採用代行 / 比較・選び方
内製化に向けたロードマップ
採用を将来的に内製に寄せていきたい。この場合、いつか一度に切り替えるより、段階を踏んで移していくほうが安全です。そして、段階を踏むには計画が要ります。いつ、何を、誰が引き取るのか。この記事では、内製化を長期の計画として組み立てる方法を整理します。実際に戻すときの手順は内製に戻すときの手順にまとめています。
内製化の判断を先に置く
そもそも内製にすべきかを、先に確認してください。
内製に寄せる条件
- 採用が恒常的に続く(一時的な増加ではない)
- 設計ができる人を社内に置ける(または採用できる)
- 業務量が安定している
- 運用が文書として残せる
四つが揃わないなら、外注を続けるほうが合理的です。特に二番目が重要で、設計ができる人がいなければ、内製にしても手を動かす先が決まりません。
そして、内製化は目的ではありません。総額が下がる、速くなる、蓄積が残る。何を得たいのかを明確にしてください。
三つの段階に分ける
第一段階:資産を自社に集める
- 成果物を編集できる形式で受け取る
- 候補者データを自社の環境に集約する
- 判断の基準を文書にする
- 稼働報告に判断の理由を書いてもらう
この段階は、内製化を決める前から始められます。むしろ、決める前にやっておくべきことです。
第二段階:社内が並走する
- 社内の担当者が管理画面を見る
- 文面を書いてみる
- 代行の作業を横で見る
この期間があると、移行後の立ち上がりが変わります。
第三段階:工程ごとに移す
- 判断の少ない工程から順に
- 移すたびに代行の稼働量を下げる
第一段階を飛ばさないでください。資産が自社になければ、移しても再現できません。
移す順番
| 順 | 工程 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 応募者への事務連絡 | 定型で、すぐ回せる |
| 2 | 日程調整 | 量はあるが判断は少ない |
| 3 | 書類の一次仕分け | 基準が文書になっていれば移せる |
| 4 | スカウトの送信 | 文面と条件があれば移せる |
| 5 | 候補者の検索条件づくり | 判断が要る。慣れが必要 |
| 6 | 媒体の運用と改善 | 経験がものを言う。最後に残る |
上から順に移します。下の二つは、やってみないと分からない部分が多く、移した直後は質が落ちます。
そして、移すたびに立ち止まってください。回るようになってから次に進む。一度に複数を移すと、どこで詰まったか分からなくなります。
エラベルの見解
内製化のロードマップで、人員の計画と連動させてください。ここが抜けると、計画が絵に描いた餅になります。
工程を移すには、引き取る人が要ります。採用担当を新たに採るのか、既存の人員の時間を空けるのか。そして、その人がいつから動けるのか。
採用担当を採る場合、募集から入社までに時間がかかります。さらに、入社してから戦力になるまでの期間もあります。この期間を計画に入れておかないと、移す時期が来ても引き取れません。
そして、採用担当を採ること自体が採用です。手が足りない状態で採用担当を採ろうとすると、そこで詰まります。代行で当座を回しながら採用担当を探す、という順番が現実的です。
だから、ロードマップは二つの軸で作ってください。工程を移す軸と、人員が揃う軸。この二つを並べて、どの時期に何が可能かを見ます。
そして、人員の計画が遅れたら、工程の移管も遅らせる。無理に移すと、運用が止まります。
計画は、遅れる前提で余裕を持たせてください。
人員計画との連動
引き取る人を決める。既存の人員か、新しく採るか。
その人が動ける時期を置く。採用するなら、募集から戦力化までの期間を見込みます。
引き取る工程と時期を対応させる。この時期にこの人が入るから、この工程を移す。
遅れた場合の対処を決める。人員が揃わないなら、移管も遅らせる。契約の期間を延ばせるかを確認しておきます。
四番目が実務では効きます。人員計画は遅れることがあります。そのときに代行の契約を延長できるかが、計画の柔軟性を決めます。
判断の時期を置く
各段階の終わりに、続けるかどうかを判断します。
