ATS(採用管理システム)の運用を外注したときの費用と工数の目安|入力の手間と、委託先の監督を見積もりに入れる
ATS(採用管理システム)は、応募者の情報や選考の進み具合を一か所で管理するための仕組みです。導入すれば採用の管理が楽になると思われがちですが、実際には、候補者の情報を入力し、選考の結果を更新し、数字を集計するといった運用の手間がかかります。この運用を外部に頼むこともできますが、ATSには候補者の個人情報がまとまって入っているため、扱いには注意が必要です。結論から書くと、ATSの運用の外注は、システムの利用料と運用の手間を分けて考え、入力・更新・集計の工程ごとの工数と、個人情報の安全管理と委託先の監督まで含めて見積もると、判断しやすくなります。
ATSの利用料はサービスや契約によって異なり、外部への運用の費用も会社や依頼する範囲によって異なるため、この記事では金額の相場は扱いません。
利用料と運用の手間を分ける
ATSにかかる費用は、次の二つに分けて考えてください。
- システムの利用料:ATSの提供会社に払う費用。利用者数や応募者数、機能によって料金の形が違う
- 運用の手間:候補者情報の入力、選考の結果の更新、面接官とのやりとり、数字の集計など。社内で行えば人件費、外部に頼めば委託費
外部に頼めるのは、主に運用の手間の部分です。また、ATSを導入しただけで運用が回っていない会社では、まず運用の決まりをつくるところから外部に頼むこともあります。見積もりを取るときは、利用料と運用の費用を分けて示してもらってください。
運用を工程に分ける
ATSの運用は、次の工程に分けられます。
| 工程 | 中身 | 工数のかかり方 |
|---|---|---|
| 運用の決まりづくり | どの情報を、誰が、いつ入力・更新するかを決める | 最初に時間がかかる |
| 候補者情報の入力 | 媒体や紹介会社から来た応募をATSに取り込む | 応募の数に比例する。媒体との連携で減らせることもある |
| 選考の結果の更新 | 面接の結果や評価を記録し、次の段階に進める | 選考の件数に比例する |
| 面接官とのやりとり | 面接官に評価の入力を促し、未入力を確認する | 面接官の数と選考の件数で増える |
| 数字の集計 | 経路ごとの応募数、通過率、採用数を集計する | 集計の頻度で変わる |
この表のうち、意外と手間がかかるのが四つ目の「面接官とのやりとり」です。面接官が評価を入力しないと、選考が止まり、データも不完全になります。外部に頼む場合も、面接官に入力を促す役割を誰が担うかを決めておいてください。詳しい切り分けはATSの運用は代行に出せるかで書いています。
エラベルの見解
ATSの運用で多いのは、入力はされているのに、データが使われていないケースです。応募者の情報も選考の結果も入っているのに、経路ごとの通過率や採用までの日数を見て、採用の進め方を見直すことには使われていない。これでは、入力の手間をかけている意味が薄くなります。
外部に運用を頼むなら、入力だけでなく、月に一度、データから分かることをまとめて報告してもらってください。どの経路から合う人が来ているか、どの段階で人が減っているかが分かれば、採用の打ち手を見直せます。同じ料金・同じ業務範囲でも、データを読んで提案してくれる担当者かどうかで、ATSの価値が変わります。
個人情報の安全管理と委託先の監督
ATSには、候補者の氏名や連絡先、経歴、選考の評価など、多くの個人情報がまとまって入っています。個人情報の保護に関する法律第23条は、個人情報取扱事業者は、取り扱う個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないと定めています。第25条は、個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合は、委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないとしています。
ATSの運用を外部に頼むことは、個人データの取扱いの委託にあたることがあります。外部に頼むときは、次の点を決めておいてください。
- アカウントの権限:外部の担当者が見られる情報と、操作できる範囲を必要な範囲に絞る
- 取り扱いの決まり:個人情報を運用の目的以外で使わないこと、持ち出さないことを契約で定める
- 契約の終了時の扱い:契約を終えたときに、外部のアカウントを止め、手元のデータを削除してもらう
料金の形と品質の見方
ATSの運用を外部に頼むときの料金の形は、月額固定、応募や選考の件数に応じた支払い、他の採用業務とまとめて頼む形などがあります。エラベルでは、採用決定時に1名10万円(税別)という形で、担当者を選んで採用の実務を任せられる仕組みを用意しています。運用の進め方はATSの運用の進め方で書いています。
品質は、次の点で確かめられます。
- データの正確さ:候補者の情報や選考の結果が、漏れなく正しく入力されているか
- 更新の速さ:選考の結果が、すぐにATSに反映されているか
- データの活用:集計した数字が、採用の進め方の見直しに使われているか
エラベルの見解
ATSで、もう一つ考えてほしいのは、ATSを使う人を増やしすぎないことです。面接官や現場の社員、外部の担当者など、ATSを使う人が増えるほど、入力のばらつきや情報の扱いの不安が増えます。誰がどの情報を見て、どの操作をするのかを決め、必要な人だけに必要な権限を与えてください。
使う人と権限を絞ることは、個人情報の安全管理のためだけでなく、データの質を保つことにもつながります。外部に運用を頼むなら、この権限の設計も一緒に見直してもらうと、運用が安定します。
まとめ
- ATSの費用は、システムの利用料と運用の手間に分けて考える
- 運用は決まりづくり・入力・更新・面接官とのやりとり・集計に分けられる。面接官とのやりとりが意外と手間になる
- 入力だけでなく、データを読んで採用の見直しに使うところまで頼む
- 個人情報保護法は、安全管理措置と委託先の監督を求めている。権限・取り扱い・終了時の扱いを決める
- ATSを使う人と権限を必要な範囲に絞る
よくある質問
ATSの運用を外注したときの費用の相場はいくらですか
会社や料金の形、依頼する範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。システムの利用料と運用の費用を分けて見積もってもらい、応募や選考の件数をそろえて比べてください。
外部の担当者にATSのアカウントを渡してもよいですか
渡す場合は、見られる情報と操作できる範囲を必要な範囲に絞ってください。個人情報保護法は、個人データの取扱いを委託する場合に、委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。取り扱いの決まりと、契約の終了時の扱いも契約で定めてください。
ATSを入れれば採用はうまくいきますか
ATSは採用の管理を楽にする仕組みですが、入れただけで採用がうまくいくわけではありません。運用の決まりをつくり、データを正しく入力し、集計した数字を採用の進め方の見直しに使うことで、効果が出ます。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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