採用代行 / カスタマーサクセス
カスタマーサクセスの採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準
カスタマーサクセスの求人票の必須要件には、「カスタマーサクセスの実務経験」「継続率や解約率の改善実績」「営業とサポートの両方の経験」「特定のプロダクトの種類の経験」「経験三年以上」が並びがちです。カスタマーサクセスの経験者は限られ、継続率の実績は前職のプロダクトや営業の売り方で決まり、営業とサポートの両方を深く持つ人はさらに限られます。結論を先に書くと、カスタマーサクセスの採用要件は、先に自社の型(サポート寄りか営業寄りか、顧客の数と単価、指標)と営業・サポートとの分担を決め、必須を「入社初日に自社の型で顧客対応が成り立つか」で三つ以内に絞り、肩書・実績の数字・年数は必須にせず、型に合う経験の中身(どんな顧客に、何を、どう働きかけたか)で書くと、経験者だけでなく転向層も母集団に入ります。型を決めずに要件を積むと、サポート寄りと営業寄りの両方の要件が混ざり、誰にも当てはまらなくなります。母集団形成はカスタマーサクセスの母集団形成に、代行に出す工程の線はカスタマーサクセス採用を代行に出す判断基準にまとめています。
カスタマーサクセスで要件が膨らむ理由
他の職種と共通する理由(現場の希望を全部書く、前任者を基準にする、失敗を避けたい)に加えて、カスタマーサクセスに特有の理由があります。
一つ目は、「カスタマーサクセスの経験」を必須にすることです。比較的新しい職種で、経験者は限られます。しかも、経験者でも前職の型(サポート寄りか営業寄りか、顧客の数と単価)が違えば、自社で同じ動きはできません。
二つ目は、継続率や解約率の実績を必須にすることです。この数字は、本人の働きだけでなく、前職のプロダクトの質、営業の売り方、価格、市場で決まります。実績を必須にすると、良いプロダクトの会社にいた人が有利になり、難しい環境で工夫してきた人を弾きます。
三つ目は、営業とサポートの両方を求めることです。営業寄りの型なら、こちらから動いて継続と拡大を作る力が要り、サポート寄りの型なら、課題を解決して定着させる力が要ります。両方を深く持つ人は限られ、必須にすると市場にほとんどいません。
四つ目は、特定のプロダクトの種類(同じ業界の、同じ形態のサービス)の経験を必須にすることです。プロダクトの知識は入社後に覚えられ、顧客への働きかけの型が同じなら、プロダクトが違っても再現されます。
五つ目は、年数です。年数と、顧客への働きかけの力は一致しません。
必須と歓迎を分ける基準
基準は「入社初日に、自社の型で顧客対応が成り立つか」です。カスタマーサクセスでは「自社の型で」を先に決めます。サポート寄りか営業寄りか、顧客の数と単価、指標。
| 項目の例 | 必須になる場合 | 歓迎になる場合 |
|---|---|---|
| こちらから顧客に働きかけた経験 | 営業寄りの型なら必須(活用の提案、定期的な接点、拡大の提案) | サポート寄りの型なら歓迎 |
| 顧客の課題を解決した経験 | サポート寄りの型なら必須 | 営業寄りの型なら歓迎 |
| 継続や拡大に取り組んだ経験(結果ではなく取り組み) | 継続率や拡大が指標の型なら必須 | 活用度が指標なら歓迎 |
| 担当した顧客の数と単価の近さ | 自社と近い数と単価(少数に深くか、多数を仕組みでか)を担当した経験 | 大きく違う場合は歓迎にとどめ、面接で確認 |
| 顧客の声をプロダクトや社内に戻した経験 | プロダクトとの連携が役割に含まれる型なら必須 | 含まれないなら歓迎 |
| 営業やサポートと分担して動いた経験 | 分担がある体制なら歓迎。一人目で分担を作る役割なら「分担を作った経験」を歓迎に | — |
| プロダクトの種類の知識 | 専門性が極めて高く初日から要る場合 | 入社後に覚えられるなら歓迎 |
| カスタマーサクセスの肩書 | — | 必須にしない。型に合う経験で |
| 継続率や解約率の実績の数字 | — | 必須にしない。「継続や拡大に取り組んだ経験」を歓迎に |
