採用代行 / 建築設計

建築設計の採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準

公開 2026-09-17

建築設計の採用要件を作ると、「一級建築士」「意匠設計経験五年以上」「基本設計から監理まで一貫した経験」「非住宅の大規模案件の経験」「BIMや各種ソフトの経験」「デザイン力のある方」「施主との折衝ができる方」と膨らみます。任せる用途と段階を決めずに、設計部長や経営者が「理想の設計者」と「安心のための資格」を要件にしてしまうことが原因です。膨らんだ要件は、該当する人が市場にほとんどいないか、該当しても他社に決まるか、資格を必須にして二級で非住宅を担ってきた人や取得前の若手を外してしまうかのどれかになります。結論を先に書くと、建築設計の要件は「任せる用途と段階」から決め、必須を「その用途に近い建物を設計した経験」「任せる段階を担った経験」「登録や配置に法令上必要な資格(要るなら)」の三つに絞り、それ以外の用途・一貫した経験・配置に不要な資格・ソフト・年数は歓迎に回すと、該当する人が現れ、面接で確かめるべきことも決まります。分野・用途・段階と任せる範囲の整理は建築設計採用を代行に出す判断基準に、母集団形成は建築設計の母集団形成にまとめています。

建築設計で要件が膨らむ理由

建築設計の要件が膨らむ理由は、三つあります。

一つ目は、任せる用途と段階を決めずに要件を作ることです。「設計者が足りない」で募集を始めると、どの用途を、どの段階から任せるかが決まっておらず、「どの用途でも、基本設計から監理まで一貫して回せる人」が要件になります。実際には、任せる用途と段階が決まれば、要件はそこに近い経験で足ります。

二つ目は、資格を「あったほうが安心」で必須にすることです。一級・二級建築士の資格は、設計できる建物の規模や用途、事務所の登録や管理建築士の配置に関わります。採る人がその配置を担うなら必須ですが、別の人が担っていて採る人は設計を担う役なら、入社後の取得を前提にできます。区別せずに一級を必須にすると、二級で非住宅の実施設計を担ってきた人や、取得前の若手が外れます。登録と配置に関わる法令上の要件は、行政書士など専門家にご確認ください。

三つ目は、経験者の母数が多くない市場で、「理想の設計者」を要件にすることです。「一級で、非住宅の大規模を基本設計から監理まで一貫して担い、BIMが使え、デザイン力があり、施主と折衝できる」人は、市場にほとんどいないか、いても独立しているか他社が先に決めています。要件を理想で書くほど、該当者がいなくなります。

三つを合わせると、「用途と段階を決めずに、理想の経験と安心のための資格を並べ、ソフトと形容詞を足す」のが、膨らむ構造です。

必須と歓迎を分ける基準

基準は、「その要件が無いと、任せる用途と段階を回せないか」です。回せないなら必須、あれば早いなら歓迎です。

要件必須か歓迎か理由
任せる用途(住宅・事務所・医療・商業・教育・工場など)に近い建物を設計した経験必須用途が違うと、法規・動線・設備の考え方が違い、すぐには回せない。「設計経験」ではなく用途で書く
任せる段階(基本設計・実施設計・申請・監理)を担った経験必須実施設計を任せるなら実施設計の経験。基本設計を任せるなら基本設計の経験。段階で書く
登録や配置に法令上必要な資格必須(配置を担う場合)/歓迎・入社後取得(担わない場合)事務所の登録と配置で決まる。専門家に確認
基本設計から監理まで一貫した経験歓迎(一貫して任せる場合以外)実施設計から任せるなら、一貫した経験は要らない。段階を広げるときの材料
他の用途の経験歓迎あれば案件の幅が広がる。無くても任せる用途は回る
大規模案件の経験歓迎(任せる案件が大規模でない場合)大規模の一部を担った経験より、任せる規模を一通り担った経験のほうが効く
BIMや各種ソフトの経験歓迎ソフトは入ってから覚えられる。自社のソフトと違えば移行の期間を見る
分野をまたぐ経験(意匠に加えて構造や設備の知識)歓迎あれば調整が速い。無くても分野の担当と協働で回る
経験年数歓迎年数より、用途と段階と作品のほうが効く
「デザイン力」「施主との折衝力」「センス」要件から外す経歴で確かめられず、作品と面接で設計部長が確かめる項目。要件に書いても絞れない

表の要点は、「一級建築士必須」「設計経験〇年」を、任せる用途と段階を決めずに書かないことです。年数ではなく、「どの用途を、どの段階で」担い、どの作品があるかで書きます。資格は「配置に要るか」で決めます。

もう一つの要点は、「基本設計から監理まで一貫」を必須にしないことです。実施設計から任せる募集なら、一貫した経験は要りません。将来広げるときの材料として、歓迎に置きます。

エラベルの見解

相談で多いのは、「設計者の要件を『一級建築士必須、非住宅の基本設計から監理まで一貫した経験五年以上、BIM経験、デザイン力のある方』にしたが、応募がまったく来ない」というご相談です。任せる用途と段階を聞くと、事務所と医療施設の実施設計と監理が中心で、基本設計は当面は所長が担い、管理建築士は所長でした。それなら要件は「事務所か医療施設の実施設計と監理の経験」で足り、一級も一貫も年数もBIMも、該当者を減らしているだけでした。

