スカウト代行 / プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーへのスカウト文面|開封される件名と本文の型
プロダクトマネージャーにスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「事業を牽引するPdM募集」で、本文に「プロダクトの成長を担う」「経営と近い距離で」と書いてあり、何を決めてよい役割なのか、プロダクトはいまどの段階で何に詰まっているのか、誰と決めるのかが、どこにも書かれていません。プロダクトマネージャーは、肩書ではなく「決める範囲」で仕事を見ています。決める範囲が書かれていない文面は、「決められない役割では」と読まれ、開かれても返信されません。結論を先に書くと、件名は「相手が決めてきた範囲の一点+自社で決めてもらう範囲」、本文は「一行目に相手のプロダクトと決めた範囲の一点→自社で決めてもらう範囲と決めない範囲→プロダクトの段階と数字で言える現状→いまの詰まり→決める相手(経営・開発・営業との関係)→体制→条件の幅→決める相手も出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか省きます。刺さる訴求と外す訴求の中身はプロダクトマネージャー向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「PdM向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「決めてもらう範囲」
文面の前に、入社した人に何を決めてもらい、何は決めないかを決めます。優先順位を決めるのか、要件を決めるのか、価格や対象顧客まで決めるのか、開発の順番まで決めるのか。決める範囲が広いほど候補者は狭く、狭いほど「決められない役割」に見えます。範囲を正直に書くことが、合う人を呼びます。
| 決めてもらう範囲 | 文面での書き方の例 |
|---|---|
| 機能の優先順位と要件 | 「何を作るかの順番と中身を決めてもらう。価格と対象顧客は経営が決める」 |
| 対象顧客と価値の定義まで | 「誰に何の価値を届けるかから決めてもらう。開発の順番は開発と一緒に」 |
| 事業の数字まで | 「売上の目標と施策まで持ってもらう。経営と月次で決める」 |
止まりやすいのは、「プロダクト全体をお任せ」と書くときです。PdMは「全体」を信用しません。決める範囲と決めない範囲を両方書きます。
件名の型
PdMが件名で見るのは、「自分が決めてきた範囲を見ているか」「この会社で何を決められるか」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手が決めた範囲+自社で決めてもらう範囲 | 〇〇(プロダクト)の優先順位を決めてこられた方へ|当社の〇〇の要件から任せたい | 決める範囲で語っている |
| 相手のプロダクトの段階+自社の段階 | 〇〇の立ち上げから伸ばした段階のご経歴へ|当社はいま〇〇の段階で | 段階が合うと分かる |
| 相手の詰まりの経験+自社の詰まり | 〇〇(課題)を乗り越えられたご経歴へ|当社も同じところで詰まっている | 経歴を読んでいて、正直 |
書いてはいけない件名は、「PdM募集」「事業を牽引」「経営に近い」「裁量の大きい環境」のように、決める範囲が無いものです。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、PdMが「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手のプロダクトと決めた範囲の一点。「〇〇の〇〇を決めてこられたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 肩書ではなく決めた範囲に触れる |
| 二 | 自社で決めてもらう範囲と、決めない範囲 | 三行 | 両方書く。「全体」を使わない |
| 三 | プロダクトの段階と、数字で言える現状。利用者の規模、伸びているか、止まっているか | 二、三行 | 数字は公開できる範囲で。良く見せない |
| 四 | いまの詰まり。何が決まらず、何が進んでいないか | 二行 | 正直に。詰まりが無い文面は信用されない |
| 五 | 決める相手。経営・開発・営業とどう決めるか。誰が最終か | 二、三行 | 経営の下請けか、対等か、が分かるように |
| 六 | 体制。開発は何人、デザインはいるか、PdMは何人目か | 二行 | 一人目なら一人目と書く |
| 七 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 八 | 短い締め。「決める相手(経営か開発の責任者)が出ます。三十分で、いまの詰まりの話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
| 最後 | 会社の紹介 | 一、二行 | 先に書かない |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「PdMには事業の魅力と成長性を書けば響く」というものです。実際には、成長性を書いた文面より、「決めてもらう範囲と決めない範囲」と「いまの詰まり」を正直に書いた文面のほうが返信が来ます。ある会社では、事業の成長と経営との距離を書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「経営に近い」は「経営が決めてPdMは実行するのでは」と読まれ、決める範囲が無いので判断できない状態でした。「優先順位と要件は任せる。価格と対象顧客は経営が決める。いま詰まっているのは〇〇」と書き直したところ、「その範囲なら」という人から返信が来ました。PdMは、決める範囲が狭くても、正直に書かれていれば判断できます。書かれていないと、判断できずに閉じます。
