採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得か
採用代行の見積もりを取ると、月額固定型と成果報酬型が並ぶことがあります。どちらが得かという問いには、金額の大小では答えが出ません。この二つは値段の違いではなく、うまくいかなかったときの損を誰が持つかの違いだからです。結論から言えば、採用の見通しが立っているなら月額型、立っていないなら成果報酬型が噛み合います。その理由と、総額で比べる手順を整理します。
二つの体系はリスクの持ち方が違う
月額固定型は、成果が出ても出なくても同じ額を払う契約です。採用が決まらなかった月の損は発注側が持ちます。そのかわり代行側は稼働を読めるので、時間のかかる仕込みに手をつけられます。求人票の書き直し、媒体の設定調整、スカウト文面の作り替え。これらは短期では成果に出にくく、続けたときに効いてくる作業です。
成果報酬型は、成果が出るまで払わない契約です。決まらなかった月の損は代行側が持ちます。そのかわり代行側は、短い時間で成果になりやすい動き方を選びます。返信の取りやすい候補者から順に当たる、通りやすい案件から手をつける。これは怠慢ではなく、報酬設計に対して合理的な行動です。
この違いを踏まえると、選び方は自然に決まります。採用したい人物像がはっきりしていて、母集団の作り方も見えているなら、月額型で稼働量を買ったほうが安く付きます。逆に要件がまだ固まっておらず、そもそも人が採れるか分からない状態なら、成果報酬型で最初の一名が出るまで様子を見るほうがリスクが小さくなります。
それぞれが向く状況
| 月額固定型が向く | 成果報酬型が向く | |
|---|---|---|
| 採用人数 | 複数名・通年で継続 | 単発・まずは一名 |
| 要件 | 固まっている | これから固める |
| 業務範囲 | 広い(運用全体) | 狭い(母集団形成など単一工程) |
| 社内体制 | 採用担当がいて指示が出せる | 兼務で手が回っていない |
| 支出の性質 | 固定費として読みたい | 変動費にしたい |
| 代行側の動き | 仕込みに時間を使える | 短期で成果になる動きに寄る |
採用人数が増えるほど月額型が有利になりやすい、という傾向はあります。成果報酬は一件ごとに費用が積み上がるのに対し、月額型は同じ額のなかで処理件数を増やせるためです。ただしこれは、代行側の稼働に余裕がある範囲での話です。稼働時間を超える依頼が続けば、結局は追加費用か品質低下のどちらかになります。
エラベルの見解
相談でよく聞くのは「成果報酬なら損をしないから安心」という言い方です。金銭的にはそのとおりですが、成果報酬型で失うのは時間だという点は見落とされがちです。
成果が出るまで払わない契約では、代行側は他の案件と自社案件を天秤にかけます。返信率が低い、要件が厳しい、面接の日程が出にくい。そうした案件は後回しになりやすく、これは契約の構造上そうなります。発注側から見ると「動いてくれていない」ように見えますが、報酬設計がその行動を選ばせています。
だから成果報酬型を選ぶときは、金額ではなく優先順位を上げる条件を確認してください。何件を並行して持っているのか、自社の案件は何番目か、返信が鈍ったときに何をするのか。これに答えられる相手なら、成果報酬型は機能します。答えが出てこないなら、安く見えても時間だけが過ぎます。
総額に換算して比べる手順
体系が違う見積もりは、月額や単価のままでは比べられません。採用一名あたりの費用に換算してから並べます。
- 採用予定人数と期間を決める。半年で二名なのか、通年で五名なのかを先に置きます。ここが決まらないと換算できません
- 月額型の総額を出す。月額に契約月数を掛けます。最低契約期間があるならその分を下限として見ます
- 成果報酬型の総額を出す。成果単価に予定件数を掛けます。面談設定が成果なら、面談から採用に至る割合を自社の実績から置いて逆算します
- 社内の稼働も金額に入れる。どちらの体系でも、社内の確認・面接・意思決定の時間はなくなりません。体系によって社内負荷が変わるなら、その差も金額にします
- 一名あたりで割る
この計算をすると、成果報酬型のほうが高く出るケースが珍しくないことが分かります。特に、面談設定を成果とする契約で採用に至る割合が低い場合です。逆に、採用人数が一名で期間も短いなら、月額型の総額が一名分の成果報酬を上回ります。
