採用代行 / 費用・契約・法務

内定辞退が出たときの返金・補填の取り決め

公開 2026-09-07

内定を出した候補者に辞退された。採用代行を使っていた場合、この費用はどう扱われるのか。結論から言うと、採用代行の費用は、原則として内定辞退では戻りません。代行は業務の遂行に対して払う契約であり、採用の成立を保証するものではないためです。ただし、成果報酬型の場合は取り決め方によって変わりますし、返金以外の補填の形もあります。整理します。

なぜ原則として戻らないのか

採用代行は、業務の遂行を約束する形で結ばれることが一般的です。スカウトを送る、応募に対応する、日程を調整する。これらの業務が契約どおり行われていれば、報酬の支払い事由は満たされています。内定辞退は、業務の遂行とは別の次元で起きる事象です。

人材紹介との違いがここに出ます。紹介は採用の成立に対して報酬が発生する仕組みなので、成立が覆った場合の返金規定が置かれることがあります。代行は成立に報酬が紐づいていないため、返金の建て付けがそもそもありません。費用構造の違いは人材紹介との違い|費用構造で比べるにまとめています。

この整理は、月額型でも時間単価型でも同じです。稼働は発生しており、その稼働に対して払っている。辞退は残念な結果ですが、稼働がなかったことにはなりません。

成果報酬型では取り決め次第

成果報酬型を採っている場合は、話が変わります。何を成果としているかによって、内定辞退の影響が及ぶ範囲が決まります。

成果の置き場所内定辞退の影響
面談設定・面談実施影響しない。成果は既に成立している
書類選考の通過影響しない
内定の発出契約次第。取り消し条件に入れるかを決める
内定の承諾承諾後の辞退をどう扱うかを決める必要がある
入社入社日を迎えていないので成果は不成立

成果を内定や内定承諾に置いているなら、辞退時の扱いを定義に入れておくことになります。入れていないと、成立したのかどうかで解釈が分かれます。成果の定義の作り方は成果の定義でもめない書き方で扱っています。

取り決めの形としては、成果報酬の一部を入社まで留保する、承諾後の辞退は成果としない、といった書き方があります。どちらも代行側の負担になるので、単価とセットで交渉することになります。

エラベルの見解

内定辞退が出たとき、費用の話より先にやることがあります。辞退の理由を工程に分けて切り分けることです。ここを飛ばして返金の議論に入ると、同じことが繰り返されます。

辞退の理由は、大きく三つに分かれます。条件が合わなかった。他社に決まった。選考の過程で気持ちが離れた。このうち代行の運用が関係し得るのは三つめだけで、しかも部分的です。

条件が合わなかったのは、要件と提示条件の設計の問題です。選考の早い段階で条件の目線を合わせていれば防げたかもしれませんが、条件を決めているのは自社です。他社に決まったのは、選考の速度と訴求の問題です。書類の合否が遅れた、面接の日程が先だった、という原因なら、代行の運用にも自社の判断速度にも要素があります。

この切り分けをすると、返金を求めるべき場面がほとんどないことが分かります。そのかわり、次に何を変えるかは具体的になります。日程の出し方を変える、条件の目線合わせを一次面接の段階で入れる、辞退時のヒアリングを運用に組み込む。費用の議論より、こちらのほうが次の採用に効きます。

返金以外の補填の形

返金がない前提でも、契約や運用の中で置ける取り決めはあります。

再募集時の稼働。内定辞退が出た場合、同一ポジションの再募集にかかる稼働を、追加費用なしで一定範囲まで行う。月額型でも成果報酬型でも置きやすい形です。

成果報酬の一部留保。成果報酬型で内定を成果としている場合、報酬の一部を入社まで留保する。全額を後払いにすると代行側の負担が大きいので、一部にとどめるのが現実的です。

辞退時のヒアリングの実施。辞退した候補者に理由を聞き、記録として残す作業を範囲に含める。費用の補填ではありませんが、次の採用に使える材料が残ります。

優先稼働。辞退が出た月の翌月、当該ポジションに稼働を優先的に配分する。稼働の総量は変えずに配分だけを変える形なので、合意しやすいところです。

これらは契約時に決めておくものです。辞退が出てから交渉すると、双方の立場が対立します。締結の段階なら、起こり得る事態として冷静に決められます。

辞退が続くときに見るところ

一件の辞退は起こり得ることですが、続くなら原因が構造にあります。次の順で見ます。

  1. 辞退の時点。内定を出した直後か、承諾期限の直前か、承諾後か。時点によって原因が違います
  2. 選考にかかった期間。応募から内定までの日数が長いほど、他社に流れる余地が生まれます
  3. 条件の提示時期。年収の目線を最終面接まで伝えていないと、最後にずれが出ます
  4. 面接での訴求。事業や役割の説明が、候補者の関心と噛み合っているか
  5. 競合の状況。同じ職種で他社の採用が活発なら、条件面の見直しが要ります

このうち二番の選考期間は、代行の運用で改善できる部分があります。書類の確認を早く回す、日程の候補をまとめて出す、選考の合間の連絡を切らさない。これらは業務の範囲に入れられます。

逆に、三番と四番と五番は自社が持つ領域です。ここが原因なら、代行を替えても辞退は減りません。

エラベルの見解

内定辞退の取り決めを契約に入れるかどうかを考えるとき、入れること自体より、その交渉で何が見えるかに注目してみてください。

再募集の稼働を無償で行う条項を提案したとき、応じる会社は、辞退が起こり得る前提で運用を設計しています。辞退時に何をするかを持っている。難色を示す会社は、稼働に余裕がないか、辞退を自社の責任範囲外と考えています。どちらも姿勢として理解できますが、判断材料にはなります。

もう一つ、この交渉では担当者の関わり方も見えます。辞退が出たときに理由をヒアリングする作業を範囲に含められるか。含められるなら、その担当者は候補者と関係を作れる立場にいるということです。含められないなら、事務の範囲でしか関わっていない。

契約条項の交渉は、条項を勝ち取るためだけの作業ではありません。相手の運用の中身を確認する機会として使うと、締結後の期待値が正確になります。

まとめ

よくある質問

内定辞退が続いた場合、契約を解除できますか

契約書の解除条項によります。業務が契約どおり遂行されている限り、辞退が続いたことだけを理由とする解除は難しいのが一般的です。ただし、稼働の中身に問題がある場合は別です。まず稼働報告を工程ごとに確認し、どこで止まっているかを見てから判断します。進め方は途中解約したいときの進め方にまとめています。

成果報酬の返金規定を求めるのは無理筋ですか

無理筋ではありませんが、単価との交換になります。返金の可能性を負う分、代行側は単価を上げるか、成果の定義を狭めることになります。総額で見て有利かどうかを計算してから交渉するところです。全額の返金より、一部留保や再募集の稼働のほうが合意しやすい形です。

辞退した候補者に代行から理由を聞いてもらえますか

対応する会社はあります。ただし、候補者から見れば辞退の連絡をした後にさらに質問される形になるため、聞き方には配慮が要ります。運用としては、辞退の連絡を受けた際に短く理由を伺う形が現実的です。集めた理由を記録として残し、四半期ごとに傾向を見ると、選考設計の見直しに使えます。