた店や料理に触れているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、ジャンルとポジションと勤務地で分けます。フレンチの二番手なら「フレンチ」「二番手」「魚」「肉」の部門、和食の料理長候補なら「和食」「料理長」「献立」「仕入れ」、給食なら「給食」「大量調理」「献立」「衛生」。勤務地は、店舗に通える範囲か、住居を用意するなら広く。
文面は、一行目で候補者が修業してきた店や料理に触れます。調理師の場合、触れる一点は「修業した店のジャンルと料理長」「担当した部門」「作ってきた料理」のどれかです。「〇〇で魚の部門を担当されたご経歴を拝見しました。当店の料理長も〇〇の出身で、二番手に魚を任せたいと考えています」。その後に、料理長の考え方と料理のスタイル、任せる範囲、労働時間と休みの実態、料理長への道筋と独立の支援、厨房の設備と食材、給与の内訳を書きます。修業してきた店に触れず、店の紹介から始まる文面は、「経歴を読んでいない」と読まれます。文面の型はスカウト文面の構造を参照してください。
見直す順番の四番目:面接で料理長が厨房を見せ、試作をし、自分の考え方を話し、一次対応が当日か
調理師の採用に特有なのが、この段階です。候補者は、料理長との相性と任される範囲と厨房で判断し、料理長は腕を試作で見ます。面接だけの選考では、双方が判断できません。
一次対応は当日です。応募や返信があったその日に連絡し、面接と試作と厨房の見学の日程を提案します。料理長の予定を仕込みの前や中休みに先に押さえておき、候補者と合わせます。
面接は厨房で行い、料理長が出て、厨房を見せ、試作をしてもらいます。候補者は、厨房を見れば、設備と食材と整理の状態と厨房の雰囲気を読み取り、試作をすれば、料理長がどう見るかで料理長の考え方が分かります。料理長は、試作で包丁の扱い、火の入れ方、味の決め方、段取りを見て、料理の考え方を聞きます。試作の食材と時間と道具は代行が用意します。
料理長が自分の考え方と任せる範囲と労働時間の実態を、自分の言葉で話します。「素材を触りすぎないのが自分の料理。魚を任せて、週替わりの一品は自由に考えてほしい。仕込みは〇時からで正直長いが、休みは週に二日を守っている。〇年やったら独立の支援をする」。料理長が自分の言葉で話すと、候補者は「この料理長の下で腕を振るいたいか」を判断でき、相性が合う人が残ります。求人票に書いたことと、ここで言うことを合わせておきます。
面接から次の段階までの日程を、その場で決めます。内定後は、現在の店の区切り(料理長への義理、繁忙期)と引き止めがあるので、入社日まで連絡を続けます。面接の設計は面接の構造に書いています。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 業態とジャンルとポジション、料理長の考え方(料理長の言葉)、任せる範囲、労働時間と休みの実態、道筋と独立の支援、設備と食材、給与の内訳を料理長とオーナーが出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。「経験者優遇」「こだわりの料理」を料理長の言葉と実態に置き換える |
| 出し先 | 料理長が修業先と同門に声をかける判断と実行。予算と契約の判断。独立の支援の方針 | 調理師向けの経路の提案、運用、数の整理。料理長が伝えやすい形の整理と、声をかけた後の対応。紹介の仕組みの運用 |
| スカウト | ジャンルとポジションと勤務地の確定 | ジャンルとポジションで分けた検索、修業してきた店や料理に触れた一行目の個別化、送信、当日の一次対応 |
| 面接と試作 | 料理長が厨房を見せ、試作で腕を見て、料理の考え方を聞き、自分の考え方と範囲と実態を話す。合否 | 料理長の予定と試作の枠の確保、試作の食材と道具と時間の用意、当日の一次対応、ジャンルとポジションと経路の分類、内定後の連絡 |
