媒体を切り替える判断|「足す」で試してから「替える」、期限と数字で決める
いまの媒体で母数が足りないと分かった。別の媒体に切り替えるべきか、いまの媒体を残したまま足すべきか。切り替えれば費用と手間がかかり、足せば稼働が分かれます。結論を先に書くと、切り替えは、いきなり替えるのではなく「足して比べる」期間を三か月置き、段階ごとの数字で判断してから行ってください。判断の期限と、比べる数字を、始める前に決めます。媒体が原因かどうかの診断は媒体を変えるべきか迷うに、組み合わせの考え方は媒体の組み合わせ方にまとめています。この記事も、媒体の名前や料金には触れません。仕様は公式の案内で確認してください。
切り替えを検討してよい条件
切り替えの検討に入るのは、次の条件が揃ったときです。
対象と文面を整えたうえで、返信率が動かない。母数を確認して、条件に合う候補者がその媒体にほとんどいない。返信の内容から、その媒体の候補者層の志向(年収の水準、企業規模、働き方)が自社の条件と合わないことが分かる。送信上限や仕様が運用に合わない。同じ人に送り尽くした。
どれかに当たれば、媒体の問題である可能性が高く、切り替えの検討に入ります。当たらないなら、媒体を替えても同じ結果になるので、対象と文面と条件に戻ります。
「担当者が合わないと言っている」だけでは、条件になりません。母数の数字と、返信の内容という根拠が要ります。
「足す」で試す:三か月の設計
切り替えると決める前に、新しい媒体を足して、三か月比べます。いきなり替えると、新しい媒体でも同じ結果だったときに、戻る場所がありません。
一か月目。 新しい媒体で、対象と文面を再設定します。前の媒体の文面のルールは保ち、一段落目は新しい媒体の候補者層に合わせて調整します。担当者の稼働は、前の媒体を薄くして新しい媒体に寄せます。この月の数字は、立ち上げの数字なので、判断には使いません。
二か月目。 新しい媒体の返信率と、面談設定数を見ます。前の媒体の同じ段階の数字と並べます。条件を揃えるため、対象の絞り方は両方で同じにします。
三か月目。 二か月目と三か月目の数字を合わせて、前の媒体と比べます。二か月分で比べれば、月ごとのぶれをならせます。
三か月の間、前の媒体を完全に止めない理由は、比較の基準を残すためです。前の媒体で返信対応中の候補者もいるので、その対応も続けます。
比べる数字
比べるのは、段階ごとの数字です。
| 段階 | 見ること |
|---|---|
| 抽出 | 条件に合う母数。新しい媒体で、前より多いか |
| 送信→返信 | 返信率。同じ対象の絞り方で、どちらが高いか |
| 返信→面談設定 | 返信の質。面談に進む割合はどちらが高いか |
| 面談設定→面談実施 | 面談前の辞退。どちらが少ないか |
| 返信の内容 | 「条件が合わない」の割合。どちらの候補者層が自社の条件に近いか |
一つの数字だけで判断しないでください。返信率が高くても、面談に進む割合が低ければ、返信の質が違います。母数が多くても、条件が合わない層なら、意味がありません。
最も重い数字は、面談設定数です。三か月の合計で、どちらの媒体から多く面談が組めたか。これが、切り替えの判断の主な根拠です。
数字を並べるとき、変えた要素は一つ(媒体)に絞ります。対象も文面も変えてしまうと、媒体の違いなのか、対象の違いなのかが分からなくなります。
切り替えると決めたら
三か月比べて、新しい媒体のほうが面談設定数で明らかに上なら、切り替えます。
前の媒体の契約を確認する。 契約期間、解約の通知期限、自動更新。残期間があれば、二重に払う期間が出ます。残期間の費用と、切り替えで得られる面談数を比べて、いつ止めるかを決めます。
前の媒体の記録を引き出す。 送信の記録、返信をくれた候補者、面談に至った候補者。媒体を終了すると見られなくなることがあるので、終了前に手元に出します。アカウントの返却で書いた手順です。
進行中の候補者を移す。 前の媒体で返信対応中、面談調整中の候補者は、媒体外の連絡手段に移してから、媒体を終了します。
稼働を新しい媒体に集中する。 比較の期間は分けていた稼働を、新しい媒体に寄せます。個別化の度合いが上がり、返信率がさらに上がることがあります。
記録は一本のまま。 媒体が変わっても、送信の記録の台帳は同じものを使います。前の媒体で送った人に、新しい媒体で送るかどうかは、期間と文面を変えたうえで判断します。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「営業の提案を聞いて、いきなり切り替えた」というものです。前の媒体を止め、新しい媒体で始め、一か月後に「同じだ」となる。戻ろうにも前の契約は終わっていて、記録も残っていない。最初からやり直しです。