換算のときに一番ぶれるのは、三番の「面談から採用に至る割合」です。自社に過去のデータがないなら、幅を持たせて上下二通りで計算してください。片方でしか成立しない選択なら、その前提が崩れたときの損も見えます。料金体系そのものの整理は採用代行の費用相場にまとめています。
成果報酬型で決めておくこと
成果報酬型を選ぶなら、契約前に成果の定義を文章にします。ここが曖昧なままだと、請求のたびに確認作業が発生します。
- 何をもって成果とするか(スカウト返信・面談設定・書類通過・内定承諾・入社のどれか)
- 成果が取り消されたときの扱い(当日欠席、直前辞退、内定辞退、早期退職)
- 重複の扱い(他経路からすでに応募していた候補者、過去に選考した候補者)
- 請求のタイミング(成果発生時か、月末締めか)
- 上限(月あたりの成果件数に上限を置くか。置かないと予算が読めません)
- 成果が出なかった期間の扱い(一定期間ゼロが続いたときに契約を見直す条項があるか)
特に重複の扱いは後から効いてきます。自社の採用サイトからすでに応募していた候補者に代行がスカウトを送り、返信が来たら成果とみなすのか。この線を引いておかないと、費用が想定を超えます。
併用と移行という選択
二択で考える必要はありません。実務では組み合わせが使われます。
低めの月額+成果報酬という形は、双方のリスクを分け合う設計です。代行側は最低限の稼働費が読めるので仕込みに手をつけられ、発注側は成果が出なければ支出が抑えられます。月額部分を稼働時間で説明できるなら、納得感のある形になります。
時間単価で始めて月額へ移す流れもよく使われます。最初の一、二か月は実働で精算し、業務量が見えてから固定に切り替えます。移行の条件を最初の契約に書いておくと、交渉が短く済みます。
成果報酬で試して月額に移すのは、成果報酬期間の目的を「代行会社の見極め」に置くやり方です。この場合は期間を区切り、何を見て判断するかを先に決めておきます。
エラベルの見解
どちらの体系を選ぶかを決める前に、先に決めておかないと効果が出ないものがあります。落とす理由の言語化です。
採用代行に依頼して最初に起きるのは、候補者が集まるところまでではなく、集まった候補者を仕分ける段階での詰まりです。書類が回ってきても社内で判断が割れる、返事が遅れる、基準が面接官ごとに違う。この状態だと、月額型なら稼働が空回りし、成果報酬型なら代行側が優先順位を下げます。どちらの体系でも同じところで止まるわけです。
先に作るのは、必須と歓迎を分けた要件と、落とす理由を三つ書いた一枚です。これがあると、代行側は書類の一次仕分けまで持てるようになり、社内は最終判断だけに時間を使えます。料金体系の選択は、この一枚を作った後で構いません。順番を逆にすると、どちらを選んでも高くつきます。工程ごとの切り分けは採用代行とはで整理しています。
まとめ
- 月額型と成果報酬型の違いは金額ではなく、うまくいかなかったときの損を誰が持つか
- 要件が固まって継続的に採るなら月額型、要件が固まっておらず一名から試すなら成果報酬型が噛み合う
- 成果報酬型で失うのは金銭ではなく時間。優先順位を上げる条件を確認する
- 比べるときは採用一名あたりの費用に換算する。社内の稼働も金額に入れる
- 成果報酬型は成果の定義・取り消し・重複・上限を契約前に文章にする
- 月額と成果報酬の併用、時間単価からの移行という選び方もある
- 体系を決める前に、落とす理由を三つ書いた要件の一枚を作る
よくある質問
成果報酬型のほうが発注側に有利ではないですか
支払いの面では有利です。ただし代行側は複数案件を持っているため、成果が出にくい案件の優先順位は下がります。有利さと引き換えに、着手の速さや動きの量が読みにくくなる、と考えておくとずれません。並行案件数と自社の位置づけを聞いておくと、この不確実さは減らせます。
月額型で採用がゼロだった月も費用は発生しますか
契約内容によりますが、原則として発生します。月額型は成果ではなく稼働を買う契約だからです。そのため、稼働報告を受け取る形にして、何にどれだけ時間が使われたかを確認できるようにしておきます。ゼロが続くときは、母集団の問題なのか要件の問題なのかを稼働の中身から切り分けます。
両方の見積もりを同じ会社から出してもらえますか
対応する会社は多くあります。同じ会社に両方出してもらうと、想定している稼働量と成果件数の関係が見えるため、判断材料が増えます。金額だけでなく、どちらを勧めてくるかと、その理由も聞いてみてください。自社の状況を踏まえた理由が返ってくるかどうかが、そのまま提案の質になります。