採用代行 / 比較・選び方
中途採用市場の動向をどう追うか
中途採用の市場が今どうなっているか。外部の記事や調査を読むより、自社の数字から読むほうが判断に使えます。市場全体の傾向は参考になりますが、自社が採りたい職種、自社の条件、自社の知名度での話ではありません。この記事では、何を見れば市場の変化に気づけるかを整理します。
自社の数字から読む
市場の変化は、自社の数字に先に現れます。
返信率の変化。同じ文面、同じ条件で送っているのに返信が減った。候補者の動きが変わっている可能性があります。
母数の変化。同じ検索条件で、該当する候補者の数が減った。その層が動いていない、あるいは他社が先に接触している。
応募数の変化。掲載の条件を変えていないのに応募が減った。
辞退の理由の変化。条件が理由の辞退が増えた。市場の水準が動いている可能性があります。
選考の期間の変化。候補者が他社と比較する期間が長くなった、あるいは早く決めるようになった。
この五つを月ごとに追っていれば、変化に気づけます。外部の情報を待つより早く分かります。
何と比べるか
前年の同じ時期と比べる。季節の要因を除けます。
同じ職種で比べる。職種によって市場は違います。
同じ条件で比べる。文面や条件を変えていれば、その影響と混ざります。
そして、変更の履歴を残しておいてください。数字が動いたとき、市場の影響か自社の変更の影響かを切り分けられます。
記録がないと、切り分けられません。「最近返信が悪い」と感じても、文面を変えたせいかもしれない。
代行会社から引き出せる情報
代行会社は複数社の運用を見ています。この情報は、自社だけでは得られません。
聞けること
- 同じ職種で、他社の状況はどうか(傾向として)
- どの媒体で候補者が動いているか
- どういう条件が通用しなくなってきたか
- 文面の反応がどう変わっているか
- 自社の条件は市場から見てどうか
具体的な社名や数字は出せませんが、傾向としては答えられます。
そして、五番目が最も価値があります。自社の条件が市場からどう見えるか。社内では気づきにくい部分です。
定例会で定期的に聞いてみてください。「最近、この職種の市場はどうですか」。担当者が現役で運用していれば、情報は新しい。
エラベルの見解
市場の情報を集めるときに、「その情報が自社に当てはまるか」を確認してください。ここを飛ばすと、判断を誤ります。
市場全体の傾向として「この職種は採りにくくなっている」という情報があったとします。ところが、それがどの層の話かは分かりません。経験年数、業界、地域、年収帯。条件が違えば、話も違います。
そして、自社の知名度や条件によっても変わります。同じ職種でも、採りやすい会社と採りにくい会社があります。
だから、外部の情報は仮説として受け取ってください。「そうかもしれない」と考えて、自社の数字で確認する。
確認の方法は簡単です。返信率、母数、応募数の推移を見る。市場全体が動いているなら、自社の数字にも現れているはずです。
現れていないなら、自社には当てはまっていないということです。
逆に、外部の情報がなくても自社の数字が動いていれば、それは自社にとっての変化です。外部の情報を待つ必要はありません。
判断の起点は、常に自社の数字に置いてください。
外部の情報源
公的な統計。労働市場に関する統計は、官公庁から公表されています。全体の傾向を掴むには使えます。
媒体の担当者。掲載している媒体の営業担当は、その媒体での動きを知っています。
紹介会社の担当者。候補者と直接話しているため、候補者側の動きを知っています。
代行会社の担当者。複数社の運用を見ています。
同業の人事担当者。同じ職種を採っている会社の状況。
この五つのうち、二番目から四番目が実務では使いやすい。日常のやりとりの中で聞けます。
そして、聞いた情報は自社の数字で確認してください。裏付けのない情報で判断を変えると、後で戻すことになります。
変化に気づいたときの対応
まず、自社の変更の影響かを確認する。文面、条件、媒体、担当者。変更の履歴と照らします。
職種ごとに見る。全職種で起きているのか、特定の職種だけか。特定の職種なら、その市場の変化かもしれません。
