媒体の組み合わせ方|主と従を決め、候補者層で分け、重複を一本の記録で防ぐ
一つの媒体で母数が足りない。別の媒体も使いたい。ただ、二つ、三つと増やすと、担当者の稼働は分かれ、同じ候補者に二つの媒体から届き、どの媒体が効いているか分からなくなります。結論を先に書くと、媒体は「並べる」のではなく「組み合わせる」ものです。主と従を決め、候補者層か職種で役割を分け、記録を一本にして重複を防ぎ、稼働は主に寄せてください。媒体の一般的な使い分けは複数媒体の使い分けに、媒体を変える判断は媒体を変えるべきか迷うにまとめています。なお、この記事は媒体の名前や料金には触れません。仕様は変わるので、契約する媒体の公式の案内で確認してください。
「並べる」と「組み合わせる」の違い
媒体を並べるとは、同じ対象、同じ文面、同じ稼働配分で、複数の媒体に送ることです。母数は増えますが、次のことが起きます。
同じ候補者が複数の媒体に登録していれば、同じ会社から二通届きます。担当者の稼働は媒体の数で割られ、どの媒体でも個別化が薄くなります。数字は媒体ごとに出ますが、対象も文面も同じなので、媒体の違いなのか偶然なのかが分かりません。
組み合わせるとは、媒体ごとに役割を決めることです。主媒体には稼働の大半を使い、対象と文面を深く整える。従媒体は、主媒体で届かない層に絞って、少量を送る。記録は一本にして、重複を防ぐ。数字は役割ごとに見る。
組み合わせれば、母数は増やしつつ、稼働の分散と重複と判断の曖昧さを抑えられます。
主と従を決める
複数の媒体を使うなら、最初に主媒体を一つ決めます。
主媒体は、この職種の母数が最も多く、担当者が扱い慣れていて、送信の仕様が個別化に向いている媒体です。稼働の大半(目安として七割以上)をここに使い、対象と文面をここで整えます。
従媒体は、主媒体で届かない層を補う媒体です。主媒体に登録していない層、主媒体とは志向が違う層。稼働は残りの三割以下で、送る数も絞ります。
主と従を決めずに始めると、担当者は稼働を均等に割り、どの媒体も中途半端になります。「まず主媒体で整え、整ってから従媒体を足す」の順が、最も安定します。
主媒体の選び方は、担当者に相談してください。この職種で扱った経験のある媒体、母数の見立て、仕様の慣れ。担当者が扱い慣れた媒体を主にするほうが、立ち上げは速くなります。
候補者層で分ける
従媒体の役割は、主媒体で届かない層を補うことです。層の分け方は、次のような軸があります。
転職への積極度。 積極的に活動している人が多い媒体と、登録はしているが動いていない人が多い媒体。前者は返信率が高いが取り合いになり、後者は返信率が低いが取り合いが少ない。主で前者、従で後者、あるいはその逆。
職位・年収の層。 経営層や管理職が多い媒体と、若手から中堅が多い媒体。求人の職位に合わせて、主を決め、隣の層を従で補う。
職種の専門性。 特定の職種に特化した媒体と、幅広い職種を扱う媒体。専門職の募集なら、特化媒体を主に、幅広い媒体を従に。
企業規模の志向。 大企業志向の人が多い媒体と、スタートアップ志向の人が多い媒体。自社の規模に合う層を主に。
層で分ければ、従媒体で送る相手は「主媒体にいない人」になり、重複は自然に減ります。文面も、層に合わせて一段落目を変えられます。
職種で分ける
複数の職種を運用しているなら、職種ごとに主媒体を変える形もあります。
エンジニアはこの媒体、営業はあの媒体、管理部門は別の媒体。職種ごとに母数の多い媒体が違うなら、職種ごとに主を決めます。この場合、一つの媒体が、ある職種では主、別の職種では従、ということが起きます。
職種で分けるときの注意は、担当者の稼働と、媒体の契約の重複です。三職種で三つの主媒体を持てば、担当者は三つの媒体の仕様を扱い、三つの契約が走ります。稼働と費用が見合うかを確認します。複数職種があるときの優先順位で書いたとおり、同時に動かす職種を絞れば、媒体の数も絞れます。
