採用代行 / インサイドセールス
インサイドセールス採用を代行に出す判断基準|任せられる工程と残す工程
インサイドセールスの採用を代行に出すとき、「営業の採用」と同じ感覚で頼むと、ずれます。インサイドセールスは、マーケティングが集めた見込み客に電話やメールで接触し、商談の機会を作ってフィールドセールスに渡す役割で、営業組織の中の分担で成り立つ職種です。分担(マーケティングが何をどこまで、インサイドセールスが何をどこまで、フィールドセールスが何を)と、成果の指標(商談化の数か、質か、受注への貢献か)が社内で決まっていないと、求人票が書けず、来る人は「電話営業」の経験者か「営業事務」の経験者で、役割が噛み合いません。結論を先に書くと、インサイドセールス採用で代行に出せるのは「探す・届ける・一次対応する・進捗を回す」で、「営業組織の中の分担の設計・成果の指標の決定・架電の量と型の決定・接触の質の評価」は社内に残すのが線です。営業全般の代行の線は営業採用を代行に出す判断基準に、採用代行そのものの整理は採用代行(RPO)とはにまとめています。
インサイドセールス採用が他の職種と違う点
一つ目は、分担で成り立つ職種だということです。マーケティングが見込み客を集め、インサイドセールスが接触して商談化し、フィールドセールスが商談から受注まで。この分担が無い会社では、インサイドセールスは「見込みを自分で探す電話営業」か「商談まで一人でやる営業」になり、募集の意図とずれます。
二つ目は、成果の指標が会社ごとに違うことです。商談の数を作ることが成果なのか、質の高い商談を作ることが成果なのか、受注への貢献まで見るのか。指標で、求める人が変わります。数を作るなら、架電の量と切り替えの速さが要り、質を作るなら、見込み客の課題を聞き出す力が要ります。
三つ目は、経歴の言葉が実態を表さないことです。「インサイドセールスの経験」と書かれていても、前職の分担と指標が違えば、自社で同じ動きはできません。前職でマーケティングが整っていて質の高い見込みが来ていた人は、見込みの質が低い自社では苦労します。
四つ目は、比較的新しい職種で、転向層が多いことです。電話営業、テレアポ、営業事務、カスタマーサポート、フィールドセールスからの転向。それぞれ持っているものが違い、自社の分担と指標に合うかは経歴の肩書では分かりません。
この四つから、代行に出せる工程が決まります。
工程ごとの「任せられる・残す」
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 営業組織の中の分担の設計 | 残す | マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスの分担は、社内でしか決められない |
| 成果の指標の決定 | 残す | 数か質か受注への貢献か。営業の責任者と経営で |
| 架電の量と型の決定 | 残す | 一日の接触の数、使うツール、トークの型。社内の運用から |
| 要件の決定 | 残す | 分担と指標から。外部は整理を手伝える |
| 求人票の作成 | 任せられる(分担と指標が決まっていれば) | 決まったものを候補者に伝わる言葉にする |
| 媒体の選定と運用 | 任せられる | インサイドセールスに届く媒体と経路の経験があれば |
| スカウトの検索と送信 | 任せられる | 分担と指標に合わせた検索と、文面の個別化 |
| 応募者への一次対応 | 任せられる | 連絡、日程、流れの案内。応募が多いことがあるので、速さが効く |
| 書類の一次絞り | 条件付き | 転向元の分類は任せられる。接触の質の妥当性は残す |
| 接触の質の評価 | 残す | 営業の責任者が面接で聞く。外部は評価の型作りと記録 |
| 合否の判断 | 残す | 会社の判断 |
| 条件の決定と提示 | 残す | 会社の判断。目標と評価の説明を含む |
| 内定後の対応 | 任せられる | 辞退を防ぐ連絡 |
線の要点は、「分担・指標・架電の量と型の三つが、募集の前に社内で決まっているか」です。この三つが求人票とスカウトの中身になり、候補者が「自分の経験に合うか」を判断する材料になります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「インサイドセールスを募集しているが、テレアポの経験者ばかり来て、商談の質が上がらない」というご相談です。求人票を見ると、「インサイドセールス募集。見込み客への架電とアポイント獲得」と書かれていて、分担も指標も無い。テレアポの経験者が「架電とアポ」の文字を見て応募し、自社が求める「見込み客の課題を聞き出して質の高い商談を作る」役割とずれています。求人票が、分担と指標を示していません。
