採用代行 / カスタマーサクセス
カスタマーサクセスの母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
カスタマーサクセスの募集で起きる母集団の問題は、応募がまったく来ない場合と、応募は来るが型が違う(営業寄りの役割を求めているのにサポートの経験者ばかり、またはその逆)場合、面接まで進んで「評価が曖昧」「何でも屋になりそう」と見送られる場合に分かれます。原因の多くは求人票と分担の設計にあります。結論を先に書くと、カスタマーサクセスの母集団形成は、「求人票で型・分担・指標と評価を示す」「出し先を型に合う転向層のいる場所にする」「スカウトを転向元ごとに分ける」「面接で分担と評価を正直に伝える」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。カスタマーサクセスは比較的新しい職種で、経験者だけを待つと母集団が狭く、型に合う転向層を入れる設計が母集団の大きさを決めます。代行に出す工程の線はカスタマーサクセス採用を代行に出す判断基準に、インサイドセールスの母集団形成はインサイドセールスの母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
応募がほとんど無い場合は、求人が届いていないか、条件(固定給、評価の仕組み、担当する顧客の数)で見送られているかのどちらかです。「カスタマーサクセス」の職種名で探す人は限られるので、届いていないことも多い。
応募はあるが型が違う場合は、求人票が型を示していないことが原因です。「顧客対応」「定着支援」と書かれているとサポートの経験者が応募し、「継続率と拡大」と書かれていると営業の経験者が応募します。どちらの型を求めているかが一行目で分かる必要があります。
面接まで進んで見送られる場合は、分担と評価が曖昧なことが原因です。候補者が面接で「営業とサポートとの分担は」「何で評価されるか」を確かめ、答えが曖昧だと、「何でも屋になって評価されない」と判断します。
どの症状かは、応募者を転向元(サポート、営業の既存担当、コンサルティング、導入支援、カスタマーサクセス経験者)で分類し、面接での候補者の質問を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「型・分担・指標と評価」があるか
求人票を開いて、次の六つが読み取れるかを確認します。
- 型。 サポート寄りか営業寄りか、担当する顧客の数と単価。一行目で分かる形に
- 分担。 契約後のどこからカスタマーサクセスが持つか、問い合わせは誰が、拡大の提案は誰が
- 成果の指標と評価。 継続率か、活用度か、拡大か。どう評価するか。固定と歩合や賞与の仕組み
- 顧客の状態。 顧客の数、単価、継続率の傾向、活用の状態。正直に
- プロダクトや営業との連携。 顧客の声をプロダクトに戻す仕組み、拡大の機会を営業に渡す仕組み
- チームの体制。 一人目か、チームに加わるか。一人目なら、仕組みを作るところから
六つのうち、二つ目と三つ目が最も抜けます。分担が無い求人票は「何でも屋」と読まれ、指標と評価が無い求人票は「評価されない役割」と読まれます。
一人目で仕組みが無い状態は、隠さず「作るところから」と書きます。仕組みを作ることに魅力を感じる人と、整った仕組みの中で動きたい人は違い、正直に書くことで前者が応募します。
エラベルの見解
相談で多いのは、「カスタマーサクセスを募集して、応募はあるのに、面接で『前職はサポートでした』という人ばかり」というご相談です。求人票を見ると、「カスタマーサクセス募集。顧客の定着支援、問い合わせ対応、活用促進」と書かれていて、サポート寄りと営業寄りが混ざっています。自社が求めているのは営業寄り(活用の提案と継続・拡大)なのに、「問い合わせ対応」の文字でサポートの人が応募しています。求人票が、型を決めていません。
見ていて差がつくのは、「一行目で型を宣言し、分担と評価を書いているか」です。「契約後の顧客に活用の提案と定期的な接点で継続と拡大を作るカスタマーサクセス。担当は数十社、問い合わせはサポートが持ち、拡大の提案はカスタマーサクセスが担う。評価は継続率と拡大の売上」。ここまで書けば、サポート寄りの人は自分向けでないと分かり、営業寄りの経験がある人は分担と評価を確認して応募します。エラベルでは、カスタマーサクセスの担当者に、求人票の一行目と分担・評価を依頼側と決めるところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が型に合う転向層のいる場所か
