採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行を発注する前のチェックリスト
採用代行を発注するとき、確認することは多岐にわたります。ただ、順番に進めれば漏れは減ります。自社の準備が先で、見積もりはその後。契約の確認は商談の後。この順番を守ると、後戻りが少なくなります。この記事では、五つの段階に分けて確認項目を並べます。各項目の詳細は、それぞれの記事にまとめています。
第一段階:自社の準備
見積もりを取る前に決めておくことです。ここが決まっていないと、各社から違う前提の提案が届きます。
- 採用したい職種と人数、時期(未定なら「未定」と書く)
- 依頼したい工程の一覧(母集団形成、応募対応、日程調整、一次仕分け、レポート)
- 社内に残す業務(合否判断、面接、条件提示)
- 想定する稼働量(週あたりの時間、または月あたりの件数)
- 使っている媒体と採用管理システム、その契約名義
- 採用要件(必須と歓迎、落とす理由)が文書になっているか
- 自社が判断を返せる速さ(書類の合否、候補日の提示)
六番目が最も重要です。要件が固まっていないまま外注すると、代行側は判断のたびに確認することになります。工程の切り分けは採用代行とはにまとめています。
七番目も先に決めます。自社の判断が遅いと、誰に頼んでも進みません。
第二段階:見積もり
- 各社に同じ依頼文を渡したか(工程・稼働量・社内に残す業務・期間)
- 見積もりの単位を確認したか(月額、時間単価、件単価、成果報酬)
- 項目名の中身を聞いたか(「スカウト運用」に何が含まれるか)
- 含まれないものを聞いたか(初期費用、実費、追加費用)
- 実質の時間単価を出したか(月額÷想定稼働時間)
- 総額を同じ期間で比べたか
- 自社の内製コストと並べたか
四番目の聞き方が効きます。含まれるものを並べてもらうより、含まれないものを聞くほうが漏れが出ません。読み方は見積もりの読み方、差の分解は同じ条件で見積もりに差が出る理由にまとめています。
エラベルの見解
このチェックリストの中で、一つだけ選ぶなら第三段階の質問です。「この金額で、誰が、週に何時間、何社を掛け持ちしながら入りますか」。
一文ですが、判断に必要な情報がほぼ含まれています。誰が、で経験の話になる。週に何時間、で稼働の定義の話になる。何社を掛け持ちで、で体制の話になる。
そして、答え方でその後の運用も読めます。数字がすぐ出る会社は、社内で稼働を管理しています。契約後に稼働報告を求めても、同じ粒度で出てきます。曖昧な答えしか返らない会社は、契約後の報告も曖昧になりがちです。
もう一つ加えるなら、「自社の採用でつまずきそうなところはどこだと思いますか」。要件を聞いただけで詰まりどころを指摘できる人は、似た状況を経験しています。一般論しか返らないなら、その職種の経験は浅いかもしれません。
この二つの質問は、費用も時間もかかりません。それでいて、見積もりの数字より多くのことが分かります。
商談の時間が限られているなら、この二つを優先してください。
第三段階:商談
- 実際に動くのは誰か。経歴を見せてもらえるか
- 同時に何社を担当するか
- 週に何時間、自社に入るか
- 立ち上げの一か月で何をどこまで進めるか
- 稼働の報告はどの単位で出るか。工程ごとの内訳は出るか
- 想定より時間がかかりそうなとき、どの時点で連絡が来るか
- 担当者が交代する場合、事前に知らされるか
- 再委託の有無
- 自社の採用でつまずきそうなところをどう見ているか
淀みなく答えられる会社は、社内の運用が固まっています。「契約後に決めます」が続くなら、契約後も個別交渉が続くと考えておくほうが実態に近くなります。担当者の確認は担当者を指名できるかにまとめています。
第四段階:契約
- 業務範囲が工程で書かれているか(「等」で終わっていないか)
- 指揮命令の線が条項に反映されているか
