送信数が計画に届かない|「増やせ」の前に、どこで詰まっているかを見る
契約時に決めた月の送信数に、実績が届かない。レポートを見て気づき、担当者に「なぜ届かないのか」と聞く。この場面で、発注側が「もっと送ってください」で終わらせると、次の月も届かないか、届いても質が落ちるかのどちらかになります。結論を先に書くと、送信数が届かない原因は、母数・承認・稼働・個別化・媒体の上限の五つのどこかにあり、まずどこで詰まっているかを特定してください。そのうえで、計画の数字そのものが妥当だったかも見直します。数の考え方はひと月に何名にアプローチできるかにまとめています。
「届かない」を確認する前に、計画の数字を疑う
送信数の計画は、契約時に「月〇通」と置かれます。この数字が、どういう根拠で置かれたかを思い出してください。
代行会社の提案書に書かれていた数をそのまま使ったなら、その数は営業上の目安であって、この職種・この媒体・この条件での実現可能な数ではないかもしれません。採用人数から逆算した数なら、返信率や面談設定率の仮置きが甘かった可能性があります。
計画の数字が根拠の薄いものなら、届かないのは運用の問題ではなく、計画の問題です。担当者を責める前に、「この数は、どこから来たか」を確認してください。根拠が薄いなら、実績をもとに計画を置き直します。
根拠があるなら、次に進みます。
詰まっている場所を五つで切り分ける
一.母数。 求人の条件に合う候補者が、媒体の中にどれだけいるか。条件を絞るほど母数は減ります。母数が計画の数を下回っていれば、届きようがありません。担当者に、現在の条件で抽出できる候補者の数を聞きます。母数が足りないなら、条件を緩めるか、隣の職種を含めるか、媒体を足すかの判断で、発注側の領域です。
二.承認。 送信前に発注側が承認する運用にしている場合、承認が溜まっていれば送信は止まります。担当者は送る準備ができているのに、発注側で止まっている状態です。承認の待ち時間を担当者に聞いてください。発注側が原因なら、承認の範囲を絞るか、抜き取りに切り替えます。品質チェックの仕組みで書いたとおり、全通承認は長く続きません。
三.稼働。 担当者の稼働時間が、計画の数に見合っているか。契約時に「週〇時間」と決めていれば、それで送れる数には上限があります。個別化の度合いが高ければ、一通あたりの時間が増え、送れる数は減ります。担当者が掛け持ちを増やして稼働が薄くなっていることもあります。契約時の稼働の条件と、実際の稼働を照らします。
四.個別化。 一通ごとに経歴を読んで書き分ける運用なら、数は伸びません。それは設計どおりです。計画の数が「型で送る」前提で置かれていたのに、運用が「個別化」になっているなら、計画と運用がずれています。どちらに合わせるかを決めます。
五.媒体の上限。 媒体のプランに送信数の上限があり、そこに届いていれば、それ以上は送れません。上限は媒体とプランで異なり、改定もあるので、契約している媒体の管理画面か公式ページで確認してください。上限が計画を下回っていれば、プランを上げるか、計画を下げるかです。
五つのどれかが特定できれば、対処は自然に決まります。特定できないまま「増やしてください」と言っても、担当者は何を変えればよいか分かりません。
発注側に原因があることは多い
五つのうち、母数と承認は、発注側の判断や運用に原因があることが多い項目です。
条件を厳しくして母数を減らしたのは発注側です。承認を全通にして送信を止めているのも発注側です。それでいて「送信数が届かない」と担当者に言うと、担当者は言い返しにくく、黙って条件を緩めるか、承認を待たずに送るかのどちらかに傾きます。どちらも質を落とします。
担当者に聞くときは、「どこで詰まっていますか。こちらに原因があれば、率直に言ってください」と添えてください。担当者が「承認待ちが溜まっています」と言えれば、発注側が直せます。言えなければ、担当者は自分の側で無理をします。
数を増やすと落ちるもの
原因が特定でき、数を増やす判断をするなら、増やしたときに落ちるものを先に見ておきます。
対象を広げて増やすなら、範囲の合わない人に届く割合が上がり、返信率と面談の「合う」割合が落ちます。個別化を減らして増やすなら、読まれにくくなり、返信率が落ちます。稼働を送信に寄せて増やすなら、返信対応が遅くなり、面談設定率が落ちます。
増やして面談数が増えるなら、増やす価値があります。増やして面談数が変わらないなら、増やした分は無駄です。送信数と面談設定数の両方を見て、どちらの数が目的に近いかで判断します。目的は送信ではなく面談と採用です。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「送信数が届かないのは、担当者がさぼっているから」というものです。実際に稼働が薄い担当者もいますが、話を聞くと、母数が足りない・承認が溜まっている・個別化の設計と計画がずれている、のどれかであることのほうが多くあります。そしてこの三つは、発注側の判断で決まっています。
