採用代行 / 専任の人事がいない会社
専任の人事がいない会社の採用体制の作り方|社内に残す役割
専任の人事がいない会社が採用代行を使うとき、「代行に何を頼むか」より先に決めるべきことがあります。社内に何を残すか、です。専任の人事がいない会社では、採用に関わる人は経営者と、総務や管理部門の担当者と、配属先の責任者で、誰も採用が本業ではありません。結論を先に書くと、社内に残す役割は「決める人」「窓口」「現場の面接官」の三つで、この三つに人を当ててから代行に出せば、専任の人事がいなくても採用は回ります。三つとも兼ねてよく、経営者一人でも成り立ちますが、空席のままにはしません。この記事では、三つの役割の中身、誰が担うか、週にどれだけの時間が要るか、代行との線の引き方を、順番に整理します。失敗の形は専任の人事がいない会社が採用代行で失敗するパターンに、中小企業に向く代行の条件は中小企業に向く採用代行の条件に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
専任の人事がいない会社で、採用に割ける時間
体制を作る前に、社内で採用に割ける時間の現実を見ます。専任の人事がいない会社では、採用に関わる人の時間は、次のような形になっています。
| 誰 | 本業 | 採用に割ける時間の現実 |
|---|---|---|
| 経営者 | 経営全般 | 判断は速いが、連絡や日程の調整に使う時間はない。週に一度、短い時間なら取れる |
| 総務・管理部門の担当者 | 労務、経理、庶務 | 連絡の受け渡しはできるが、判断はできない。月末や締めの時期は動けない |
| 配属先の責任者 | 現場の業務 | 面接には出られるが、要件を言葉にする時間と、候補者に連絡する時間はない |
この現実から、社内でできることは「判断」「連絡の受け渡し」「面接」の三つに絞られ、「探す」「連絡する」「日程を組む」「書類を整える」は、社内では回りません。代行に出すのは後者で、社内に残すのは前者です。この線を、時間の現実から引きます。時間がある前提で体制を作ると、最初の月で崩れます。
社内に残す役割一:決める人
中身。代行が出してきた候補者を「進める」「止める」と決める。提示する条件(年収、勤務、役職)を決める。内定を出すかどうかを決める。代行を続けるか止めるかを決める。
誰が担うか。経営者か、配属先の責任者のどちらか一人です。二人で決める形にすると、意見が割れたときに止まるので、最終の判断は一人に置き、もう一人は意見を出す側にします。
週にどれだけの時間が要るか。代行からの報告を見て、候補者に印を付け、条件の確認に答える時間で、週に一度、短い時間で足ります。この時間を、先に予定表に固定します。「時間ができたら見る」は、見ないのと同じになります。
代行との線。代行は、候補者の情報と、進めるべき理由を整えて出します。決める人は、それを見て決めます。代行に「どの人がよいと思うか」を聞いてよいですが、決めるのは社内です。
社内に残す役割二:窓口
中身。代行からの連絡(日程の確認、求人票の質問、候補者の情報の確認)を受け取り、社内の誰かに確認して、期限までに返す。代行との連絡の手段を一つに決め、そこに来た連絡を漏らさない。
誰が担うか。総務や管理部門の担当者が向いています。判断はしなくてよく、「受け取って、確認して、返す」だけです。経営者が窓口を兼ねると、経営者のメールに埋もれて止まるので、可能なら分けます。
週にどれだけの時間が要るか。代行からの連絡の量によりますが、一日に一度、連絡を確認して返す時間で足ります。月末や締めの時期に動けないなら、その時期だけ経営者が代わるか、代行に「この時期は返事が遅れる」と先に伝えます。
