建築設計採用の代行費用の相場|建築士の資格区分と、外注している設計費から逆算する
建築設計の採用は、候補者が持っている建築士の資格の区分によって、任せられる仕事の範囲が法律で決まっているという特徴があります。設計を外部に頼んでいる会社が社内に設計者を置きたい、設計事務所が受けられる仕事を増やしたい、といった理由で採用を考えるときは、まずこの決まりを押さえておく必要があります。結論から書くと、建築設計の代行費用は、採りたい人の資格の区分と、担ってほしい建築物の種類を決めたうえで、今外注している設計費や、設計者が足りずに受けられない仕事から払える額を逆算すると、判断しやすくなります。
代行の料金は会社、料金の形、依頼する範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では金額の相場は扱いません。法令の扱いは一般的な整理です。個別の判断は、所管の行政庁や専門家にご確認ください。
資格の区分で、任せられる設計が決まる
建築士法は、建築物の用途や構造、規模によって、設計や工事監理を行える建築士の区分を定めています。たとえば第3条は、学校や病院などの用途で一定の延べ面積を超えるもの、一定の高さや階数を超えるものなど、同条に掲げる建築物を新築する場合は、一級建築士でなければ設計または工事監理をしてはならないと定めています。第3条の3は、一定の延べ面積を超える木造の建築物について、一級建築士、二級建築士または木造建築士でなければ設計または工事監理をしてはならないとしています。
つまり、採りたい人が一級建築士か二級建築士かによって、自社で設計できる建築物の範囲が変わります。自社が扱う建築物の用途・構造・規模を確認し、必要な資格の区分を要件にしてください。
建築士事務所の決まりも関わる
設計を業として受ける場合は、事務所の決まりも関わります。建築士法第23条は、建築士またはこれを使用する者が、他人の求めに応じ報酬を得て設計等を業として行おうとするときは、建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。第24条は、建築士事務所ごとに、その事務所を管理する専任の建築士(管理建築士)を置かなければならないとし、管理建築士は、建築士として一定期間以上の業務に従事したうえで所定の講習を修了した建築士でなければならないとしています。
設計事務所を開く、または事務所の体制を広げる場合は、管理建築士を担える人がいるかどうかが採用の要件に関わります。
| 確かめる点 | 採用への影響 |
|---|---|
| 一級か二級か(または木造) | 設計できる建築物の範囲が決まる |
| 担ってきた建築物の用途・構造・規模 | 自社が扱う建築物に近いかが分かる |
| 管理建築士の要件を満たすか | 事務所の管理を任せられるかに関わる |
エラベルの見解
建築設計の採用相談で多いのは、資格の区分だけで判断して、設計の中身を見ていないケースです。同じ一級建築士でも、住宅を中心に設計してきた人と、商業施設やオフィスを設計してきた人では、得意な仕事がまったく違います。意匠設計か、構造設計か、設備設計かでも違います。
要件には、資格の区分に加えて、担ってほしい建築物の用途と、意匠・構造・設備のどの領域かを書いてください。そのうえで、候補者のこれまでの作品や担当物件を見て判断します。同じ料金・同じ業務範囲でも、設計の領域の違いを理解して候補者を選べる担当者かどうかで、選考の精度が変わります。
外注費と受けられない仕事から逆算する
払える額の手がかりは、今設計にかかっている外部の費用と、設計者が足りないことで受けられていない仕事です。
- 外注している設計費:設計事務所や個人の建築士に外注している費用
- 受けられていない仕事:設計者が足りないことで断っている、または納期を延ばしている仕事
- 社内の調整の時間:外注先とのやりとりや修正の指示にかかっている時間
社員として設計者を採ることで、これらのうちどの部分を置き換えられるかを見積もってください。その差額が、採用にかけられる額の目安になります。そこに、人材紹介で採った場合の費用(紹介会社の手数料表に基づく手数料と社内の時間)を並べると、代行費用の上限が見えてきます。
見積もりで確かめる工程
建築設計の採用代行の見積もりでは、次の工程が含まれているかを確かめてください。
- 資格と領域の言語化:必要な資格の区分、意匠・構造・設備のどの領域か、扱う建築物の用途と規模を決める
- 経歴と作品の読み解き:担当してきた物件の用途・構造・規模と、担った工程を読む
- 文面の作成:自社が扱う建築物、設計の体制、任せたい範囲を具体的に書く
- 作品の説明を聞く面談の設計:候補者が担当した物件について、何をどう考えたかを話してもらう場を組む
- 守秘への配慮:候補者が前職の物件の資料を使う場合、公開できる範囲で説明してもらう
料金の形は、月額固定、採用決定時の支払い、両者の組み合わせなどがあります。エラベルでは、採用決定時に1名10万円(税別)という形で、担当者を選んで採用の実務を任せられる仕組みを用意しています。どの形でも、上で逆算した上限の中に収まるかで判断してください。
エラベルの見解
建築設計の採用で、もう一つ考えてほしいのは、資格取得の途中にある人を採って育てる選択です。一級建築士の資格を持つ経験者は多くの会社が求めているため、採用までの時間がかかります。一方、二級建築士の資格を持ち一級を目指している人や、実務経験を積みながら資格取得を目指している人を採り、社内で支える方法もあります。
育てる場合は、資格取得の支援の仕組みと、どんな物件を担当しながら経験を積めるかを求人で示してください。目指す人にとって魅力のある環境だと伝われば、応募が増え、定着にもつながります。
まとめ
- 建築士法は、建築物の用途・構造・規模によって、設計や工事監理を行える建築士の区分を定めている
- 設計を業として受ける建築士事務所には、専任の管理建築士を置く決まりがある
- 要件には資格の区分に加えて、意匠・構造・設備の領域と、扱う建築物の用途・規模を書く
- 払える額は、外注している設計費と、設計者が足りずに受けられない仕事から逆算する
- 資格取得の途中にある人を採って育てる方法も組み合わせる
よくある質問
建築設計採用の代行費用の相場はいくらですか
会社や料金の形、依頼する範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。外注している設計費と、人材紹介で採った場合の費用から上限を逆算し、その範囲で見積もりを比べてください。
二級建築士でも十分ですか
自社が扱う建築物の用途・構造・規模によります。建築士法で一級建築士でなければ設計できないと定められた建築物を扱うなら、一級建築士が必要です。扱う建築物の範囲を確認し、必要な資格の区分を判断してください。判断が必要な場合は専門家にご確認ください。
前職の設計作品を選考で見てもよいですか
候補者がこれまで担当した物件について説明してもらうことは、経験を確かめるうえで役立ちます。ただし、前職の資料には守秘の制約がある場合があるため、公開されている範囲や、候補者が説明できる範囲で話してもらうようにしてください。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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