アルムナイ採用の設計を外注したときの費用と工数の目安|退職者との関係を保つ仕組みと、情報の扱いを決める
アルムナイ採用は、一度会社を辞めた人を、もう一度迎え入れる採用の方法です。退職者は会社の仕事のやり方や文化を知っているため、再入社した後の立ち上がりが早く、他の会社で積んだ経験を持ち帰ってくれることもあります。ただ、アルムナイ採用を進めるには、退職した後も退職者との関係を保つ仕組みが必要です。結論から書くと、アルムナイ採用の設計の外注は、退職者とのつながりを保つ仕組みづくり・連絡・再入社の選考に分け、退職者の情報の扱いと再入社の条件の決め方まで含めて見積もると、判断しやすくなります。
外部への費用は会社、料金の形、依頼する範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では金額の相場は扱いません。法令の扱いは一般的な整理です。個別の判断は専門家にご確認ください。
工程に分ける
アルムナイ採用の仕事は、次の工程に分けられます。
| 工程 | 中身 | 担い手 |
|---|---|---|
| 仕組みづくり | 退職者とのつながりを保つ方法(名簿、交流の場、情報の発信)、再入社の決まりを決める | 外部が設計を手伝える。決定は社内 |
| 退職時の案内 | 退職する人に、退職後もつながりを保つ仕組みを案内し、同意を得る | 社内が担う |
| 定期的な連絡 | 退職者に会社の近況や募集中の求人を伝える | 外部が担える |
| 再入社の選考 | 再入社を希望する退職者と面談し、条件を決める | 社内が担う |
外部が力を発揮しやすいのは、仕組みづくりと定期的な連絡です。退職時の案内と再入社の選考は、退職者との関係を知る社内の人が担うほうが自然です。詳しい切り分けはアルムナイ採用の設計は代行に出せるかで書いています。
退職者の情報の扱い
アルムナイ採用で最も気をつけたいのが、退職者の情報の扱いです。在職中に集めた社員の連絡先などの情報は、もともと雇用の管理などの目的で集めたものです。個人情報の保護に関する法律第17条は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなければならないとし、利用目的を変更する場合は、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えてはならないとしています。第18条は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとしています。
つまり、在職中の連絡先を、退職後の採用の案内にそのまま使ってよいとは限りません。退職するときに、退職後も会社からの案内を受け取るかどうかを本人に確かめ、同意を得たうえで、案内の目的を示して連絡先を預かる形にしてください。外部に連絡を頼む場合は、退職者の情報の扱いを契約で決めておいてください。
エラベルの見解
アルムナイ採用の設計で多いのは、仕組みはつくったのに、退職者が参加してくれないケースです。退職の仕方によっては、退職者が会社に良い印象を持っていないこともあります。会社からの連絡が、退職者にとって押しつけがましく感じられると、かえって関係を損ないます。
アルムナイ採用は、退職の時点から始まっています。退職する人を気持ちよく送り出し、退職後も会社の近況を知りたいと思ってもらえる関係をつくることが、仕組みの土台です。外部に頼むなら、連絡の内容を採用の案内ばかりにせず、退職者にとって役に立つ情報や交流の場を含めて設計してもらってください。同じ料金・同じ業務範囲でも、退職者の気持ちに配慮した仕組みを設計してくれる担当者かどうかで、参加の度合いが変わります。
再入社の条件の決め方
アルムナイ採用では、再入社する人の条件をどう決めるかも大切です。
- 処遇の決め方:退職前の処遇を基準にするか、他の会社で積んだ経験を踏まえて新たに決めるか
- 選考の進め方:通常の中途採用と同じ選考にするか、簡略化するか
- 社内への説明:再入社する人を、元の同僚にどう紹介するか
とくに一つ目は、在籍している社員との公平さにも関わります。他の会社で経験を積んで戻ってきた人の処遇を、どのように決めるかの考え方を事前に決めておくと、社内の納得も得やすくなります。アルムナイ採用の進め方はアルムナイ採用の設計の進め方で書いています。
料金の形と成果の確かめ方
アルムナイ採用の設計を外部に頼むときの料金の形は、仕組みづくりを成果物で頼む形、定期的な連絡の運用を月額で頼む形、両方を組み合わせた形などがあります。エラベルでは、採用決定時に1名10万円(税別)という形で、担当者を選んで採用の実務を任せられる仕組みを用意しています。
成果は、次の点で確かめてください。
- つながりの数:退職後も会社とのつながりを保っている退職者の数
- 再入社の相談の数:退職者からの再入社の相談や、知人の紹介の数
- 再入社した人の定着:再入社した人が、長く働いているか