代行との線。代行は、窓口に「何を、いつまでに」と明確に頼みます。窓口は、判断が要る連絡を決める人に回し、期限を管理します。代行が窓口を飛ばして経営者に直接連絡する形にすると、窓口が機能しなくなるので、宛先は最初に固定します。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、「決める人」の週に一度の時間を、代行の契約の前に予定表に固定することです。相談で見ていると、体制の図は作れても、経営者の予定表に「採用の判断」の枠がない会社は、代行が動き出した最初の月で判断が溜まり、候補者が離れ、「代行が合わなかった」で終わります。逆に、週に一度の枠を先に固定した会社は、代行の質に多少の差があっても回ります。体制は図ではなく、予定表の枠で決まります。
順番としては、まず決める人の枠を固定し、次に窓口の宛先を一つに決め、最後に面接官の役割を配属先の責任者に説明してから、代行の契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約してから社内の役割を決めようとすると、代行が待つ間に候補者が離れます。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、専任の人事がいない会社を支援してきた担当者が、契約の前にこの三つの役割を一緒に決めるところから入っています。
社内に残す役割三:現場の面接官
中身。候補者と会い、仕事ができるか、一緒に働けるかを見る。少なくとも最終の面接は社内の人が担う。面接で見た点と判断の理由を、短く記録に残す。
誰が担うか。配属先の責任者です。経営者が最終の面接に出る会社も多いですが、配属先の責任者が一次か二次に出ないと、入社の後で「聞いていない」「思っていた人と違う」が起きます。
週にどれだけの時間が要るか。面接の回数によりますが、一回の面接の時間と、その後に記録を残す短い時間です。面接の日程は代行が組むので、面接官は「出られる曜日と時間帯」を先に代行に渡しておきます。
代行との線。代行は、面接の前に候補者の情報と、面接で見てほしい点を整え、面接の後に記録を受け取ります。面接そのものを代行に出す形もありますが、専任の人事がいない会社では、最終の面接まで代行に出すと、社内の誰も候補者を知らないまま内定が出ます。少なくとも最終の面接は社内で持ちます。現場への説明は現場に採用代行の導入を説明するに、面接の記録の考え方は採用要件の定義の進め方に書いています。
三つの役割を、誰が兼ねるか
社内の人数が少ない会社では、三つの役割を兼ねます。兼ね方の型です。
| 会社の形 | 決める人 | 窓口 | 現場の面接官 | 注意する点 |
|---|---|---|---|---|
| 経営者と総務の担当者がいる | 経営者 | 総務の担当者 | 経営者(配属先の責任者がいればその人) | 窓口を経営者に寄せない |
| 経営者と配属先の責任者がいる | 配属先の責任者 | 経営者 | 配属先の責任者 | 経営者が窓口を兼ねるなら、連絡の手段を一つに固定する |
| 経営者一人で見る | 経営者 | 経営者 | 経営者 | 週に一度の判断の枠と、一日に一度の連絡の確認を、予定表に固定する。代行に期限の管理を頼む |
経営者一人でも成り立ちますが、その場合は、代行に「連絡の期限の管理」と「判断が要ることの一覧化」を頼み、経営者は決めることだけに集中する形にします。役割の空席を作らないことが、兼ね方より大切です。
代行に出す工程と、費用の見方
三つの役割を社内に残したうえで、代行に出す工程を決めます。専任の人事がいない会社が代行に出しやすい工程と、費用の見方です。
| 代行に出す工程 | 出す理由 | 費用を見るときの点 |
|---|---|---|
| 候補者を探す(媒体の運用、スカウトの送信) | 社内に時間がない | 稼働時間と送信の数で見る。月額の中に何時間の稼働が入っているか |
| 候補者への連絡と日程の調整 | 社内で止まりやすい | 連絡の期限(何時間以内に返すか)を契約に入れる |
| 求人票の原稿 | 書く時間がない | 成果物として一本いくらか、月額に含まれるか |
| 面接の記録と進捗の表 | 社内に記録の習慣がない | 報告の形(経営者が一分で見られる一枚か)を契約の前に確認する |
| 内定の後の連絡と手続きの案内 | 社内で抜けやすい | 内定から入社までの流れが範囲に入っているか |
