採用代行 / 看護師
看護師の母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
看護師の募集で起きる母集団の問題は、自施設の求人に応募がまったく来ない場合、応募は紹介会社経由でしか来ず成功報酬が重い場合、面接まで進んで「夜勤が月に何回で何人体制か」「受け持ちの数」「記録の残業」「離職が続いていること」「師長がどういう人か」が分かって辞退される場合に分かれます。看護師の採用に特有なのは、国家資格で母数が限られ、候補者が病棟の実態で「この病棟で働き続けられるか」を判断し、その情報を紹介会社と看護師同士のつながりから得ることに慣れていることです。結論を先に書くと、看護師の母集団形成は、「求人票で病棟の実態を紹介会社と同じ具体さで示し、師長がどういう人かと離職の状況と対策を隠さない」「出し先を看護師向けの経路と潜在看護師や子育て中の層に合わせる」「スカウトを業態と病棟と勤務地で分け、担当してきた病棟に触れる」「面接で師長が病棟を見せ、実態を話し、一次対応を当日にする」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。代行に出す工程の線は看護師採用を代行に出す判断基準に、同じ医療職の薬剤師の母集団形成は薬剤師の母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
自施設の求人に応募が来ない場合は、求人票が「看護業務全般」で病棟の実態が分からず、候補者が紹介会社に聞きに行っているか、看護師向けの経路に出ていないか、地域での評判(離職が続いている)が求人票で触れられておらず、候補者が「隠している」と読んでいるかです。
紹介会社経由でしか来ない場合は、自施設の求人票が紹介会社の持つ情報(夜勤の回数と体制、患者層、受け持ち、残業、休み、教育、師長の人柄、両立の支援)より少ないことが原因です。候補者は、情報の多いほうから動きます。
面接まで進んで辞退される場合は、夜勤の実態(回数が多い、一人夜勤に近い)、受け持ちの多さ、記録の残業、離職の状況、師長の人柄が求人票の印象と違う、両立の支援が実態と違う、師長と病棟の話ができなかった、のどれかです。
どの症状かは、応募者を業態と病棟と経路(急性期、慢性期、クリニック、訪問看護、潜在看護師の復職、子育て中でパート希望、新卒、紹介会社経由か直接か)で分類し、応募から一次返信までの日数を見て、面接での候補者の質問(「夜勤は何回で何人ですか」「受け持ちは何人ですか」「記録の残業は」「師長はどういう方ですか」「最近辞めた方はいますか」が出るか)と辞退の理由を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「病棟の実態と師長と離職の状況」が紹介会社と同じ具体さであるか
求人票を開いて、次の八つが読み取れるかを確認します。
- 業態と病棟と患者層。 急性期か慢性期かクリニックか訪問看護か。病棟の種類(内科、外科、混合、療養)、患者層(年齢、重さ、認知症の割合)、病床数。一行目で分かる形に。「看護業務全般」は書かない
- 夜勤の回数と体制。 月に何回程度か、何人夜勤か、二交代か三交代か、夜勤の免除や回数の調整の方針。「夜勤あり」で済まさない
- 受け持ちと残業と休みの実態。 日勤の受け持ちの数、記録の残業の実態、前残業の有無、休みの希望が通る率、有給の取り方。「による」で済まさない
- 教育体制。 新しく入る人への指導者の配置と期間、研修、別の業態から来た人への受け入れ方
- 子育てとの両立の支援。 夜勤の免除、時短、託児、急な休みへの対応。子育て中の層が最初に確かめる項目
- 師長・看護部長がどういう人か。 経歴、病棟の運営の考え方、相談の形。候補者が最も気にする項目
- 離職の状況と対策。 最近の離職の状況を隠さず、原因と、それに対して何をしているか。地域の評判は候補者に伝わっている
- 施設の工夫。 実態が厳しい項目に対して、施設が何をしているか。夜勤の体制を変えた、記録の仕組みを変えた、指導者を増やした、など
八つのうち、六つ目の「師長がどういう人か」と七つ目の「離職の状況と対策」が最も抜けます。この二つは、看護師同士のつながりで候補者に伝わっていて、求人票に無いと「隠している」と読まれます。