経路ごとに見る。すべての経路で落ちているのか、特定の媒体だけか。媒体の問題である可能性があります。
期間を見る。一時的な変動か、数か月続いているか。一か月の変化では判断できません。
この四つで切り分けてから、対応を決めてください。
そして、市場の変化だと分かった場合、打ち手は限られます。条件を見直す、経路を変える、要件を緩める。どれも自社の判断が要ります。
変化への対応
条件を見直す。市場の水準から外れているなら、条件の調整を検討します。ただし、既存社員とのバランスがあるため、慎重な判断が要ります。
経路を変える。効かなくなった媒体から、別の経路へ。経路別の実績があれば判断できます。
要件を緩める。必須の条件を歓迎に移す。現場との擦り合わせが要ります。
時期をずらす。急がない職種なら、市場が動く時期を待つ選択もあります。
訴求を変える。条件で戦えないなら、別の魅力を前に出す。事業の内容、任される範囲、働き方。
五番目が、条件を動かせない場合の選択肢です。ただし、実態と違うことを書くと入社後にずれます。文化の伝え方は企業文化を理解してもらう方法にまとめています。
追う頻度
月次で数字を見る。返信率、応募数、母数。定例会の議題に入れておきます。
四半期で傾向を確認する。数か月の推移で判断します。
半期で外部の情報と照らす。公的な統計や、担当者からの情報。
変化が続いたら、その時点で対応する。周期を待つ必要はありません。
毎週見る必要はありません。件数が少ないうちの変動は、偶然の影響が大きい。
エラベルの見解
市場の動向を追う目的は、「うまくいかない理由を市場のせいにしないため」でもあります。
数字が落ちたとき、市場の変化として説明するのは簡単です。「採用が難しくなっている」「候補者が動いていない」。そして、実際にそういう時期もあります。
ところが、切り分けをしないまま市場のせいにすると、自社側で直せる部分を見逃します。
要件が厳しすぎる。条件が市場から外れている。判断が遅れて候補者が流れている。文面が響いていない。これらは自社で直せます。
だから、市場の動向を追うときは、自社の工程の数字と並べて見てください。
自社の判断速度が変わっていないのに返信率だけが落ちているなら、市場か文面の問題。判断が遅れている期間と数字の落ち込みが重なっているなら、自社の問題。
並べると、切り分けができます。
そして、市場の変化だと分かったときも、打ち手は自社の判断です。条件、要件、経路、訴求。市場は変えられませんが、自社の設計は変えられます。
市場を追うのは、諦めるためではなく、次の手を決めるためです。
まとめ
- 市場の変化は、自社の数字に先に現れる
- 追うのは、返信率・母数・応募数・辞退の理由・選考の期間
- 比べるのは、前年の同時期・同じ職種・同じ条件。変更の履歴を残す
- 代行会社から、傾向としての情報を引き出せる。特に「自社の条件は市場からどう見えるか」
- 外部の情報は仮説として受け取り、自社の数字で確認する
- 変化に気づいたら、自社の変更・職種・経路・期間で切り分ける
- 対応は、条件・経路・要件・時期・訴求。市場は変えられないが設計は変えられる
- 追う目的は「うまくいかない理由を市場のせいにしないため」
よくある質問
市場のデータはどこで見られますか
労働市場に関する統計は官公庁から公表されています。全体の傾向を掴むには使えますが、自社が採りたい職種や条件での話ではありません。判断に使うなら、自社の数字と並べて確認してください。
代行会社の情報は信頼できますか
複数社の運用を見ているため、傾向としては参考になります。ただし、自社に当てはまるかは確認が要ります。聞いた内容を自社の数字で照らし、動きが一致するかを見てください。あわせて、その担当者が現役で運用しているかも確認します。
市場が悪いときは採用を止めるべきですか
急がない職種なら、時期をずらす判断もあります。ただし、事業に必要な採用を止めると、別の損失が生じます。市場が悪いなら、条件や訴求の見直しで対応できないかを先に検討してください。採用が遅れることの損失も、判断に入れます。