費用は、月額の額そのものより、「その月額で、誰が、週に何時間、何をやるか」で見ます。同じ月額でも、稼働時間と担当者の数が違えば、実際の単価は大きく変わります。専任の人事がいない会社は、この比べ方を知らないまま安い提案を選び、稼働が薄くて決まらない、という形になりやすいです。費用の構造は採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに、発注前の確認は採用代行を発注する前のチェックリストに、契約の注意は採用代行が偽装請負になる境界線に整理しています。
エラベルの見解
外に出してよいのは、探す・連絡する・日程を組む・記録を残す・手続きを案内するまでです。ここから先、「この人を採るか」「この条件で出すか」「最終の面接」を渡すと、社内の誰も候補者を知らないまま人が入り、入った後に現場が「聞いていない」と言い、早く辞めます。専任の人事がいない会社は、時間がないので線を越えて渡したくなりますが、越えた分だけ、入社の後に返ってきます。
線を守るために、担当者に頼むべきことがあります。「今週、決めていただきたいことはこの一件です」「この候補者は明日までに返事が要ります」と、判断と期限を社内に持ち込んでもらうことです。専任の人事がいない会社では、指示を待つ担当者だと何も進まず、判断と期限を持ち込む担当者だと、経営者の短い時間で採用が回ります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「御社では誰が決めますか」「返事はどなたに」と聞いてくる担当者を選べば、線を越えずに回る体制になります。
まとめ
- 専任の人事がいない会社で社内に残す役割は、決める人・窓口・現場の面接官の三つ。兼ねてよいが、空席にしない
- 決める人は経営者か配属先の責任者の一人。週に一度の判断の枠を、契約の前に予定表に固定する
- 窓口は総務や管理部門の担当者が向く。判断はせず、受け取って確認して期限までに返す。連絡の手段と宛先を一つに固定する
- 現場の面接官は配属先の責任者。少なくとも最終の面接は社内で持つ
- 代行に出すのは探す・連絡する・日程を組む・記録を残す・手続きを案内するまで。採るか・条件・最終の面接は残す
- 費用は月額の額ではなく、誰が・週に何時間・何をやるかで比べる
よくある質問
経営者一人で三つの役割を兼ねるのは無理があります。どうすればよいですか
無理があるのは、三つの役割の「量」を一人で持つ場合で、「判断」だけなら一人で持てます。代行に「連絡の期限の管理」「判断が要ることの一覧化」「面接の前の情報の整理」を頼み、経営者は週に一度の判断と、面接に出ることだけに絞ります。それでも時間が取れないなら、配属先の責任者に「決める人」を委ねるか、採用の優先順位そのものを見直します。副業人材に「社内の人事の役割」を一時的に担ってもらう形もあり、副業人材と代行会社の使い分けに整理しています。
将来、専任の人事を置くつもりです。それまでの体制として代行を使ってよいですか
使えます。その場合は、代行に「記録を残す」「進捗の表を作る」「要件と求人票の型を残す」ことを範囲に入れておくと、専任の人事が入ったときに引き継げます。代行が去った後に何も残らない形だと、専任の人事が一から作り直すことになります。契約の前に「終わるときに何を残してもらうか」を決めておきます。社内の担当者を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに、契約の終わり方は採用代行を途中解約したいときの進め方に書いています。
代行に渡す情報(候補者の個人情報、社内の条件)はどこまで出してよいですか
候補者の個人情報は、代行が扱う範囲と管理の方法を書面で決め、採用管理の仕組み(ATS)を使うなら権限の範囲を絞ります。社内の条件(年収の枠、評価の仕組み)は、要件と条件の提示に要る範囲で渡し、それ以外は渡しません。不採用になった候補者の情報の扱いも、契約の前に決めておきます。個別の判断は、専門家にご確認ください。権限の考え方は採用代行に渡すATSの権限範囲に、不採用者の情報は不採用者のデータの取り扱いに整理しています。