採用サイトへの導線|候補者は文面の後に「検索」する。その先に何があるかを整える
スカウトの文面を読んだ候補者は、そのまま返信するわけではありません。会社名で検索し、採用サイトを開き、事業と人と働き方を見て、それから返信するかを決めます。文面がどれだけ良くても、採用サイトが古い、役割の記述と食い違う、働き方の情報が無い、となれば、返信は来ません。結論を先に書くと、スカウトの文面と採用サイトは、候補者が続けて見る一つの流れです。文面に書いた役割と、採用サイトに書かれた役割と働き方を揃え、候補者が検索した先に「文面の続き」がある状態にしてください。採用広報との連携は採用広報とスカウトの連携に、口コミへの対処は口コミを見られる前提の設計にまとめています。
候補者が見に行く順番
スカウトを受け取った候補者の多くは、次の順で動きます。
一.文面の一段落目を読む。役割と「なぜあなたに」で、続きを読むかを決める。
二.文面を最後まで読む。役割の詳細、条件、会社の概要。
三.会社名で検索する。採用サイト、コーポレートサイト、口コミ、ニュース。
四.採用サイトで、事業・人・働き方・募集の一覧を見る。
五.文面の役割が、採用サイトのどこに当たるかを探す。
六.返信するかを決める。
三から五で、候補者は「文面の裏付け」を取っています。文面に「経営と直接決める役割」と書いてあるのに、採用サイトの組織図でその役割が見当たらない。文面に「在宅可」と書いてあるのに、採用サイトの働き方のページに記述が無い。こうした食い違いで、候補者は返信をやめます。
採用サイトは、スカウトの一部です。文面の後に見られる前提で整えます。
文面と採用サイトで揃えること
候補者が続けて見て、食い違いを感じないように、次を揃えます。
役割の記述。 文面の一段落目に書いた「何を決める役割か、誰と決めるか、どこまで担うか、数字を持つか」が、採用サイトの募集ページにも書かれているか。採用サイトの募集が「〇〇職 募集」だけなら、文面の役割の裏付けになりません。
働き方。 在宅の可否、勤務時間、フレックスの有無。文面で触れたことが、採用サイトで確認できるか。
言葉づかい。 文面のトーン(会社の呼び方、敬称、文末)と、採用サイトのトーンが揃っているか。文面は落ち着いた言葉で、採用サイトは「アットホーム」「急成長」で埋まっていると、同じ会社に見えません。
一緒に働く人。 文面で「〇〇(役職)と直接決める」と書いたなら、その人が採用サイトに登場しているか。顔と言葉が見えれば、候補者は役割を想像できます。
募集の状態。 文面で送っている募集が、採用サイトに載っているか。載っていないと、「本当に募集しているのか」と疑われます。逆に、採用サイトに終了した募集が残っていると、古い印象になります。
条件。 文面で幅を出したなら、採用サイトの条件の記述と矛盾していないか。
揃っているかを確認するのは、担当者が文面を書く前に、採用サイトを読むところからです。
リンクを貼るかどうか
文面に採用サイトのリンクを貼るべきか。動画や資料を添えるべきかで書いた考え方と同じで、最初の文面には貼らないほうが安全です。
貼ると、一段落目を読む前にリンクに飛び、採用サイトを見て戻ってこない、ということが起きます。候補者は、どのみち検索して採用サイトを見ます。リンクが無くてもたどり着きます。
貼るなら、文面の最後に、「詳しくは採用サイトの〇〇のページで」と、見てほしいページを指定する形にします。トップページへのリンクは、候補者を迷わせます。役割の詳細が書かれた募集ページ、一緒に働く人のページ、働き方のページ。文面の続きになるページを指します。
返信が来た後の二通目なら、リンクを貼っても問題ありません。関心が確認できた候補者は、採用サイトを見たい状態です。
媒体によって、外部リンクの扱いは違います。公式の案内で確認してください。
採用サイトが無い・古い場合
採用サイトが無い、あるいは古いままの会社は多くあります。この場合、候補者が検索した先に「文面の続き」がありません。
無い場合。 コーポレートサイトに、募集の一覧と、働き方の情報のページを一つ作ります。凝ったものでなくても、文面の役割の裏付けがあれば足ります。時間が無ければ、文面の中に、採用サイトに書くはずのこと(事業の概要、一緒に働く人、働き方)を、簡潔に入れます。文面が長くなりますが、検索した先に何も無いより良い。
古い場合。 募集の一覧を最新にし、終了した募集を消し、役割の記述を文面と揃えます。全体を作り直す前に、候補者が見に行くページ(募集、働き方、人)だけを直します。
内容が薄い場合。 事業の説明だけで、人と働き方が無い。候補者が知りたいのは、事業より「誰と、どう働くか」です。一緒に働く人のページと、働き方のページを足します。
トーンが違う場合。 採用サイトが「熱い」「アットホーム」で、文面が落ち着いている。どちらに揃えるかを決めます。文面のトーンが会社の実態に近いなら、採用サイトを文面に寄せます。
担当者は、採用サイトの状態を見て、文面で何を補うかを判断します。採用サイトが整っていれば文面は短く、整っていなければ文面で補う。この判断ができる担当者を選びます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「文面は丁寧に作ったのに、採用サイトを見ていなかった」というものです。担当者が文面で「〇〇を決める役割」と書き、候補者が採用サイトを見ると、募集ページには「〇〇職(経験者歓迎)」としか書かれていない。候補者は「文面と違う」「本当にそんな役割があるのか」と疑い、返信をやめます。文面の返信率が低い原因が、採用サイトにあることは珍しくありません。