見ていて差がつくのは、担当者が「まず足して、三か月比べましょう」と言えるかどうかです。「新しい媒体のほうが良いです、替えましょう」と即答する担当者は、根拠を持っていないか、営業の話に乗っているかです。「足して比べる」を提案する担当者は、判断を数字に委ねようとしています。
発注側にできるのは、切り替えの話が出たときに「比べる期間と数字を決めてから」と返すことです。三か月の比較は、費用も稼働も余分にかかりますが、切り替えの失敗より、はるかに安く済みます。
切り替えても同じ結果だったら
三か月比べて、新しい媒体も前の媒体と同じ結果なら、媒体の問題ではありませんでした。
この場合、切り替えはせず、稼働を前の媒体に戻すか、両方を薄く続けるかを決めます。そのうえで、原因を媒体以外に探します。対象の絞り方、文面の一段落目、求人の条件、社内の返信対応の速さ。返信率が上がらないと言われたときの切り分けに戻ります。
「同じ結果だった」は、無駄ではありません。「媒体の問題ではない」という、はっきりした根拠が得られました。この根拠が無ければ、三つ目、四つ目の媒体を試し続けることになります。
新しい媒体の契約が残っていれば、従媒体として薄く続けるか、解約するかを決めます。使わない媒体を解約する基準で書いた判断です。
切り替えの判断を記録する
切り替えるにしても、しないにしても、判断の記録を残します。
「いつ、どの媒体を、どの条件で比べ、どの数字を見て、何を決めたか」。一枚で足ります。半年後、一年後に同じ話が出たとき、「前に比べた」という記録があれば、同じ比較を繰り返さずに済みます。
営業からの提案は、これからも来ます。そのたびに「前に比べた結果はこうだった」と返せれば、判断は速くなります。記録が無いと、毎回「試してみるか」から始まります。
記録は、定例会の記録と一緒に、発注側が持ちます。担当者が替わっても、代行会社が替わっても、媒体の判断の経緯は自社の資産です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、媒体の切り替えで最も困るのは「比べる期間の数字を、通常の運用の数字と同じ基準で評価される」ことです。新しい媒体の一か月目は立ち上げで、数字は低い。それを「やっぱり新しい媒体もだめ」と一か月で判断されると、比較になりません。
比べる期間は、あらかじめ「三か月、二か月目からの数字で見る」と決めておいてください。担当者は、その期限に向けて新しい媒体を整えます。期限が決まっていないと、担当者は「いつ判断されるか分からない」まま動くことになり、早く数字を出そうとして対象を広げ、比較の条件が崩れます。
発注側にできるのは、比べる期間と、見る数字と、判断の期限を、始める前に担当者と決めることです。それだけで、比較は公平になり、判断は根拠を持ちます。
まとめ
- 切り替えを検討するのは対象と文面を整えたうえで母数・志向・仕様・送り尽くしのどれかに当たるとき
- いきなり替えず、足して三か月比べる。一か月目は立ち上げ、二〜三か月目の数字で判断
- 比べるのは段階ごとの数字。最も重いのは面談設定数。変える要素は媒体だけに絞る
- 切り替えると決めたら前の契約の確認・記録の引き出し・進行中の候補者の移行・稼働の集中・記録は一本のまま
- 同じ結果なら媒体の問題ではないという根拠。対象・文面・条件・社内に戻る
- 判断は記録し、発注側が持つ。営業の提案に「前に比べた」と返せるようにする
- 比べる期間・数字・期限は始める前に担当者と決める
よくある質問
三か月も比べる余裕がありません。もっと早く判断できませんか
一か月目は立ち上げなので、判断に使える数字は二か月目からです。最短でも二か月は要ります。急ぐなら、前の媒体の稼働をさらに薄くして新しい媒体に寄せ、二か月目の数字で仮判断し、三か月目で確定する形にしてください。一か月で判断すると、立ち上げの数字で決めることになります。
比べている間、費用が二重になります
比較の期間は、両方の媒体費がかかります。ただし、いきなり切り替えて失敗すると、戻る費用と立ち上げのやり直しで、二重払いより高くつきます。比較の期間中は、前の媒体のプランを下げられるかを媒体に確認してください。
新しい媒体のほうが返信率は高いのに、面談は増えません
返信の質が違います。返信率が高くても、面談に進む割合が低いなら、その媒体の候補者層は「返信はするが本気ではない」層か、条件が合わない層です。返信の内容を読み、「条件が合わない」が多いなら層のずれです。面談設定数で比べてください。返信率だけで切り替えると、面談が減ります。
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