採用代行 / 上場企業
上場企業の採用代行|最初に外注すべき業務はどれか
上場企業の人事部で、代行を使いたいが、法務と情報管理の要件があり、何から出せば統制の確認が通りやすいかが分からない。この記事は、その順番を決めるためのものです。結論を先に書くと、上場企業が最初に出すべきは「統制の線が引きやすく、候補者の情報の扱いが最小で済む工程」で、具体的には面接の日程調整と面接の記録です。次が「事業部ごとの運用(候補者への連絡と進捗の一覧)」、最後が「候補者の情報を広く扱う探す工程(媒体の運用とスカウト)」です。順番の理由は、上場企業では「候補者の情報をどこまで外部に渡すか」が統制の最大の論点で、扱う情報が少ない工程ほど確認が速く通り、その実績が次の工程の確認を速くするからです。社内に残す役割は上場企業の採用体制の作り方に、失敗の形は上場企業が採用代行で失敗するパターンに、大企業に向く代行の条件は大企業に向く採用代行の条件にまとめています。
上場企業で、代行に出す工程を統制の観点で並べる
順番を決めるには、各工程が統制の観点でどれだけ確認を要するかを先に見ます。上場企業では、次のように並びます。
| 工程 | 扱う候補者の情報 | 統制の確認の重さ | 事業部の関与 |
|---|---|---|---|
| 面接の日程調整 | 氏名と連絡先と面接の日時だけ | 軽い。連絡に要る最小の情報 | 面接官の予定を出すだけ |
| 面接の記録 | 面接官が話した評価の内容 | 軽い〜中。記録の形と保管の場所を決めれば済む | 面接官が記録の型に沿う |
| 候補者への連絡と進捗の一覧 | 選考の段階ごとの状況 | 中。ATSの権限をどこまで出すかが論点 | 事業部が進捗を見る |
| 求人票の原稿 | 候補者の情報は扱わない | 軽い。公開する情報の承認だけ | 事業部が要件を出す |
| 媒体の運用とスカウト | 応募者と候補者の情報を広く扱う。媒体のアカウント | 重い。情報の範囲、保管、削除、再委託の全部が論点 | 事業部が「誰に送るか」を決める |
| 一次面接 | 候補者の経歴と評価 | 中〜重。判断の根拠の記録が監査の論点 | 事業部が見る点を決める |
| 内定の後の連絡と手続き | 条件と個人の書類 | 重い。労務の情報に触れる | 人事部が手続きを持つ |
この表で、統制の確認が軽く、事業部の関与も少なく、しかも候補者が待たされて離れる原因になっている工程が「面接の日程調整」です。上場企業では、面接官の階層が多く、日程の調整に時間がかかり、候補者が待つ間に他社に決まります。統制の確認が速く通り、効果もすぐ見える工程から出します。
最初に出す工程:面接の日程調整と面接の記録
なぜ最初か。扱う情報が最小で、統制の確認が速く通り、上場企業で候補者を失っている場所(面接官の階層が多くて日程が組めない)に直接効くからです。この工程で「代行が線の中で動ける」実績を作ると、次の工程の確認が速くなります。
代行に頼む内容。面接官の予定の集約と候補者との日程の確定、前日の確認、変更と辞退の受け取り、面接の記録の型の作成と記入の代行(面接官が話した内容を、判断の根拠が残る形で記録)、記録を社内の仕組みに入れる下書き。
社内に残す判断。「この候補者を面接に進めるか」は事業部が決め、面接そのものは社内の面接官が担います。記録の形は人事部が内部監査と決め、代行はその形に沿います。代行が扱う情報は「氏名、連絡先、面接の日時、面接の記録」に限り、経歴書そのものは社内の仕組みの中で扱います。