見ていて差がつくのは、担当者が「届かない理由」を最初のレポートで書いているかどうかです。「今月は条件に合う候補者が〇名しか抽出できず、全員に送りました」「承認待ちが〇通あり、送信できませんでした」。数字とともに理由が書かれていれば、発注側は次の月に何を直せばよいか分かります。理由を書かず、数字だけが下回っているレポートは、担当者が理由を把握していないか、言いにくいと感じているかのどちらかです。
発注側にできるのは、届かない月のレポートで「理由は何か」を必ずしも責める形ではなく聞くことです。理由が出れば直せます。責めれば、理由は出なくなります。
計画を置き直す
原因が特定でき、対処しても計画に届かないなら、計画の側を置き直します。
置き直すときは、実績をもとにします。この職種・この媒体・この条件で、この稼働で、月にどれだけ送れたか。それが現実の数です。そこから、個別化の度合いを変えれば何割動くか、条件を緩めれば母数が何割増えるかを、担当者と一緒に見立てます。
置き直した計画は、送信数だけでなく、面談設定数とセットにします。「月〇通送って、〇件の面談設定」の形です。送信数だけの計画は、数を追う運用を生みます。面談設定数を主にして、送信数はそのための手段の目安と位置づけます。
計画の置き直しは、半期での見直しの場で行うのが自然です。月次の定例会で毎月計画を変えると、比較ができなくなります。
契約との関係
送信数の目安が契約書に書かれている場合、届かない月の扱いが問題になります。
契約時に「目安に届かなかった月の扱い」を決めていれば、それに沿います。減額、繰り越し、そのまま、のどれかです。決めていなければ、交渉になります。届かない原因が発注側(母数の条件、承認の滞り)にある場合は、減額を求める根拠が弱くなります。原因が代行側(稼働の不足)にある場合は、求められます。
原因の切り分けは、契約上の扱いにも効きます。「誰の原因で届かなかったか」が特定できていれば、話が早く進みます。特定できていないと、水掛け論になります。
次の契約では、目安の前提(媒体・プラン・個別化の度合い・稼働時間)と、届かなかった月の扱いを、契約書に書いておいてください。契約書で決めておくことで挙げた項目です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、送信数の問題で最も困るのは「数が契約の指標になっていて、面談数は見られていない」ことです。数を守るために、対象を広げ、個別化を減らし、返信対応を後回しにする。数は守られますが、面談は増えません。それでも「数は守っている」ので、契約上は問題なし、という状態になります。
発注側が数を指標にすると、担当者は数に最適化します。面談数を指標にすれば、担当者は面談数に最適化します。同じ担当者でも、何を見られているかで動き方が変わります。
送信数は、契約の目安として書いておくのは構いませんが、評価の主な指標にはしないでください。評価は面談設定数と、その先の採用で行い、送信数は「そのために必要な手段の量」として、担当者の裁量に任せるほうが、結果として面談は増えます。
まとめ
- 届かないと言う前に、計画の数字の根拠を確認する。根拠が薄ければ計画の問題
- 詰まっている場所は母数・承認・稼働・個別化・媒体の上限の五つで切り分ける
- 母数と承認は発注側に原因があることが多い。率直に言える空気を作る
- 数を増やすと返信率・合う割合・返信対応の速さが落ちる。面談数が増えるかで判断する
- 計画は実績をもとに、面談設定数とセットで置き直す。半期の見直しの場で
- 契約上の扱いは、誰の原因で届かなかったかの特定が効く
- 評価の主な指標は送信数ではなく面談設定数
よくある質問
担当者が「母数が足りない」と言いますが、本当でしょうか
現在の条件で抽出できる候補者の数を、媒体の画面で一緒に見せてもらってください。数字が出れば事実です。母数が足りないなら、条件を緩めるか、隣の職種を含めるか、媒体を足すかの判断で、発注側が決めることです。担当者は判断できません。
承認を全通にしていますが、これが原因でしょうか
承認待ちの通数と待ち時間を担当者に聞いてください。溜まっていれば原因です。最初の二週間だけ全通承認にして、その後は抜き取りに切り替える運用が、品質と速さの両方を保ちやすいです。承認を続けるなら、承認する人を一人に決め、期限を設けます。
契約の目安に届かない月は、減額を求めてよいですか
契約書に「届かなかった月の扱い」があればそれに沿います。無い場合は交渉ですが、届かない原因が発注側(母数の条件、承認の滞り)にあるなら根拠は弱く、代行側(稼働の不足)にあるなら求められます。原因の切り分けを先に行ってから、話を持ち出してください。
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