見ていて差がつくのは、「分担と指標を、求人票の一行目で言えるか」です。「マーケティングが集めた見込み客に接触し、課題を聞き出して、フィールドセールスに質の高い商談を渡すインサイドセールス。成果は商談の質と受注への貢献で見る」。一行目でこれが分かれば、テレアポの経験者は自分向けでないと分かり、課題を聞き出す接触の経験がある人は自分向けだと分かります。エラベルでは、インサイドセールスの案件をお受けする前に、依頼側に分担と指標を一文にしていただいています。
代行に出す前に社内で確認すること
代行に出す前に、社内で揃えておくことを六つ挙げます。
- 分担が決まっているか。 マーケティングが何をどこまで、インサイドセールスが何をどこまで、フィールドセールスが何を。見込み客は誰が集めるか
- 成果の指標が決まっているか。 商談の数か、質か、受注への貢献か。指標で求める人が変わる
- 架電の量と型が決まっているか。 一日の接触の数の目安、使うツール、トークの型の有無、記録の仕組み
- 見込み客の質と量が分かっているか。 マーケティングからどのくらいの見込みが、どんな質で来るか。無いなら、インサイドセールスが見込みを探す役割になり、募集の性質が変わる
- 接触の質を評価する人がいるか。 営業の責任者か、インサイドセールスの責任者。いなければ経営者
- フィールドセールスとの関係が設計されているか。 渡した商談の結果が戻ってくるか、フィールドセールスがインサイドセールスの商談を評価する仕組みがあるか
六つのうち、一つ目と二つ目が最も重要です。分担と指標が決まれば、他は整理できます。四つ目の見込み客の質と量は、社内で意外に把握されておらず、把握すると「インサイドセールスを採る前にマーケティングを整える必要がある」と分かることもあります。
分担が決まっていない会社の組み方
インサイドセールスを初めて置く会社は、分担が決まっていないことが多い。組み方を三つ示します。
一つ目は、一人目のインサイドセールスに「分担を作るところから」と正直に書くことです。マーケティングとフィールドセールスの間で、何を担うかを一緒に決めていく役割。それに魅力を感じる人(営業組織の設計に関心のある人)と、整った分担の中で動きたい人は違うので、正直に書いて分けます。
二つ目は、フィールドセールスの責任者を、分担の設計と面接に巻き込むことです。インサイドセールスが渡す商談を受けるのはフィールドセールスで、フィールドセールスが「どういう商談なら受注につながるか」を言えないと、指標が決まりません。
三つ目は、外部のインサイドセールスの経験者を、分担の整理と面接だけに入れることです。顧問、業務委託、知人。「自社のマーケティングとフィールドセールスの状態で、インサイドセールスに何を任せるのが現実的か」を整理してもらう。
どの組み方でも、「分担と指標を代行に決めさせない」ことは同じです。
代行を選ぶときの確認項目
| 確認項目 | 聞き方 | 見るポイント |
|---|---|---|
| インサイドセールス採用の経験 | 「インサイドセールスの採用で、分担の整理から関わった経験はありますか」 | 営業の採用と同じに扱っていないか |
| 分担の理解 | 「当社の分担を、候補者向けの言葉にするとどうなりますか」 | マーケティングとフィールドセールスとの関係を言えるか |
| 転向元の区別 | 「テレアポの経験者と、インサイドセールスの経験者を、どう見分けますか」 | 接触の質(課題を聞き出したか)で見る姿勢があるか |
| 指標の扱い | 「数と質のどちらを求めるかで、探し方はどう変わりますか」 | 指標で対象が変わることを分かっているか |
| 一次対応の体制 | 「応募が多い場合、一次対応をどう回しますか」 | 営業系は応募が多い。速さが決める |
| 担当者 | 「担当する方の経歴を教えてください」 | インサイドセールスか営業組織の採用経験があるか。担当者の経歴を確認する |
確認の要点は、「転向元の区別」の答え方です。「架電の経験があればインサイドセールスができる」と読む代行は、テレアポの経験者を紹介し、面接で「質が違う」となります。
代行に出したあとに起きること
| 起きること | 戻し方 |
|---|---|