見ていて差がつくのは、「任せる用途と段階を決めてから要件にしているか」です。「事務所と医療施設の実施設計と監理を任せる」→必須は「事務所か医療施設の実施設計の経験」「監理の経験」、資格は「入社後取得を支援」、基本設計と一貫は歓迎。ここまで決めれば、要件は二つで済み、該当する人が現れます。エラベルでは、建築設計の担当者に、要件を書く前に「採る人にどの用途を、どの段階から任せるか」を設計部長に決めてもらっています。

必須を三つに絞る手順

手順は四つです。

一つ目:採る人に任せる用途と段階を決める。 住宅か非住宅か、非住宅ならどの用途か。基本設計からか、実施設計からか、申請と監理も含むか。決まっていなければ、直近で担当してもらう案件を二つか三つ挙げ、共通する用途と段階を出します。

二つ目:その用途と段階を回すために、無いと困る経験を書き出す。 「同じ用途の建物を設計した」「実施設計を一通り担った」「監理を担った」など。書き出したら、「これが無いと本当に回らないか」を一つずつ問います。

三つ目:資格の要否を、登録と配置から決める。 事務所の登録と管理建築士の配置で、法令上どの資格が要るか。採る人がその配置を担うなら必須、別の人が担うなら「入社後取得」に。専門家に確認します。

四つ目:残りを歓迎に回し、形容詞を外す。 他の用途、一貫した経験、大規模、ソフト、年数、配置に不要な資格は歓迎に。「デザイン力」「折衝力」「センス」は要件から外し、作品と面接で設計部長が確かめる項目に移します。

手順の要点は、二つ目で「本当に回らないか」を問うことです。「基本設計から監理まで一貫」は、実施設計から任せるなら「回らない」ではありません。「BIM」は、自社で使っていても、入ってから覚えられるなら「回らない」ではありません。問うたびに必須が減り、三つに近づきます。

作品と経歴で確かめられる要件と、面接で設計部長が確かめる要件

要件を、作品と経歴(ポートフォリオ、職務経歴書、媒体のプロフィール)で確かめられるものと、面接で設計部長が確かめるものに分けます。

作品と経歴で確かめられるのは、「担当した建物の用途と規模」「担当した段階(基本設計か実施設計か監理か)」「担当した範囲(自分の名前で担当したか、所長の下で担ったか)」「資格の有無と取得時期」「使ったソフト」「何年か」です。書類の段階で、必須の三つはここで確かめます。建築設計の経歴は、作品名と用途と規模と担当段階が並ぶ形が多く、用途と段階は読み取れます。ただし、「担当」と書かれていても、どこまで自分で担ったかは面接で確かめます。

面接で設計部長が確かめるのは、「設計の考え方(この作品で何を一番大事にしたか)」「納まりや法規の判断(この納まりはどう考えたか、法規のどこで悩んだか)」「施主や施工者との調整(設計変更をどう収めたか)」「自分の名前で担当できるか、まだ所長の下が要るか」「会社の設計の考え方と合うか」です。要件の「デザイン力」「折衝力」「センス」は、この五つに翻訳して、設計部長が作品を見ながら確かめます。

確かめる方法は、候補者の作品を前に、具体的に聞くことです。「この作品で、何を一番大事にしましたか」「この納まりはどう考えましたか」「施主の要望と設計の考えがぶつかった場面はありますか。どう収めましたか」。答えの中身より、作品を前に設計の話が通じるか、その判断を自分でしたか、所長に聞いたか、を見ます。設計部長が面接に出られない場合は、所長か経験の長い設計者が出ます。設計部長の時間の確保は現場が採用に協力してくれないに、面接の設計は面接の構造に書いています。

経路ごとの要件の書き方

建築設計の候補者は、経路によって持っているものが違います。要件の書き方も、経路を意識して変えます。

経路作品と経歴で確かめる面接で設計部長が確かめる要件に書くときの注意
組織設計事務所担当した用途と規模、担当した段階と範囲大きな組織で一部だけを担っていた場合、一人で担当できるか。小規模案件での動き方「大規模の経験」が該当するが、自分の名前で担当したかを確かめる
アトリエ系の設計事務所公開作品、所長の下で担った範囲所長の考え方と自社の考え方の違いに慣れるか。自分の判断で進められるか必須の三つがそのまま該当しやすい。設計の考え方の一致を面接で重く見る
ゼネコンの設計部担当した建物、施工との連携設計に集中する動き方に移れるか。施主と直接向き合えるか用途が合えば合う。設計事務所との働き方の違いを面接で確かめる
ハウスメーカー担当した棟数、標準からの逸脱の経験非住宅の法規と動線に慣れるか。一件ごとに設計する動き方住宅から非住宅への移行は用途が違う。任せる用途が住宅なら合う
施工側から設計へ現場の経験、図面に関わった場面図面を描けるか、設計の考え方を持てるか必須の「任せる段階を担った経験」を満たさないことが多い。教える体制がある場合だけ、要件を下げて別枠で
設計の副業・独立志向並行して関わった案件、公開作品一社に深く関わる動機。独立との両立正社員の前に委託で回す経路にも向く

