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採用単価(CPA)の計算方法と目標値の置き方

公開 2026-09-07

採用単価は、採用の費用対効果を語るときによく使われる数字です。ただ、この数字は定義次第でいくらでも変わります。分子に何を入れるか、分母を誰にするか、期間をどう区切るか。ここを決めずに他社の数字と比べても意味がありません。この記事では、自社で使える形に定義する手順と、目標値をどこから持ってくるかを整理します。

分子に何を入れるか

採用単価は、採用にかかった費用を採用人数で割った数字です。問題は「かかった費用」の範囲です。

含める範囲入るもの使いどころ
直接費のみ媒体費、紹介手数料、スカウトの従量課金経路ごとの比較
直接費+運用費上記+代行費用、採用管理システム外注の判断
総額上記+社内の人件費、面接の時間内製と外注の比較

どれが正しいという話ではなく、何を判断したいかで決めます。経路の配分を決めたいなら直接費、外注するかを決めたいなら総額。目的が変われば定義も変わるので、複数の定義を持っておいて構いません。

決めたら、その定義を書いて残すことが大事です。定義が変わったのに気づかないまま前期と比べると、増減の解釈を誤ります。

分母をどう置くか

分母は採用人数ですが、ここにも判断があります。

内定承諾か、入社か。承諾で数えると数字が早く出ますが、入社までに辞退が出ると実態とずれます。入社で数えると確定しますが、集計が遅れます。

期間の区切り方。費用が発生した期間と、採用が決まった期間はずれます。今月の媒体費で来月採用が決まる、という時間差があるからです。月次で見ると振れ幅が大きくなるので、四半期や半期でならすほうが傾向は見やすくなります。

職種を分けるか。職種によって難易度も年収も違うので、まとめると平均が意味を失います。職種ごとに出すのが基本です。まとめて出すのは、全体の総額を見るときだけにします。

経路ごとに出す

全体の単価より、経路ごとの単価のほうが判断に使えます。

代行費用をどこに割り付けるかが論点になります。代行が運用している経路に按分する方法と、全経路の共通費として別に置く方法があります。按分すると経路ごとの実態に近づきますが、按分の基準を決める手間があります。共通費にすると集計は楽ですが、経路ごとの比較には代行費用が反映されません。

継続的に見るなら、方法を決めて変えないことが大事です。途中で変えると、推移が追えなくなります。費用の三つの層の整理は採用代行の費用の内訳にまとめています。

エラベルの見解

採用単価の目標値を、業界の平均から持ってこようとする会社があります。ただ、平均の数字は定義が書かれていないので、目標には使えません。分子に社内の人件費が入っているのか、どの職種の平均なのか、どの経路が中心なのか。これらが分からない数字と自社の数字を並べても、高いか安いかは判定できません。

目標は、自社の許容額から置くほうが実務に合います。考え方は単純で、その職種の人を一人採ることで、どれだけの価値が生まれるかを置きます。売上に直結する職種なら、その人が生む粗利の何割までなら払えるか。直結しない職種なら、その業務が回らないことによる損失をどう見るか。

粗い見積もりで構いません。桁が決まれば目標として機能します。年収の何割まで、という置き方も実務ではよく使われます。どの置き方でも、社内で合意されていることのほうが大事です。

そして目標は、職種ごとに変えてください。採りやすい職種と採りにくい職種で同じ目標を置くと、採りにくい職種の採用が止まります。単価が高いこと自体は問題ではなく、その職種にその額を払う価値があるかどうかが問いです。

単価だけを追うと起きること

採用単価を下げることを目標にすると、次のような動きが出ます。いずれも数字は改善しますが、採用の目的からは離れます。

採りやすい職種に寄る。難易度の低い職種の採用を増やせば、全体の平均は下がります。しかし採りたかった職種は採れていません。

質の基準が下がる。要件を緩めれば採用人数は増え、単価は下がります。入社後の定着や活躍で問題が出るのは後になってからです。

時間がかかる経路に寄る。費用のかからない経路(リファラル、自社サイト)だけに寄せると単価は下がりますが、採用に時間がかかります。事業側で人が足りない期間が延びます。

社内の負荷が増える。外注をやめて内製に戻せば、直接費の単価は下がります。ただし社内の時間は増えており、総額では変わらないか増えていることがあります。

だから、単価は単独で見ないことです。採用人数、採用までの期間、入社後の定着とセットで見ます。指標の置き方は契約にKPIを入れるべきかで扱っています。

集計の実務

数字を出す作業は、続けられる形にしておきます。

記録の場所を一つにする。応募者の経路を採用管理システムに記録し、費用は別表で管理する。経路の記録が漏れると、後から集計できません。

更新の頻度を決める。月次で費用を入れ、四半期で単価を出す。毎月出そうとすると振れ幅が大きく、判断には使いにくくなります。

粒度は粗くてよい。按分の基準に完璧を求めると続きません。方法を決めて、同じ方法で更新し続けるほうが価値があります。

前期との比較を残す。数字そのものより、動いた方向と、その月に何をしたかの記録が判断材料になります。

エラベルの見解

採用単価を見るときに、もう一つ並べてほしい数字があります。採用までにかかった期間です。

単価と期間は、たいてい逆に動きます。費用をかければ早く採れ、費用を抑えれば時間がかかる。この関係を無視して単価だけを見ると、安く採れているように見えて、実は事業側で人が足りない期間が延びているということが起きます。

期間の損失は数字に出にくいのですが、置くことはできます。その職種の人が一人いないことで、月にどれだけの機会損失があるか。粗くて構いません。この数字を単価の横に置くと、「安く時間をかけて採る」と「費用をかけて早く採る」のどちらが得かが比べられるようになります。

急いでいる職種なら、単価が上がっても早いほうが得になることがあります。急いでいない職種なら逆です。職種ごとに答えが違うので、単価の目標も期間の目標も職種ごとに置くことになります。ここまで作ると、採用の予算の議論は経営の議論に近づきます。

まとめ

よくある質問

採用単価の目安はどのくらいですか

職種、地域、経路、採用の難易度で大きく変わるため、一つの目安を当てはめるのは実務に合いません。自社の過去の実績から、職種ごとに幅を出すほうが使える数字になります。実績がないなら、その職種の人が生む価値から許容額を置き、実績が出たら更新していく形が現実的です。

社内の人件費まで含めるべきですか

内製と外注を比べたいなら含めます。経路の配分を決めたいだけなら、直接費だけで足ります。含める場合は、面接の時間や意思決定の時間も入るため、集計の手間が増えます。四半期に一度、粗い粒度で出す程度で判断には足ります。

代行費用が入ると単価が上がって見えます

上がります。ただし、代行を入れたことで社内の時間が減っているなら、総額で見ると変わっていないことがあります。直接費だけの単価と、社内の人件費を含めた総額の単価を両方持っておくと、この見え方の違いを説明できます。片方だけを見ると、判断を誤ります。