採用代行 / 人材
人材業界の採用代行|業界特有の難しさとどこを外注するか
人材業界の会社(人材紹介、人材派遣、求人媒体、採用の支援)が採用代行を検討するとき、動機は「自社の採用が後回しになっていて、応募への返事が数日遅れる」「キャリアアドバイザーと営業の離職が多く、募集が止まらない」であることが多い。「採用のプロが代行を使うのは恥」という抵抗もあります。ただ、人材業界の自社の採用は、他の業界と違う難しさがあります。担当者が事業と兼務で自社の採用に時間が無く、職種で求める人と経路が違い、目標と成果報酬と稼働の実態が求人票に無く、候補者が同業からの転職で実態を知っているため覆えず、離職が採用を上回り、経営者の面接の目が厳しい。結論を先に書くと、人材業界の採用代行は、母集団形成・一次対応・日程調整・記録は外に出せる一方、職種ごとの要件と目標の実態の決定・自社の紹介の型との相性の見極め・受け入れは社内に残さないと、採れても数か月で離れ、また募集することになります。「自社でできる」ことと「自社でやれている」ことは別で、代行に出す前に、難しさを自社の状況で分解し、職種ごとに「任せる・残す」を決めることが、代行が機能する条件です。職種としての営業の切り分けは営業採用を代行に出す判断基準に書いています。ここでは、人材業界の自社の採用で共通する切り分けに絞ります。
人材業界の自社の採用が難しい五つの理由
| 難しさ | 中身 | 代行への影響 |
|---|---|---|
| 採用の専門家が自社の採用だけ後回し | 担当者が紹介・派遣・媒体の営業と兼務で、顧客の採用が先。自社の応募への返事が数日後 | 一次対応を残すと流れる。「自社でできる」が「やれていない」 |
| 職種で求める人と経路が違う | キャリアアドバイザーは対人と傾聴、法人営業は新規と数字、コーディネーターは調整と速さ、媒体の営業は提案。来る人も動く理由も違う | 職種ごとに求人票と経路を分ける必要がある |
| 目標と成果報酬と稼働の実態 | 月の目標、成果報酬の比率、面談と架電の件数、稼働の長さが求人票に無い | 実態を先に出すかで応募と定着が変わる |
| 同業からの転職で実態を知っている | 候補者は業界の型(目標の詰め方、稼働、離職)を知っており、「アットホーム」で覆えない | 実態を語らないと、面接で見抜かれて辞退 |
| 離職が採用を上回り、経営者の目が厳しい | 早期離職が続き、経営者が業界出身で面接の通過が少なく、募集が止まらない | 受け入れと評価の観点を直さないと、代行で母集団を増やしても往復 |
五つのうち、代行で解決できるのは母集団形成と速さで、実態・相性・受け入れは社内の関わりが要ります。
工程ごとの「任せられる・残す」
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 職種ごとの要件と目標の実態の決定 | 残す | 会社の判断。目標と成果報酬の設計は経営 |
| 紹介と派遣の許可や表示に関わる整理 | 残す | 会社と専門家。法令上の整理がある |
| 要件を「経歴で読める言葉」に整える | 一緒に | 「〇〇の領域で、〇〇の型の紹介を、〇〇の件数で担った経験」に。代行が整え、責任者が確認 |
| 母集団形成(同業、隣接の業界、営業と対人の経験者に届く経路) | 任せられる | 型があれば外で回せる。自社の候補者データベースとは分ける |
| 一次対応(返信・日程) | 任せられる | 兼務の担当者の負担を減らす。速さが要る |
| 書類の一次確認 | 一部任せられる | 「領域・型・件数・対人の経験」の照合は外で。自社の型との相性は社内 |
| 見極め(面接、同行、ロールプレイ) | 残す | 経営者と現場の責任者。観点と基準を先に決める |
| 受け入れ(最初の三か月の目標、教える人、同行) | 残す | 現場。離職を減らす要 |
| 条件の判断 | 残す | 会社の判断 |
| 記録と報告 | 任せられる | 職種をまたいで一つの一覧。自社の顧客向けの記録とは分ける |
