採用代行 / 比較・選び方
企業文化を理解してもらう方法
採用代行の担当者に、自社の文化を理解してもらう。「うちはこういう会社です」と説明しても、伝わりにくい。文化は抽象的な言葉になりやすく、聞いた側も具体的に想像できません。この記事では、文化を分解して渡す方法と、伝わったかを確認する手順を整理します。渡す情報の全体は代行会社に渡す前提情報の整理にまとめています。
文化を五つに分解する
抽象的な説明を、具体的な切り口に分けます。
一.どんな人が活躍しているか。実際に成果を出している人の特徴。経歴ではなく、働き方や姿勢。
二.どんな人が辞めたか。合わなかった人の傾向。言いにくい内容ですが、最も情報量があります。
三.意思決定の仕方。誰が決めるか、どのくらいの速さか、議論の量。
四.日常の働き方。会議の多さ、裁量の範囲、報告の頻度、リモートの扱い。
五.評価のされ方。何が評価されるか、どういう行動が推奨されるか。
この五つに分けると、伝えられる形になります。「風通しが良い」「チャレンジを歓迎する」といった言葉より、具体的です。
二つめが最も効く
辞めた人の話は、渡しにくい情報です。ただ、文化を伝えるうえでは最も効きます。
理由は、合わない条件が明確になるからです。「スピード感が合わなかった」「裁量が大きすぎて戸惑った」「議論の量が想定と違った」。これらは、文化の輪郭を示します。
そして、この情報があると、代行の担当者は候補者を見る目が変わります。求人票に書かれた良い面だけでなく、合わない可能性も判断できるようになります。
結果として、入社後のミスマッチが減ります。選考の段階で、合わない候補者に無理に来てもらうことがなくなるからです。
個人が特定できる形は避けてください。傾向として伝えれば足ります。
エラベルの見解
文化を伝えるときに、「良い面だけを渡さない」ことをおすすめします。ここが結果を分けます。
多くの会社は、良い面を伝えます。成長できる、裁量が大きい、風通しが良い。間違ってはいませんが、これだけを渡すと、代行が書く文面も良い面だけになります。
そして、良い面だけを訴求した文面で来た候補者は、入社後にずれます。面接で聞いていた話と違う、と感じる。
だから、難しい部分も渡してください。仕組みが整っていない、人が足りていない、最初の数か月は手探りになる。こうした情報を渡すと、文面が変わります。
そして、この方針で書かれた文面は、応募が減ります。辞退も増えます。数字としては悪く見える。
だから、この方針は代行会社と共有しておく必要があります。共有していないと、代行側は率を上げようとして良い面を強調します。報酬が成果に連動していれば、なおさらです。
「率が下がってもよいので、実態を伝えてください」と最初に言う。この一言があるかないかで、運用が変わります。
渡せる材料
文化を説明する代わりに、材料を渡します。
社内の共有資料。全社の発表、事業の説明、社内報。社内の言葉に触れると、文面の質が変わります。
過去に採用した人の経歴と、活躍の状況。どんな人が合ったかの実例。
辞めた人の傾向。合わなかった条件。
面接で意見が割れた候補者の話。判断の境界が見えます。
現場責任者との面談。三十分でも、直接話すと伝わります。
面接への同席。候補者への説明を実際に聞いてもらう。自社の人が何をどう話すかが分かります。
この六つのうち、五番目と六番目が最も伝わります。文書では伝わらない部分があります。
伝わったかを確認する
最初のスカウト文面を見る。文化に関する記述が、自社の言葉になっているか。一般的な表現で埋まっていないか。
候補者への説明を聞く。面談に同席してもらった後、その内容を確認します。
質問の内容を見る。文化について、どんな質問が出てくるか。具体的な質問なら、理解が進んでいます。
上がってくる候補者を見る。要件は満たしているが文化に合わない候補者が多いなら、伝わっていません。
四番目が実務的な確認方法です。書類は通るが面接で違和感がある、という状態が続くなら、文化の理解にずれがあります。