| テレアポや営業事務の経験者ばかり応募が来る | 求人票の一行目で分担と指標を示す。検索の条件を「課題を聞き出す接触」の経験に |
| 面接で「見込み客はどのくらい来るのか」と聞かれ、答えられない | 見込み客の質と量を把握し、求人票とスカウトに書く |
| 入社後、フィールドセールスが商談を受けず、インサイドセールスが孤立する | 分担とフィールドセールスとの関係を、採用の前に設計する |
| 代行が接触の質を評価し始める | 「評価は社内で」と戻す。代行は転向元の分類まで |
| 指標が数だけで、質の低い商談が増える | 指標に質を入れる。フィールドセールスの評価を戻す仕組み |
戻し方の要点は、「見込み客の質と量を、求人票の段階で正直に書く」ことです。見込みが少ない、質が低い状態を隠すと、面接か入社後に分かって離れます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、インサイドセールスの採用で最も時間がかかるのは、依頼側の「分担」と「指標」を引き出すことです。依頼側は「インサイドセールスを置きたい」と言いますが、マーケティングとフィールドセールスとの分担、成果を数で見るか質で見るかは、決まっていないことが多い。ここが曖昧なまま募集すると、テレアポの経験者が来て、商談の質が上がらないか、営業の経験者が来て、商談まで一人でやろうとして分担が崩れます。
エラベルでは、インサイドセールスの案件をお受けするとき、依頼側に分担と指標の一文と、見込み客の質と量を先に伺っています。決まっていれば、担当者は最初の週から求人票を直せます。決まっていなければ、担当者の最初の仕事は、分担と指標を整理する打ち合わせの進行になります。インサイドセールスは、営業組織の設計の一部で、採用の前に設計が要ります。
まとめ
- インサイドセールス採用で代行に出せるのは探す・届ける・一次対応する・進捗を回す。分担の設計・指標の決定・架電の量と型の決定・接触の質の評価は社内に残す
- 他の職種と違うのは分担で成り立つ・指標が会社ごとに違う・経歴の言葉が実態を表さない・転向層が多い
- 代行に出す前に分担・指標・架電の量と型・見込み客の質と量・評価する人・フィールドセールスとの関係を確認
- 分担が決まっていなければ一人目には「分担を作るところから」と正直に・フィールドセールスの責任者を設計と面接に・外部の経験者を整理と面接だけに
- 代行を選ぶときは転向元の区別の答え方を見る
- 見込み客の質と量を求人票の段階で正直に書く
よくある質問
インサイドセールスとテレアポは、何が違うのですか
分担と指標が違います。テレアポは、リストに架電して面会の約束を取ることが成果で、見込み客の課題を聞き出すことは求められないことが多い。インサイドセールスは、マーケティングが集めた見込み客に接触し、課題や状況を聞き出して、フィールドセールスが受注につなげられる質の商談を作ることが成果です。求人票で「架電とアポ獲得」と書くと、テレアポの募集に読まれます。「見込み客の課題を聞き出し、質の高い商談を作る」と書き、指標に質を入れると、インサイドセールスの募集になります。自社が求めているのがどちらかを、先に決めます。
マーケティングが弱く、見込み客がほとんど来ません。それでもインサイドセールスを採れますか
見込み客が来ない状態でインサイドセールスを採ると、本人は見込みを自分で探す電話営業になり、募集の意図とずれます。採る前に、マーケティングを整えて見込み客が来る状態を作るか、「見込みの創出から担う」と正直に書いて、それに合う人(自ら見込みを探すことに慣れた人)を探すかのどちらかです。後者は、インサイドセールスというより、新規開拓の営業の募集に近く、要件も指標も変わります。見込み客の質と量を把握し、それに合わせて募集の性質を決めます。
フィールドセールスが「自分で商談を作ったほうが早い」と言っています
その状態でインサイドセールスを置くと、フィールドセールスが渡された商談を受けず、インサイドセールスが孤立します。採用の前に、フィールドセールスの責任者と「インサイドセールスが渡す商談の質の基準」「渡した商談の結果を戻す仕組み」「フィールドセールスが商談の創出から解放されることで何に時間を使うか」を決めます。フィールドセールスが分担に納得しないなら、インサイドセールスの採用より、営業組織の設計を先に見直します。フィールドセールスの責任者を面接に出すのは、この関係を候補者に確かめてもらうためでもあります。