「目標の実態の決定」と「自社の型との相性の見極め」は、人材業界に特有の残す工程です。紹介と派遣の許可や求人の表示は、法令上の整理があると一般に整理されているため、会社と専門家が扱います。個別の判断は専門家にご確認ください。
エラベルの見解
人材業界で多くの会社が見落とすのは、「自社でできる」と「自社でやれている」の差です。担当者は採用の型を知っていて、求人票も書けるし、面接もできる。ただ、顧客の採用が先で、自社の応募への返事は後回しになり、日程が延び、候補者は他社で決まる。「できる」のに「やれていない」のは、時間の問題で、腕の問題ではありません。ここで代行に出すのは、腕を借りるのではなく、時間を買うことです。「一次対応と日程と記録」を外に出し、担当者は「要件と実態の決定、面接、受け入れ」に絞る。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「自社の応募への返事は、誰が、何日以内に返していますか」を、私たちから先に聞いています。答えが「担当者が顧客の対応の合間に」なら、代行に出す最初の工程は一次対応です。速さの直し方は日程調整が遅くて候補者が流れるに書いています。
代行に出す前に社内で確認すること
| 確認 | 中身 |
|---|---|
| 職種と人数 | キャリアアドバイザー・法人営業・コーディネーター・媒体の営業・両面のどれを、何名 |
| 要件 | 領域と型と件数と対人の経験を「必須・歓迎」に分けているか。未経験を採るなら、受け入れの型があるか |
| 実態 | 月の目標、成果報酬の比率と条件、面談と架電の件数、稼働の長さ、離職の状況を、責任者が語れるか |
| 評価の観点 | 経営者と現場で、面接の観点と基準が揃っているか。通過が少ない理由が分かっているか |
| 枠 | 経営者と責任者の面接の枠を、週に一つ先に預けられるか |
| 受け入れ | 最初の三か月の目標、教える人、同行の型が決まっているか |
| 記録 | 自社の採用の一覧が、顧客向けの記録と分けてあるか |
「実態を責任者が語れるか」と「評価の観点が揃っているか」が要です。観点の揃え方は面接官によって評価がばらつくに書いています。
職種ごとに代行の型が違う
| 職種 | 採用の特徴 | 代行に出しやすい工程 |
|---|---|---|
| キャリアアドバイザー | 対人と傾聴。同業と隣接(販売、接客、教育)からの転身 | 隣接の業界に届く母集団形成、一次対応 |
| 法人営業 | 新規と数字。営業の経験者から | 営業の経験者に届く経路、一次対応、記録 |
| コーディネーター(派遣) | 調整と速さ。登録者と企業の間 | 母集団形成、一次対応 |
| 媒体の営業 | 提案と継続。広告や媒体の営業の経験者から | 経路の運用、記録 |
| 両面(一人で法人と個人) | 両方の経験。同業からが中心 | 同業に届く経路、要件の言い換え |
未経験を採る職種(キャリアアドバイザー、コーディネーター)は、受け入れの型が無いと離れます。経験者を採る職種(法人営業、両面)は、実態を語らないと同業の候補者に見抜かれます。
代行を選ぶときの確認項目
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 人材業界の経験 | 担当者が人材業界の自社の採用を担った経験があるか。職種の違いを知っているか |
| 実態の扱い | 目標と成果報酬の実態を求人票に書く型を持っているか。覆う文面を勧めてこないか |
| 自社のデータベースとの分け方 | 自社の候補者データベースと採用の母集団を混ぜない運用ができるか |
| 一次対応の速さ | 翌営業日中に返す体制があるか |
| 記録の型 | 顧客向けの記録と分けて、自社の採用の一覧を作れるか |
| 費用 | 「工程・稼働時間・担当人数」をそろえて比べる。額の大小だけで決めない |
費用は、依頼する工程と稼働時間で大きく変わるため、同じ工程で比べる軸をそろえます。内訳の見方は採用代行の費用の内訳に、選び方は採用代行会社の選び方に書いています。
代行に出したあとに起きること
| 時期 | 起きること | 社内の対応 |
|---|---|---|