見ていて差がつくのは、担当者が文面を書く前に「採用サイトを見せてください」と言うかどうかです。採用サイトを読んでから文面を書く担当者は、食い違いを避け、採用サイトに無いことを文面で補います。読まずに書く担当者は、文面と採用サイトがずれたまま送り、返信率が上がらない理由を文面に求めます。
発注側にできるのは、担当者に採用サイトを渡し、「文面と揃えてほしい。ずれているところがあれば教えてほしい」と頼むことです。担当者は、候補者の目で採用サイトを読み、直すべきところを指摘できます。
担当者が採用サイトに求めるもの
担当者から見て、採用サイトにあると文面が書きやすく、返信率が上がりやすいものがあります。
役割ごとの募集ページ。 職種名だけでなく、担う範囲、一緒に働く人、いま詰まっていること。文面の一段落目の裏付けになります。
一緒に働く人のページ。 面談者や、隣に座る人の顔と言葉。「〇〇と直接決める」と文面に書いたとき、その人が見えます。
働き方のページ。 在宅、時間、休暇、評価の仕組み。文面で触れた働き方の裏付け。
事業の現在地。 何を解決していて、いまどの段階か。文面の「いま詰まっていること」につながる。
よくある質問。 候補者が返信の前に知りたいこと。面談で毎回聞かれることが載っていれば、返信のやり取りが減ります。
最新の状態。 募集が最新で、終了した募集が無く、組織の情報が現状と合っている。
これらがあれば、文面は短く済み、候補者は検索した先で「文面の続き」を読めます。無ければ、文面で補うか、採用サイトに足すかを、担当者と決めます。
採用サイトの更新を運用に組み込む
採用サイトは、一度整えても、運用の中で古くなります。更新を仕組みにします。
募集の開始と終了で、採用サイトを更新する。 新しい募集を送り始めるときに、採用サイトの募集ページを作る。募集が終わったら、消す。担当者が送信の開始と終了を把握しているので、担当者から更新を促してもらう形にすると、忘れません。
求人票を直したら、採用サイトも直す。 役割の記述を変えたなら、採用サイトの募集ページも変える。求人票と採用サイトが別々に管理されていると、ずれます。求人票の現在の版を一つの場所に置き、採用サイトはそこから反映する形にします。
四半期に一度、候補者の目で見る。 担当者か、採用に関わっていない社内の人が、候補者のつもりで採用サイトを読みます。古い、薄い、ずれている、を見つけます。
候補者の質問から、足すものを決める。 返信のやり取りや面談で繰り返し出る質問は、採用サイトに載せます。担当者が質問の記録を持っています。
採用サイトの更新は、採用担当だけの仕事にせず、担当者と一緒に回します。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用サイトで最も困るのは「文面で書いた役割が、採用サイトに無い」ことです。発注側から聞き取った役割を、担当者は文面に書きます。候補者が採用サイトを見ると、その役割は載っていない。候補者から「採用サイトに無い募集ですが、本当ですか」と返信が来ることもあります。担当者は「社内で確認します」と返すしかなく、その往復で候補者の関心は薄れます。
文面で送る募集は、採用サイトに載せてください。載せられない事情(非公開の募集など)があるなら、文面にその旨を書きます。「採用サイトには掲載していない募集です」と一言あれば、候補者は疑いません。
発注側にできるのは、送信を始める前に、採用サイトの募集ページを担当者と一緒に確認することです。載っていれば文面の裏付けになり、載っていなければ文面で補う。この確認を、送信の開始の手順に入れてください。
まとめ
- 候補者は文面の後に検索して採用サイトを見る。採用サイトはスカウトの一部
- 揃えるのは役割の記述・働き方・言葉づかい・一緒に働く人・募集の状態・条件
- 最初の文面にリンクは貼らないか、貼るなら文面の続きになるページを指定する。二通目以降は貼ってよい
- 採用サイトが無いなら募集と働き方のページを一つ作るか文面で補う。古いなら候補者が見るページだけ直す。薄いなら人と働き方を足す。トーンが違うなら実態に近いほうに揃える
- 担当者が求めるのは役割ごとの募集ページ・一緒に働く人・働き方・事業の現在地・よくある質問・最新の状態
- 更新は募集の開始と終了・求人票の修正・四半期の見直し・候補者の質問を起点に、担当者と一緒に回す
- 送信を始める前に、採用サイトの募集ページを確認する
よくある質問
採用サイトを作り直す予算がありません
全体を作り直す必要はありません。候補者が見に行くページ(募集の一覧、働き方、一緒に働く人)だけを整えてください。コーポレートサイトに一ページ足す形でも足ります。それも難しければ、文面の中に採用サイトに書くはずのことを簡潔に入れ、検索した先に何も無い状態を避けます。
非公開の募集で、採用サイトに載せられません
文面に「採用サイトには掲載していない募集です」と一言書いてください。候補者は、採用サイトに無い理由が分かれば疑いません。書かないと、「本当に募集しているのか」と疑われます。非公開の理由(新規事業、後任の募集など)を、差し支えない範囲で添えると、なお安心されます。
採用サイトのトーンと、スカウトの文面のトーンが違います
どちらが会社の実態に近いかで決めてください。文面のトーンが実態に近いなら、採用サイトを文面に寄せます。採用サイトのトーンが実態なら、文面を採用サイトに寄せます。両方が違う会社に見えると、候補者は「どちらが本当か」と迷います。文面のトーンをどう指定するかで書いた、社内で「らしさ」を決める人を一人にする形が、ここでも効きます。
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