採用代行 / 比較・選び方
KPIの合意のしかた
採用代行と指標を決めるとき、数字を先に置くと合意が難しくなります。前提が共有されていないまま目標だけを決めると、達成できるかどうかの押し問答になります。順番としては、前提の確認、指標の選定、目標値の設定、記録の残し方。この記事では、合意の進め方を整理します。どんな指標を置くかは契約にKPIを入れるべきかにまとめています。
前提を共有する
指標を決める前に、次を共有します。
採用の目的。何人を、いつまでに、どの職種で。事業計画との関係も伝えます。
現状の数字。過去の応募数、採用数、選考の通過率。あるなら渡してください。ないなら「ない」と伝えます。
要件の固まり具合。言語化されているか、これから詰めるか。
自社の体制。判断を返せる速さ、面接官の確保、意思決定の流れ。
市場の状況。競合の動き、その職種の採りやすさ。分かる範囲で構いません。
この五つを共有してから指標を決めると、現実的な数字になります。共有せずに決めると、代行側は一般的な水準で答えることになり、後で合わなくなります。
誰と合意するか
実務を担う担当者と合意する。営業だけと決めた指標は、実務者に引き継がれないことがあります。実際に動く人が納得しているかが重要です。
自社側も、決める人が参加する。指標を後から変える権限がある人が入っていないと、決めたことが覆ります。
現場の責任者にも共有する。書類の合否や面接の日程は現場が持ちます。指標に関わる部分は伝えておきます。
経営に報告する形を決める。何をどの頻度で報告するかを、この段階で決めておくと後が楽になります。
エラベルの見解
指標の合意で、自社側の指標を一緒に置くかどうかで、その後の運用が変わります。
代行側の指標だけを置くと、うまくいかないときに原因が代行側にあるように見え続けます。実際には、書類の合否が遅れていた、面接の候補日が出ていなかった、要件の変更が伝わっていなかった、ということが少なくありません。
だから、合意の場で自社側の指標も出してください。書類の合否を返すまでの日数。候補日を提示するまでの日数。質問への回答までの日数。定例で決めた宿題の完了率。
この四つを置くと、合意の性質が変わります。一方が目標を課される場から、双方が約束する場になります。
そして、代行側の反応も変わります。自社側が約束を出す姿勢を見せると、相手も現実的な数字を出しやすくなる。達成できない数字を受け入れて後で苦しむより、初めから現実的に置くほうが双方にとって良いからです。
さらに、この形は運用の改善にも効きます。数字が動かないとき、双方の指標を並べれば原因の切り分けができます。責任の所在を決める場ではなく、詰まりを一緒に見つける場になります。
指標を選ぶ
代行が制御できる工程に絞る。送信件数、返信率、一次連絡までの時間、日程調整の所要日数。制御できない数字を目標にすると、動き方が歪みます。
量と質を組み合わせる。送信件数だけだと量に寄り、返信率だけだと件数が落ちる。両方を見ます。
数を絞る。工程ごとに一つか二つ、全体で数個。多いと管理の手間が増え、判断も散ります。
自社側の指標も同じ数だけ置く。片方だけを置くと、原因が偏って見えます。
報酬に連動させるかを決める。連動させるなら、成果の定義を厳密にします。見るだけなら、範囲を広く取れます。扱いは成果の定義でもめない書き方にまとめています。
目標値の置き方
過去の実績があるなら、そこから置く。自社の数字が最も参考になります。
実績がないなら、最初は目標を置かない。数か月は報告項目として数字を集め、実績が出てから目標を設定します。
立ち上げ期の数字を基準にしない。運用が固まっていない時期の数字は、その後と条件が違います。
幅で置く。一点の数字より、下限と上限で置くほうが運用に合います。
外部の平均を使わない。定義も条件も違う数字は、目標としては機能しません。
二番目が実務では扱いやすい形です。分からないまま数字を置くと、達成できてもできなくても意味が読めません。
