採用代行 / 比較・選び方
採用代行の「実績」の見方
採用代行の提案資料には、支援社数や採用人数といった実績が並びます。ただ、これらの数字は前提が書かれていないため、そのままでは比較に使えません。何をもって支援としたのか、どの範囲を担ったのか、どの職種だったのか。ここが分からないと、自社の案件に効くかどうかは判定できません。この記事では、実績を三つの層に分け、聞き直すべき内容を整理します。
実績には三つの層がある
一.会社の実績。支援社数、累計の採用人数、対応した業種の数。会社としての経験の広さを示します。
二.担当者の実績。その人が担当した職種、業務範囲、期間。自社の案件に直接効くのはこちらです。
三.案件の実績。特定の案件で、何をして何が起きたか。再現性を判断する材料になります。
多くの提案資料は、一番目だけを載せています。会社の規模と経験の広さは分かりますが、自社に誰が入るかは分かりません。
同じ会社の同じプランでも、入る担当者が違えば結果は変わります。だから、一番目を見た後に二番目を聞くという順番になります。
会社の実績で分かること
支援社数。会社の規模と、業務の標準化の度合いを推測できます。数が多いほど、社内に型があることが多い。
業種の広がり。特定の業種に偏っているか、幅広いか。自社の業種の経験があるかを確認します。
継続年数。長く続いている会社は、運用の型を持っています。
分からないことは次の点です。
- 何をもって「支援」としたか(スポットの一件も、通年の運用も同じ一社と数えられます)
- どの範囲を担ったか(スカウト送信だけと、全工程では違います)
- どの職種だったか
- 自社に入る担当者がその経験を持っているか
四番目が最も重要です。会社に実績があっても、自社を担当する人がその経験を持っているとは限りません。
エラベルの見解
実績の数字を見るときに、「その数字が大きいと自社に何が起きるか」を考えてみてください。多くの場合、直接の効果は説明しにくいことに気づきます。
支援社数が多い。これは会社に型があることを示しますが、自社の職種に効くかは別です。累計の採用人数が多い。これは事業の規模を示しますが、自社の一件が丁寧に扱われるかとは関係ありません。
数字が大きいことで実際に効くのは、二つです。一つは、社内に標準化された手順があること。担当者が替わっても品質が保ちやすくなります。もう一つは、媒体や職種ごとの知見が社内に溜まっていること。ただし、それが自社の担当者に伝わっているかは別の問題です。
だから、実績の数字を見たら、次の質問につなげてください。「その経験は、自社の担当者にどう共有されていますか」。手順書がある、社内で事例を共有している、といった答えが返るなら、数字と自社の案件がつながります。
数字そのものより、数字が担当者に届く仕組みがあるか。ここが実務では効きます。
担当者の実績を聞く
会社の実績を確認したら、担当予定者の実績を聞きます。
- 担当した職種(自社が採りたい職種の経験があるか)
- 担当した業務範囲(スカウト運用が中心か、設計から入っているか)
- 担当した期間(一社を長く担当したか、短期で多くの案件を回したか)
- 担当した企業の規模(規模によって採用の進め方は変わります)
- 使った媒体(自社が使う予定の媒体の経験があるか)
三番目は、どちらが良いという話ではありません。一社を長く担当した人は運用の積み上げを知っていますし、多くの案件を回した人は立ち上げに慣れています。自社の依頼がどちらを必要とするかで選びます。
そして、経歴に書かれていない部分は話して確かめます。前の案件で何が難しかったか、どう対処したか。この質問への答えで、経験の質が見えます。見極め方は担当者を見極める観点にまとめています。
自社に効くかの判定
実績が自社に効くかどうかは、次の順で判定します。
一.職種が近いか。技術職、営業職、管理部門。候補者の見方も文面の書き方も違います。
二.採用の難易度が近いか。母集団が厚い職種と薄い職種では、必要な打ち手が変わります。
三.規模が近いか。応募が大量に来る会社と、母集団を作るところから始める会社では、業務の中身が違います。
四.体制が近いか。専任の採用担当がいる会社と、兼務で回している会社では、代行に求められる役割が変わります。
五.時期が近いか。数年前の実績は、媒体の仕様も市場も変わっています。
このうち、一番目と四番目が特に効きます。職種の経験と、発注側の体制。この二つが近い実績なら、自社にも効く可能性が高くなります。
数字の読み方
提案資料に数字が並んでいる場合、次を確認します。
採用人数。どの期間の、何社分の合計か。一社あたりに直すと印象が変わることがあります。
返信率や通過率。どの職種の、どの媒体での数字か。職種によって水準がまったく違います。
期間。立ち上げから成果までの期間。自社の想定と比べます。
継続率。契約が継続している割合。高いことは運用の安定を示しますが、契約期間の長さにも左右されます。
数字を見たら、必ず前提を聞いてください。前提が説明できない数字は、判断材料になりません。逆に、前提を丁寧に説明する会社は、社内で実績を管理しています。
エラベルの見解
実績を確認するときに、うまくいかなかった案件について聞いてみてください。ここに情報が集まっています。
すべての案件がうまくいくことはありません。母集団が作れなかった、要件が固まらなかった、判断が遅れて候補者が流れた。こうした経験を、原因まで分析して語れる相手は、次に同じことが起きたときも動けます。
逆に、「特にありません」「基本的にはうまくいっています」と返る場合、二つの可能性があります。本当に案件数が少ないか、振り返りをしていないか。どちらにしても、判断材料が減ります。
そして、この質問にはもう一つの効果があります。うまくいかなかった原因として何を挙げるかで、その人の視野が分かります。発注側の判断が遅かった、要件が固まらなかった、という話だけが出るなら、自分の側の改善は見ていません。文面の作り方が甘かった、条件の設計を間違えた、という話が出るなら、自分の実務を振り返っています。
成功事例より、失敗の語り方のほうが情報量が多い。これは採用の候補者を見るときと同じ構造です。
まとめ
- 実績には会社・担当者・案件の三つの層がある。資料に載るのは一番目が中心
- 会社の実績から分かるのは、規模・標準化・業種の広がり
- 分からないのは、支援の定義・担った範囲・職種・自社の担当者の経験
- 数字が効くのは、手順が標準化されていることと知見が担当者に届く仕組みがあること
- 担当者の実績は、職種・業務範囲・期間・規模・媒体で聞く
- 自社に効くかは、職種の近さと発注側の体制の近さで判定する
- 数字を見たら前提を聞く。説明できない数字は判断材料にならない
- うまくいかなかった案件の語り方に、経験の質が出る
よくある質問
支援社数が多い会社を選べば安心ですか
社内に標準化された手順があることは推測できますが、自社に入る担当者がその経験を持つとは限りません。数字を見た後に、担当予定者の経歴と、社内の知見がどう共有されているかを聞いてください。この二つがつながっていれば、実績と自社の案件が結びつきます。
同業種の実績は必須ですか
必須ではありません。業種の経験があると立ち上がりは速くなりますが、要件を言語化する力のほうが効く場面も多くあります。同業種の経験がない場合、その分をどう補うかを聞いてみてください。答え方に、その会社の進め方が出ます。
事例を見せてもらえない場合はどうしますか
守秘の事情で出せないことは珍しくありません。その場合、企業名を伏せた形で、職種・規模・期間・担った範囲・結果を聞いてください。この情報があれば、自社に効くかの判定はできます。事例の読み方は支援事例のどこを見るべきかにまとめています。