候補者データの削除|契約終了後に代行側へ残さないための取り決めと確認

運用・費用スカウト代行 更新日 2026-09-12

契約が終わった。代行会社の担当者の手元には、送った候補者の一覧、返信の内容、面談に進んだ人の経歴が残っている。それは、いつ、どう消されるのか。聞かなければ、答えは返ってきません。結論を先に書くと、候補者データの削除は、契約時に「何を・いつ・どう消し・どう確認するか」を取り決め、終了時にその取り決めに沿って求め、完了の書面を受け取ってください。取り決めが無いと、求める根拠がありません。なお、個人情報の扱いは法令と契約に関わるため、個別の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。アカウントの返却はアカウントの返却に、契約の条項は契約書で決めておくことにまとめています。

なぜ削除を取り決める必要があるか

スカウトの運用では、代行会社の手元に候補者の情報が溜まります。媒体のアカウントの中だけでなく、担当者が手元で管理する一覧、レポートの元データ、メールやチャットのやり取り、面談の準備で作った候補者の要約。運用が丁寧なほど、手元の情報は増えます。

契約が終わっても、これらは自動的には消えません。担当者のパソコンに残り、代行会社の共有フォルダに残り、レポートのファイルに残ります。悪意が無くても、残ります。

残っていて困るのは、次の場面です。候補者から「自分の情報はどう扱われているか」と問われたとき。代行会社で情報の漏えいが起きたとき。次の代行会社や自社運用で、同じ候補者に接触するとき。いずれも、「前の代行会社の手元に何が残っているか」を把握していないと、答えられません。

削除の取り決めは、こうした場面への備えです。取り決めが無いと、終了後に「消してください」と言っても、代行会社は「何を、どこまで」と返すしかなく、こちらも答えられません。

契約時に決めておくこと

削除に関して、契約書か覚書に入れておくのは次の点です。

対象の範囲。 媒体のアカウント内の情報、担当者の手元の一覧やメモ、レポートの元データ、メールやチャットの履歴、面談の準備資料。「候補者に関する一切の情報」と書いたうえで、具体例を列挙します。

時期。 契約終了後、何日以内に削除するか。引き継ぎの期間中は保持が必要なので、引き継ぎ完了後の日数で決めます。

方法。 削除の方法(ファイルの削除、アカウントからの除外、バックアップからの削除)と、削除できない場合の扱い(法令で保存が求められるもの、バックアップの仕組み上すぐには消えないもの)。

確認。 削除完了を書面で報告すること。報告に含める内容(何を、いつ、どう消したか)。

例外。 契約終了後も保持する必要があるもの(請求に関する記録など)と、その範囲。

再利用の禁止。 契約期間中に得た候補者情報を、他の顧客の案件や、代行会社自身の営業に使わないこと。

こうした条項の書き方や効力については、弁護士などの専門家にご確認ください。この記事は、確認する項目の整理であって、法的な助言ではありません。

終了時に削除を求める範囲

契約の終了が決まったら、取り決めに沿って、削除を求めます。求める範囲は、次のとおりです。

媒体のアカウント内。 自社名義なら、代行会社のユーザーを外せば、そのユーザーからは見られなくなります。ただし、ユーザーが手元にダウンロードしていたものは残ります。代行会社名義なら、記録を引き出した後に、アカウント内の候補者情報を削除するか、アカウントそのものを終了します。

担当者の手元。 送信の一覧、候補者の要約、辞退理由のメモ。パソコンやクラウドの個人フォルダにあるもの。担当者に「手元にあるものの一覧」を出してもらい、削除を求めます。

代行会社の共有領域。 共有フォルダ、社内のチャット、レポートの元データ。担当者以外もアクセスできる場所にあるもの。

メールとチャットの履歴。 発注側とのやり取りの中に、候補者の情報が含まれているもの。全部を消すのは現実的でないことがあるので、候補者の氏名や経歴が含まれる添付ファイルの削除を求めます。

バックアップ。 代行会社の仕組み上、バックアップからの削除に時間がかかることがあります。いつ消えるかを確認します。

求めるときは、引き継ぎに必要な情報を先に受け取ってからです。削除を先にすると、引き継ぎで使うものまで消えます。順番は、引き継ぎの受け取り→削除の依頼→完了の確認、です。

削除の確認方法

「消しました」の一言で終わらせず、確認します。

書面で完了報告を受け取る。 何を、いつ、どの方法で消したか。担当者の手元、共有領域、バックアップのそれぞれについて。取り決めで報告の内容を決めていれば、その形で出してもらいます。