実態を正直に書くことが要点です。夜勤が多いなら多いと書き、体制と免除の方針を添える。離職が続いているなら、原因と対策を書く。隠して面接や入職後に分かるのが、最も辞退と離職を生み、評判をさらに下げます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「自施設の求人には応募が来ず、紹介会社経由でしか採れない。しかも採っても辞める」というご相談です。求人票を見ると、「看護師募集。病棟業務。経験者優遇。夜勤あり。子育て支援あり」で、病棟の種類も、患者層も、夜勤の回数と体制も、受け持ちも、残業も、師長のことも、離職の状況も無い。紹介会社は、これを全部候補者に伝えていて、地域の看護師は離職が続いていることを知っていました。候補者は、情報の多い紹介会社から動き、自施設の求人票は「隠している」と読まれていました。
見ていて差がつくのは、「紹介会社が候補者に伝えているのと同じ具体さで、師長と離職の状況も含めて、求人票に書いているか」です。「〇〇病院の内科病棟で、患者層は高齢者が中心、病床は〇〇。看護師は日勤〇人、夜勤は二人体制で月に〇回程度、二交代。受け持ちは日勤で〇人程度。記録の残業は月に〇時間程度で、記録の仕組みを変えて減らしている途中。指導者を一人つけて三か月。夜勤の免除は子育ての事情で相談でき、託児がある。師長は〇〇の経験が長く、こういう考えで病棟を運営している。去年は離職が続いたが、原因は夜勤の偏りで、体制を変えた」。ここまで書けば、候補者は紹介会社に聞かなくても判断でき、「隠さない病棟」として直接の応募が来ます。エラベルでは、看護師の担当者に、紹介会社が候補者に伝える項目と、看護師同士で伝わっている評判を一覧にし、求人票にすべて入れるところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が看護師向けの経路と潜在看護師や子育て中の層に合っているか
求人票が整ったら、出し先を見ます。看護師は、資格を持つ人の母数が限られる分、資格を持って働いていない人(潜在看護師)と、子育て中で日勤やパートを希望する人が、母集団の大きな部分になります。
| 出し先 | 向く場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体 | 待つ経路として、最低限 | 病棟の実態を書いた上で、他の経路と併用 |
| 看護師向けの媒体 | 経験者に絞って届けたい | 媒体によって集まる業態(急性期か訪問看護か)と雇用の形(常勤かパートか)が違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | こちらから届ける経路の中心 | 業態と病棟と勤務地で検索を分ける。担当してきた病棟に触れた文面に |
| 師長・職員の知人経由の紹介 | 看護師同士のつながりが厚い | 求人票の八つを師長と職員に渡す。紹介した人の負担と見返りを設計する。評判が悪い時期は紹介が出にくいので、対策を先に。リファラルが進まない理由 |
| 潜在看護師(育児や介護で離れていた人) | 施設の近くに住む有資格者に届けたい | 日勤のみや短時間から始められること、ブランクへの研修、勤務時間の柔軟さを書く。地域の求人として出す |
| 子育て中でパートや日勤を希望する人 | 日勤の穴を埋めたい | 夜勤の免除、時短、託児、急な休みへの対応を書く。常勤への道筋があれば書く |
| 看護学校とのつながり | 新卒を採って育てる場合 | 実習の受け入れ、学校との関係。新卒は経験者と別枠で |
| 紹介会社との併用 | 急ぐ配置(夜勤の穴を埋める) | 急ぐ配置は紹介会社、計画的な採用は自施設で、と分ける。費用と離職の見え方を整理 |
| 同じ地域に住みたい人 | 地方の施設の場合 | 出身者、家族の事情で戻りたい人。地域を訴求の軸に |
| 出戻り | 過去に辞めた看護師 | 辞めた理由が夜勤や師長や体制なら、変わったことを伝える。看護部長から声をかける |
出し先の要点は、「潜在看護師と子育て中の層」への届け方です。看護師の資格を持ちながら働いていない人、夜勤ができない人は、施設の近くに住んでいて、地域の求人を探しています。「常勤のみ」「夜勤必須」で出すと、この層に届きません。日勤のみや短時間から始められること、ブランクへの研修、両立の支援を書き、地域の求人として出します。夜勤の体制は別の経路で埋め、日勤をこの層で埋める設計が、母集団を広げます。
