採用代行 / 比較・選び方
相見積もりの取り方と伝え方
複数社から見積もりを取るとき、結果を決めるのは依頼文の作り方です。各社に「採用代行をお願いしたい」とだけ伝えると、それぞれが自社の得意な形で提案してきます。返ってくる見積もりは範囲も単位もばらばらになり、後からそろえ直す作業に時間を使うことになります。この記事では、依頼文の作り方と、伝え方を整理します。届いた見積もりの読み方は見積もりの読み方にまとめています。
依頼文に書くこと
一枚で足ります。長い資料は要りません。
一.採用したい職種と人数、時期。決まっていない部分は「未定」と書きます。書かないのと未定と書くのは違います。
二.依頼したい工程の一覧。母集団形成、応募対応、日程調整、書類の一次仕分け、レポート。工程で分解して並べます。
三.社内に残す業務。合否判断、面接の実施、条件提示は自社で行う、と明記します。
四.想定する稼働量。週あたりの時間か、月あたりの件数。分からなければ「提案してください」と書きます。
五.契約期間と開始希望日。
六.使っている媒体と採用管理システム。既存の環境で動けるかは費用に影響します。
七.見積もりに含めてほしい項目。初期費用、実費、担当者の体制。これを書くと記載漏れが減ります。
八.提出の期限。
この八つを揃えて渡すと、返ってくる見積もりが横に並ぶ形になります。
一緒に伝えるとよいこと
依頼文に加えて、次を伝えると提案の精度が上がります。
採用要件。必須と歓迎を分け、落とす理由を三つ書いた一枚。これがあると、提案が具体的になります。
現在の状況。応募数、採用数、どこで詰まっているか。数字がなくても、感覚で構いません。
自社側の判断の速さ。書類の合否、候補日の提示にかかる日数。代行側はこれを前提に計画を立てます。
担当者の経歴を添えてほしい旨。書面で比べられる範囲を広げます。
四番目を依頼文に入れておいてください。金額と範囲は書面で比べられますが、実際に動く人の情報は聞かないと出てきません。同じ範囲・同じ金額の提案が並んだとき、判断できる材料はそこしか残りません。
エラベルの見解
相見積もりの目的を、「安い会社を探すこと」ではなく「自社が何を依頼したいのかを言語化すること」に置いてください。ここで進め方が変わります。
依頼文を作る作業は、自社の整理そのものです。工程を書き出せない部分は、外注の前に自社で決めるべき部分。社内に残す業務を決められないなら、権限の整理ができていないということ。
そして、この整理ができていれば、一社に絞る場合でも提案の精度は上がります。
だから、相見積もりを取らない場合でも、依頼文の一枚は作ってください。その一枚があるかないかで、商談の中身が変わります。
そして、依頼文を渡すと相手の反応も見えます。書かれた内容をそのまま引用する提案と、そこから自社の詰まりどころを推測する提案。同じ情報を渡しているのに、返ってくるものが違う。
これは、依頼文をそろえたからこそ見える差です。ばらばらの説明をしていたら、この比較はできません。
相見積もりは、価格の比較より提案の質の比較として使うほうが価値が出ます。
社数と期限
社数は二社か三社。四社を超えると、比較の作業だけで時間が消えます。そして、各社の対応にも時間を取らせます。
期限は余裕を持って設定する。急がせると、標準的な提案しか出てきません。自社の状況を踏まえた提案には、考える時間が要ります。
選定の時期を伝える。いつ決めるかを伝えると、相手も稼働を調整できます。
相見積もりであることを伝える。伝えたうえで依頼するほうが、後の関係が円滑になります。隠して進めると、後で分かったときに印象が悪くなります。
伝えてよいことと避けること
伝えてよいこと
- 相見積もりであること
- 何社に依頼しているか(社数だけ)
- 選定の基準と時期
- 予算の考え方(「この予算で何ができるか」という形で)
- 自社の課題と、うまくいっていない部分
避けたほうがよいこと
- 他社の金額を示して下げさせる。短期的には効きますが、関係が対等でなくなります
- 他社名を明かす。伝える必要はありません