求人票が整ったら、出し先を見ます。カスタマーサクセスの経験者は限られ、型に合う転向層を含める設計が母集団の大きさを決めます。
| 出し先 | 向く型 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体・営業職の媒体 | 「カスタマーサクセス」で探す経験者に届けたい | 経験者は限られる。転向層に届く書き方を |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | 型に合う経験の人に、こちらから届けたい | 肩書ではなく、型に合う経験(活用の提案、継続の取り組み、拡大の提案)で検索 |
| カスタマーサポートからの転向層 | サポート寄りの型。または営業寄りでも、顧客の課題を聞き出す接触に慣れた人 | 営業寄りなら、こちらから動くことと目標への向き合い方を確認 |
| 営業の既存顧客の担当からの転向層 | 営業寄りの型。継続と拡大を作ってきた人 | 新規の営業に戻りたいだけでないか、少数の顧客に深く関わることに向くかを確認 |
| 導入支援・オンボーディングの担当からの転向層 | 活用の促進に強い | 導入後の継続の取り組みの経験があるかを確認 |
| コンサルティングからの転向層 | 高単価で少数の顧客に深く関わる型 | 多数の顧客を仕組みで支える型には向きにくいことがある |
| プロダクトや事業の担当からの転向層 | プロダクトの理解が深い。顧客の声をプロダクトに戻す型 | 顧客と直接接する経験があるかを確認 |
| 社員の紹介 | 社内の営業やサポートの担当が知人を持つ | 求人票の六つを社員に渡す。リファラルが進まない理由 |
出し先の要点は、「型によって、合う転向元が違う」ことです。サポート寄りの型にはサポートからの転向層が合い、営業寄りの型には営業の既存担当や導入支援からの転向層が合います。型を決めずに出し先を選ぶと、合わない転向元に費用と時間を使います。
見直す順番の三番目:スカウトが転向元ごとに分けられているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、「カスタマーサクセス」の肩書ではなく、型に合う経験で絞ります。営業寄りなら「既存顧客の継続と拡大」「活用の提案」「解約の予兆への対応」の経験、サポート寄りなら「顧客の課題の解決」「定着の支援」の経験。肩書だけで検索すると、型が混ざります。
文面は、一行目で候補者の経歴の一点に触れます。カスタマーサクセスの場合、触れる一点は「担当した顧客の種類と数」「継続や拡大の取り組み」「活用の促進の方法」のどれかで、自社の型と重なるものです。「〇〇の顧客〇〇社の継続と拡大を担当されてきたご経歴を拝見しました。当社でも、同じ規模の顧客に同じ形で関わっています」。その後に、型、分担、指標と評価、顧客の状態、連携、体制を書きます。転向元ごとに、一行目と訴求を変えます。文面の型はカスタマーサクセス向けスカウト文面の型に詳しく書きます。
見直す順番の四番目:面接で分担と評価を正直に伝えているか
応募も返信もあるのに、面接で辞退される場合、面接で何を伝えているかを見ます。カスタマーサクセスの候補者は、面接で「営業とサポートとの分担」「何で評価されるか」「顧客の状態」を確かめます。
面接には、カスタマーサクセスの責任者(いなければ営業かサポートの責任者で、型を分かっている人)と、分担の相手(営業の責任者、サポートの責任者)が出ます。分担の相手が「ここから先はカスタマーサクセスに渡す」と直接話すと、候補者は分担を確かめられます。
面接で、分担の曖昧さと、指標の動かしにくさを隠さないことが要点です。「分担はこれから整える」「継続率はプロダクトの影響もあり、カスタマーサクセスの働きで動かせる部分をこう分ける」。隠して入社してもらっても、すぐに分かります。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 型、分担、指標と評価、顧客の状態、連携、体制を社内が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。一行目の案 |
