採用代行 / 社内SE
社内SEの母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
社内SEの募集で「応募が集まらない」と相談を受けたとき、最初に聞くのは「応募の数が少ないのか、合う人が来ないのか」です。社内SEは、エンジニアの中では応募者の多い職種で、SIerやSESで客先常駐や長い残業に疲れた人が「社内SEなら落ち着ける」と考えて応募します。数が少ないなら文面と経路の問題ですが、多くの場合は「数はあるが合う人が来ない」か「合う人に届いていない」で、原因は文面が中身を書いていないことにあります。結論を先に書くと、見直す順番は、中身の割合を書く→一人目か二人目以降かを書く→決裁と予算と上司を書く→「離れたい」層と「作りたい」層のどちらに向けるか決める→応募の絞り込みと連絡を速くする→層に合う経路に出す、の六つです。順番どおりに見直すと、応募の数は減っても、面接で決まる率と入って続く率が変わります。代行に出す判断基準は社内SE採用を代行に出す判断基準に書いていますので、ここでは母集団形成に絞ります。
社内SEの応募で起きていること
社内SEの応募で起きているのは、三つに分かれます。
一つ目は、数はあるが合わない応募が多いことです。「社内SE」の名前で出すと、SIerやSESからの転向希望者が中身を細かく見ずに応募します。動機が「離れたい」なので、応募先が「ひとり情シス」か「情報システム部の一員」か「社内開発」かを見ていません。書類を見ると中身に合わない応募が大半で、応募対応の手間だけが増えます。
二つ目は、合う人に届いていないことです。小さな会社で一人情シスをしていた人、SIerで幅広く見ていた人、事業会社で社内開発をしていた人は、転職を急いでおらず、「社内SE募集」の一般的な文面では動きません。動くのは、「自分の経験がそのまま活きる」と読める具体的な文面と、スカウトで直接届いたときです。
三つ目は、合う人が応募しても、連絡が遅れて他社に決まることです。応募が多いと、書類の確認に時間がかかり、合う人への連絡が遅れます。合う人は他社からも声がかかっていて、連絡の速い会社に決まります。
三つを混ぜて「応募が集まらない」と言うと、対策が「媒体を増やす」に流れ、合わない応募がさらに増えます。分けると、対策は「中身を書いて絞る」「合う人に届く文面と経路」「絞り込みと連絡を速く」になります。
見直す順番
順番は六つです。上から順に見直します。
一つ目:中身の割合を書く。 ヘルプデスクと機器の管理、基幹システムの保守とベンダー管理、社内の開発、DX推進の四つの日々の割合。「DX推進」と書いて実態がヘルプデスク八割なら、八割と書き、「整えた後に増やす」と順番を書きます。割合を書くと合わない応募が減り、合う人が「自分向けだ」と読みます。
二つ目:一人目か二人目以降かを書く。 一人目なら「社内にITの分かる人はいない。聞く相手はベンダーと経営者」と書きます。これで大きな情報システム部の出身者は自分で判断し、一人情シスの経験者とSIerで幅広く見ていた人が「自分の経験が活きる」と読みます。二人目以降なら、いる人との分担を書きます。
三つ目:決裁と予算と上司を書く。 社内SEが自分で決められる範囲、ツールの導入の手続き、誰の下か、何で評価されるか。社内SEの辞める理由で多い「提案しても通らない」「ITの分からない上司に評価される」に、先に答えます。
四つ目:「離れたい」層と「作りたい」層のどちらに向けるか決める。 社内SEの応募者は、「客先常駐と残業から離れて落ち着きたい」層と、「自社のシステムを自分で作りたい」層に分かれます。ひとり情シスや保守とベンダー管理が中心なら前者に、社内開発が中心なら後者に向けます。両方に向けると、どちらにも刺さりません。
五つ目:応募の絞り込みと連絡を速くする。 書類で中身との合致を見る基準を決め、合う人には当日中に連絡し、合わない人には丁寧に断ります。応募が多い職種なので、絞り込みの基準が無いと合う人への連絡が遅れます。
六つ目:層に合う経路に出す。 「離れたい」層は転職媒体で自分から動いているので、媒体の文面で届きます。「作りたい」層と転職を急いでいない経験者は、スカウトとリファラルで届けます。
順番の要点は、六つ目の経路が最後にあることです。「応募が少ないから媒体を足す」は、中身を書かないまま届く範囲を広げる対策で、合わない応募が増えるだけです。
エラベルの見解
相談で多いのは、「社内SEを三つの媒体に出して応募は月に数十件あるが、書類で九割落とし、面接まで進んでも決まらない」というご相談です。求人を見ると、「社内SE(DX推進・システム企画)」で、中身の割合も一人目かどうかも決裁の範囲も無く、SESからの転向希望者が中身を見ずに応募していました。実態を聞くと、社員数十名の会社の一人目で、日々はヘルプデスクとベンダー対応が八割、経営者の期待は「まずITを整えて、その後に業務の仕組み」でした。文面を「一人目の社内SEとして会社のITを一から整える。最初の一年はPCとネットワークとベンダー対応が中心、整えた後に業務の仕組みを作る。決められる範囲は〜」と書き直し、媒体を一つに絞り、一人情シスの経験者にスカウトを送ったところ、応募は数分の一に減りましたが、書類で落とす率が下がり、面接で決まりました。