見直す順番の三番目:スカウトが業態と病棟と勤務地で分けられ、担当してきた病棟に触れているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、業態と病棟と勤務地で分けます。急性期なら「病棟の種類」「手術室」「救急」「集中治療」、慢性期なら「療養」「回復期」、訪問看護なら「訪問」「在宅」、クリニックなら「外来」「処置」。勤務地は、住んでいる場所か出身地で絞ります。「看護師」の資格だけで検索すると、業態と勤務地が混ざります。
文面は、一行目で候補者が担当してきた病棟に触れます。看護師の場合、触れる一点は「担当した病棟の種類と患者層」「担当した業務(手術室、救急、訪問、認知症ケア)」「夜勤の経験」「指導者の経験」のどれかです。「内科病棟で高齢の患者さんを担当されたご経歴を拝見しました。当院の内科病棟も同じ患者層で、夜勤は二人体制です」。その後に、病棟の実態(夜勤の回数と体制、受け持ち、残業、休み、教育、両立の支援)、師長がどういう人か、離職の状況と対策、施設の工夫を書きます。担当してきた病棟に触れず、施設の紹介から始まる文面は、「経歴を読んでいない」と読まれます。文面の型はスカウト文面の構造を参照してください。
見直す順番の四番目:面接で師長が病棟を見せ、実態を話し、一次対応が当日か
看護師の採用に特有なのが、この段階です。候補者は、複数の施設を同時に見ていて、紹介会社経由なら紹介会社が日程を速く組みます。自施設の求人で一次対応が遅れると、紹介会社経由の他施設に先に決まります。
一次対応は当日です。応募や返信があったその日に連絡し、面接と病棟見学の日程を提案します。師長の予定を病棟の合間に先に押さえておき、候補者と合わせます。ここが社内で最も回らない工程で、代行に出す価値が大きい工程です。
面接は師長が出て、病棟を見せます。候補者は、病棟を見れば、患者層、ナースステーションの雰囲気、看護師同士の関係、記録の状態、忙しさを読み取ります。見せない施設は「見せられない病棟」と読まれます。見学の途中で、他の看護師と一言でも話せる場を作ると、「師長がどういう人か」「離職の状況」が候補者に伝わります。隠すより、見せて話すほうが、候補者の判断は良くなります。
師長が実態を正直に話します。「うちの病棟は夜勤が月に〇回で二人体制。記録の残業は正直まだある。減らす取り組みをしていて、休みの希望はほぼ通る。去年は離職が続いた。原因は夜勤の偏りで、体制を変えた」。師長が実態を話すと、候補者は「正直な師長」と判断します。求人票に書いたことと、ここで言うことを合わせておきます。
面接から次の段階までの日程を、その場で決めます。内定後は、現職の引き継ぎと配置の区切りがあるので、入職日まで連絡を続けます。配置基準と夜勤の体制に関わる調整は、専門家に確認します。面接の設計は面接の構造に書いています。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 業態と病棟と患者層、夜勤の回数と体制、受け持ちと残業と休み、教育、両立の支援、師長の紹介、離職の状況と対策、工夫を看護部長と師長が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。「看護業務全般」を消す。紹介会社が伝える項目と評判の一覧と照合 |
| 出し先 | 予算と契約の判断。紹介会社との併用の設計。紹介の見返りの設計 | 業態と勤務地に合わせた経路の提案、運用、数の整理。潜在看護師と子育て中の層への届け方。紹介の仕組みの運用 |
| スカウト | 業態と病棟と勤務地の確定 | 業態と勤務地で分けた検索、担当してきた病棟に触れた一行目の個別化、送信、当日の一次対応 |
| 面接 | 師長が病棟を見せ、実態と離職の状況を話し、看護の質を聞く。合否 | 師長の予定と病棟見学の確保、当日の一次対応、業態と業務と経路の分類、内定後の連絡 |