分け方の要点は、「料理長の考え方と任せる範囲と実態は料理長が自分の言葉で出し、料理長のつながりは料理長が動き、届ける段取りと当日の対応と試作の段取りは外に出せる」ことです。料理の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「採用の工程を回す人」の役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、調理師の母集団形成で最も効くのは、求人票に「料理長の考え方を料理長の言葉で書く」ことと、「料理長のつながりを経路にする」ことです。前者で「どういう厨房か分からない」で閉じていた調理師が応募し、相性の合わない人が最初から見送り、後者で求人媒体では届かない腕のある調理師に届きます。
エラベルでは、調理師の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は料理長から考え方を本人の言葉でもらって求人票の前半に置き、料理長が修業先と同門に伝えやすい形を整え、面接に試作と厨房の見学を組み込むことに使うようお伝えしています。調理師は、料理長の考え方と任される範囲で「この厨房で腕を振るいたいか」を判断し、試作と面接で料理長と話して決めます。その二つを整えるのが、母集団形成の最初の仕事です。労働時間に関わる法令上の扱いは、専門家にご確認ください。
まとめ
- 調理師の母集団の問題は応募が来ない・ジャンルやポジションが合わない人が来る・面接や試作の後に料理長との相性と労働時間と範囲で辞退されるの三つ。候補者は料理長の考え方と任される範囲で判断し、労働時間の実態を隠した求人を信じない
- 見直す順番は求人票に料理長の考え方を料理長の言葉で示し範囲と実態を隠さず→出し先を料理長のつながりと同門と専門学校と独立志向の人に→スカウトのジャンルとポジション分けと修業してきた店への言及→面接で料理長が厨房を見せ試作をし自分の考え方を話し一次対応を当日に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には業態とジャンルとポジション(一行目)・料理長の考え方と料理のスタイル(料理長の言葉で)・任せる範囲・仕込みから閉店までの労働時間と休み・料理長への道筋と独立の支援・厨房の設備と食材・給与の内訳・料理長がどういう人かと厨房の雰囲気の八つ
- 出し先は料理長のつながり(修業先・同門・先輩後輩)を最も動く経路に。専門学校と独立志向の人とホテルや給食からの転向も。求人媒体は最低限
- スカウトはジャンルとポジションと勤務地で検索を分け、一行目で修業してきた店や料理に触れる
- 面接は一次対応を当日に・厨房で料理長が出て厨房を見せ試作で腕を見て自分の考え方と範囲と実態を話す・内定後は現在の店の区切りに合わせて入社日まで連絡を続ける
よくある質問
料理長の考え方を求人票に書くと、他の店と差がつきますか
調理師にとって、料理長の考え方と料理のスタイルは、店を選ぶ最大の材料です。「こだわりの料理」「素材を大切に」は、どの店も書いていて差がつきません。料理長本人の「素材を触りすぎない。火入れがすべて」「伝統を守りながら少しずつ変える」「まかないも手を抜かない」のような、具体的な言葉が、相性の合う人を呼び、合わない人を見送らせます。差がつくのは、店の紹介ではなく、料理長の言葉です。料理長に「自分の料理で一番大事にしていることを一文で」と聞いて、そのまま書きます。
料理長が「修業先や同門に声をかけるのは気が引ける」と言います
「うちに来てほしい」と頼むのではなく、「うちの厨房でこういう人を探している。心当たりがあれば話だけでも」と、求人票の八つを添えて伝える形にします。調理師の世界では、料理長が自分の厨房の人を探していることを同門に伝えるのは自然なことで、修業先の後輩や同門の紹介で動く人は多い。声をかけた後の連絡と日程と試作の段取りは、代行が担います。料理長がやるのは、伝えることだけです。
若手を採って育てたいのですが、経験者の募集と同じ求人票でよいですか
分けます。若手(専門学校の卒業者、仕込みから始める人)には、「料理長の考え方」に加えて、「最初に任せる仕事(仕込み、洗い場から)」「教える形(料理長か二番手がつく)」「部門を任せるまでの目安」「労働時間の実態」「賄い」を書き、専門学校とのつながりと若手の紹介で届けます。経験者の募集に「未経験歓迎」を足すと、経験者は「誰でもいい厨房」と読んで見送ります。若手の枠と経験者の枠を分け、求人票も経路も分けます。