- 無償の作業を求める。契約前に文面を書かせる、要件を整理させる。稼働が発生する作業を無償で求めると、その分は他で回収されます
- 根拠のない値引きを求める。金額だけを示して詰めると、範囲が黙って狭まります
一番目が最も注意が要ります。採用代行は継続的な協働なので、始まりの関係が後に響きます。交渉の進め方は価格交渉でやってよいことにまとめています。
提案を受け取った後
質問を同じ内容で投げる。追加の確認事項も、各社に同じ質問をします。「誰が、週に何時間、何社を掛け持ちで入りますか」。
条件をそろえた表に整理する。提案書のまま回覧すると、各社の見せ方に引っ張られます。整理の方法は比較するときにそろえる項目にまとめています。
依頼内容を修正する場合は、全社に伝える。提案を読んで自社の依頼が変わることがあります。その場合は、同じ条件で出し直してもらいます。
選定の結果を伝える時期を守る。伝えると言った時期に伝えます。
断るときの伝え方
理由を簡潔に伝える。範囲が合わなかった、体制の想定が違った、時期が合わなかった。具体的でなくて構いませんが、伝えることに意味があります。
相手を否定する形にしない。合わなかっただけで、優劣ではありません。
次の可能性を残す。採用は状況が変わります。今回合わなくても、後で頼むことがあります。
時期を守る。決めたと言った時期に連絡します。放置は関係を悪くします。
理由を伝えておくと、次に依頼する機会があるときに話が早く進みます。相手も、何が合わなかったかを踏まえた提案ができます。
エラベルの見解
相見積もりで、提案を受け取った後に依頼内容が変わることがあります。これは良い兆候です。
各社の提案を読むと、想定していなかった工程の切り出し方や、順番の考え方が出てきます。要件の整理を先にしたほうがよい、この工程は社内に残したほうがよい。提案を通じて、自社の採用の見方が変わることがあります。
このとき、依頼内容を修正して再提案を求めても構いません。手戻りに見えますが、契約後のずれを防ぐことになります。
そして、修正した依頼文を各社に渡すと、比較の精度も上がります。全社が同じ前提で提案し直すからです。
急いで決めることの損失と、依頼を練り直すことの損失を比べてください。採用が止まっている状況なら急ぐ判断もありますが、多くの場合、一度の修正で得られるものは大きい。
そして、複数の会社が同じ点を指摘してきたなら、そこが実際の課題である可能性が高い。外から見て共通に見える部分は、社内では気づきにくいところです。
相見積もりは、選ぶ作業であると同時に、自社の状況を複数の視点から見る機会です。
まとめ
- 結果を決めるのは依頼文の作り方。八つの項目を一枚にまとめる
- あわせて、要件・現状・自社の判断の速さ・担当者の経歴の依頼を伝える
- 目的は「安い会社を探す」ではなく「自社が何を依頼したいのかを言語化する」
- 社数は二社か三社。期限は余裕を持たせる
- 相見積もりであることは伝える。隠して進めない
- 避けるのは、他社の金額で下げさせる・他社名を明かす・無償作業を求める・根拠のない値引き
- 受け取った後は、同じ質問を投げ、同じ表に整理する
- 断るときは理由を簡潔に伝え、時期を守る。次の可能性を残す
よくある質問
相見積もりを取らずに一社に絞ってもよいですか
問題ありません。ただし、依頼文の一枚は作ってから商談に入ってください。相見積もりの目的は安い会社を探すことではなく、自社が何を依頼したいのかを言語化することにあります。一社の場合でも、この整理は必要です。
予算を伝えるべきですか
伝えると、その予算に合わせた提案が来ます。範囲を調整して収める形になるので、何が外れたかを確認してください。伝えない場合は、各社が想定する標準的な体制で出てくるため、比較はしやすくなります。伝えるなら「この予算で何ができるか」という聞き方にすると、範囲が見えます。
提案を受けたのに断るのは申し訳ないのですが
選定である以上、断る相手が出るのは前提です。理由を簡潔に伝え、決めた時期に連絡すれば、失礼にはあたりません。むしろ、放置するほうが関係を悪くします。今回合わなくても、状況が変われば頼むことがあります。