エラベルの見解
アルムナイ採用で、もう一つ考えてほしいのは、再入社だけを目的にしないことです。退職者は、再入社する可能性のある人であると同時に、会社のことをよく知る外部の人でもあります。退職者が知人に会社を勧めてくれたり、取引先として関わってくれたりすることもあります。
退職者との関係を、再入社のための名簿としてではなく、会社を応援してくれる人とのつながりとして大切にすると、結果として再入社の相談も増えます。外部に頼むときも、この考え方を共有しておくと、仕組みの方向がぶれません。
まとめ
- アルムナイ採用は仕組みづくり・退職時の案内・定期的な連絡・再入社の選考に分ける
- 在職中に集めた情報を退職後の採用の案内に使うには、利用目的と同意に気をつける。退職時に同意を得る
- アルムナイ採用は退職の時点から始まっている。気持ちよく送り出す
- 再入社する人の処遇の決め方と社内への説明を事前に決める
- 退職者を会社を応援してくれる人とのつながりとして大切にする
よくある質問
アルムナイ採用の設計を外注したときの費用の相場はいくらですか
会社や料金の形、依頼する範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。仕組みづくりの範囲と、定期的な連絡まで頼むかをそろえて見積もりを取り、比べてください。
在職中の連絡先に、退職後に採用の案内を送ってもよいですか
在職中に集めた情報は、もともと雇用の管理などの目的で集めたものです。退職後の採用の案内に使うには、利用目的との関係に気をつける必要があります。退職時に案内を受け取るかどうかを確かめ、同意を得てから使うのが安全です。個別の判断は専門家にご確認ください。
再入社した人の処遇はどう決めればよいですか
退職前の処遇を基準にするか、他の会社で積んだ経験を踏まえて新たに決めるかを、事前に考え方として決めておくと、社内の納得を得やすくなります。在籍している社員との公平さにも配慮して決めてください。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
この記事のタグ
関連記事
- アルムナイ採用の設計は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方 アルムナイ(退職者)採用は「誰に戻ってきてほしいか、どんな形と処遇で戻すか、社内にどう説明するかを決める」工程と、「退職時の記録と同意・退職者との関係を続ける運用・個別の連絡・戻る形の整理と橋渡し・受け入れの型・記録」を回す工程に分かれ、前者は会社が持ち、後者は外に出せます。出せるのは、退職時の面談の型と理由の記録、連絡の同意の管理、同意を得た退職者への近況や募集の案内、戻ってきてほしい人への個別の連絡の下準備、戻る形の選択肢の整理、受け入れの型と既存社員への説明の文面、記録で、出せないのは、誰に戻ってきてほしいかの判断、戻る形と処遇の決定、辞めた理由を直すこと、戻る人と直接話すこと、選考の判定、既存社員への説明そのものです。代行に出せる工程と出せない工程、出したほうがよい状況、担当者の選び方、出す前に用意しておくものをまとめました。 採用代行アルムナイ採用の設計
- アルムナイ採用の設計の進め方|自社でやる場合の手順 アルムナイ(退職者)採用を自社で設計するとき、「募集が出たら辞めた人に声をかける」から始めると、同意も記録も関係も無い相手への一斉送信になり、返事は来ず、戻った人がいても「知っているから」で放置されて再び辞めます。進め方は、経営者の方針を決める→退職時の面談の型と理由の記録と連絡の同意を作る→戻ってきてほしい人を判断して記録する→辞めた理由が直っているかを確かめる→関係を続ける運用を作る→戻る形と処遇の選択肢を整理する→個別に連絡する人と伝えることを準備する→受け入れの型と既存社員への説明を作り、記録を続ける、の八つの手順。各手順で使う表と、止まりやすい場所、外の人に頼む場合の境目をまとめました。 採用代行アルムナイ採用の設計
- 人材紹介会社との折衝を外注したときの費用と工数の目安|紹介会社の数と推薦への返答の速さで決まる 人材紹介会社とのやりとりを外部に頼むとき、費用と工数をどう見積もるか。紹介会社への求人の説明・推薦への返答・選考の連絡・条件の調整に分けたときの工数のかかり方、契約する紹介会社の数が工数を左右する理由、手数料の実績の確かめ方を整理しました。 採用代行人材紹介会社との折衝
- ATS(採用管理システム)の運用を外注したときの費用と工数の目安|入力の手間と、委託先の監督を見積もりに入れる ATS(採用管理システム)の運用を外部に頼むとき、費用と工数をどう見積もるか。システムの利用料と運用の手間を分けて考える理由、候補者情報の入力・更新・集計の工程ごとの工数、個人情報の安全管理と委託先の監督の決まり、アカウントの権限の分け方を整理しました。 採用代行ATS(採用管理システム)の運用