採用代行 / エンジニア
エンジニアの母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
エンジニアの募集を出したのに、応募がほとんど来ない。来ても、求めている経験と違う。この状態で多くの会社がやるのは、媒体を増やすことです。ただ、媒体を増やしても、求人票の中身が変わらなければ、同じ結果が増えるだけです。結論を先に書くと、エンジニアの母集団形成で応募が集まらないときは、「求人票の中身」「出し先」「スカウトの個別化」「選考の速さ」の順に見直し、前の段階が直っていないうちに次の段階に手を付けないのが、遠回りに見えて最短です。エンジニアは候補者の側が選ぶ職種で、選ばれる材料が求人票に無いまま母集団を広げても、選ばれません。代行に出す工程の線はエンジニア採用を代行に出す判断基準に、スカウトの文面はエンジニア向けスカウト文面の型にまとめています。
応募が来ない構造
まず、エンジニアの応募が来ない構造を、三つに分けます。どれに当たるかで、見直す場所が変わります。
一つ目は、求人が候補者に届いていない状態です。一般の求人媒体にだけ出していて、エンジニアが見る場所に無い。あるいは、検索で引っかかる言葉(技術の名前、職種の名前)が求人票に無い。この場合、求人票を磨いても、見られていないので効きません。
二つ目は、届いているが、読まれて選ばれていない状態です。求人票は開かれているが、応募に進まない。エンジニアが知りたいこと(使っている技術、開発の進め方、任される範囲)が書かれておらず、会社の紹介と「募集要項」だけで終わっている。エンジニアは、自分にとって何があるかが分からない求人には応募しません。
三つ目は、応募はあるが、選考の途中で離れていく状態です。応募から返信まで日数が空く、面接の日程が決まらない、技術の話ができる面接官がいない。応募の数は足りているのに、面接に進む頃には候補者が他社で決まっている。
多くの会社は、一つ目だと思って媒体を増やしますが、実際は二つ目か三つ目であることが多い。応募の数だけでなく、求人票の閲覧数、応募から面接までの日数を見ると、どれに当たるかが分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「エンジニアが知りたいこと」があるか
求人票を開いて、次の五つが書かれているかを確認してください。
- 使っている技術。 言語、フレームワーク、インフラ、ツール。名前を具体的に。「モダンな環境」は書いていないのと同じ
- 開発の進め方。 チームの人数、役割の分担、レビューの有無、リリースの頻度。エンジニアは、どう働くかを知りたい
- 任される範囲。 設計から関わるのか、実装が中心か、運用も持つか。裁量の広さは、応募を決める大きな要素
- 技術的な課題。 いま何に取り組んでいて、何が難しいか。「課題がある」と正直に書くほうが、経験のある人には響く
- チームの技術的な志向。 新しい技術を試すのか、安定を重視するのか。合う人を引き寄せ、合わない人を遠ざける
五つのうち、一つ目と三つ目が最も抜けます。技術の名前が無い求人票は、検索でも引っかからず、読まれても判断できません。任される範囲が無い求人票は、経験のある人ほど「自分の経験が活きるか分からない」と応募を見送ります。
五つを書くと、求人票は長くなります。それでよいと考えてください。エンジニアは長い求人票を読みます。読んで判断したいからです。短くて何も分からない求人票のほうが、応募を減らします。
書けない項目があれば、社内で決まっていないということです。現場のエンジニアに聞いて埋めます。人事だけで書こうとすると、技術の名前が古かったり、範囲が曖昧になったりします。
エラベルの見解
相談で多いのは、「媒体を三つ使っているのに応募が来ない」というご相談です。求人票を見せていただくと、会社の紹介が長く、技術の名前が一つも無く、「Webエンジニア募集」「経験三年以上」で終わっています。この求人票を三つの媒体に出しても、エンジニアは三回スルーします。媒体の問題ではなく、求人票の問題です。
見ていて差がつくのは、「現場のエンジニアが求人票を読んでいるか」です。人事が書いた求人票を、現場のエンジニアに「これを見て応募したいか」と聞く。多くの場合、「技術が書いていない」「何をやるか分からない」と返ってきます。現場の言葉で書き直した求人票は、同じ媒体で応募が変わります。エラベルでは、エンジニア採用の担当者を紹介するとき、求人票の技術の記述を現場と一緒に埋めるところから始めています。媒体を増やすのは、その後です。
見直す順番の二番目:出し先がエンジニアのいる場所か
求人票が整ったら、出し先を見ます。エンジニアは、一般の求人媒体より、エンジニア向けの媒体、技術者のコミュニティ、リファラル(社員の紹介)、ダイレクトリクルーティングの媒体にいます。出し先の考え方を整理します。
| 出し先 | 向く状況 | 注意 |
|---|---|---|
| エンジニア向けの求人媒体 | 技術の名前で探す候補者に届けたい | 媒体ごとに候補者の層が違う。仕様や費用は媒体の公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | 転職を考え始めた層に、こちらから届けたい | スカウトの文面と個別化が要る。送るだけでは返信は来ない |
| 社員の紹介 | 社内にエンジニアがいる | 紹介しやすい情報(求人票の五つ)を社員に渡す。リファラルが進まない理由 |
| 技術者のコミュニティ・勉強会 | 特定の技術領域の人と接点を作りたい | 採用の場ではない。関係を作ってから |
| 一般の求人媒体 | 未経験や若手を広く | 経験者には届きにくい |
| 紹介会社 | 急ぎで、費用より速さ | エンジニアに強い紹介会社かを確認 |
出し先の要点は、「一つの媒体に頼らず、二〜三の経路を組み合わせる」ことです。ただし、求人票が整っていない状態で経路を増やしても効きません。一番目が先です。