| 経験年数 | — | 必須にしない |
基準の要点は、「実績の数字を必須にせず、取り組みの中身を必須にする」ことです。継続率が上がったかどうかは環境で決まりますが、「解約の予兆を見つけて、こう働きかけた」という取り組みの中身は本人のもので、自社でも再現されます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「カスタマーサクセスの経験があって、継続率を改善した実績があって、営業もサポートも分かる人」というご要望です。この要件で来る人は少なく、来ても、良いプロダクトの会社で継続率が高かった人で、自社の環境で同じ結果が出るとは限りません。要件を「自社の型で顧客対応が成り立つか」で問うと、肩書も実績の数字も要らず、「自社の型に合う働きかけの経験」と「継続や拡大に取り組んだ中身」の二つが残ります。
見ていて差がつくのは、「自社の型と分担から、必須を逆算しているか」です。「営業寄り、担当は数十社、継続率と拡大で評価、問い合わせはサポートが持つ」なら、必須は「こちらから顧客に働きかけた経験」「継続や拡大に取り組んだ経験」「自社と近い数の顧客を担当した経験」の三つ。肩書も実績の数字も、営業とサポートの両方も、歓迎か不要です。エラベルでは、カスタマーサクセスの要件を整理するとき、依頼側に型と分担を先に決めていただき、そこから必須を逆算しています。
必須を三つに絞る手順
カスタマーサクセス向けに、絞る手順を番号付きで整理します。
- 型を決める。 サポート寄りか営業寄りか、担当する顧客の数と単価、指標。
- 営業やサポートとの分担を決める。 契約後のどこから、問い合わせは誰が、拡大の提案は誰が。
- 顧客の状態を把握する。 顧客の数、単価、継続率の傾向、活用の状態。
- 現場(カスタマーサクセスの責任者、営業、サポート、プロダクト)の希望を全部書き出す。 ここでは絞らない。
- 一つずつ、「初日に自社の型で顧客対応が成り立つか」を問う。 成り立たないものだけ残す。
- 残ったものが三つを超えたら、「入社後に覚えられるか」「自社が補えるか」を問う。 プロダクトの知識、ツール、もう一方の型は歓迎へ。
- 肩書・実績の数字・年数を、取り組みの中身に書き換える。 「継続率を〇〇改善」ではなく「解約の予兆を見つけて働きかける仕組みを作り、運用した経験」。
- 歓迎に回したものを、優先順位を付けて三〜五つ書く。 面接で見る点になる。
- 指標と評価を、要件と一緒に確認する。 要件に合う人が、自社の指標(動かせる部分と動かせない部分を分けたもの)で評価されて続けられるか。
- カスタマーサクセスの責任者・営業・サポート・人事で確認する。 「この三つがあれば、他は入社後に補える」と言えるか。
手順の要点は、「一から三を先にやる」ことです。型・分担・顧客の状態が決まれば、必須はそこから逆算できます。
経歴で確かめられる要件と、面接でしか分からない要件
カスタマーサクセスでは、経歴の実績の数字が環境で決まるので、確かめ方の区別が重要です。
| 確かめる方法 | 要件の例 | 見方 |
|---|---|---|
| 経歴で確かめられる | 担当した顧客の種類と数と単価、こちらから働きかけた経験の有無、継続や拡大への取り組みの中身、前職の型(サポート寄りか営業寄りか)と分担、扱ったプロダクトの種類 | 書類の一次絞りで。「継続率〇〇」ではなく、「どんな顧客に、何を、どう働きかけたか」の記述があるかを見る |
| 経歴では分からない | 働きかけの質、解約の予兆をどう見つけるか、顧客の声をどう社内に戻すか、営業やサポートとの連携の姿勢、動かせない指標への向き合い方 | 面接で、責任者が聞く。「一番継続や拡大につながった顧客との関わりを、最初から順に」。構造化面接 |
| 経歴でも面接でも分かりにくい | 実際の顧客との会話の質、複数の顧客を同時に見る段取り | 自社の顧客の実例(匿名化)を題材にした短い課題や、責任者との同席の試行 |