第一段階の終わり。資産が集まったか。文面、条件、判断の基準、候補者データ。揃っていなければ、次に進まない。
第二段階の終わり。社内の担当者が、代行の作業を理解したか。
各工程を移した後。移した工程が回っているか。質が落ちていないか。
判断の基準を先に決めておいてください。「回っている」とは何をもって言うか。処理の件数、所要日数、質の変化。
そして、止める判断も選択肢に入れてください。移してみて回らないなら、戻す。内製化そのものが目的ではありません。
途中で止める
内製化を進めている途中で、状況が変わることがあります。
採用の規模が増えた。内製で吸収できる量を超えた。
引き取った担当者が退職した。移した工程を回す人がいなくなった。
業務量の波が大きくなった。繁忙期に回らない。
移した工程の質が落ちた。特に、検索条件や媒体運用。
この四つが起きたら、移管を止めるか戻す判断をしてください。進めることが目的になると、運用が壊れます。
そして、戻せる状態にしておいてください。代行の契約を完全に切らず、範囲を絞って残す。あるいは、スポットで頼める関係を保っておく。扱いはスポットで1業務だけ頼めるかにまとめています。
完全な内製化を目指さない
すべてを内製にする必要はありません。
繁忙期の吸収。波の部分だけを外に残す。
専門性の高い工程。媒体の運用や、特定の職種の採用。
属人化の回避。社内の一人に集中させない。
新しい媒体や手法の導入。経験のある相手に立ち上げてもらう。
この四つは、内製化した後も外部を使う価値がある領域です。
完全に切ると、繁忙期の吸収先がなくなり、媒体の情報も入りにくくなります。一部を残す設計のほうが、実務では安定します。
エラベルの見解
内製化のロードマップを作るときに、代行会社にも共有してください。隠す必要はありません。
「将来的に内製に寄せたい」と伝えると、関係が悪くなると思われがちです。実際には逆のことが多い。
代行会社の側から見ると、契約がいつまで続くかが読めるほうが、稼働の計画を立てられます。そして、引き継ぎを前提にした運用に切り替えられます。
具体的には、稼働報告に判断の理由を厚く書く、成果物を都度渡す、社内の担当者に作業を見せる。これらは、伝えていないと出てきません。
さらに、移管を支援する形で契約を組み直せることもあります。運用を回しながら、社内の担当者を育てる。この形なら、代行側にも役割が残ります。
そして、内製化した後も関係は続きます。繁忙期の吸収、新しい媒体の立ち上げ、スポットの相談。良い形で移行しておくと、選択肢が残ります。
隠して進めて、ある日突然切る。この形だと、引き継ぎも雑になり、関係も終わります。
伝えるほうが、双方にとって良い結果になります。
まとめ
- 内製に寄せる条件は、恒常的な採用・設計できる人・安定した業務量・文書化
- 段階は三つ。資産を集める → 社内が並走する → 工程ごとに移す
- 第一段階は、内製化を決める前から始められる
- 移す順番は、判断の少ない工程から。媒体運用は最後に残る
- 人員の計画と連動させる。採用担当を採るなら戦力化までの期間を見込む
- 各段階の終わりに判断の時期を置く。止める判断も選択肢に入れる
- 完全な内製化を目指さない。繁忙期の吸収と専門性の高い工程は残す
- ロードマップを代行会社にも共有する。隠して進めない
よくある質問
内製化にどのくらいの期間がかかりますか
引き取る人員がいるかどうかで大きく変わります。既存の担当者が引き取れるなら短く、新たに採用するなら募集から戦力化までの期間が加わります。工程ごとに移す形なら、一つずつ回るのを確認しながら進めるため、全体では長くなります。
代行会社が協力してくれますか
伝え方によります。移管を前提とした運用に切り替えてもらう、社内の担当者に作業を見せてもらう。これらは依頼しないと出てきません。あわせて、内製化後も繁忙期やスポットで頼む可能性を伝えておくと、関係が続きます。
内製化すると費用は下がりますか
代行費用は減りますが、社内の人件費が増えます。媒体費や採用管理システムの費用は残ります。総額で比べるなら、社内の時間を金額に換算して含めてください。恒常的に採用が続くなら下がりやすく、波が大きいなら外部を残すほうが安定します。