書いてはいけないこと
一つ目は、「プロダクト全体をお任せ」「裁量が大きい」「経営に近い」のような、決める範囲が無い言葉です。決めてもらう範囲と決めない範囲を書きます。
二つ目は、プロダクトの現状を良く見せることです。伸びていないなら書きます。PdMは「止まっているプロダクトを動かす」ことに関心を持つ人が多く、正直な現状は材料になります。
三つ目は、詰まりを書かないことです。詰まりが無い会社はPdMを必要としません。何が決まらず進んでいないかを書きます。
四つ目は、決める相手を書かないことです。経営が全部決めてPdMは実行するのか、PdMが決めて経営が承認するのかで、役割はまったく違います。
五つ目は、会社の紹介から始めることです。
六つ目は、締めに決める相手が面談に出ることを書かないことです。人事だけの面談では、「本当に決められるか」に答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名に相手が決めた範囲の一点があるか | 「PdM募集」「事業を牽引」になっていないか |
| 決めてもらう範囲と決めない範囲の両方があるか | 「全体」で逃げていないか |
| 現状を数字か事実で書いたか | 良く見せていないか |
| 詰まりを書いたか | 隠していないか |
| 決める相手と最終の決定者が分かるか | 経営の下請けか対等かが読めるか |
| 面談に決める相手が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。決める範囲の一点があるか。形容詞だけになっていないか |
| 開かれるが返信が無い | 決めてもらう範囲の具体さと、詰まりの正直さ |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に決める相手が出たか。文面の決める範囲と面談の実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 決める範囲の実態。経営が「任せる」と言いながら口を出す構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、PdM向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「決めてもらう範囲を、経営者が自分の言葉で決めて、面談に出ることに合意しているか」です。件名と一行目は担当者が書けますが、決める範囲は経営者にしか決められず、人事や担当者が「裁量が大きい」と書くと、面談で経営者が「それは私が決める」と言って辞退されます。経営者に「入社したPdMに何を決めてもらい、何は自分が決めるか」を聞いて書き、その経営者が面談に出る文面は、PdMに「決める範囲が本物だ」と伝わります。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、経営者に決める範囲を言葉にしてもらい、面談に出る合意を取ってもらっています。刺さる訴求と外す訴求はプロダクトマネージャー向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(プロダクト、決めた範囲、段階)を読んで件名と一行目を相手ごとに書くこと、経営者に聞いた決める範囲と詰まりと決める相手を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、決めてもらう範囲と決めない範囲の決定、プロダクトの現状と詰まりの事実、経営者か開発の責任者が面談に出ること、条件の幅、です。経営者が決める範囲を言葉にできない状態では、PdMへのスカウトは成立しません。出す前に決めます。
まとめ
- 先に決めてもらう範囲と決めない範囲を経営者が決める。「全体をお任せ」はPdMに信用されない
- 件名は「相手が決めた範囲の一点+自社で決めてもらう範囲」。形容詞だけの件名は開かれない
- 本文は一行目に相手の決めた範囲の一点→決める範囲と決めない範囲→段階と現状→詰まり→決める相手→体制→条件の幅→決める相手も出る面談への締め
- 現状と詰まりを正直に書く。止まっているプロダクトはPdMにとって材料になる
- 決める相手(経営・開発・営業との関係)を書き、経営者か開発の責任者が面談に出る
- 返信が来ないときは件名→決める範囲と詰まりの正直さ→面談に決める相手が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
決める範囲が狭いのですが、書くと来ないのでは
正直に書きます。「優先順位と要件は任せる。価格と対象顧客は経営が決める」のように、狭くても具体なら、その範囲で力を発揮したい人は来ます。広く見せて面談で狭いと分かると、その場で辞退されます。狭い範囲を書いたうえで、「うまく回れば範囲を広げたい」と将来の方向を添えると、材料になります。
一人目のPdMを採ります。何を書けばよいですか
「一人目」と明記し、PdMの役割がまだ無いこと、経営者がいま何を決めていて何を渡すか、開発チームとの関係をどう作ってほしいか、を書きます。一人目のPdMに関心を持つ人は、「役割を自分で作れる」ことを材料にします。ただし、経営者が渡す範囲を言葉にできていないと、面談で「結局経営者が全部決めるのでは」と読まれます。出す前に経営者と決めます。
PdMの経験者が少なく、送る相手がいません
PdMの経験者は少ないので、転向層(開発のリード、事業企画、営業企画、デザイナーで要件を決めてきた人)を含めます。転向層には、一行目で「〇〇のご経歴から、決める範囲を広げたい方へ」と転向であることに先に触れ、決める範囲を正直に書きます。探し方はプロダクトマネージャーを探すときの検索条件とターゲティングに書いています。