採用代行 / 比較・選び方
提案依頼書(RFP)に書くこと
採用代行の選定で、提案依頼書を作る場合の構成です。社内の稟議や複数部門の関与がある選定では、口頭の依頼より文書のほうが進めやすくなります。そして、同じ文書を各社に渡せば、返ってくる提案が横に並びます。この記事では、書く項目を九つに分けて整理します。簡易な依頼文で足りる場合は相見積もりの取り方と伝え方にまとめています。
一.背景と目的
なぜ外注を検討しているかを書きます。
- 採用の現状(何人採りたいか、どこで詰まっているか)
- 社内の体制(専任がいるか、兼務か)
- 外注に期待すること(社内の時間を空ける、専門性を借りる、量を捌く)
この三つが書かれていると、提案の方向が定まります。書かれていないと、各社が自社の得意な形で提案してきます。
現状の課題は、正直に書いてください。うまくいっていない部分を隠すと、それを前提にした提案が来ません。
二.採用計画
- 職種と人数、時期
- 職種ごとの要件の概要(詳細は別紙でも可)
- 想定年収の幅
- 勤務地、雇用形態
- 決まっていない部分は「未定」と明記
未定と書くことに意味があります。書かないと、決まっているものとして提案されます。
三.依頼するスコープ
工程で分解して書きます。
- 母集団形成(媒体運用、スカウト、紹介会社の管理)
- 応募者対応(事務連絡、書類の受付)
- 日程調整
- 書類の一次仕分け
- 選考の進行管理
- レポートと分析
- 要件の整理、選考設計
それぞれについて、依頼するかどうかを明記します。「その他付随業務」で締めると、解釈が分かれます。
あわせて、社内に残す業務も書きます。合否判断、面接の実施、条件提示。線を引いておくと、提案が具体的になります。
エラベルの見解
提案依頼書に、「自社側がやること」を書く欄を作ってください。ここが抜けている依頼書が多い。
書くのは四つです。書類の合否を返すまでの日数。面接の候補日を提示するまでの日数。質問への回答までの日数。要件の変更を伝える経路。
これを書くと、二つの効果があります。
一つは、提案の精度が上がること。代行側は、発注側の判断速度を前提に計画を立てます。速く返ると分かっていれば、それを織り込んだ設計になります。分からなければ、遅い前提で見積もることになります。
もう一つは、自社の準備が進むこと。書こうとすると、決まっていないことに気づきます。誰が合否を決めるのか、何日で返せるのか。依頼書を作る過程が、社内の整理になります。
そして、この欄があると相手の反応も見えます。「この日数なら、こう進められます」と応じる会社と、触れない会社。前者は、発注側の動きまで含めて設計しています。
依頼書は、求めるものを書く文書です。同時に、こちらが約束するものを書く文書でもあると考えてください。
四.求める体制
- 担当者の経験の条件(職種、業務範囲)
- 稼働時間の想定
- 同時担当社数の上限(求めるなら)
- 担当者の経歴の提出を求める旨
- 交代する場合の事前通知
- 再委託の可否と、認める場合の条件
四番目を書いておいてください。金額と範囲は書面で比べられますが、実際に動く人の情報は求めないと出てきません。
五.使用する環境
- 採用管理システム(自社のものを使ってもらうか)
- 媒体(現在契約しているもの、追加を検討しているもの)
- 連絡の手段(チャット、メール)
- 権限の付与の方針
自社の環境で動いてもらう前提なら、その旨を明記します。代行会社の環境を使う場合の扱いも書いておくと、提案がずれません。
六.情報管理の要件
- 秘密保持に関する要件
- 個人データの取り扱いについて求める事項
- 端末と作業環境の取り決め
- 契約終了時の返還または削除の手順
- 社内規程がある場合はその概要
社内規程がある場合、対応可能かを提案の段階で確認できます。契約の直前に判明すると、選定をやり直すことになります。
七.スケジュール
- 提案書の提出期限
- 選定の時期
- 契約と開始の希望日
- 立ち上げに求める期間
立ち上げの期間を書くと、各社の計画が比べられます。実現できるかどうかも、提案の中で説明してもらえます。
八.評価基準
何を見て選ぶかを示します。
- 提案の内容(自社の状況を踏まえているか)
- 体制(担当者の経験、稼働、交代時の対応)
- 費用(総額、内訳の明確さ)
- 情報管理(要件を満たすか)
- 終了時の対応(引き渡しの範囲と形式)
基準を示すと、各社がそこに答える提案を作ります。示さないと、それぞれの得意な形で提案してきます。
そして、示した基準で評価してください。示した基準と違う理由で決めると、次回の選定で信頼されなくなります。
九.提出要領
- 提出の形式(文書、表計算)
- 提出先と連絡窓口
- 質問の受付方法と期限
- 提案書に含めてほしい項目(見積もりの内訳、担当者の経歴、立ち上げの計画)
三番目を設けておくと、各社からの質問が集まります。質問への回答を全社に共有すると、条件が揃います。
四番目は、比較の作業を軽くします。項目を指定しておけば、返ってくる提案の構成が揃います。
エラベルの見解
提案依頼書を作るとき、厚くしすぎないでください。分量が増えるほど、提案の質が上がるわけではありません。
必要なのは、判断に使う情報が揃っていることです。背景、スコープ、体制の条件、評価基準。この四つが明確なら、数枚で足ります。
厚い依頼書には、二つの弊害があります。
一つは、作るのに時間がかかること。選定の準備に時間を使いすぎると、採用そのものが遅れます。
もう一つは、相手が読み込む負担が増えること。分量が多いと、要点が伝わりにくくなります。結果として、依頼書の一部にしか答えていない提案が返ってきます。
だから、一枚か二枚で書けないかを先に考えてみてください。要件の詳細や社内規程は別紙にして、本文は要点だけにする。
そして、書けない部分があるなら、それは自社が決めていない部分です。依頼書を作る作業は、その確認でもあります。準備の項目は発注する前のチェックリストにまとめています。
まとめ
- 書くのは、背景と目的・採用計画・スコープ・体制・環境・情報管理・スケジュール・評価基準・提出要領
- 現状の課題は正直に書く。隠すとそれを前提にした提案が来ない
- スコープは工程で分解し、社内に残す業務も書く
- 「自社側がやること」の欄を作る。提案の精度が上がり、自社の準備も進む
- 体制では、担当者の経歴の提出を求める旨を書く
- 社内規程があるなら、提案の段階で対応可能かを確認できる
- 評価基準を示す。示した基準で評価する
- 厚くしすぎない。一枚か二枚で書けないかを先に考える
よくある質問
提案依頼書は作るべきですか
社内の稟議や複数部門の関与がある場合は、文書のほうが進めやすくなります。一方、担当者が単独で決められる規模なら、簡易な依頼文で足ります。判断は、社内の手続きと選定の規模で決めてください。
予算を書くべきですか
書くと、その予算に合わせた提案が来ます。範囲を調整して収める形になるので、何が外れたかを確認してください。書かない場合は、各社が想定する体制で出てくるため、比較はしやすくなります。書くなら「この予算で何ができるか」という形にすると、範囲が見えます。
質問の受付は設けたほうがよいですか
設けたほうが、提案の精度は上がります。そして、質問への回答を全社に共有すると条件が揃います。ただし、期限を切っておかないと、提出の直前まで質問が続くことがあります。受付の期限と、回答の共有時期を書いておいてください。