分け方の要点は、「病棟の実態と師長の紹介と離職の状況と対策は看護部長と師長が出し、届ける工程と当日の対応と見学の段取りは外に出せる」ことです。看護の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「採用の工程を回す人」の役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、看護師の母集団形成で最も効くのは、求人票に「師長がどういう人か」と「離職の状況と対策」を書くことと、潜在看護師と子育て中の層に「日勤のみ、短時間から」と届けることです。前者で「隠している」と読まれていた求人が「隠さない病棟」として読まれ、後者で資格を持ちながら働いていない人に届きます。
エラベルでは、看護師の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は紹介会社が候補者に伝える項目と看護師同士で伝わっている評判を一覧にして求人票に入れ、看護師向けの経路と潜在看護師と子育て中の層への届け方を整え、面接に病棟見学を組み込むことに使うようお伝えしています。看護師の候補者は、病棟の実態と師長で「この病棟で働き続けられるか」を判断し、病棟を見て決めます。その二つを整えるのが、母集団形成の最初の仕事です。配置基準と夜勤の体制の要件は、専門家にご確認ください。
まとめ
- 看護師の母集団の問題は自施設の求人に応募が来ない・紹介会社経由でしか来ない・面接で夜勤と受け持ちと残業と離職と師長の実態で辞退されるの三つ。候補者は病棟の実態と師長で判断し、その情報を紹介会社と看護師同士のつながりから得ることに慣れている
- 見直す順番は求人票に病棟の実態と師長と離職の状況を紹介会社と同じ具体さで→出し先を看護師向けの経路と潜在看護師や子育て中の層に→スカウトの業態と勤務地分けと担当してきた病棟への言及→面接で師長が病棟を見せ実態を話し一次対応を当日に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には業態と病棟と患者層(一行目)・夜勤の回数と体制・受け持ちと残業と休みの実態・教育体制・両立の支援・師長がどういう人か・離職の状況と対策・施設の工夫の八つ
- 出し先は看護師向けの経路と、潜在看護師と子育て中の層(日勤のみ・短時間から・ブランクへの研修・両立の支援・地域の求人として)。紹介会社は急ぐ配置に絞って併用
- スカウトは業態と病棟と勤務地で検索を分け、一行目で担当してきた病棟に触れる
- 面接は一次対応を当日に・師長が出て病棟を見せ、実態と離職の状況を正直に話す・内定後は入職日まで連絡を続ける
よくある質問
離職が続いていることを求人票に書くと、余計に来なくなりませんか
書かなくても、地域の看護師は看護師同士のつながりで知っています。書かない求人票は「隠している」と読まれ、書いた求人票は「隠さない病棟」と読まれます。書くのは「離職が続いた」という事実だけでなく、「原因(夜勤の偏り、師長の交代、記録の負担)と、それに対して何をしたか(体制を変えた、指導者を配置した、記録の仕組みを変えた)」です。「変わろうとしている病棟」として伝わると、その変化に関わりたい人が来ます。原因に手を打っていないなら、採用の前にそこを直します。
潜在看護師に届けるには、何を書けばよいですか
「日勤のみ、短時間から始められる」「ブランクへの研修(看護技術の確認、電子カルテの操作、最近の医療の情報)がある」「勤務時間と曜日の相談ができる」「施設の近くに住む方に」「託児がある」を書き、地域の求人として出します。資格を持ちながら育児や介護で離れていた看護師は、夜勤必須の常勤の求人には応募しません。週に数日、日勤だけから始めて、慣れたら増やせる道筋と、研修の中身を具体的に書くと、ブランクへの不安が減ります。夜勤の体制は別の経路で埋め、日勤をこの層で埋める設計にします。
師長の人柄を求人票にどう書けばよいですか
師長本人の言葉で、経歴と病棟の運営の考え方を一文か二文で書きます。「内科病棟で〇年、師長として〇年。新しく入る人には、最初の三か月は受け持ちを少なくして、慣れてから増やす方針。相談はいつでも、と言い続けています」。候補者が最も気にするのは師長の人柄で、それが求人票に無いと、看護師同士のつながりで確かめようとします。師長本人の言葉があると、「話を聞いてみたい」に変わります。面接で師長が同じことを話し、病棟で他の看護師と話せる場を作ると、言葉の裏付けになります。