分け方の要点は、「面接で、一つの顧客との関わりを最初から順に話してもらう」ことです。実績の数字の裏に、どんな働きかけがあったか、何を見て動いたか、営業やサポートとどう連携したかが、一つの顧客の話で見えます。
転向元ごとの要件の書き方
カスタマーサクセスの経験者は限られるので、型に合う転向元ごとに要件の書き方を変えると、母集団が広がります。
| 転向元 | 合う型 | 持っているもの | 要件の書き方 | 面接で確認すること |
|---|---|---|---|---|
| カスタマーサクセスの経験者 | 型による | 型の中での動き方 | 「型に合う働きかけの経験」 | 前職の型と分担が自社と近いか |
| 営業の既存顧客の担当 | 営業寄り | 継続と拡大を作る働きかけ | 「既存顧客の継続と拡大に取り組んだ経験」 | 新規に戻りたいだけでないか、少数に深く関われるか |
| 導入支援・オンボーディング | 活用の促進が中心 | 活用を定着させる働きかけ | 「導入後の活用を定着させた経験」 | 導入後の継続まで見る意欲があるか |
| カスタマーサポート | サポート寄り。営業寄りでも課題を聞き出す接触に慣れた人 | 課題の解決、顧客との接触 | 「顧客の課題を解決し、改善を提案した経験」 | こちらから動けるか、目標に向き合えるか |
| コンサルティング | 少数に深く関わる型 | 長期の伴走 | 「顧客の課題に長期で伴走し成果を出した経験」 | 多数を仕組みで支える型に向くか |
| プロダクトや事業の担当 | プロダクトとの連携が中心の型 | プロダクトの理解 | 「顧客の声を集めてプロダクトに反映した経験」 | 顧客と直接接する経験があるか |
書き方の要点は、「型によって、合う転向元と必須の書き方が違う」ことです。営業寄りの型なら営業の既存担当と導入支援、サポート寄りの型ならサポート。型を決めれば、転向元と書き方が決まります。
要件が決まらないときの原因
| 原因 | 起きていること | 直し方 |
|---|---|---|
| 型が決まっていない | 「カスタマーサクセスを置きたい」だけ | サポート寄りか営業寄りか、顧客の数と単価、指標を決める |
| 分担が決まっていない | 営業とサポートから何を渡すか曖昧 | 契約後のどこから、問い合わせは誰が、拡大は誰がを決める |
| 顧客の状態を把握していない | 継続率の傾向も活用の状態も分からない | 把握する。原因を分ける |
| 実績の数字で書いている | 書きやすい | 取り組みの中身に書き換える |
| 営業とサポートの両方を必須にしている | 両方分かる人が理想 | 型が寄る側を必須に、もう一方を歓迎に |
| 指標が動かせない部分を含んでいる | 継続率をそのまま指標に | 動かせる部分と動かせない部分を分ける |
| 責任者が要件の議論にいない | 人事と経営だけで決めている | カスタマーサクセスの責任者(いなければ営業とサポートの責任者)を入れる |
| 市場の実態を知らない | 「経験者が普通にいるはず」 | 代行や媒体に、その要件での人数を聞く。転向層を含めた数も |
原因の要点は、「型と分担が決まっていない」ことが最も多い点です。この二つが決まれば、必須は逆算でき、転向元も決まります。
代行に出せる工程
| 工程 | 社内で持つ | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 型・分担の決定 | 判断 | 決める打ち合わせの進行 |
| 顧客の状態の把握 | 社内が出す | 一覧にする |
| 必須と歓迎の分離 | 「初日に成り立つか」の判断は社内 | 問いを立て、一つずつ確認する進行 |
| 肩書・実績・年数の書き換え | 中身は社内が出す | 取り組みの中身の言葉に直す |
| 転向元ごとの要件の設計 | 判断 | 型に合う転向元ごとの書き方と確認の提案 |
| 指標と評価の確認 | 責任者が決める | 要件との整合の確認。動かせる部分と動かせない部分の分け方の提案 |
| 市場の実態の確認 | 判断 | その要件での人数を示す。転向層を含めて |