記録を一本にして重複を防ぐ
複数の媒体を使うときに最も気をつけるのは、同じ候補者に複数の媒体から送ることです。
候補者は、複数の媒体に登録していることが多くあります。媒体Aで送った人に、媒体Bでも送れば、同じ会社から二通届きます。候補者から見れば「連携が取れていない会社」で、印象は下がります。
防ぐには、送信の記録を媒体をまたいで一本にします。誰に、いつ、どの媒体で、どの文面を送ったか。媒体ごとの記録では、重複は見つけられません。共有のスプレッドシートでも構わないので、一つの台帳にします。
送る前に、台帳を照合します。氏名や経歴の特徴で、別の媒体ですでに送っていないかを確認します。媒体上のIDは媒体ごとに違うので、氏名や経歴で照らすしかありません。担当者に、照合を送信前の手順に組み込んでもらいます。
すでに別の媒体で送っていて、返信が無かった人に、別の媒体から送るかどうかは、事前に決めます。送るなら期間を空け、一段落目を変えます。前回と同じ文面が別の媒体から届くのは、最も避けたい形です。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「媒体を増やせば母数が増えて、面談も増える」というものです。母数は増えますが、担当者の稼働は増えません。稼働が同じで媒体が二倍になれば、一媒体あたりの個別化は半分になり、返信率は落ちます。母数が二倍、返信率が半分なら、返信数は変わらず、重複と管理の手間だけが増えます。
見ていて差がつくのは、担当者が「まず一つで整えましょう」と言えるかどうかです。複数媒体を最初から並べる担当者と、「主媒体で対象と文面を固めてから、従を足します」と言う担当者がいます。後者のほうが、三か月後の面談数は多くなります。
発注側にできるのは、媒体を増やしたいときに「稼働をどう配分するか」を担当者に聞くことです。「均等に」と返ってくるなら、並べているだけです。「主に七割、従に三割」と返ってくるなら、組み合わせています。
稼働の配分
組み合わせの稼働配分は、主に七割以上、従に三割以下が目安です。
主媒体では、対象の抽出、一通ごとの個別化、返信対応、結果の確認と調整を、全部行います。従媒体では、対象を主媒体より狭く絞り、少量を送り、返信対応は主と同じ速さで行います。従媒体の調整は、主媒体が安定してから行います。
返信対応だけは、主従に関係なく当日中です。従媒体からの返信を後回しにすると、従媒体で送る意味が無くなります。
担当者が複数いるなら、媒体ごとに担当者を分ける形もあります。ただし、記録と文面のルールは一本にします。担当者が違っても、同じ会社から届く文面のトーンは揃える必要があります。
組み合わせを見直す周期
組み合わせは、四半期に一度、見直します。
見る数字は、媒体ごとの段階別の数字(抽出・送信・返信・面談設定・面談実施)です。主媒体で面談が組めているか。従媒体は、主で届かない層に届いているか。従媒体から面談が組めているか。
従媒体で三か月以上、面談がゼロなら、その従媒体の役割を見直します。層の分け方が合っていないか、稼働が薄すぎるか、その層に自社の条件が合わないか。直せなければ、従媒体を止めて主媒体に稼働を戻します。使わない媒体を解約する基準で書いた判断です。
逆に、従媒体のほうが面談に至る割合が高いなら、主従を入れ替えることも検討します。最初に決めた主従が、運用してみると逆だった、ということはあります。