費用の見方。月に何件の面接を組み、何件の記録を作るかで稼働が決まります。契約の前に「情報の範囲、保管の場所、削除の時期」を線として渡し、その線で受けられるかを確認します。「応募から面接までの日数」が縮んだかで効果を見ます。日程調整は面接の日程調整は代行に出せるかに、候補者の情報とNDAは採用代行に渡す候補者情報とNDAの範囲に書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「上場企業は統制が厳しいから、代行に出せるのは求人票の原稿くらいだ」というものです。実際には、統制の論点は「候補者の情報をどこまで外部に渡すか」に集中しており、情報の扱いが最小の工程(日程調整、記録の型)は、要件を線として渡せば速く通ります。逆に、最初から媒体の運用やスカウトのような情報を広く扱う工程を出そうとすると、法務と情報管理の確認に数か月かかり、その間に人事部が疲弊します。上場企業で代行を使うなら、統制の確認が軽い工程から始めて実績を作り、次の工程の確認を速くする順番が、結果として最も速く広がります。
この順番で代行を選ぶと、見るべき点が決まります。契約の前の面談で「まず情報の扱いが最小の工程から始めて、統制のご担当に実績を見ていただきましょう」と提案してくる担当者は、上場企業の確認の重さを知っています。「全工程を一括で提案します」から入る担当者は、確認で止まります。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、上場企業を支援してきた担当者に、統制の確認が速い工程から入る形で頼めます。
次に出す工程:事業部ごとの運用(連絡と進捗の一覧)
なぜ次か。日程調整と記録が回り、代行が線の中で動ける実績ができると、次に「事業部ごとに進捗が見えない」「候補者への連絡が事業部と人事部の間で止まる」が見えてきます。ここで、ATSの権限を絞った形で代行に出し、事業部ごとの進捗の一覧と候補者への連絡を代行が持ちます。
代行に頼む内容。応募者と候補者への連絡(選考の結果、次の段階の案内)、事業部ごとの進捗の一覧の更新、ATSへの入力(絞った権限の中で)、事業部との定例の資料の作成、人事部への記録の共有。
社内に残す判断。選考の結果そのもの(進めるか、落とすか)は事業部が決め、代行は決まったことを候補者に伝えます。ATSの権限の範囲は情報管理と人事部が決め、代行はその中で動きます。不採用の候補者の情報の扱い(保管の期間、削除)は人事部の方針に沿います。
費用の見方。事業部の数と候補者の件数で稼働が決まります。事業部ごとに代行を分けず、一つの代行が標準の形で複数の事業部を回す形にすると、人事部の管理が一つで済みます。採用管理の仕組みへの権限は採用代行に渡すATSの権限範囲に、採用管理の運用はATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、不採用者の情報は不採用者のデータの取り扱いに整理しています。
最後に出す工程:候補者の情報を広く扱う探す工程
なぜ最後か。媒体の運用とスカウトは、応募者と候補者の情報を最も広く扱い、媒体のアカウントの権限、情報の保管と削除、再委託の禁止と、統制の論点の全部に触れるからです。前の二つの工程で代行が線の中で動いた実績があると、この工程の確認が速くなります。実績なしに最初から出すと、確認で止まります。
代行に頼む内容。媒体の運用(原稿の更新、掲載の管理、応募の取り込み)、スカウトの文面の作成と送信と追客、母集団の状況の事業部ごとの報告、媒体と紹介会社との折衝。
社内に残す判断。要件と「誰に送るか」の基準は事業部が決めます。媒体のアカウントの権限と、情報の保管と削除の条件は、情報管理と人事部が決め、契約に落とします。紹介会社との契約の条件は人事部が持ちます。
費用の見方。媒体の費用と代行の稼働に分かれ、上場企業では媒体の契約が人事部の名義で、代行は運用だけを持つ形が多くなります。送信数と返信数を事業部ごとに報告してもらいます。媒体の運用は求人媒体の運用は代行に出せるかに、スカウトはスカウトの送信は代行に出せるかに、紹介会社との折衝は人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに書いています。
エラベルの見解