| 最初の二週間 | 実態と要件の聞き取り。職種ごとの求人票の作り直し | 責任者が実態(目標、成果報酬、稼働、離職)を語る一時間を取る |
| 一か月目 | 母集団形成と一次対応が回り、応募が増える | 枠を預ける。面接とロールプレイを同じ日に組む |
| 二か月目 | 書類の照合で要件に合わない応募が減る。辞退の理由が見える | 辞退の理由が「目標」「稼働」「成果報酬」なら実態か条件の見直し |
| 三か月目 | 入社。受け入れが始まる | 最初の三か月の目標、教える人、同行。離れたら理由を記録 |
| 半年 | 定着と成果が見える | 受け入れと評価の観点を直す材料に |
出したあとに「応募は増えたが面接で通らない」となるなら、評価の観点が揃っていないか、要件が高すぎる印です。代行のせいにする前に、通らなかった理由を観点ごとに記録し、要件と観点を見直します。
エラベルの見解
人材業界で見落とされやすいのは「同業の候補者は実態を知っている」ことです。目標の詰め方、成果報酬の条件、稼働の長さ、離職の多さは、業界の中では知られていて、「アットホーム」「裁量が大きい」で覆っても、面接で「月の目標はいくつですか」「成果報酬の条件は」「昨年の離職は何名ですか」と聞かれます。答えを濁すと辞退され、答えて実態が厳しければ辞退されます。ここで直すのは文面ではなく、実態そのものです。目標と成果報酬と稼働を「同業の経験者が聞いても納得する形」に整え、求人票の先頭に書く。応募が減るなら、それは実態を変える判断の材料です。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「昨年の離職の人数と理由を、面接で候補者に話せますか」を、私たちから先に聞いています。話せないなら、代行に出す前に、実態を一枚に書き出し、変える部分と伝える部分を分けるところからです。営業の離職の分け方は営業がすぐ辞めてしまうに書いています。
まとめ
- 人材業界の難しさは自社の採用が後回し・職種で違う・目標と成果報酬の実態・同業に覆えない・離職と厳しい目の五つ
- 外に出せるのは母集団形成・一次対応・日程・記録。残すのは要件と目標の実態の決定・相性の見極め・受け入れ
- 紹介と派遣の許可や表示は会社と専門家。個別の判断は専門家にご確認ください
- 代行は腕を借りるのではなく時間を買う。最初に出す工程は一次対応
- 職種ごとに代行の型が違う。未経験は受け入れ、経験者は実態
- 実態は覆わず整える。同業の候補者は知っている
- 費用は同じ工程で比べる軸をそろえる
よくある質問
採用の会社が採用代行を使うのは、顧客に対して格好がつきません
代行に出すのは腕ではなく時間で、顧客の採用を優先した結果、自社の採用に時間が無いという状態は、顧客にとってむしろ誠実です。加えて、自社の採用を代行に出して機能した経験は、顧客に代行を勧めるときの根拠になります。「自社でも一次対応を外に出して、返事の日数がこう変わった」と語れる会社は、顧客からの信頼が増します。格好の問題ではなく、時間と経験の問題です。
自社の候補者データベースから採ればよいのではないですか
自社のデータベースは顧客の求人のために登録した人のもので、自社の採用に使うには、登録の目的と本人の同意の扱いを確かめる必要があります。個人情報の扱いに関わるため、会社と専門家で整理し、個別の判断は専門家にご確認ください。運用の面でも、顧客に紹介する候補者と自社に採る候補者が混ざると、顧客との信頼に関わります。自社の採用の母集団は、データベースとは別の経路で作るのが、多くの会社の型です。
未経験のキャリアアドバイザーを採りたいのですが、すぐ辞めます
未経験は、最初の三か月の受け入れで決まります。目標を三か月は抑え、教える人を決め、面談に同行し、到達点を一枚にする。それが無いと、入社の日から目標を持たされ、面談の型を知らないまま数字を詰められて離れます。代行は母集団形成と一次対応を担えますが、受け入れは現場です。受け入れの型を作ってから未経験を採る、の順番が、往復を止めます。受け入れの型は入社後のオンボーディングの進め方に書いています。