伝わりにくいとき
書き言葉にしてみる。口頭で説明していた内容を、文書にする。書けない部分は、自社でも言語化できていない部分です。
具体例で示す。「主体性がある人」ではなく、「前の会社でこういう動き方をしていた人が活躍している」。
比較で示す。「大手のような分業ではなく、一人が広く担当します」。対比があると伝わりやすい。
現場に語ってもらう。人事の説明より、現場の言葉のほうが実態に近いことがあります。
そして、伝わらないまま進めないでください。文化の理解がずれたまま運用が始まると、上がってくる候補者もずれます。立ち上げ期に時間を使う価値があります。
文化を求人に書くとき
代行が求人原稿や文面を書くとき、文化の記述をどう扱うか。
抽象的な言葉を避ける。「アットホーム」「風通しが良い」。どの会社でも使える表現は、候補者に伝わりません。
具体的な事実を書く。会議の頻度、裁量の範囲、意思決定の速さ。事実で書くと、候補者が判断できます。
難しい部分も書く。整っていない仕組み、足りていない人員。これを書くと、応募は減りますが、ずれた応募も減ります。
社内の言葉を使う。社内で実際に使われている表現を、そのまま使う。借り物の言葉は、面接で違和感になります。
四番目のために、社内の資料を渡してください。全社の発表や社内報に、自社の言葉があります。
エラベルの見解
文化を伝える作業は、自社の言語化そのものです。だから、代行に依頼するかどうかに関わらず価値があります。
どんな人が活躍しているか。どんな人が合わなかったか。何を評価するか。これらを言葉にすると、社内でも共有されていなかったことが見つかります。
たとえば、活躍している人の特徴を挙げてもらうと、部門によって答えが違うことがあります。それは、求める人物像が社内で揃っていないということです。
この状態で採用を進めると、面接での評価も分かれます。代行に伝わらないのは、社内でも定まっていないからという場合があります。
だから、文化を伝える準備をするときは、まず社内で揃えてください。現場責任者と人事で、活躍している人の特徴を出し合う。合わなかった人の傾向を確認する。
この作業をすると、要件そのものが具体的になります。そして、代行への説明も、面接官への共有も、内定者への説明も、同じ材料が使えます。
文化の言語化は、採用の質を決める作業です。代行のためだけではありません。
まとめ
- 文化は五つに分解する。活躍している人・辞めた人・意思決定・働き方・評価
- 最も効くのは辞めた人の傾向。合わない条件が明確になる
- 良い面だけを渡さない。難しい部分も渡す
- 「率が下がってもよいので実態を伝えてほしい」と最初に共有する
- 材料として、社内資料・過去の実例・現場との面談・面接への同席を渡す
- 伝わったかは、文面の言葉と上がってくる候補者で確認する
- 求人に書くときは、抽象的な言葉を避け、具体的な事実で書く
- 文化の言語化は、代行のためだけではなく自社の採用の質を決める作業
よくある質問
辞めた人の話を渡してよいですか
個人が特定できない形にすれば、傾向として渡せます。「スピード感が合わなかった方が複数いた」といった粒度で足ります。この情報があると、代行は候補者を見る目が変わります。渡しにくい情報ですが、効果は大きい部類です。
文化を求人に書くと応募が減りませんか
減ることがあります。ただし、ずれた応募も減ります。選考の途中で辞退される、入社後にミスマッチが起きる。こうした損失を考えると、応募の数だけで判断しないほうが実務に合います。この方針は、代行会社と最初に共有しておいてください。
社内で文化の認識が揃っていません
まず社内で揃えるところから始めてください。現場責任者と人事で、活躍している人の特徴を出し合う。合わなかった人の傾向を確認する。この作業をすると、要件そのものが具体的になります。代行に伝わらないのは、社内でも定まっていないからという場合があります。