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プロダクトマネージャーの採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準

公開 2026-09-11

プロダクトマネージャーの採用要件を書き出すと、たいてい全部が必須に見えます。企画もできて、開発とも話せて、数字も見られて、人もまとめられる。そんな人は少なく、いても他社が先に決めています。結論を先に書くと、必須は「入社後すぐに担う範囲で、無いと仕事が始まらないもの」だけに絞り、それ以外は歓迎に回してください。要件を使った母集団の作り方はプロダクトマネージャーの母集団形成にまとめています。

要件が膨らむ理由

この職種の要件が膨らむのには、構造的な理由があります。

一つ目は、担う範囲が会社ごとに違うことです。他社の求人票を参考にすると、他社の範囲に合わせた要件が混ざります。自社では担わない範囲の要件まで必須に入り、対象が狭まります。

二つ目は、関わる人が多いことです。経営、開発側、事業側、デザイン側。それぞれが「この人にはこれができてほしい」と要望を出すと、足し算で要件が増えます。誰も削る役割を持っていないので、膨らんだまま求人に載ります。

三つ目は、「理想の人」を書いてしまうことです。いま社内にいない人を採るので、いない人の理想像を描きがちです。理想像は、要件としては使えません。該当する人がいないからです。

膨らんだ要件をそのまま出すと、応募は減り、来た応募も「全部はできません」と自己判断で見送られます。要件は、書くことより削ることに時間を使います。

必須と歓迎を分ける基準

分ける基準は一つです。入社後すぐに担う範囲で、それが無いと仕事が始まらないか

始まらないなら必須、無くても始まるなら歓迎です。「あったほうがよい」は全部歓迎です。

具体的には、次の順で考えます。

  1. 担う範囲の四つ(何を決めるか・誰と決めるか・どこまで担うか・数字を持つか)を確認する
  2. その範囲で、入社後三か月ほどの間に実際にやる仕事を書き出す
  3. その仕事を進めるために、初日から持っていないと困るものを挙げる
  4. それ以外は歓迎に回す

たとえば、作るものを決める役割で、経営と直接決める位置づけなら、「作るものを決めた経験」と「経営層と直接やり取りした経験」は必須に近くなります。一方、「開発の実務経験」は、開発側と話せれば足りるので歓迎に回せることが多くなります。逆に、決まった方針を進める役割なら、「開発を進めた経験」が必須で、「作るものを決めた経験」は歓迎です。

同じ職種名でも、範囲が違えば必須と歓迎が入れ替わります。他社の要件を参考にできないのはこのためです。

必須に残す数

必須は、多くても三つから四つに絞ります。

五つを超えると、全部を満たす人がほとんどいなくなります。そして、応募する側は必須をチェックリストとして読みます。一つでも欠けると、応募を見送ります。必須が多い求人は、それだけで母集団を削っています。

削り方で迷ったら、次の問いを使います。

四番目は重要です。必須が正しくても、該当する人がいなければ採用は進みません。そのときは要件ではなく、担う範囲を見直します。範囲を狭めれば必須も減ります。「全部を一人に任せる」設計そのものが、要件を膨らませている場合があります。

経歴で確かめられる要件と、面談でしか分からない要件

要件には、二種類あります。

経歴で確かめられるものは、書類の段階で見られます。「作るものを決めた経験」「特定の領域のプロダクトに関わった経験」「数字に責任を持った経験」などです。経歴に書かれていれば、あると判断できます。ただし、書かれていなくても無いとは限りません。この職種は、経歴に担った範囲が書かれていないことが多いためです。

面談でしか分からないものは、書類では判断できません。「優先順位をどう決めるか」「意見が割れたときにどう進めるか」「決めない判断ができるか」などです。これらは、過去の場面を聞いて、判断の順番と根拠を確かめる以外に方法がありません。

要件を書くときは、この二種類を分けて書きます。経歴で確かめられるものは必須・歓迎として求人に載せ、面談でしか分からないものは「面談で確認する観点」として社内で持ちます。後者を求人の必須に書いても、応募者は自己判断できず、母集団を削るだけです。

エラベルの見解

相談で最も多いのは、「要件を決めたのに、面談で評価が割れる」というものです。原因は、要件の中に「面談でしか分からないもの」が混ざったまま、確かめ方が決まっていないことです。