削除できなかったものの一覧。 法令で保存が求められるもの、バックアップの仕組み上残るもの。それらが何で、いつ消えるか、その間どう管理されるか。

再利用しないことの確認。 契約期間中の候補者情報を、他の案件や営業に使わないことを、改めて書面で確認します。

担当者からの一言。 書面とは別に、担当者本人に「手元に残っているものはありませんか」と聞きます。丁寧な担当者ほど、媒体の外に細かな記録を持っているので、本人に聞くのが最も確実です。

完全に確認しきることはできません。それでも、書面と本人の確認を残しておけば、後で問題が起きたときの拠り所になります。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「契約が終われば、代行会社は候補者の情報を使えなくなるはず」というものです。契約が終わっても、手元にあるものは残ります。使わないという約束が契約に無ければ、使わないという保証もありません。

見ていて差がつくのは、担当者が「終了時の情報の扱い」を自分から説明するかどうかです。「契約が終わったら、手元の候補者情報はこう消します。完了の報告はこの形で出します」と契約時に言える担当者は、情報の扱いを自分の仕事の一部にしています。言わない担当者は、考えていないか、自社の運用が整っていないかのどちらかです。

発注側にできるのは、契約時に「終了時の候補者情報の扱いを教えてください」と聞くことです。具体的な答えが返ってくるかどうかで、その会社の情報管理の水準が分かります。答えが曖昧なら、覚書で取り決めを足すか、別の会社を検討します。

自社側で残す情報の扱い

削除を求めるのは代行側だけではありません。自社の手元にも、候補者の情報が残ります。

引き継ぎで受け取った送信の記録、候補者との関係、面談に至った人の情報。これらは、次の運用で使う資産ですが、同時に候補者の個人情報です。誰がアクセスできるか、どこに保管するか、いつまで保持するかを、自社でも決めます。

特に、面談に至らなかった候補者、辞退した候補者の情報は、いつまで持つかを決めておきます。「再度接触する可能性があるので残す」なら、その期間と管理の方法を決めます。「もう使わない」なら、消します。

自社の個人情報の扱いの方針と照らして決めることになるので、社内の担当部門や専門家に確認してください。

削除の取り決めが無いまま終了するとき

すでに契約が終わっていて、削除の取り決めが無い場合でも、求めることはできます。

まず、代行会社に「契約期間中の候補者情報を、削除してほしい」と書面で伝えます。取り決めが無くても、多くの会社は応じます。応じない場合は、その理由を聞きます。「保持する必要がある」と言うなら、何を、なぜ、いつまでか。

応じた場合は、完了の報告を書面で求めます。取り決めが無いので形式は自由ですが、「何を、いつ消したか」の記載は求めます。

応じない、または曖昧な場合は、専門家に相談してください。契約上の義務、法令上の義務がどうなるかは、個別の状況によります。

次の契約では、この記事の「契約時に決めておくこと」を入れてください。終わってから求めるより、始める前に決めておくほうが、はるかに簡単です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、候補者データの削除で最も困るのは「消せと言われたが、何を消せばよいかが分からない」ことです。媒体の記録は消せる。手元の一覧も消せる。しかし、レポートのファイル、メールの添付、社内チャットの履歴、バックアップ。どこまでを求められているのかが分からないと、「消しました」と言い切れません。

取り決めが具体的なら、担当者は迷いません。「担当者の手元・共有領域・レポートの元データ・メールの添付。バックアップは仕組み上〇日後に消える。完了報告はこの形で」。ここまで決まっていれば、担当者はそのとおりに動き、報告を出せます。

発注側にできるのは、取り決めを具体的にすることと、削除を「疑っているから求める」のではなく「運用の一部として求める」と伝えることです。信頼している担当者に「消せ」と言うのは気が引けるかもしれませんが、取り決めどおりに求めることは、担当者にとっても、自分の責任を果たせる形です。

まとめ

よくある質問

削除を求めると、信頼していないと思われませんか

取り決めに沿って求めることは、疑いではなく運用の一部です。契約時に「終了時はこう扱う」と決めておけば、終了時に求めるのは当然の手続きです。丁寧な担当者ほど、求められる前に自分から「手元の情報はこう消します」と言ってきます。

バックアップからすぐには消えないと言われました

仕組み上、そういう場合はあります。いつ消えるか、その間どう管理されるか(アクセスできる人、利用しないこと)を書面で確認してください。「消えない」ではなく「〇日後に消える」という形で報告を受ければ、拠り所になります。

削除の取り決めをどう書けばよいか分かりません

この記事の「契約時に決めておくこと」の六項目(対象の範囲・時期・方法・確認・例外・再利用の禁止)を箇条書きにして、覚書の案として代行会社に出してください。条項の書き方や効力については、弁護士などの専門家に確認することをおすすめします。

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