採用代行 / 比較・選び方

採用代行を比較するときにそろえる項目

公開 2026-09-07

複数社の見積もりを並べても、そのままでは比較になりません。書式も項目名も会社ごとに違い、そもそも同じものを比べていないことが多いからです。比較の前に、条件を同じ単位にそろえる作業が要ります。この記事では、比較表をどう作るか、何を計算し直すかを手順として整理します。

表の行に置くもの

比較表の行には、次の項目を置きます。金額は最後に置きます

範囲

体制

稼働の定義

費用

契約条件

この構成にすると、金額の差がどこから来ているかが見えます。範囲が狭いのか、稼働が少ないのか、掛け持ちが多いのか。差の分解は同じ条件で見積もりに差が出る理由にまとめています。

単位をそろえる計算

書かれている数字のままでは並びません。次を計算し直します。

一.実質の時間単価を出す
月額を想定稼働時間で割ります。時間単価型ならそのまま、成果報酬型なら想定件数から逆算します。これで体系の違う見積もりが同じ土俵に乗ります

二.同じ期間の総額を出す
契約予定期間で計算します。月額×月数に、初期費用と実費を足します。成果報酬型なら、採用予定人数×単価。

三.一名あたりに直す
総額を採用予定人数で割ります。採用人数と期間を先に置かないと計算できません

四.社内の稼働を足す
どの提案でも、面接と合否判断の時間は残ります。提案によって社内の負荷が変わるなら、その差も金額にします。

この四つを計算すると、金額の議論ができる状態になります。計算しないまま並べても、どちらが割高かは分かりません。

エラベルの見解

比較表を作るときに、空欄をそのままにしないでください。空欄は「情報がない」ということであり、それ自体が判断材料です。

たとえば、担当者の同時担当社数の欄が空いている。稼働の定義が書かれていない。成果物の帰属が不明。これらは聞けば埋まる項目です。聞いても埋まらないなら、その会社は社内でその情報を管理していないということになります。

そして、空欄が多い提案は、契約後も同じ状態が続きます。稼働報告の粒度も、範囲の明確さも、商談の段階の情報の出方と相関します。商談での情報の粒度は、契約後の運用の予告編です。

だから、比較表は「埋めるための質問リスト」としても使ってください。作りながら、聞くべきことが自動的に見えてきます。

そして、埋まらなかった欄がどこかを記録しておいてください。A社は体制が埋まらない、B社は終了時の扱いが埋まらない。何が出てこないかに、その会社の弱い部分が出ます

金額を比べる前に、この表がどこまで埋まったかを見る。ここで差がつくことは少なくありません。

そろわない項目の扱い

すべてが同じ条件になるとは限りません。そろわない場合の扱いです。

範囲が違う。片方に設計の工程が含まれ、もう片方には含まれない。含まれない側が自社で持てるかを確認します。持てるなら、その工程を除いて比較します。持てないなら、その工程の分を金額に置いて足します。

体系が違う。月額と成果報酬。総額に直して比べます。あわせて、採れなかった場合の二通りでも計算します。

期間が違う。提案されている期間が違うなら、同じ期間に直します。最低契約期間がある場合は、それを下限として見ます。

担当者の情報が出ない。出ない理由を聞き、記録に残します。この差は金額に換算できないので、判断の材料として別に扱います

点数化は慎重に

比較表を作ると、点数をつけて合計したくなります。ただ、この方法には注意が要ります

重みが恣意的になる。担当者の経験と料金を同じ配点にすると、金額の差が過大に効きます。

譲れない項目が埋もれる。成果物の帰属や情報の置き場所は、満たさなければ選べない項目です。点数の合計では、これが他の高得点で相殺されます。

現実的な方法は、二段階に分けることです。

第一段階:満たさなければ選ばない条件を決める。成果物の帰属、担当者の経歴の開示、稼働報告の粒度、終了時の引き渡し。ここを満たさない提案は外します

第二段階:残った提案を金額と体制で比べる。ここで初めて、実質単価や総額の比較が意味を持ちます。

この順番にすると、判断が単純になります

表を作った後の使い道

比較表は、選ぶためだけのものではありません。

契約書のレビューに使う。表に埋めた条件が、契約書に反映されているかを確認します。商談で聞いた稼働時間や体制は、契約書には書かれないことが多い

別紙の材料にする。判断の理由になった項目を、契約の別紙に入れてもらいます。担当者の稼働時間、同時担当社数、報告の頻度と粒度、交代時の通知。

契約後の物差しにする。想定した稼働時間と、実際の稼働報告を比べられます。想定を持たずに契約すると、報告を見ても妥当かどうかが分かりません

次回の比較に使う。契約更新や依頼先の切り替えのときに、同じ表を使えます。項目を変えなければ、経年の比較にもなります。

エラベルの見解

比較表を作る作業は、自社が何を買おうとしているのかを決める作業でもあります。

表を作る前は、「採用代行にいくら払うか」という問いです。作った後は、「経験のある担当者の週何時間分を、どの工程で買うか」という問いに変わります。後者のほうが、社内の説明もしやすくなります

月額の金額だけを稟議に出すと、高いか安いかの議論になります。誰が週何時間入り、社内の何時間を空けるのか、という形で出せば、判断の材料が揃います。

そして、この表は自社の準備の不足も教えてくれます。範囲の欄を埋めようとして、依頼したい工程が決まっていないことに気づく。稼働量の欄で、いま社内で何時間使っているか分からないことに気づく。

比較表は、相手を評価する道具であると同時に、自社の状態を映す道具です。埋まらない欄が自社側の準備不足なら、そこから手をつけてください。準備の項目は発注する前のチェックリストにまとめています。

まとめ

よくある質問

何社から見積もりを取るべきですか

数より、比較できる形になっているかです。三社から取っても範囲がばらばらなら判断材料になりませんし、二社でも条件がそろっていれば比べられます。同じ依頼文を渡すことのほうが、社数を増やすより効きます。

比較表を作る時間がありません

範囲・体制・稼働の定義・総額の四項目だけでも作ってください。この四つがあれば、金額の差の理由はほぼ説明できます。細かい契約条件は、候補が絞れてから確認する形でも間に合います。

金額以外で決め手が見つかりません

満たさなければ選ばない条件を先に決めてください。成果物の帰属、担当者の経歴の開示、稼働報告の粒度、終了時の引き渡し。この四つを満たす提案だけを残すと、候補が絞れます。判断軸の全体は採用代行会社の選び方にまとめています。