| 求人票への反映 | 確認 | 書く |
| 書類の一次絞り | 働きかけの質の妥当性 | 転向元の分類。「どんな顧客に、何を、どう働きかけたか」の記述の有無 |
| 面接で見る点の整理 | 責任者が使う | 歓迎の要件と、転向元ごとの確認の質問の案 |
分け方の要点は、「型・分担・顧客の状態は、社内でしか決められない」ことです。代行は、決める打ち合わせの進行と、決まったものの言語化、転向元ごとの設計を担えます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、カスタマーサクセスの要件で最も時間がかかるのは、依頼側が「継続率の実績」を手放すことです。安心のために求めた実績の数字が、環境で決まる数字で、自社での再現を示さないと分かるまでに時間がかかります。型と分担から逆算すると、必須は「型に合う働きかけの経験」「継続や拡大に取り組んだ中身」「自社と近い顧客の数を担当した経験」に落ち着き、転向層が母集団に入ります。
エラベルでは、カスタマーサクセスの案件で要件が整理されていない場合、担当者の最初の仕事を「型と分担を決める打ち合わせの進行」にすることをお勧めしています。型と分担が決まると、求人票の一行目が書け、転向元ごとの訴求と確認が設計でき、経験者の少なさを転向層で補えます。
まとめ
- カスタマーサクセスの必須要件は、先に型と分担を決め、「入社初日に自社の型で顧客対応が成り立つか」で三つ以内に
- 要件が膨らむ理由は肩書を必須にする・継続率の実績を必須にする・営業とサポートの両方を求める・プロダクトの種類を必須にする・年数で書く
- 肩書・実績の数字・年数は必須にしない。取り組みの中身(どんな顧客に、何を、どう働きかけたか)で書く
- 営業とサポートの両方を必須にしない。型が寄る側を必須に
- 絞る手順は型→分担→顧客の状態→全部書き出す→初日に成り立つか→覚えられるか・補えるか→取り組みの中身に書き換え→歓迎に優先順位→指標と評価を確認→四者で確認
- 面接では一つの顧客との関わりを最初から順に話してもらう
- 型によって合う転向元が違う(営業の既存担当、導入支援、サポート、コンサルティング、プロダクトの担当)
- 決まらない原因の多くは型と分担が決まっていないこと
よくある質問
継続率の改善実績を必須にしないと、成果を出せない人を採ってしまいませんか
継続率の実績は、本人の働きだけでなく、前職のプロダクトの質、営業の売り方、価格で決まります。良いプロダクトの会社にいた人は実績が良く、難しい環境で工夫してきた人は実績が悪いことがあり、実績で選ぶと前者を採り、自社の環境で同じ結果が出るとは限りません。「継続や拡大に取り組んだ中身」を必須にし、面接で「一つの顧客との関わりを最初から順に」話してもらうと、数字の裏の働きかけの質が見えます。成果を出せるかは、実績の数字より、働きかけの中身で判断します。
営業もサポートも分かる人でないと、カスタマーサクセスは務まらないのでは
自社の型が営業寄りなら、こちらから働きかける力を必須にし、課題を解決する力は歓迎にします。サポート寄りなら逆です。両方を深く持つ人は限られ、必須にすると市場にほとんどいません。もう一方の力は、入社後に自社の型の中で身に付くことが多い。分担が整っていれば、営業寄りのカスタマーサクセスが問い合わせ対応を深く担う必要は無く、サポート寄りが拡大の提案を担う必要も無い。両方を求めるのは、分担が決まっていないことの表れであることが多い。
自社と同じ業界のプロダクトの経験を必須にしてよいですか
歓迎にとどめます。プロダクトの知識は入社後に覚えられ、顧客への働きかけの型(こちらから動く、課題を聞き出す、継続と拡大に取り組む)が同じなら、プロダクトが違っても再現されます。同じ業界に限ると、母集団が狭く、競合からの採用になります。専門性が極めて高く、初日からプロダクトの知識が無いと顧客と話せない場合だけ、業界の経験を必須にします。その場合も、「同じ業界」ではなく「近い業界の、同じ形態のプロダクト」まで広げると、母集団が広がります。