| 出し先 | 予算と契約の判断 | 型に合う転向層を含めた経路の提案、運用、数の整理 |
| スカウト | 型の確定 | 型に合う経験で絞った検索、転向元ごとの一行目の個別化、送信、一次対応 |
| 面接 | 責任者と分担の相手の面接の枠、顧客対応の質の評価、分担と評価の説明 | 一次返信、日程調整、転向元の分類、進捗の管理 |
分け方の要点は、「型・分担・指標は、社内でしか決められない」ことです。外部は、決まったものを言葉にし、型に合う転向層を含めた経路で探す役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、カスタマーサクセスの母集団形成で最も効くのは、求人票の一行目で型を示すことと、分担と評価を書くことです。前者で型の違う応募が減り、後者で面接後の辞退が減ります。カスタマーサクセスの経験者は限られるので、型に合う転向層を経路に含めることが、母集団の大きさを決めます。
エラベルでは、カスタマーサクセスの案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は求人票の六つの項目を社内と一緒に埋め、型に合う転向元ごとの訴求と確認を設計することに使うようお伝えしています。媒体やスカウトはその後です。カスタマーサクセスは、経験者の少なさより、型の明示と転向層の設計で母集団が決まります。
まとめ
- カスタマーサクセスの母集団の問題は応募が来ない・型が違う人が来る・面接で分担と評価の曖昧さで見送られるの三つ
- 見直す順番は求人票の型・分担・指標と評価→出し先→スカウトの転向元分け→面接で分担と評価を正直に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には型(一行目)・分担・指標と評価・顧客の状態(正直に)・連携・体制の六つ。分担と評価が最も抜ける
- 出し先は型によって合う転向元が違う。サポート寄りはサポートから、営業寄りは営業の既存担当や導入支援から
- スカウトは肩書ではなく型に合う経験で絞り、転向元ごとに一行目と訴求を変える
- 面接には責任者と分担の相手が出て、分担の曖昧さと指標の動かしにくさを隠さない
よくある質問
「カスタマーサクセス」の経験者が少なく、応募が来ません
経験者だけを待つと来ません。型に合う転向層を経路に含めます。営業寄りの型なら、営業の既存顧客の担当や導入支援の担当、サポート寄りの型なら、カスタマーサポートの担当。要件で「カスタマーサクセスの経験」を必須にせず、型に合う経験(継続と拡大の取り組み、活用の提案、顧客の課題の解決)で書くと、転向層が母集団に入ります。転向元ごとに、持っているものと確認すること(こちらから動けるか、目標に向き合えるか、少数の顧客に深く関われるか)を分けて、面接で確かめます。
分担がまだ決まっていない状態で、正直に書くと誰も来ませんか
整った分担の中で動きたい人は来ませんが、その人は入社後に「分担が無い」と分かって離れる人です。「一人目として、営業とサポートとの分担を一緒に作るところから関わってほしい」と正直に書くと、仕組みを作ることに魅力を感じる人が応募します。この層は、整った大企業より、作れる余地のある会社を選ぶことがあります。ただし、「作るところから」と書くなら、経営と営業・サポートの責任者が分担の設計に時間を使うことを、面接で約束します。約束が無いと、入社後に一人で分担を作ることになり、離れます。
継続率が低い状態です。正直に書くと、不利になりませんか
継続率が低いこと自体は、カスタマーサクセスの候補者にとって「やることがある」状態で、必ずしも不利ではありません。ただし、低い原因を分けて書くことが要です。カスタマーサクセスの働きで動かせる部分(活用の促進、定期的な接点、解約の予兆への対応)と、動かせない部分(プロダクトの質、営業の売り方)を分け、「動かせる部分をこう評価する」と書けば、候補者は「動かせない部分の責任を負わされない」と判断できます。低い継続率を隠すと、面接か入社後に分かり、「聞いていた話と違う」となります。