保険業界の採用単価とRPO費用の考え方|「数で採って数で離れる」型から、残る人1人あたりの費用へ
保険業界の採用には、営業職員を多く採り、育てながら、その中から続く人を残していく型があります。応募は集まりやすい一方で、入社して数か月で離れる人も多く、採用を繰り返すことになります。保険代理店では、社長が営業と採用と教育を一人で担っていることも珍しくありません。このため、採用代行(RPO)の費用を1人採るまでの費用だけで比べると、実際にかかっている費用を見誤ります。結論から書くと、保険業界のRPO費用は、募集人の登録までの期間を含めて、一定の期間で残った人1人あたりの費用で比べると判断しやすくなります。
採用代行の料金や職種ごとの採用単価は、会社の規模・型・職種によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では相場の金額は扱いません。自社の数字で比べる手順を書きます。金融業界全体の考え方は金融業界の採用単価とRPO費用の考え方で書いています。
業界の採用構造:登録を経て初めて募集ができる
保険の募集に関わる仕事には登録が要ります。保険業法第276条は、生命保険募集人、損害保険代理店などの特定保険募集人は、内閣総理大臣の登録を受けなければならないと定めています。このため、営業職員を採っても、資格の取得や登録を経るまでは保険の募集を担えません。
採用の費用を考えるときは、採るまでの費用に加えて、入社から登録を受けて募集を始めるまでの期間の給与や研修の費用を含めてください。登録の前に辞める人が多ければ、その費用は回収できないまま失われます。登録の要件や手続きなど個別の判断は、所管の窓口や専門家にご確認ください。業界の採用の難しさは保険業界の採用代行で任せる範囲で書いています。
「残った人1人あたりの費用」で比べる
数で採って数で離れる型では、採用人数ではなく、一定の期間で残った人の数で費用を見ると、実態が分かります。
- 採用の費用を出す:求人広告、人材紹介の手数料、採用代行への支払い、説明会の費用など
- 登録までの費用を出す:入社から登録を受けて募集を始めるまでの給与と研修の費用
- 残った人数を数える:入社から一定の期間(たとえば1年)で残っている人数
- 割る:1と2の合計を、残った人数で割る
この計算をすると、採用人数を増やしても、残る人の割合が低ければ、残った人1人あたりの費用は下がらないことが分かります。採用代行の成果も、採用人数ではなく、残った人数で見てください。経路ごとにこの数字を出すと、どこから来た人が続いているかが見えてきます。
エラベルの見解
保険会社や代理店からの相談で多い思い込みは、採用人数を増やせば、残る人も増えるという考え方です。実際には、仕事の中身や報酬の仕組みを十分に伝えずに採用人数を増やすと、入社後に想像と違うと感じて離れる人の割合が上がり、残る人はあまり増えません。そのうえ、登録までの研修の費用と、教える側の時間が積み上がります。
採用代行を選ぶときは、応募の数より、報酬の仕組みや知人への提案から始まる働き方を、入社前に正確に伝えられる担当者かどうかを見てください。入社前に実態を伝え、合わない人が選考の段階で離れる形にすると、採用人数は減っても、残った人1人あたりの費用は下がります。同じ料金でも、何を伝えるかで、残る人の数は大きく変わります。
報酬の仕組みを先に決めて伝える
営業職員の報酬は、固定の給与と成果に応じた報酬を組み合わせることが多くあります。成果の比率が高いほど、成果に自信のある人は集まりやすい一方、入社直後の収入が不安定になり、早く離れる人が出やすくなります。
報酬を設計するときに押さえておきたいのが、出来高払いの決まりです。労働基準法第27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならないと定めています。成果の比率を高くする場合でも、この保障の考え方を踏まえて設計してください。また、職業安定法第5条の4は、労働者の募集を行う者や募集受託者などが広告などで募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。成果を上げた一部の人の収入だけを示して応募を集めると、入社後のずれにつながります。報酬の設計など個別の判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
代理店と内勤の専門職の費用の考え方
保険代理店は小規模なことが多く、社長が営業と採用と教育を一人で担っていることがよくあります。この場合、応募への返事や面接の日程の調整が営業の合間になり、応募があっても選考が止まります。一次連絡と日程調整を採用代行に任せると、社長は面接と教育に集中でき、同じ広告の費用でも採れる人が増えます。
一方、保険会社の引受、査定、支払、数理、システムなどの内勤の専門職は、同業や隣接する業界からしか来ない人が多く、市場が狭くなります。この層は、少人数に絞ってスカウトや紹介に費用を寄せ、社内で育てた場合の期間と費用と比べて判断してください。人材紹介を使う場合、職業安定法第32条の3により、有料職業紹介事業者の手数料は、厚生労働省令で定める種類・額か、届け出た手数料表に基づくものに限られています。
エラベルの費用は、採用が決まったときに1名につき10万円(税別)です。採用が決まらなければ費用はかかりません。内勤の専門職や、代理店の中核を担う人を少人数採りたい場合の選択肢の一つとして比べてみてください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、保険の営業職員の定着は、入社後の最初の数か月の支え方で決まるということです。知人への提案から始める働き方では、最初の数か月で提案先が尽き、成果が出ずに離れる人が多くなります。採用の入口をどれだけ整えても、この時期の支えが手薄なら、残る人は増えません。
採用代行に任せるときは、採用の作業だけでなく、入社後の最初の数か月にどんな支えがあるのかを、候補者に具体的に伝えてもらってください。研修の中身、同行の有無、提案先の広げ方の支援などが伝われば、候補者は入社後の自分を想像でき、合う人が残ります。採用と入社後の支えを一続きで見ることが、残った人1人あたりの費用を下げる近道です。
まとめ
- 保険の募集を担うには登録が要るため、登録までの期間の費用を採用の費用に含める
- 採用人数ではなく、一定の期間で残った人1人あたりの費用で比べる
- 報酬の仕組みは出来高払制の保障給の考え方を踏まえて設計し、実態を求人で伝える
- 小規模な代理店は、一次連絡と日程調整を外に出して社長の時間を戻す
- 内勤の専門職は少人数に絞り、社内での育成と比べて費用をかける
よくある質問
保険業界の採用代行の費用の相場はいくらですか
採用代行の料金は、任せる業務の範囲や職種、料金の形によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。残った人1人あたりの費用を自社の数字で出し、その範囲で同じ業務範囲の見積もりを比べてください。エラベルの場合は、採用が決まったときに1名10万円(税別)です。
保険代理店でも採用代行を使う意味はありますか
社長が営業と採用を一人で担っていて、応募への返事が遅れているなら、一次連絡と日程調整を任せる意味はあります。採用の件数が少ない場合は、採用が決まったときに支払う形など、件数に応じて費用がかかる形を選ぶと始めやすくなります。
営業職員の採用で、未経験の人を採る場合に気をつけることは何ですか
資格の取得と登録までの流れ、その間の収入と研修の中身を、求人の段階で示してください。知人への提案から始める働き方についても、入社前に伝えておくと、入社後のずれを減らせます。登録の要件など個別の判断は、所管の窓口や専門家にご確認ください。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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