「判断力がある」「主体性がある」と要件に書いても、面談する人によって見る場所が違います。ある人は話の分かりやすさで判断し、別の人は経歴の華やかさで判断し、また別の人は自社に合いそうかで判断します。要件は同じでも、確かめ方が揃っていないので、結論が揃いません。

面談でしか分からない要件には、確かめ方をセットで決めてください。「優先順位を決めた場面を一つ話してもらい、判断の順番と根拠を聞く」「作らないと決めた場面を聞き、誰をどう説得したかを確かめる」のように、質問と、どうなら通すかまで決めます。ここまで決めて初めて、要件は面談で使えるものになります。決めていない要件は、書いてあっても機能しません。

要件が決まらないときの原因

要件を作ろうとして、社内で決まらないことがあります。原因はたいてい、要件そのものではなく、その手前にあります。

担う範囲が決まっていない。何を決める役割か、数字を持つかが決まっていなければ、必須は決まりません。要件の議論をいったん止めて、範囲を先に決めます。

決める人が決まっていない。関わる人が全員で要望を出す形になっていると、削る人がいません。一緒に働く側の責任者を一人決め、その人が最終的に削る役割を持ちます。

理想像から離れられない。「こういう人がいてくれたら」という話が続くときは、いったん「いまの範囲で、三か月以内に何をしてほしいか」に戻します。具体的な仕事に戻すと、要件は自然に絞られます。

他社の求人票を基準にしている。他社の範囲に合わせた要件が混ざっています。他社の求人票は参考にせず、自社の範囲から作り直します。

代行に出せる工程

要件定義まわりの工程を分けると、次のようになります。

工程外に出せるか
担う範囲の四つを決める社内で決める
要望を集めて一覧にする外に出せる
必須と歓迎に分ける案を作る外に出せる(最終判断は社内)
面談で確かめる観点と質問を作る外に出せる(過去の場面の聞き取りが要る)
通す基準を決める社内で決める
要件を求人票の文章にする外に出せる
反応を見て要件を直す外でも担えるが、判断は社内

「範囲を決める」「通す基準を決める」は社内に残ります。それ以外は、外の担当者が案を作り、社内が判断する形にできます。特に「要望を集めて一覧にし、必須と歓迎に分ける案を作る」工程は、社内の人がやると利害が絡んで削れないことが多く、外の人が案を出すほうが進みやすい部分です。

エラベルの見解

同じ料金・同じ業務範囲でも、結果が分かれるのは「要件の案を出すときに、削る提案ができるか」です。要望を一覧にして、そのまま求人票に載せる担当者がいます。頼まれたことはやっているので、文句は出ません。しかし、必須が七つ並んだ求人票からは応募が来ません。

一方で、「この要件は、三か月以内の仕事に要りますか」「この要件を持つ人は、市場にどれくらいいますか」と聞いて、必須を三つに削る提案をする担当者がいます。社内からは「そこは外せない」と反発が出ることもあります。それでも削る根拠を説明し、範囲の見直しまで提案できる担当者は、結果として応募を増やします。

代行に出す側から見ると、削る提案をしてくる担当者は、最初は扱いにくく感じます。しかし、削らない担当者に頼んだ求人票は、出しても動きません。商談の場で、自社の要件案を見せて「これで応募は来ますか」と聞いてみてください。「来ます」と言う担当者より、「ここを削りましょう」と言う担当者を選ぶほうが、進みは速くなります。

まとめ

よくある質問

必須を三つに絞ると、合わない人が通ってしまいませんか

必須は書類で見送る基準で、通す基準ではありません。通すかどうかは、面談で確かめる観点と、どうなら通すかで決めます。必須を増やして書類で絞ろうとすると、合う人まで応募前に見送ります。書類の必須は少なく、面談の観点は具体的に、という分け方をしてください。

他社の求人票を参考にしてはいけませんか

参考にすると、他社の担う範囲に合わせた要件が混ざります。同じ職種名でも、範囲が違えば必須と歓迎が入れ替わります。自社の範囲から作り、書き方だけを参考にする程度にとどめてください。

要件定義を外に出すと、自社のことを分かっていない人が決めることになりませんか

範囲と通す基準は社内で決め、外に出すのは要望の整理と案作りです。外の担当者は、範囲を聞き取って必須と歓迎に分ける案を出し、社内が判断します。社内の人だけで進めると利害が絡んで削れないことが多く、案を外が出すほうが進みやすい部分です。