見ていて差がつくのは、「応募の数ではなく、書類で落とす率を見ているか」です。エラベルでは、社内SEの担当者に、応募の数より「書類で残る率」と「面接で決まる率」を追ってもらっています。
層ごとの見直しの違い
| 層 | 動機 | 気にする条件 | 文面で目を止める言葉 | 外す言葉 |
|---|---|---|---|---|
| SIer・SESからの転向(「離れたい」層) | 客先常駐と残業から離れたい、自社で落ち着きたい | 常駐が無いこと、残業の実態、範囲の広さを受け入れられるか | 「常駐なし」「自社内のみ」「残業の実態」「幅広く見る一人目」 | 「即戦力」「開発経験必須」 |
| 一人情シスの経験者 | 同じ役でより良い条件か、二人目以降で分担のある環境 | 決裁の範囲、上司、予算、ベンダーの数 | 「決められる範囲」「経営者直下」「ITの分かる上司」「整えた後に何を任せるか」 | 「未経験歓迎」「ヘルプデスク中心」だけ |
| 情報システム部の経験者 | 領域を広げたい、または同じ領域でより良い条件 | 基幹システムの種類、ベンダー管理の範囲、分担 | 「基幹システムの更新を回す」「ベンダー管理が中心」「分担」 | 「一人で全部」「ヘルプデスクも」 |
| 社内開発の経験者(「作りたい」層) | 自社のシステムを自分で作りたい | 開発の割合、使う技術、決裁と予算 | 「開発の割合」「自分で作る範囲」「使う技術」 | 「ヘルプデスク」「ベンダー管理が中心」 |
| 未経験・異職種から | 社内SEになりたい、ITに関わりたい | 受け入れの流れ、教える人がいるか | 「二人目以降で教える人がいる」「最初に任せる範囲」 | 「一人目」「即戦力」 |
表の要点は、「離れたい」層と「作りたい」層で、外す言葉が逆になることです。ひとり情シスの募集に「開発経験必須」を書くと離れたい層が外れ、社内開発の募集に「ヘルプデスクも」と書くと作りたい層が外れます。層を決めてから、外す言葉を消します。
もう一つの要点は、未経験を一人目に募集しないことです。一人目は聞く相手がいない条件で、未経験は続きません。未経験を採るなら、二人目以降で教える人がいる環境にします。
経路の向き不向き
| 経路 | 向く層 | 向かない場合 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 転職媒体(IT系・総合) | 「離れたい」層。自分から動いている | 転職を急いでいない経験者 | 中身の割合と一人目かどうかを書かないと合わない応募が増える |
| スカウト | 一人情シスの経験者、社内開発の経験者、転職を急いでいない人 | 短期で数を見たいとき | 相手の経歴の一点に触れ、決裁と予算と上司を書く |
| リファラル(社員やベンダーからの紹介) | いまのベンダーの担当者が知っている人、社員の前職の同僚 | 紹介の仕組みが無いとき | ベンダーからの紹介は契約上の扱いを確認する。進まない原因はリファラルが進まない理由に書いています |
| 人材紹介 | 一人目で社内に判断できる人がいないとき、早く欲しいとき | 継続的に少人数を採るとき | 紹介会社に中身の割合と一人目の条件を正確に伝える |
| 自社サイト・技術ブログ | 「作りたい」層、経験者 | 短期で採るとき | 使っている技術と整える過程を出せると続く人が来る |
| 副業・業務委託から | 一人目で急ぐとき、まず整える人が欲しいとき | 正社員で長く持ちたいとき | 業務委託の範囲と契約は専門家にご確認ください |
経路の要点は、「離れたい」層は媒体で届き、「作りたい」層と急いでいない経験者はスカウトとリファラルで届く、ということです。一人目の社内SEで欲しいのは後者であることが多く、媒体だけで待っていると届きません。
応募は来るが決まらない場合
応募は来ているのに面接で決まらない、内定を出しても辞退される場合は、母集団ではなく応募後の体験を見直します。
一つ目は、書類の絞り込みの基準です。中身との合致で絞っているか、経歴の長さや会社名で絞っていないか。「ひとり情シス」に大きな情報システム部の出身者を通し、一人情シスの経験者を「規模が小さい」で落としていないか。
二つ目は、連絡の速さです。合う人に当日中に連絡できているか。
三つ目は、面接の内容と文面の差です。文面に「DX推進」と書いて、面接でヘルプデスク八割を初めて伝えると辞退します。文面と面接を揃えます。
四つ目は、技術の確認です。社内にITの分かる人がいない一人目の採用で、技術を確かめずに進めると、応募者は「この会社はITを分かっていない」と不安になります。外部のエンジニアに技術の確認を頼む段取りを入れます。