外に出してよいのは、日程調整・記録の型と記入・連絡・進捗の一覧・ATSへの入力(絞った権限で)・媒体の運用・スカウト・紹介会社との折衝までで、「進めるか落とすか」「要件と誰に送るか」「情報の範囲と権限」「不採用者の情報の方針」「紹介会社との契約」は社内に残します。上場企業は、人事部の人数が多いので、代行に出す工程が少なくても回りますが、面接官の階層が多く日程で候補者を失う構造は、人数では解けません。出すのは、統制の線の中で、社内の人数では解けない速さの工程です。
担当する側から見ると、上場企業でこの三つの工程を「一度に全部」で受けると、情報を広く扱う工程の確認が全体を止め、最初の月に何も動きません。情報の扱いが最小の工程で線の中で動く実績を作り、その実績を統制の担当に見せてから次の工程を足す、と一つずつ進める形だと、確認が段階ごとに速くなり、半年後には探す工程まで広がります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「まず日程調整と記録から、統制のご担当に実績を見ていただきましょう」と順番を提案してくる担当者を選べば、この形になります。
まとめ
- 上場企業が代行に出す順番は、一に面接の日程調整と記録、二に事業部ごとの連絡と進捗の一覧、三に媒体の運用とスカウト
- 順番の理由は、統制の論点は「候補者の情報をどこまで外部に渡すか」に集中しており、扱う情報が少ない工程ほど確認が速く通るから。実績が次の確認を速くする
- 最初の工程では、代行が扱う情報を氏名・連絡先・日時・面接の記録に限り、記録の形は内部監査と決める
- 事業部ごとの運用は、ATSの権限を絞った形で出し、一つの代行が標準の形で複数の事業部を回す
- 探す工程は、前の二つの実績を統制の担当に見せてから出す。媒体の契約は人事部の名義、代行は運用だけ
- 費用は、工程ごとに「面接の件数、候補者の件数と事業部の数、媒体の費用と稼働」で見る
よくある質問
統制の確認に時間がかかるなら、最初から全工程を一括で確認したほうが早いのではないですか
一括で確認すると、最も重い論点(媒体のアカウント、情報の保管と削除、再委託)が全体の確認を止め、軽い工程まで動けなくなります。軽い工程から出して線の中で動いた実績を作ると、統制の担当は「この代行はこの線で動ける」と判断でき、次の工程の確認が速くなります。一括の確認で数か月止まるより、段階で半年かけて広げるほうが、結果として速く、人事部の負担も分散します。体制の作り方は上場企業の採用体制の作り方に、契約書の確認は採用代行の業務委託契約書で確認する項目に整理しています。
人事部に人数がいるので、日程調整は社内で回せています。それでも最初に出すべきですか
社内で回せているなら、最初の工程は「面接の記録の型」だけにして、日程調整は出さなくて構いません。上場企業で監査に耐える記録が残っていない会社は多く、記録の型を代行と作ることは、統制の観点でも価値があります。そのうえで、人事部の人数で解けていない工程(事業部ごとの進捗が見えない、探す工程の稼働が足りない)を次に出します。順番の考え方は「統制の確認が軽い工程から」で変わりません。定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に、採用データの分析は採用データの分析は代行に出せるかに書いています。
代行を替えるときに、統制の確認をやり直すことになりませんか
代行を使うときの標準(契約の条項、情報の扱い、記録の形、報告の形)を人事部が一つ作っておけば、代行を替えるときも「標準に沿えるか」の確認だけで済みます。前の代行の記録が社内の仕組みに残っていれば、引き継ぎも速くなります。契約の前に「終わるときに記録を社内の仕組みに残す」「標準に沿った形で引き継ぐ」を条項に入れておきます。引き継ぎの項目は採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に、担当者が替わるときの考え方は採用代行の担当者が替わるときのリスクに整理しています。