合意を記録する
決めた内容は、書面に残します。
- 指標の一覧(代行側と自社側の両方)
- それぞれの定義(何をどう数えるか)
- 目標値(または、目標を置かないこと)
- 測定の方法(誰が、どの記録から出すか)
- 報告の頻度
- 見直しの時期
- 未達が続いた場合の扱い(協議するのか、体制を見直すのか)
四番目が抜けやすい項目です。同じ「面談設定数」でも、誰がどの記録から数えるかで数字が変わります。測定の方法を決めておくと、後で数字の食い違いが起きません。
契約に入れるか、運用ルールの別紙に入れるかは、報酬に連動させるかで決まります。連動させるなら契約に、見るだけなら別紙に置く形が扱いやすくなります。
見直しの周期
四半期に一度。指標が機能しているかを確認します。見ていない指標は落とします。
前提が変わったとき。職種が変わった、体制が変わった、市場が動いた。前提が変われば、目標も置き直します。
担当者が替わったとき。新しい担当者と、指標の意味を共有し直します。
契約更新の前。次の期間の指標を決める機会にします。
見直しでは、目標を下げることも選択肢に入れてください。実行できない目標を置き続けるより、達成できる水準に置き直すほうが運用は動きます。扱いはKPI未達のときに契約をどう扱うかにまとめています。
エラベルの見解
指標の合意で、「達成できなかったときにどうするか」を先に話しておいてください。ここを避けると、実際に未達が出たときに感情の話になります。
決めておくのは三つです。未達の原因をどう切り分けるか。切り分けた結果、代行側に原因がある場合に何をするか。自社側に原因がある場合に何をするか。
この三つを事前に決めておくと、未達が出たときの会話が短く済みます。原因の切り分けから始まり、対処の選択肢も決まっているので、次に何をするかの議論に進めます。
そして、この話をすること自体が、合意の質を上げます。未達の可能性を織り込んだ数字は、現実的になります。達成できる前提でしか話さないと、楽観的な数字が置かれがちです。
さらに、相手の姿勢も見えます。未達の話に素直に応じる会社は、運用の経験があります。「達成します」としか言わない会社は、実際に未達が出たときの手順を持っていない可能性があります。
合意の場は、うまくいく前提だけで作らないでください。うまくいかない場合も含めて設計すると、契約後の運用が安定します。
まとめ
- 数字より先に、目的・現状の数字・要件の固まり具合・自社の体制・市場を共有する
- 合意は実務を担う担当者と行う。営業だけと決めた指標は引き継がれないことがある
- 自社側の指標も一緒に置く。合意の性質が「課す」から「双方が約束する」に変わる
- 指標は、代行が制御できる工程に絞り、量と質を組み合わせ、数を絞る
- 実績がないなら、最初は目標を置かず、数か月集めてから設定する
- 記録には、定義・目標値・測定の方法・頻度・見直し・未達時の扱いを書く
- 見直しは四半期に一度。目標を下げることも選択肢
- 「達成できなかったときにどうするか」を先に話しておく
よくある質問
代行会社がKPIの設定を嫌がります
制御できない指標が含まれている可能性があります。採用人数や内定承諾率など、自社の判断が大きく関わる数字を目標にすると、代行側は受け入れにくくなります。工程の指標に絞り、あわせて自社側の指標も置くと、合意しやすくなります。
目標値の妥当性が判断できません
自社の過去の実績が最も参考になります。実績がない場合は、最初の数か月を報告項目としてだけ置き、出てきた数字から設定してください。外部の平均値は、定義も条件も違うため目標としては機能しません。
合意した指標は契約に入れるべきですか
報酬に連動させるなら契約に、見るだけなら運用ルールの別紙に置く形が扱いやすくなります。別紙にしておくと、見直しのときに差し替えで済みます。いずれの場合も、測定の方法まで書いておいてください。