- 委託料と支払条件、稼働に数える範囲
- 実費と追加費用の扱い、上限
- 契約期間と自動更新、予告期限
- 解約の条件、担当交代時に解約できるか
- 再委託の可否と、義務の及び方
- 秘密保持と個人データの取り扱い
- 成果物とデータの権利、引き渡しの形式
- 担当体制(稼働時間、同時担当社数、交代時の通知)を別紙に残したか
十番目が抜けている契約が多くあります。判断の理由になった条件を書面に残しておくと、運用が変わったときに話し合いの土台ができます。確認項目は業務委託契約書で確認する10項目にまとめています。
条項の内容に不明な点があるときは、締結前に専門家にご確認ください。
第五段階:運用開始前
- 権限の設計(採用管理システム、媒体、メール、チャット)と一覧の作成
- 情報の置き場所を決めたか(自社に集約する形か)
- 文面の型を用意したか(受付、日程案内、不採用、辞退への返信)
- 伝えてよい情報の範囲と、自社に戻す線
- 定例会の頻度と議題、稼働に数えるかどうか
- レポートの項目(工程ごとの内訳、成果物の量、判断の理由、担当者名)
- 重複判定のルール(過去の応募者への送信を防ぐ)
- 自社側の所要日数を決めて代行にも伝えたか
- 予告期限をカレンダーに入れたか
三番目と八番目は、後回しにされがちですが効果が大きい項目です。文面の型があると質が安定し、所要日数を伝えると候補者に見通しを案内できます。
エラベルの見解
このチェックリストを全部やる必要はありません。依頼の規模に応じて絞ってください。
スポットで文面を数通頼むだけなら、第一段階と第四段階の一部で足ります。範囲、報酬、納期、成果物の帰属。それ以上は過剰です。
一方、通年で複数職種の運用を任せるなら、五段階すべてを通す価値があります。期間が長く金額も大きいほど、先に決めておくことの効果が大きくなるからです。
そして、優先度をつけるなら次の四つです。要件が文書になっているか。誰が担当するか。成果物の帰属。権限の一覧。
この四つは、どの規模の依頼でも効きます。要件がなければ何も始まらず、担当者で結果が変わり、成果物が残らなければ蓄積せず、権限が把握できなければ管理できません。
残りは、必要になったときに足せます。最初から完璧を目指すより、この四つを押さえて始めるほうが実務は進みます。
まとめ
- 順番は、自社の準備 → 見積もり → 商談 → 契約 → 運用開始前
- 第一段階で最も重要なのは、要件が文書になっているかと自社の判断速度
- 見積もりでは「含まれないものを教えてください」と聞く
- 商談では「誰が、週に何時間、何社を掛け持ちで入るか」を聞く
- 契約では、担当体制を別紙に残す項目が抜けやすい
- 運用開始前は、文面の型と自社側の所要日数が効く
- 全部をやる必要はない。依頼の規模に応じて絞る
- どの規模でも効くのは、要件・担当者・成果物の帰属・権限の一覧の四つ
よくある質問
準備に時間をかけすぎて採用が遅れませんか
第一段階の準備は、外注しなくても必要なものです。要件が文書になっていなければ、社内で採用を進める場合も同じところで詰まります。優先するなら、要件と落とす理由を一枚にするところから始めてください。半日で作れます。
一社に絞っている場合も見積もりの段階は要りますか
必要です。相見積もりの目的は安い会社を探すことではなく、自社が何を依頼したいのかを言語化することにあります。一社に絞る場合でも、依頼文の一枚を作ってから商談に入ってください。提案の精度と、契約後の食い違いの少なさが変わります。
契約後に気づいた抜けはどうすればよいですか
運用のルールに関わる部分は、相談すればその月から変えられることもあります。契約に関わる部分は、更新のタイミングで覚書を交わす形が自然です。優先度としては、権限の一覧と成果物の帰属から手をつけると効果が早く出ます。よくある問題は採用代行でよくあるトラブルと予防策にまとめています。