五つ目は、決裁と予算と上司の説明です。面接で「提案は通るのか」「誰に評価されるのか」を聞かれて答えられないと辞退します。面接の設計は面接の構造に書いています。
代行に出せる工程
| 工程 | 社内に残す | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 中身の割合と一人目かどうかと経営者の期待の決定 | いまの社内SE・総務・経営者が決める | 聞き取り、整理 |
| 決裁と予算と上司の決定 | 経営者が決める | 他社の決め方の例、文面への落とし込み |
| 「離れたい」層か「作りたい」層かの決定 | 経営者が決める | 中身の割合からの提案 |
| 文面 | 確認 | 層ごとに書き分ける。外す言葉を消す |
| 経路の選定と運用 | 予算の承認 | 媒体とスカウトとリファラルの運用 |
| 応募の絞り込みと連絡 | ― | 中身との合致で絞る基準、当日中の連絡、丁寧な断り |
| 面接 | 経営者と、いる場合はいまの社内SE | 段取り、質問の設計、外部のエンジニアによる技術確認の段取り |
| 入社後の様子を募集に戻す | 上司が話す | 続いている理由と辞めた理由を聞き、文面に戻す |
分け方の要点は、「中身と期待と決裁は社内が決め、文面と経路と絞り込みと段取りは外に出せる」ことです。社内SEの母集団形成で最も効くのは、応募の絞り込みと合う人への速い連絡で、社内で回せないなら、まずここを外に出します。現場との協力は現場の協力を得る方法に、担当者の選び方は担当者の経歴の見方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、社内SEの母集団形成で最も多い誤りは、「応募が多いので母集団は足りていると考えて、文面を直さない」ことです。応募の九割を書類で落としているなら、母集団は足りておらず、合わない人を集めているだけです。中身の割合と一人目かどうかと決裁の範囲を書くと、応募は減りますが、書類で残る率が上がり、応募対応の手間も減ります。
エラベルでは、社内SEの案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間でいまの社内SEか総務か経営者に日々の中身を聞き取り、割合と一人目の条件と決裁の範囲を文面に落とし、「離れたい」層か「作りたい」層かを決め、絞り込みの基準を作るところまでをお願いしています。業務委託の契約とベンダーからの紹介の扱いは、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 社内SEの応募で起きているのは数はあるが合わない・合う人に届いていない・合う人への連絡が遅れるの三つ。混ぜると「媒体を足す」に流れる
- 見直す順番は中身の割合を書く→一人目か二人目以降かを書く→決裁と予算と上司を書く→「離れたい」層か「作りたい」層かを決める→絞り込みと連絡を速くする→層に合う経路に出す。経路は最後
- 「離れたい」層と「作りたい」層で外す言葉が逆になる。層を決めてから外す言葉を消す。未経験を一人目に募集しない
- 「離れたい」層は媒体で届き、「作りたい」層と急いでいない経験者はスカウトとリファラルで届く
- 応募は来るが決まらないなら絞り込みの基準・連絡の速さ・面接と文面の差・技術の確認・決裁と上司の説明を見直す
- 中身と期待と決裁は社内が決め、文面と経路と絞り込みと段取りは外に出せる。最も効くのは絞り込みと速い連絡
- 見るのは応募の数ではなく、書類で残る率と面接で決まる率
よくある質問
応募は月に数十件あるのに、なぜ母集団形成を見直す必要があるのですか
書類で九割落としているなら、集まっているのは合わない人で、母集団としては足りていません。中身の割合と一人目かどうかと決裁の範囲を文面に書くと、応募の数は減りますが、書類で残る率が上がり、面接で決まる率も上がります。見るべき数字は応募の数ではなく、書類で残る率と面接で決まる率です。
一人情シスの経験者は、どうやって見つければよいですか
転職媒体で自分から動いていることは少なく、スカウトとリファラルで届けます。媒体のデータベースで「社員数十名の会社で情報システムを一人で担当」の経歴を探し、相手の経歴の一点(整えた範囲、扱ったシステム)に触れて、決裁と予算と上司と「整えた後に何を任せるか」を書いて送ります。いまのベンダーの担当者が知っている人を紹介してもらう経路もあります。ベンダーからの紹介は契約上の扱いを確認してください。
SESからの転向希望者は避けるべきですか
避ける必要はありません。「離れたい」動機は自然で、SESで客先の情シスに常駐して社内の人とベンダーの間に立っていた人は、一人目の社内SEに向くことがあります。確かめるのは、「離れた先で何をしたいか」と「範囲の広さと決まりの無さを受け入れられるか」です。面接で「決まりの無い環境で何から手を付けるか」「分からないことをどう解決してきたか」を聞き、動機ではなく合致で判断します。