見直す順番の三番目:スカウトが候補者ごとに変わっているか
ダイレクトリクルーティングを使っているのに返信が来ない場合、文面を見ます。エンジニアへのスカウトで最も多い失敗は、会社の紹介から始まる定型文を全員に送っていることです。
エンジニアは、スカウトの一行目で「自分の経歴を読んだかどうか」を判断します。読んでいないと分かれば、以降は読みません。冒頭に、候補者の経歴の具体的な一点(使っている技術、関わったプロダクト、経験した工程)に触れ、それが自社のどこと重なるかを書く。会社の紹介は、その後です。
文面の型はエンジニア向けスカウト文面の型に詳しく書きますが、母集団形成の観点では、「送信数を増やす前に、返信率を見る」ことが要点です。返信率が低いまま送信数を増やすと、候補者の側に「この会社は定型文を送ってくる」という印象が広がり、以後の返信率がさらに下がります。
見直す順番の四番目:選考の速さで離脱していないか
応募はあるのに面接に進む頃には辞退される場合、選考の速さを見ます。エンジニアは複数の会社を同時に受けていて、返信の遅い会社から順に離れます。
見るのは、応募から一次返信までの日数、書類の確認にかかる日数、面接の日程が決まるまでの日数、面接から結果までの日数です。どれかが一週間を超えていれば、そこで離脱が起きています。多くの場合、書類の確認と面接の日程で日数が消えています。現場のエンジニアが忙しく、書類を見る時間と面接の枠が取れないことが原因です。
直し方は、現場の面接の枠を先に固定することです。「毎週この曜日のこの時間は面接に空けておく」と決めておくと、候補者を待たせません。書類の一次絞りは、要件に沿った機械的な部分を人事か代行が担い、現場は技術の妥当性だけを見る形にすると、確認の日数が縮みます。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
四つの段階を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 五つの項目の中身(技術、進め方、範囲、課題、志向)を現場が出す | 現場から聞き取って文章にする。候補者に伝わる言葉に直す |
| 出し先 | 予算と、媒体の契約の判断 | 媒体の選定の提案、出稿の運用、効果の数の整理 |
| スカウト | 対象の条件の最終確認 | 検索、文面の個別化、送信、返信の一次対応 |
| 選考の速さ | 現場の面接の枠の確保、技術評価 | 一次返信、日程調整、書類の機械的な絞り込み、進捗の管理 |
分け方の要点は、「求人票の中身は現場から出る」ことです。外部が書けるのは、現場が出した中身を候補者に伝わる言葉にする部分で、中身そのものは現場にしかありません。代行に「求人票を書いてください」と頼むときは、現場が中身を出す時間を先に確保してください。
エラベルの見解
担当する側から見ると、エンジニアの母集団形成で最も効くのは、求人票の五つの項目を現場から引き出す作業です。技術の名前、開発の進め方、任される範囲。これが求人票とスカウトの中身になり、出し先を変えなくても応募の質が変わります。逆に、この作業を飛ばして媒体とスカウトの送信数だけを増やすと、担当者は動いているのに、結果が出ません。
エラベルでは、エンジニア採用の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は求人票の中身を現場と一緒に埋めることに使うようお伝えしています。依頼側から見ると「まだ募集が始まらない」と感じる期間ですが、ここを飛ばした募集は、応募が来ないか、合わない応募が来るかのどちらかになります。順番を守ることが、結果的に最も早い母集団形成です。
まとめ
- エンジニアの応募が来ない構造は届いていない・読まれて選ばれていない・選考の途中で離れるの三つ。多くは二つ目か三つ目
- 見直す順番は求人票の中身→出し先→スカウトの個別化→選考の速さ。前の段階が直っていないうちに次に手を付けない
- 求人票には使っている技術・開発の進め方・任される範囲・技術的な課題・チームの志向の五つ。長くなってよい。現場が中身を出す
- 出し先はエンジニア向け媒体・ダイレクトリクルーティング・社員の紹介・コミュニティを組み合わせる。求人票が整ってから
- スカウトは送信数より返信率。冒頭で候補者の経歴に触れる
- 選考の速さは現場の面接の枠を先に固定。書類の機械的な絞り込みは外に出せる
よくある質問
技術の名前を求人票に書くと、古い技術を使っていることが分かってしまいます
書いたほうがよい。古い技術を使っていることを隠して応募を集めても、面接や入社後に分かり、そこで離れます。書いたうえで、「この技術を使っていて、こう変えていきたい」「この部分は新しい技術に移行中」と、方向を添えると、その方向に関心のある人が応募します。古い技術を書かないことで来るのは、新しい技術だけを求める人で、入社後に合いません。正直に書くほうが、合う人が来ます。
現場のエンジニアが忙しく、求人票の中身を出す時間が取れません
一時間の打ち合わせを一回、確保してください。五つの項目を、現場に口頭で話してもらい、人事か代行が書き取って文章にします。現場が書く必要はなく、話すだけで足ります。一時間が取れないなら、採用を始める前提が整っていないので、募集を出しても応募が来ないか、来ても面接に出られません。現場の時間は、求人票の一時間と、面接の枠の確保の二つだけは、先に確保します。
媒体を増やせば、少なくとも応募の数は増えるのではないですか
数は増えることがありますが、求人票が変わっていなければ、合わない応募が増えます。合わない応募は、書類を見る時間と、断る手間を増やし、現場を疲れさせます。応募の数ではなく、面接に進んだ数と、面接で「合う」と判断された数を見てください。この数が増えるのは、求人票の中身が変わったときで、媒体を増やしたときではありません。媒体を増やすのは、求人票が整い、一つの媒体で面接に進む数が出始めてからです。