表の要点は、「組織設計事務所出身」「大規模の経験」を高く見すぎないことです。大規模の一部だけを担っていた人は、中規模の案件を自分の名前で一通り担当できないことがあります。「自分の名前で担当した経験」を面接で確かめます。

要件が決まらないときの原因

要件を作ろうとして決まらないとき、原因は要件ではなく、その前にあります。

一つ目は、任せる用途と段階が決まっていないことです。「設計者が足りない」で止まっていると、要件は「どの用途でも一貫して回せる人」になり、決まりません。直近で担当してもらう案件を決めるか、候補の案件の共通点を出します。

二つ目は、資格の要否を「配置」ではなく「安心」で決めていることです。登録と配置に要るか要らないかを専門家に確認し、要らないなら「入社後取得」に下げます。

三つ目は、任せる範囲(自分の名前で担当するか、所長の下で担うか)が決まっていないことです。自分の名前で担当させるなら「自分の名前で担当した経験」が要り、所長の下で担うなら要りません。決めずに要件を作ると、「一人で全部できる人」が必須に入ります。

四つ目は、設計部長が要件に関わっていないことです。総務や経営者だけで作ると、「理想の設計者」になります。設計部長に「この用途のこの段階を任せるのに、最低限何が要るか」を聞くと、「同じ用途の実施設計を一通り担っていれば、あとは教えられる」のように、要件が下がることが多い。

四つのどれかが決まっていないなら、要件より先にそれを決めます。

代行に出せる工程

要件作りの工程を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。

工程社内で持つ外に出せる
任せる用途と段階と範囲の決定設計部長と経営者が決める候補の案件の共通点を整理する
資格の要否の決定登録と配置から決め、専門家に確認考え方を示す
必須と歓迎の振り分け最終判断(設計部長の意見を入れる)基準に沿った振り分け案。「理想の設計者」になっている要件を指摘
作品と経歴で確かめる項目の設計経歴の見方(作品名・用途・規模・担当段階の読み方)、スカウトの検索条件への変換
面接で確かめる項目の設計設計部長が確かめたいこと形容詞を作品を前にした具体的な質問に翻訳。設計部長の時間を最小にする段取り
求人票・スカウト文面への反映確認要件を文面に落とす。経験者と若手を分けて出す

分け方の要点は、「任せる用途と段階と範囲・資格の要否・設計部長の意見は社内で決め、翻訳と振り分けと段取りは外に出せる」ことです。設計の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「設計部長の意見を聞き取って要件に落とし、経歴を読み、面接の段取りをする」役です。担当者に建築の経験があると、経歴と作品の読み方と設計部長との話し方が変わります。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、建築設計の要件で最も効くのは、「一級建築士必須」を登録と配置から見直すことと、「基本設計から監理まで一貫」を歓迎に下げることです。この二つが、経験者の多くない市場で、該当者をさらに減らしている要件です。任せる用途と段階を決め、設計部長に「最低限何が要るか」を聞くと、要件は「同じ用途の、任せる段階の経験」の一つか二つに近づくことが多い。

エラベルでは、建築設計の案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で「採る人に任せる用途と段階と範囲」を設計部長に決めてもらい、「最低限何が要るか」を聞き取り、そこから必須三つを作るところまでをお願いしています。資格の登録と配置に関わる法令上の要件は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。

まとめ

よくある質問

一級建築士を必須にしないと、設計できる建物が限られるのでは

事務所の登録と管理建築士の配置、そして採る人が担う役割によります。管理建築士や法令上の配置を採る人が担うなら必須です。所長や別の人がその配置を担っていて、採る人はその下で設計を担う役なら、資格が無くても設計に加われることがあり、「入社後取得を支援」で母集団を広げられます。「配置」と「安心」を分けて、登録と配置に要るかを行政書士など専門家にご確認ください。

「設計経験五年以上」は書かないほうがよいのですか

年数だけの要件は、大規模の一部を五年担った人と、中規模を三年で自分の名前で三件担当した人を、逆に評価します。書くなら「事務所か医療施設の実施設計を一通り担った経験(目安として三年程度)」のように、用途と段階に年数を添える形にします。年数の目安が無いと不安な場合も、「〇年」より「自分の名前で担当した作品の数」のほうが、作品と経歴で確かめやすく、該当する人に届きます。

BIMを使っているので、BIM経験を必須にしたいのですが

自社でBIMを使っていても、経験者が入ってから覚えられるなら、必須ではありません。BIMを必須にすると、他のソフトで同じ用途と段階を担ってきた人が外れます。「入社後に移行の期間を取る」と書き、歓迎に置きます。BIMの経験そのものより、「任せる用途と段階を担った経験」のほうが、入社後の設計の質に直結します。移行に時間がかかることが問題なら、その期間を設計部長と見積もった上で、要件に入れるかを決めます。