組み合わせは固定ではなく、数字を見て動かすものです。ただし、動かすのは四半期に一度。毎月動かすと、比較ができなくなります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、複数媒体で最も困るのは「重複送信が起きたときに、担当者の不注意とされる」ことです。媒体ごとに記録が分かれていれば、照合は担当者の記憶に頼ることになり、送信数が増えれば漏れます。漏れて二通届き、候補者から指摘され、担当者が責められる。
重複を防ぐのは、担当者の注意力ではなく、記録の一本化です。台帳が一つあり、送信前の照合が手順になっていれば、担当者は照合するだけで済みます。台帳が無ければ、どれだけ注意しても漏れます。
発注側にできるのは、複数媒体を使うと決めた時点で、台帳を一本にすることを担当者と決めることです。台帳の形は、担当者に作ってもらって構いません。「一本にする」と決めることが、発注側の仕事です。
まとめ
- 媒体は並べるのではなく組み合わせる。役割を決めて使う
- 主媒体を一つ決め、稼働の七割以上を使う。従媒体は主で届かない層を補う
- 分け方は候補者層(積極度・職位・専門性・企業規模の志向)か職種
- 記録を媒体をまたいで一本にし、送信前に照合する。重複送信を防ぐ唯一の手段
- 稼働は主に七割以上、従に三割以下。返信対応は主従に関係なく当日中
- 四半期に一度、媒体ごとの段階別の数字で組み合わせを見直す。従で面談ゼロなら役割を見直す
- 「まず主で整え、整ってから従を足す」の順
よくある質問
最初から二つの媒体を同時に始めてはいけませんか
始められますが、担当者の稼働が分かれ、どちらの対象と文面も整うのが遅くなります。主媒体を一つ決めて整え、返信率が安定してから従媒体を足すほうが、三か月後の面談数は多くなることが多いです。急ぐ場合でも、稼働を主に寄せる形にしてください。
同じ候補者に二つの媒体から送ってしまいました
すぐに、送信の記録を媒体をまたいで一本にしてください。届いてしまった候補者には、訂正の連絡はかえって目立つので、次の連絡で「重ねてのご連絡になり失礼しました」と一言添える程度にします。担当者を責めるより、照合の手順を送信前に組み込むことを優先してください。
従媒体から面談が組めません。止めるべきですか
三か月以上ゼロなら、層の分け方・稼働・条件のどれが原因かを担当者と確認し、直せなければ止めて主媒体に稼働を戻します。従媒体は「主で届かない層に届くか」が役割なので、届いていないなら役割を果たしていません。止めることは失敗ではなく、組み合わせの調整です。
この記事のタグ
関連記事
- 使わない媒体を解約する基準|「もったいない」より「面談ゼロが何か月か」で決める 契約したまま、ほとんど送っていない媒体がある。解約すべきか、残しておくべきか。判断の基準は面談設定数と期間です。解約を検討する五つの状態、残す価値がある場合、解約の手順で失うものと残すもの、更新のタイミングの見方、解約後に再契約する場合を整理しました。媒体名や料金には触れません。 スカウト代行スカウト代行
- 媒体を切り替える判断|「足す」で試してから「替える」、期限と数字で決める 媒体を切り替えるかどうかは、感覚ではなく、期限と数字で決めます。切り替えを検討する条件、「足す」で試す期間の設計、比べる数字、切り替えると決めたときの契約と記録の扱い、切り替えた後に前の媒体と同じ結果になったときの見方を整理しました。媒体名や料金には触れません。 スカウト代行スカウト代行
- 複数媒体を1社にまとめるか 複数の媒体を使う場合、1社にまとめるか媒体ごとに分けるかで管理も結果も変わります。それぞれの利点、候補者の重複という論点、判断の基準を実務の順番で整理しました。 スカウト代行スカウト代行
- 媒体アカウントの権限設定 スカウトの運用でアカウントをどう渡すか。個別発行の可否、送信権限と枠の管理、履歴の扱い、複数担当の場合の設計、退任時の手順を実務の順番で整理しました。 スカウト代行スカウト代行