採用代行 / 費用・契約・法務
オファーレターの発行は誰が行うか
内定を出すときに候補者へ渡す書面。呼び方は会社によって違いますが、内容を確定し、自社の名義で発行するのは自社です。ここは代行に渡せません。一方で、書面の準備、送付の段取り、受領の確認といった事務は任せられます。この記事では、その線引きと、実務で決めておくことを整理します。なお、書面の記載事項や法令上の扱いは個別の事情で変わるため、専門家にご確認ください。
書面には性質の違うものが混ざる
「オファーレター」と呼ばれるものの中には、性質の違う書面が含まれます。
採用の意思を伝える書面。内定の通知、入社日、職種、配属。会社としての意思表示にあたります。
労働条件を示す書面。賃金、労働時間、就業場所、業務内容など。法令上の定めがあるため、記載事項の確認が要ります。
入社の手続きに関する案内。提出書類、手続きの期限、連絡先。事務的な内容です。
このうち、一番目と二番目は自社が内容を確定します。三番目は代行が作成できます。
会社によっては一つの書面にまとめている場合もあれば、分けている場合もあります。まず、自社がどの形で運用しているかを確認してください。分かれていない場合、記載事項の確認がまとめて必要になります。
代行に任せられる範囲
| 作業 | 任せられるか |
|---|---|
| 書式のたたき台の作成 | 任せられる |
| 候補者ごとの情報の入力(氏名、入社日など) | 任せられる |
| 記載内容の確定 | 自社 |
| 承認の取得 | 自社 |
| 発行の名義 | 自社 |
| 送付の段取り(日程調整、送付方法の案内) | 任せられる |
| 受領の確認、期限の案内 | 任せられる |
| 控えの保管 | 自社の環境に |
| 質問への回答(条件に関するもの) | 自社 |
| 質問への回答(手続きに関するもの) | 任せられる |
判断が要るものは自社、事務は代行という分け方になります。
九番目と十番目を分けておくのが実務では大事です。候補者からの質問が来たとき、条件に関するものは自社に戻す。手続きに関するものは代行が答える。この線を決めておかないと、代行側は全部を確認に回すか、答えてはいけないことに答えるかのどちらかになります。
エラベルの見解
書面の発行で実務上いちばん問題になるのは、内容の間違いではなく遅さです。
内定を出すと決めた後、書面が届くまでに時間がかかる。承認の手続き、書面の作成、送付の段取り。その間、候補者は待っています。口頭で内定を伝えていても、書面が来ないと不安になります。他社から書面が先に届けば、そちらに気持ちが傾きます。
この遅れの多くは、事務の工程で発生しています。判断はすでに終わっているのに、書面が動かない。だからこそ、事務の部分を代行に任せる意味があります。
任せるなら、準備を前倒しにしてください。最終面接の前に、書式と入力する情報を用意しておく。内定の判断が出たら、条件の部分を確定して発行する。この段取りにしておくと、判断から発行までの時間が短くなります。
そして、候補者に所要日数を伝えておく。「内定のご連絡から数日以内に書面をお送りします」と伝えておけば、待っている間の不安が減ります。この連絡は代行が担えます。
判断は自社が持ち、事務は速く回す。この組み合わせが、辞退を減らします。
記載内容の確認
書面に記載する内容は、自社が確認します。確認の観点です。
- 労働条件に関する記載が、自社の運用と一致しているか
- 賃金の記載が、賞与や手当を含むかどうかが明確か
- 入社日が確定しているか、変更の可能性があるか
- 配属の記載が、変更の余地を含む書き方になっているか
- 試用期間の記載があるか
- 内定を取り消す場合の条件をどう書くか
- 過去に発行した書面と記載の整合が取れているか
六番目と七番目は、法務や人事の確認が要る項目です。書式のたたき台を代行が作った場合でも、この確認は自社が行います。
記載事項の要否や書き方については、法令上の定めがあるため専門家にご確認ください。書式を新しく作る場合は特に、事前の確認をおすすめします。
送付と受領の記録
送付の方法を決めます。書面の郵送か、電子的な方法か。自社の運用に合わせます。
送付の記録を残します。いつ、誰に、どの書面を送ったか。代行が送付を担う場合も、記録は自社の環境に残る形にします。
受領の確認をします。届いたかどうか、内容に質問がないか。代行が確認を担えます。
回答の期限を伝えます。承諾の返答をいつまでにいただきたいか。期限の設定は自社が決め、伝達は代行が担えます。
控えの保管は自社の環境に置きます。代行会社の環境にしかない状態だと、契約終了時に失われます。データの扱いは契約終了時に返してもらうデータにまとめています。
承諾から入社までの間
書面を出した後も、入社までの期間があります。この間の対応です。
定期的な連絡。入社までの期間が長い場合、連絡を切らさない運用にします。この連絡は代行が担えます。
質問への対応。手続きに関するものは代行、条件や業務内容に関するものは自社。線を決めておきます。
現場との接点づくり。配属先のメンバーとの面談や、社内の情報の共有。自社が行います。
辞退の連絡が来た場合。受け付けるのは代行でも構いませんが、理由の確認と記録は必要です。次の採用に使える材料になります。辞退の扱いは内定辞退が出たときの返金・補填の取り決めにまとめています。
エラベルの見解
書面の発行を自社が持つと決めたら、その書面が候補者にどう読まれるかも自社の責任になります。
多くの会社の書面は、事務的な文書として作られています。必要な事項が並んでいるだけで、そこに会社の姿勢は現れません。ところが候補者は、この書面をかなり丁寧に読みます。転職を決める最後の判断材料だからです。
だから、法令上の記載事項を満たしたうえで、一文を足してみてください。なぜこの人に来てほしいと考えたか。入社後にどんな役割を期待しているか。長い文章は要りません。
この一文は、代行には書けません。要件を理解している代行の担当者でも、会社としてその人をどう評価したかは自社にしか書けない内容です。
そして、この一文があると、書面が届いたときの受け取られ方が変わります。条件の確認だけの文書と、期待が書かれた文書では、印象が違います。
判断を自社が持つということは、その判断の理由を伝えられるということでもあります。書面は、その数少ない機会です。
まとめ
- 書面には採用の意思・労働条件・入社手続きの案内が混ざる。前二つは自社が確定する
- 分け方は判断は自社、事務は代行
- 候補者からの質問は、条件に関するものは自社、手続きに関するものは代行と線を決める
- 実務で問題になるのは内容の間違いより遅さ。準備を前倒しにする
- 記載事項の要否や書き方は専門家にご確認ください
- 送付の記録と控えは、自社の環境に残す
- 承諾から入社までの連絡は代行が担える。現場との接点は自社
- 書面になぜこの人に来てほしいかの一文を足す。これは代行には書けない
よくある質問
書面の作成を代行に任せてもよいですか
たたき台の作成や、候補者ごとの情報の入力は任せられます。ただし、記載内容の確定と、発行の名義は自社が持ちます。特に労働条件に関する記載は法令上の定めがあるため、自社で確認する工程を残してください。
電子的な方法で送付してもよいですか
方法については、書面の性質や法令上の要件によって扱いが変わります。自社の運用を決める際に、記載事項の明示に関する要件も含めて専門家にご確認ください。運用を決めたら、送付と受領の記録が残る形にしておきます。
内定の連絡と書面の発行はどちらが先ですか
口頭または電話で先に伝え、その後に書面を送る運用が一般的です。ただし、口頭の連絡から書面までの期間が空くと候補者が不安になります。所要日数を伝えたうえで、できるだけ短くしてください。この段取りの部分は代行に任せられます。